ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

不思議ですてきな科学の世界。ミオくんといっしょに探究しましょう。


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 まんがと対話の「ミオくんとなんでも科学探究隊」(略称「ミオくんと科探隊」)で、自然科学の世界を楽しむサイトです。
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【ご注意】このブログサイトで紹介している実験の中には、予測できるもの、予測できないものも含め、危険な事態が生じる場合があります。実験はすべて、ぼくやぼくの知人が実際に行ったことのあるものばかりですが、実験を再現される場合は、記事や参考文献の内容をよくご理解の上、ご自分の責任において行ってください。なお、生徒さんやお子さんの場合は、自分たちで単独では行わず、しかるべき指導者や保護者の方のご指導のもとに行ってください。

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 さてさて、ひろじとヒロさんの「科学放談~光子の裁判」の続きです。どうなりますやら。

 

 熊さん、八つぁんの長屋での放談と、たいしてかわりはないかもしれませんが、量子力学の粒子・波動の理解に興味のある方は、どうぞ、しばらくの間、おつきあいください。

 

ヒロさん「繰り返すことになるけど、どうもぼくは光子の履歴が書き直されるみたいな話がわからないんだ」

ひろじ「いいですよ。ぼくも考えを整理したいから、どうぞ」

ヒロさん「偏光板つきスリットを通った段階で、光子1個はどちらのスリットを通ったか確定される。ここで光子は粒子となった。だから、スクリーンには粒子の散乱のような干渉のない像が現れていた。そこで、45度の偏光板を新しくスクリーン前に追加すると、光子は突然干渉を起こすようになる。つまり、斜めの偏光板実験を追加することで、粒子になっていたはずの光子が波になる。ということは、過去にスリットのどちらかを通ったと云うことが確定して粒子となっていた光子の状態が波の性質に変化したことになる。タイムマシンに乗って、過去へ向かい、過去の情報が書き換えられたように。この考え方はどうにも理解しがたいんだ」

 

 

ひろじ「たしかに、サイエンスの幾つかの記事にはそういう書き方がしてありますね」

ヒロさん「でも、ミオくんのブログ記事では、違う考え方が載っていただろ」

ひろじ「あれは、ぼくが量子力学を習い始めた頃に、自分にわかるようにまとめた考え方です。古典的な粒子・波の概念が光子や電子の量子力学的振る舞いがわかるにつれ破綻したでしょ。粒子と波とは対立概念で、粒子であるなら波ではありえないし、その逆も同様、というのが、古典的な立場。でも、実際、光子や電子は、ぼくたちが粒子の側面が見られる実験を用意すると粒子性を示し、波の側面が見られる実験を用意すると波動性を示す。あるときは粒子としてふるまい、あるときは波としてふるまうと」

ヒロさん「うん、まさに、この偏光板のヤングの実験はそれなんだ」

ひろじ「サイエンスの記事を見ると、量子論の創生期と同じ議論が繰り返されているように見えるんですよね。こちらがどんな実験を用意するかによって、光子がふるまいを変える、みたいな。だから、最初の偏光板複スリットを通る時点で粒子になっていた光子が、次の斜め偏光板を通るときには波になる。粒子だったものが波に変わるのはおかしいから、斜め偏光板を通る実験に出会った光子は、過去に遡って、偏光板複スリットを通ったときに示した粒子性をキャンセルして、波動性を示すように履歴を変更した、と」

ヒロさん「そう、まさしく、そうなんだ」

 

ひろじ「うーん。光子がぼくたちの用意する実験を感知して自在に姿を変えるって、ヘンじゃないですか?」

ヒロさん「そうだよ。ヘンなんだ」

ひろじ「そもそも古典的な波と粒子という概念をそのまま適用するから矛盾が生じるんだと、ぼくは思いますね。前にも書きましたけど、これは丸と四角のアナロジーで説明するとわかりやすいので、そちらでやりますけど、いいですか」

ヒロさん「ああ。ヘンに感じたらいうから、やってみて」

ひろじ「2次元の世界で考える限り、丸であれば四角ではないし、四角であれば丸ではない。丸と四角は対立概念で、同時に丸であり、四角であることはできない。でも、例えば3次元の円筒形なら、丸と四角両方の性質を持てます。円筒の2次元への投影の仕方で、円筒は丸にもなれば、四角にもなれます。もちろん、2次元に投影するとき、丸であって同時に四角になることはできません。丸が投影されているときは、四角の形は見えないし、四角が投影されているときは、丸の形は見えません」

