【若紫110-3】古文単語「引き鳴らす」☆
古文単語には、
1.とにかく丸暗記して覚える
2.漢字やイメージで覚える
3.文脈判断で決める
などの覚え方があります。
今回は、接頭語のついた複合動詞☆
【今回の源氏物語】
初夜と言ひしかども、夜もいたう更けにけり。内にも、人の寝ぬけはひしるくて、いと忍びたれど、数珠の脇息に引き鳴らさるる音ほの聞こえ、
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今回出てきた古文単語
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■【初夜(そや)】…戌の刻。午後8時~10時頃
■【と】…引用の格助詞
■【言ひ】…ハ行四段動詞「言ふ」連用形
■【しか】…過去の助動詞「き」已然形
■【ども】…逆接の接続助詞
■【も】…強意の係助詞
■【いたう】…ク活用形容詞「いたし」連用形ウ音便
■【更け】…カ行下二段動詞「更く」連用形
■【に】…完了の助動詞「ぬ」連用形
■【けり】…過去の助動詞「けり」終止形
■【内(うち)】…家の中
■【に】…場所の格助詞
■【も】…強意の係助詞
■【人】…家内の人。ここでは女房たち
■【の】…主格の格助詞
■【寝(ね)】…ナ行下二段動詞「寝(ぬ)」未然形
※【寝(ぬ)】…寝る
■【ぬ】…打消の助動詞「ず」連体形
■【けはひ】…気配。ようす
■【しるく】…ク活用形容詞「しるし」連用形
※【しるし】…はっきりとする
■【て】…単純接続の接続助詞
■【いと】…とても
■【忍び】…バ行上二段動詞「忍ぶ」連用形
※【忍ぶ】…人目をしのぶ。ひそかにする
■【たれ】…完了の助動詞「たり」已然形
■【ど】…逆接の接続助詞
■【数珠(じゅず)】…仏を拝んだり、念仏や陀羅尼を唱える時に持つ仏具で、玉を糸で通して輪にしたもの。数をかぞえる時に用いることもある。
■【の】…主格の格助詞
■【脇息(けふそく)】…ひじかけ
■【に】…場所の格助詞
■【引き鳴らさ】…サ行四段動詞「引き鳴らす」未然形
※【引き―】…下の動作を強調する接頭語
※【引き鳴らす】…鳴らす
■【るる】…受身の助動詞「る」連体形
■【音】…音色。物音
■【ほの聞こえ】…ヤ行下二段動詞「ほの聞こゆ」連用形
※【ほの聞こゆ】…ほのかに聞こえる
◇ 今回は「の」にも注意しましょ♪
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☆ 本日の古文単語「引き鳴らす 」☆
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初夜と言ひしかども、夜もいたう更けにけり。内にも、人の寝ぬけはひしるくて、いと忍びたれど、数珠の脇息に引き鳴らさるる音ほの聞こえ、
問)次の傍線部の説明として最も適当なものを1つ選べ。
1.数珠が脇息に引っ張られて音が鳴っているのがほのかに聞こえ
2.数珠の両脇を引っ張ると音が鳴ってしまうのがほのかに聞こえ
3.数珠が肘掛けに当たって音が鳴っているのがほのかに聞こえ
4.数珠のすき間に引きちぎられたように弾ける音がかすかに聞こえ
5.数珠が両端から鳴らされている弱々しくい音がかすかに聞こえ
古文読解のためには
次の3つの知識が必要です。
● 古文単語をきっちり覚える
● 古典文法を押さえる
● 古文常識を理解する
この【重要古語】カテゴリでは
今回出て来た『源氏物語』の一語一語を
詳しく解説しつつ、
特に今回注目したい古語をピックアップして
詳しく解説しています。
今回の古語はこれ☆
【引き鳴らす(ひきならす)】
【動詞:サ行四段活用】
…鳴らす
実は、私の家にある手持ちの辞書には
この単語は載っていません。
これは、
「鳴らす」という、今でも使う動詞に
「引き―」という接頭語がついた形☆
…逐語訳だからといって
ムリに「引き」を訳そうとすると
余計にヘンな日本語になってしまいますよね~;
「引き鳴らす」は、
ただの「鳴らす」でOKです。
【答え】…3
初夜と言ひしかども、夜もいたう更けにけり。内にも、人の寝ぬけはひしるくて、いと忍びたれど、数珠の脇息に引き鳴らさるる音ほの聞こえ、
● 過去記事リンク
■も
■にけり
■寝(ぬ)
■いと
■しのぶ
■きこゆ
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