【若紫87-3】古文単語「心をしむ」☆
古文単語には、
1.とにかく丸暗記して覚える
2.漢字やイメージで覚える
3.文脈判断で決める
などの覚え方があります。
今回は、連語で覚えるドッキング古語☆
【今回の源氏物語】
「あぢきなきことに心をしめて、生ける限りこれを思ひ悩むべきなめり。まして後の世のいみじかるべき」。
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今回出てきた古文単語
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■【あぢきなき】…ク活用形容詞「あぢきなし」連体形
※【あぢきなし】…どうしようもない
■【に】…対象の格助詞
■【心をしむ】…執着する
※【染(し)む】…しみ入る。深く思い入る
■【て】…単純接続の接続助詞
■【生け】…カ行四段動詞「生く」已然形
■【る】…完了(存続)の助動詞「り」連体形
■【限り】…限り。全部
■【思ひ悩む】…思いわずらう
※【悩(なや)む】…心を痛める。苦悩する
■【べき】…当然の助動詞「べし」連体形
■【なめり】…~であるようだ
※【な】…断定の助動詞「なり」連体形撥音便の無表記
※【めり】…推定の助動詞「めり」終止形
■【まして】…ましてや。言うまでもなく
■【後の世】…来世
■【の】…主格の格助詞
■【いみじかる】…シク活用形容詞「いみじ」連体形
※【いみじ】…大変だ。ひどい
■【べき】…推量の助動詞「べし」連体形
◇ 今回は「べき」にも注意しましょ♪
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☆ 本日の古文単語「心をしむ」 ☆
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「あぢきなきことに心をしめて、生ける限りこれを思ひ悩むべきなめり。まして後の世のいみじかるべき」。
問)次の傍線部の説明として最も適当なものを1つ選べ。
1.どうしようもないことに思い悩んで
2.どうにもならないことに執着して
3.無意味なことにしみじみ思い浸って
4.無情なことに悩まされて
5.煩わしいことに深く感じ入って
古文読解のためには
次の3つの知識が必要です。
● 古文単語をきっちり覚える
● 古典文法を押さえる
● 古文常識を理解する
この【重要古語】カテゴリでは
今回出て来た『源氏物語』の一語一語を
詳しく解説しつつ、
特に今回注目したい古語をピックアップして
詳しく解説しています。
今回の古語はこれ☆
「心に染む(=深く感じ入る)」
というドッキング古語は、辞書にも連語として載ってますが
「心を―染む」
という連語はめずらしいですね。
「染む」という動詞を調べてみますと…
【しむ(染む・浸む)】
【自動詞:マ行四段活用】
①液体や色、香りなどが衣服などに浸透する。しみ込む。ひたる
②(「心に染む」の形で)情趣や人物の印象などが心に染み込む。印象深く思う。痛切に感じる
③深く思い入る。熱心になる。ひたる
【他動詞:マ行下二段活用】
①液体や色、香りなどが衣服などに浸透するようにする。しみ込ませる
②「心に染む」の形で)情趣や人物の印象などを深く心に刻み込む。印象深いものとする
③(物事に)強い関心を示す。執着する
(※『全訳古語例解辞典』小学館 より)
「心をしめて」とありますので、
他動詞・下二段活用の意味となります。
③のような意味がある、ということも、
この機会に知っておいてほしいと思います。
光源氏の「あぢきなきことに心をしめて」とは、
おそらく、藤壺宮への恋慕のことでしょう。
父、桐壺帝の妃である藤壺宮に心を寄せてしまったこと。
これは、先にも進めず…
もし、藤壺宮と男女の関係を持ってしまっていたとしたら…
なおかつ、藤壺宮を懐妊させていたとしたら――
どうにもならないこと、この上ないですよね;;
【答え】…2
「あぢきなきことに心をしめて、生ける限りこれを思ひ悩むべきなめり。まして後の世のいみじかるべき」。
● 過去記事リンク
■なめり
■まして
■いみじ
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