ヒロさん「ふんふん、そこまではいい」

ひろじ「波と粒子、そして光子の関係も、アナロジーとして同じなんじゃないかな。光子は古典的な波と粒子のどちらでもない、まったく高次な存在だけど、ぼくたちは古典的イメージでしか理解できないので、用意した実験によって、波か粒子か、どちらかの側面しか見ることができない」

 

 

ヒロさん「ふむ。このイラスト(一番上のイラスト)だね。一度に見ることができるのは、どちらかの側面だけだと」

ひろじ「あくまでもアナロジーですけど、こう考えると、過去に遡って履歴を書き換えるとか、光子がこちらの用意する実験を判断してその都度ふるまいかたを変えるとかいう、不気味な考え方をしなくてすみます。つまり、光子は最初から最後まで円筒形なんであって、丸になったり四角になったりと変化しているわけじゃない。光子の実体は不変なんだけど、こちらが用意する実験が、光子の2つの側面のうち、1つだけしか見られないだけなんじゃないでしょうか」

ヒロさん「おもしろいアナロジーだな。どこかで読んだ話?」

ひろじ「いや、ぼくが学生の時に勝手に考えたアナロジーです。量子力学のレポートで、このアナロジーを使って、波と粒子の二重性を説明したことがあります。それ以来、ずっと使っていますよ。もちろん、あくまでもアナロジーだから、次元がどうこうというのは、古典的理解と量子的理解を区別するための便法ですけど」

ヒロさん「変わっているけど、それ、好きだな。光子はいつも同じで、こちらがどんな実験をしかけても、光子自体は何も変化していないというのは、すっきりする」

 

ひろじ「最初の直交偏光板つき複スリット実験は、光子の粒子性の側面を見る実験になっているから、その通りに光子の粒子性が見えて、波動性は見えてこない。次の斜め偏光板を追加する実験は、光子の波動性の側面を見る実験になっているから、その通りに光子の波動性が見えて、粒子性は見えてこない。これが、円筒形とのアナロジーで見る光子と実験の関係です。光子はどの実験においても、粒子性と波動性を併せ持ったより高度な素粒子という存在で、実験の途中で変身することはない。実験の方が、この光子のどの面を見るかを決めているだけでしょう?」

ヒロさん「それだと、気持ちの悪いことを考えなくていい」

 

ひろじ「ヒロさんが大好きだというファインマンの『光と物質のふしぎな理論』は、光子のもつ波動性を実体のある波だと考えずに、確率振幅を与えるだけだと述べています。サイエンスに『新しい解釈』として紹介されている『Qビズム』というのも同じ発想で、光子の波動関数は数学的なものに過ぎなくて、実体のある波じゃないといっています。でも、ぼくにはこれのどこが『新しい』のかわかりません。ファインマンがいっていたこととどう違うんだろう」

ヒロさん「ファインマンは、それ以上じゃないかな。光子はどんな道筋も通るから、実際にはありえないような経路も考えにいれ、それをすべて波動関数の確率振幅で足し合わせて計算することで、光の現象が本当に理解できるようになるといっている。鏡の反射を反射の法則が示す1つの経路で考えず、鏡のすべての点を通る経路を考えて確率振幅を合計するというのはすごい。鏡を等間隔に細かく切ると回折格子になるのも、この経路の確率振幅の足し算で矛盾無く説明してしまっているのには、びっくりしたな」

 

 

ひろじ「未来が過去を変えるというのも、面白いと云えば面白い発想なんですけど、測定に関わる人間の作業が物理的な実在に影響を与えるという発想はどうかと思いますよ」

ヒロさん「未来の光子が過去の自分に、おまえ、こっちに直しとけ、というようなもんだからな。そうそう、このイラスト。過去の自分に、粒子はやめて波動にしておけと、未来からいっている」

ひろじ「波動関数は光子の振る舞いの確率を教えてくれるけど、あくまでもそれだけなんだというファインマンの説明が、さきほどぼくがいっていた『円筒形』の実体だと思いますよ。つまり、光子はありえない経路も含めて、すべての可能性を波動関数により示すけど、実験に応じてその確率振幅を計算すると、その計算が示す物理現象を起こす。それが、波と粒子という古典的概念を超えた素粒子という存在なんだと。さきほどの斜めの偏光板も、光子が途中でいろいろと姿を変えている訳じゃなくて、確率振幅の計算を斜めの偏光板で行うことで、明暗の縞模様が生まれる結果になるだけなんじゃないかと思います。過去にさかのぼって履歴がどうこうというのは、途中を飛んでいる光子の実体が変化していると誤解するから生じる発想じゃないかと思うんですけど。たぶん、ファインマンが生きていてこの話を聞いたら、光子が途中でああなったりこうなったりするなんて勝手に考えるからおかしくなるんだと、呆れそうな気がしますね」

