科学者タロット解題〜13死神テスラ | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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13 死神 THE DEATH  NIKOLA TESLA

 

 13番目のカードは「死神DEATH」、科学者はニコラ・テスラ。異能の天才工学者(科学者というよりは技術者でしょうね)。独自の視点でさまざまな研究をしています。性格もかなり特殊で、人付き合いは苦手。でも、自分の発見を紹介することでは、どんなパフォーマンスでもやってのける。

 こうやって列記すると、かなり変な人であることがわかります。

 

 日本では、テロ事件で有名なオウム真理教が、ロシアに保管されているテスラの研究論文を見に行ったというトリビア的エピソードでプチ有名になりました。このとき、オウム真理教の派遣員の目的は「人工地震」の論文。テスラは電磁気的な強制振動で地震が誘発できると考えていて、その論文を研究にいったようです。それが実用化できたら、毒薬サリンと同じく、どこかで使っていたんでしょうね。たぶん教祖がいついつに地震が起こる、と予言し、その「テスラ地震装置」で実際に地震を起こす・・・というような筋書きだったのでしょう。・・・イタイ。

 

 それはともかく、テスラが思いがけない発想で様々な研究をしたのは事実。地震発生機とか、殺人光線とか、ぶっそうなものをずいぶん考えています。通常の感覚では研究しないテーマ。「死神」を想起させる研究活動を背景に、「死神」のカードにテスラを配しました。

 

 ところで、テスラは奇妙な研究ばかりしていたわけではありません。

 

 ぼくたちの電気文明の根幹ともいえる、交流による電力移送は、テスラの発案です。当時、エジソンは直流にこだわったために、最終的に経済効率の問題で、テスラの交流を使う発想に負けました。エジソンがその不利を覆そうと、交流で動物実験を繰り返して町の野良犬・野良猫を殺し続け、果ては電気椅子を作って死刑執行に使わせるということまでしたのは、有名なエピソードです。

 

 結局、電力輸送の物理的な圧倒的な有利さで、テスラの交流システムが勝利を収めました。

 

 でも、その頃には、テスラは交流の会社からは手を引いていて、テスラとともにエジソンに対抗したウェスティングハウス社が、電力輸送競争の勝利を享寿しています。

 

【タロット解説】

◆大アルカナの#13は「死神(Death)」。どの版でもわかりやすい絵が描かれています。

 不吉な死神が13番目というのは、もちろん、キリスト教の影響でしょう。(いうまでもありませんが、13人目の裏切り者使徒、ユダを象徴しています)

 当時のキリスト教人口の多さを考えると当然かもしれません。

 

 『ジーニアス英和辞典』によれば「the death」なら死や消滅といった意味になるけれど、「Death」だと死神(鎌を持った骸骨の姿)を表すそうです。でも、このタロットカードの場合は「THE DEATH」で「死神」を表しています。深くは追求しないことにしておきましょう。

 

 キリスト教では神と天使、堕天使が基本です。堕天使から悪魔という概念が生まれました。

 

 「死神」という別個の神はそこには存在しません。

 

 おそらくより古いヨーロッパの土着宗教にあった概念でしょう。

 

 イシスのように、エジプト神話の影響を受けた可能性もありますが、エジプトの「死の神」アヌビスは動物の顔をしており、骸骨姿のデスとはイメージの重なる部分がありません。

 

 「大鎌に骸骨」という死神姿の起源については、調べた範囲ではわかりませんでした。(わかりましたら、記事の追加修正で補う予定です)

 

 ちなみに、落語の「死神」がグリム童話の死神が登場する話から改作したものだということは、案外知られているのではないかと思います。というわけで、蛇足になりそうですから、それについては、その詳細を書くのはやめておきます。

 

【正位置】死

 他に、損失、ミス、危険、破局、大病。

【逆位置】危険の回避

 他に、死に至らない病気、一時的な失敗や損失。

 逆位置をもう少し好意的に、病気の回復や蘇る希望ととらえてもいい。

 

【科学者あれこれ】

 

【テスラとは】

◇テスラはクロアチア生まれアメリカの電気工学者。エジソンの会社に入ったが、交流発電を主張し、直流発電のエジソンと対立した。ノーベル賞同時受賞を断るほどエジソンとは犬猿の仲となる。強迫神経症的な性格で、宇宙人との交信、地球の破壊装置など、奇妙な実験も研究している。その特異な性格でどこでもトラブルを起こし、晩年は鳩が唯一の話し相手だった。

 

【テスラのエピソード】

◆クロアチア系アメリカの電気技師。

 ハンガリー時代から発明家であったが、28歳のときにアメリカへ移住しエジソンと提携して働いた。しかし、エジソンが約束どおりの金を払わなかったことから仲間割れし独立。難しい性格で、彼を怒らせないで交際することは不可能であった。晩年はハトを飼育し愛情のすべてを注いだ。

 交流の実用化に貢献。効率的な交流の送電のために変圧器を発明。交流で動く電動機も発明した。直流をすすめるエジソンと対決しエジソンを打ち破った。1912年、テスラとエジソンの2人ともノーベル賞候補とされたが、テスラがエジソンと共同で受けるのを嫌がったため実現しなかった。(科学技術人名辞典・アシモフ)

 

<科学者タロット>

 

 

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