科学者タロットその1 | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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フール

 


とっぴ「やほ、なにやってんの? トランプ?」
ひろじ「ああ、これ? トランプのもとになったカードだね。タロットとか、タローとか呼ばれている」
ろだん「トランプより長細いカードだな。それに、なんだか数が多いぞ」
ひろじ「トランプは13枚×4種類に、ジョーカーが2枚で54枚だけど、タロットは小アルカナと呼ばれる14枚×4種に、大アルカナと呼ばれる特別なカードが22枚で、78枚」
ろだん「あ、ホントだ。絵札が・・・キング、クイーン、ナイト、ペイジ・・・1枚多い」
ひろじ「ナイトとペイジがトランプのジャックに当たる。どちらかが省略されたんだね」
あかね「マークはぜんぜん違うのね」
ひろじ「そうでもないよ。タロットの基本的なマークは剣と杯と星と杖だから、ちょっと似てないように見えるけどね。じつは・・・」
むんく「剣・・・ソード・・・スペード・・・」
ひろじ「そう。剣はそのままスペードのマークになった。ちょっと丸まってるけど、スペードのマークって、剣の形に似てるだろ」
とっぴ「そういえば『どきどきプリキュア』にキュアソードっていたな。たしか、他の子はダイヤとかハートとかいたぞ」
あかね「やだ、とっぴ、そんな小さな女の子の見るアニメ見てるの」
とっぴ「いいじゃん!・・・でも、他のは、似てないよ」
ひろじ「こっちの絵を見てみて。杖の絵だけど」
とっぴ「あ、杖に葉っぱが生えてる!」
ひろじ「杖は智恵の象徴で、魔法使いの杖のイメージ。もともと生木の枝だから、葉が生えている図柄なんだ。クラブの図案は、この葉の形から生まれたんだよ」
あかね「じゃ、ダイヤとハートは?」
ひろじ「ダイヤは星・・・というより、五芒星(ペンタクルズ)で、光り輝くコインを意味するんだ。つまり、富の象徴だね」
あかね「あ、だから、ダイヤ?」
ひろじ「そして、聖杯がハートになったといわれている」
むんく「キリストの血と肉・・・」
ひろじ「するどいね。ただ、キリスト教的にはそういう意味があるんだろうけど、もともとは別の意味かもしれない。タロットはもともとヨーロッパの流浪の民が生んだもので、彼らはキリスト教の信者じゃないからね。でも、彼らが占いをする相手はキリスト教徒だったから、ある程度はそれに融けこもうとしたはずだ。異教徒に対する弾圧も恐ろしいしね。だから、タロットカードには、キリスト教的なイメージと異教的なイメージが入り混じっている。そういう意味でも、タロットは興味深いものだよ」
とっぴ「そっか、タロット占いって、聞いたことがあるな」
あかね「大学祭に遊びにいったときにやっていたわよ。面白かったけど、私は信じないな、占いなんて」
ひろじ「タロット占いは女の子に人気があるんだけど、あかねちゃんは相変わらず、キビシイね」
あかね「他の子は『よく当たる~!』なんて騒いでいたけど、そんなはずないもの」
とっぴ「で、あかねはやってみたの」
あかね「やらなかったわよ。当然でしょ」
とっぴ「・・・ふうん。ぼくなら、まず試してみるけどな」
あかね「だ・か・ら、試す必要なんてないでしょ!」
ひろじ「まあ、まあ。必要なら、ぼくが後でやってあげるから」
とっぴ「今すぐやりたい!」
ひろじ「とっぴくんも、相変わらずだね。好奇心旺盛なところ。じゃあ、もっとも一般的な、大アルカナを使うのをやってみようか。この22枚をシャッフルして、そのうち10枚を引いて占う。こっちのカードを使おうか」
とっぴ「あれ、ひろじさん、それ、なんだか絵柄が違うよ。ちょっと見せて・・・アインシュタイン・・・メンデル・・・メンデレーエフ・・・なに、これ?」
ひろじ「ああ、これはね、特別にぼくがデザインした科学者タロット。本当のタロットを使うと、占いをしてる気分になっちゃうからね。もう少し冷静にタロット占いの仕組みを調べるのに、科学者の絵が描いてあったらいいかなと思って」
あかね「わあ、なんだか面白そう。わたし、これならやってみる気になるわ」
ひろじ「あかねちゃんは特別だと思うよ。じつはね、前に伝統的なタロットカードを使って占いの仕組みを調べるデモンストレーションをしてみたんだけど、たいていの人が『こんなに当たるんだから、タロット占いってすごい』という感想になってしまってね。魔法的な絵柄がそんな気にさせるのかもしれないなと思って、科学者タロットをデザインしたんだ」
とっぴ「そんなに当たるの?」
ひろじ「当たるよ・・・というか、当たるようになってる。心理学的な秘密があってね」
ろだん「おい、とっぴ、早く占ってもらえよ。どのくらい当たるか、見ててやるからさ」
ひろじ「その前に、大アルカナのカードを一通り見てもらいたいね。科学者の絵も、だてにくっつけているわけじゃない。カードの象徴する意味にぴったりの人を捜したんだ。例えば、ジョーカーのもとになったこのカード・・・」
むんく「あ・・・ファインマン・・・」
ひろじ「そう、大アルカナの22枚のうち、この愚者(FOOL)のカードだけは番号が振られていない、特別なカードなんだ。文字通りの愚か者じゃなくて、トランプのジョーカーと同じ、トリックスターを意味するカードだよ。思いがけない議論をふっかけたり、びっくりするようないたずらを仕掛けて人を煙に巻いた物理学者ファインマンにぴったりだろ」
あかね「へえ、そうなの。ちょっと、ファインマンさんのこと、知りたくなっちゃった。面白そう」
ひろじ「だろ? それもこのカードを作った目的の一つなんだ。ファインマンのトリッキーな逸話は、本人が書いたエッセイがいくつか出ているから読んでみるといい。とんでもなく面白いよ」
とっぴ「他のカードは?」
ひろじ「そうだな。とりあえず、カードのもともとの意味と科学者の説明をざっと見てもらおうか。ほら」
とっぴ「他の人にも見てもらえないの?」
ひろじ「うーん・・・このブログで毎日科学者タロットを一枚ずつ解説するのは、どうも違う気がするし・・・といって、これは市販されていないから、何かの研究会で出会った人じゃないと、見てもらえないし・・・じゃ、下のリンクで、一通りのカードが見てもらえるようにしておくよ。リンクをクリックして、絵が出たら、絵の下の方にカーソルを持っていくと、頁をめくるマークが出るから、マンガを読むみたいに順番にめくってもらえばいい(*1)。今日は、このくらいにして、とっぴくんの占いとその種明かしは次回にしようか」

 

 

(*1)現在、リンク先の漫画掲載サービスが停止しているため、リンク先を削除しました。その代替として、科学者タロット秘話のシリーズ記事を起こし、科学者タロットカード1枚1枚の背景を書く予定です。科学者のエピソードやタロットカードの秘密に興味がおありの方はご覧ください。

(補足)科学者タロットの背景は全カードについて、このブログサイト記事で描きました。関連記事リンクで、すべてのカードの記事へのリンクを貼りましたので、ご利用ください。

 

 

 
 

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