 

ヒロさん「ふーむ。なんとなくすっきりしてきたな。こういった問題に興味を持っている学生といろいろ話しているんだけど、日本にはこういう量子力学の基本的な面を研究する人が少なくて困るという話なんだ」

ひろじ「ところで、ヒロさん、この偏光板の実験なんですけど、あえて光子のレベルで量子力学的に考えて小難しくなってる気がしますけど、そもそも、純粋な波動現象として考えれば、ごく普通の現象になりません?」

ヒロさん「と、いうと?」

ひろじ「最初の直交偏光板スリットだけの実験だと、2つの光の偏光方向が垂直なので、重なり合ったときにベクトル的に重なり合って、通常の強め合い弱め合いの条件ができません。つまり、そもそもこのときは干渉模様は生じませんよね」

ヒロさん「あ、そういえば、藤田先生がそんなことをいっていたな」

ひろじ「ところが、最後に斜め45度の偏光板に当たると、どちらの光も斜め方向の偏光成分を持つので、たとえばスクリーン中央なら、山と山とが出会う条件になって強め合います。そこから離れると、通常の干渉ルールにしたがって、明暗が繰り返されますね。135度なら、山と谷とが出会う条件になるので、スクリーン中央は暗くなります。これも、実験結果として、サイエンスの記事に載っていましたね」

ヒロさん「うん、そうだ。だけど、光は古典的な波動ではない。この光子1個の実験で、それははっきりしている」

 

 

ひろじ「まさにそうです。光子はスクリーンに当たった瞬間に波束が超高速で収縮するんじゃなくて、スクリーンのある点に、ある確率振幅を持って現れるだけ。光点が積算されて明暗模様になるこの実験こそ、ファインマンのいっている光子の正体を示す実験に他ならないですよ。波束の収縮って、波動関数の『波』になんらかの実体を考えるから生まれる誤解だと思うんですけど」

ヒロさん「うーん。かなりすっきりした感じだ。話してよかった」

ひろじ「いやいや、しょせん、シロウトの放談です。落語の熊さんハつぁんのヨタ話ですから。それにしても、ぼくはてっきりファインマンの発想がもっと進化して、量子の世界の新しい地平が切り開かれているとばかり思っていたんですけど、ちょっとがっかりだなあ」

ヒロさん「基本的な部分だから、より難しいのかもしれないね」

ひろじ「ファインマンは素粒子の反応を、ファインマンダイヤグラムで自在に操っていますよね。ファインマンの『素粒子物理学』には、素粒子が未来へも過去へも進む図が描いてあって、ある粒子が過去へ進むのとその反粒子が未来へ進むのは数学的に同等だと書かれています。光子の場合だと、光子自身が光子の反粒子になるのかな。そうすると、未来へ進む光子と過去へ進む光子が同じになって、過去と未来を結んで横たわる時空連続体としての光子というのが本当の実体になるのかもしれない。あ、これも、シロウトの放談ですよ。念のため」

 

ヒロさん「この装置を使って、光子の実験のバリエーションを増やしたいなあ。薄膜干渉だと、シャボン液がもたないし・・・」

ひろじ「くさび形は・・・」

ヒロさん「光が弱すぎるんじゃないかな」

ひろじ「じゃあ、回折格子はどうです?」

ヒロさん「いいかもしれない。また考えてみるよ」

ひろじ「まあでも、過去に戻って、昔の自分に『それだけはやめとけよ』っていいたいことも、あるんですけどね。そういう意味では、過去の履歴の書き換えは、魅力あるなあ・・・」

ヒロさん「できるものなら、ねえ」

 

 

 

関連記事

 

→科学放談~光子の裁判 その1

→波で粒子ってなんだかわかんない~みゃあみゃあ談義

→量子の「波」って何? その1~粒子と波との違い

→量子の「波」って何? その2~光の媒質

→量子の「波」って何? その3~電子の物質波

→量子の「波」って何? その4~波動関数Ψ

 

 

参考文献→その1に書いてあります。

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