会社員と心理カウンセラー、二足のわらじ。りんご🍎です。
本日もお越しいただき、ありがとうございます!
りんご🍎は、
先週のブログでの告知通り、初のカウンセリングワークショップを開催しました。
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これで今年のカウンセラーとしての大仕事は終了です
12月は、怒涛の2019を振り返り、少しのんびりしながら、2020はどうしようかな?とワクワクしようと思います!
さて、今日のこころのお話は、「病みながら生きる」です。
今週は放送大学のお勉強(中高年の心理臨床)のなかから、印象に残ったことを皆さんに共有したいと思います。
人間という生物の特性の一つとして「病みながら生きる存在」ということがあげられるのではないか? と書いてありました。
野生の動物なら、大きな病気や怪我をすれば一日と生きられないだろうが、人間は、大きな病や障がいを抱えながら生きられる存在。
事例として、夏目漱石のことが書かれていましたので、今日はそのお話を。
皆様も夏目漱石の作品、「吾輩は猫である」「坊ちゃん」「こころ」などを読んだことがある方も多いのではないでしょうか?
夏目漱石は、50歳という今でいえば短い生涯で亡くなっています。胃潰瘍の大出血でなくなりました。
この50年の短い生涯の中で3度、「神経衰弱」に陥ったのだそうです。20代後半、30代後半、40代後半の3回。
この時期にそれぞれ数年に渡って幻聴や妄想など、精神病的な状態にあったようです。
たとえば、20代後半には、自分が下宿していたお寺の尼さんが自分のことを探偵していると思い込み、それで、松山に赴任し中学の教師になりました。
また、30代後半には、イギリス留学中に下宿先の姉妹に見張られたり跡をつけられたりしていると思い込み。帰国後も自分の妻や女中が小刀細工をしているとか、近所の住民が自分に嫌がらせをしているとか。
40代後半、胃潰瘍で亡くなる前には、やはり、妻が女中たちに自分の悪口を言わせるとか、電話交換手が間違い電話をかけてきて自分を馬鹿にしているとか。
いずれも、自分の悪口が聞こえるといった幻聴や、嫌がらせといった被害妄想や追跡妄想があったようです。
3回とも、同様な症状がでていたようなのですが、そこで注目すべきは漱石の対応の変化。
20代後半に症状が出たときは、松山へ”逃げて”います。
妄想から”逃れて”精神的な安定を取り戻そうとしました。
そこでは、俳句という、”脱世間的な”色合いの濃い作品を創出しました。
その10年後の30代後半に同じような病状になった際には、
京都大学の教授にならないか、という話があったそうですが、
「京都はいいところに違いなく、一体がゆったりして感じがいいだろう。だが、今の自分は、感じのいい愉快の多いところにいくよりも、感じの悪いところに居ってとことん喧嘩をしてみたい」「世の中は修羅場。その中に立って花々しく討ち死にするか敵を降参させるかどっちかにしてみたい。」といって断ったという話が残っています。
20代の時はこの病から”逃げた”が、今回は決して”退かず”、敵(病気)を打ち倒す。”戦う”。そのように考えていたようです。
そしてその頃に、「坊ちゃん」や「吾輩は猫である」という、代表的な作品を書いていますが、主人公が周囲の人から探偵され、それと闘うという姿勢が描かれています。
自分を迫害してくる(ように感じている)相手への怒りや自分を正当化したいというエネルギーを作品にも反映していたようです。
そしてそれから、10年後。死ぬ間際に同様の症状が発生した時期は、今度はそうして自分を迫害してくる(ように感じている)相手に対して”寛容”な態度に変容していきました。
武者小路実篤にあてた手紙の中で、「気にいらない事、癪に障る事や憤慨すべきことはたくさんある。それを清めることは人間にはできない。それと闘うよりもそれを”許す”ことが人間として立派なものならば、出来るだけそちらの方の修行をしたい。」と書いています。
この頃の作品は「行人」や、「こころ」。
自らの内面に神経衰弱の原因を求めて解決の困難さを認識する、という方向に変化していきました。
逃げる=>闘う=>許す
人生における3度の苦しい症状の中で、漱石は人間的成長をとげ、また、その苦しさをエネルギーに代えて創作活動に反映していたのです。
「精神を病んでなお生きる、成長する」
そんな夏目漱石の話に心が動かされました。
では、ユングの言葉を書きました。
一見、困った(精神)症状や、問題行動は、実は、次なる変容をもたらす契機でもある。
今回も私が心をうごかされたのは、共通のテーマでした。
勇気づけられました。
今日のこころのお話は以上です。
お付き合いいただきまして、ありがとうございました!
よい週末をお過ごしくださいませ。
PHOTO by maui dream
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