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肥満治療を行う外科医のブログ

健康な身体を取り戻そう!

1日にクッキー1枚やポテトチップス2枚(いずれも20キロカロリー)をつまみ喰いするだけで、1年に1キロ太るお話しをしました(その7)。

 

「常に食べる」ことはやめるべきです。

イメージ図を見てください(イメージすることは大事)。

 

インスリン肥満ホルモンです。

 

インスリンが多く出ている時間を短くすることは(黄色の部分を少なく青色の部分を多く)、ダイエットに有効で

 

(下の図を見てください)。1日3回だけ食事を摂るとします。インスリンの山が3つできます(黄色)。

食事の間はインスリンが低い時間帯を作れます(青色)。

 

 

 

しかし間食を摂り、常に食べてしまうと、どうでしょう。インスリンが多く出ることになりますね(黄色)。

抵抗性とは何かに常にさらされていることで生まれます。

肝臓・筋肉・脳でのインスリン抵抗性も高くなり、太りやすくなるわけです。また糖尿病の原因にもなります。

 

 

朝食Breakfastと英語で書きますが、fast(断食)をBreak(打ち破る)という意味です。

もし朝食を摂らなければ、黄色のインスリンの山を一つなくすことができますし、インスリンが低い時間帯青色)を長くすることができます。

 

 

 

ただし、朝食を抜く際には、注意も必要です。

「朝食を抜けば、昼食のドカ喰いが許される」と勘違いしている方もいますが、ドカ喰いすれば、

  • インスリン値は大幅にあがり、
  • その反動で血糖値が下がるので(インスリンは血糖を下げるホルモン)、
  • 夕食にはさらに食べたくなり(特に糖質)、
  • それで食べてしまうと、またインスリンが多く出されますから、

やはり太りやすくなります。ドカ喰いはやめましょう

 

 

ちなみに、イスラム教徒はラマダンの時期に、日の出から日没まで断食をします(dawn-to-dusk fasting)。しかし、イスラム教徒の国でも肥満は問題になっています。

断食の後、糖質を含む食べ物をたくさん食べるからです。当然、いっきにドカ喰いしますから、血糖値スパイクも大変なことになっていると思います。

*追記:イスラム圏でも、米国化した食事が肥満の要因の一つです。

 

ダイエットのためには、

  • 食べる間隔は、間があいた方が有利です!
  • インスリン抵抗性を断ち切る➔ インスリン値がとても低くなる時間を繰り返し作りましょう!
 

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朝食を食べる子は学力が高い」とよく言われていますが、それは相関関係であって、因果関係ではありません。

つまり、「体によい朝食を食べることができる裕福な子は、しっかりした教育も受けることができるので、学力が高い」、だけなのかもしれません。

 

それは、さておき。

残念ながら、「朝食を食べることは、ダイエットに有効である」ということは証明されていません

 

「朝食は、お腹が空いていれば食べるし、空いてないなら食べない」、という方針でよいと思っています。

 

その理由としては、

 

1.朝、血糖値は自然に上がります(暁現象)

人は明け方、ステロイドホルモンや成長ホルモンという血糖値を上げやすくするホルモンが出ます。

人は糖新生の仕組みも持っています。

 

2.朝食に加工食品を摂る人が多い

時間がなくて、加工食品(菓子パン、ジュースなど)を摂っている方も多いと思います。加工食品は糖質が多く、繊維も少ないため、太りやすくなります。

 

 

もし食べるならば、

 

1.糖質の多いものは避ける

朝は特に血糖値が上がりやすいわけです。そうなると血糖値スパイクの問題も出てきます。また、糖質はグレリンの分泌を促し、余計な食欲が出てしまいます。

 

2.脂質・たんぱく質はしっかり

食べたいなら朝食に20~40グラム程度の糖質を摂るのはOKです。

*ちなみに食パン8枚切り1枚の糖質が20グラム、おにぎり1個が40グラムです。

糖質単品だけではなく、脂質・タンパク質もしっかりとるべきです。

グレリンPYYGLP-1など、食欲に関係するホルモンを味方につけましょう。ダイエットに役立つ満腹感が得られるはずです。

 

3.水溶性食物繊維もしっかり

朝食後に血糖値が上がることで、インスリンが分泌されます。朝のインスリンは、1日のリズムを作る体内時計をリセットする役割を担っています。また水溶性食物繊維を一緒に摂ることで、食後高血糖がおさえられ、昼と夜の食後血糖値の上昇も抑えられます(セカンドミール効果)。

 

 

Unsplash

 

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実にストレスの多い社会ですね。

ストレスは、我々を肥満に導きます。

なぜなら、

  • 体重のセットポイントを上げます。
  • コルチゾール(副腎から分泌される、ストレスに対応するホルモン。長期的には肥満ホルモン)が増え、テストステロンレプチンは減ります。
  • ストレスは食欲も高めます➔ まず、幸せホルモンのセロトニンが減ります。それを増やそうと、原料になるトリプトファン(必須アミノ酸)を食事から、より多く摂取するようになります。それだけではなく、それを脳に運ぶのに必要なインスリンを要求する。すなわちインスリン分泌を促す甘いもの(糖質)も欲しくなります➔ 結果、太ります
  • 糖と脂肪からなるカロリーの高いものを食べたくなります(comfort food:気持ちよくする食べ物)。すなわち、食欲は増します。

 

 

『ストレス喰い』、やってしまいますね。

しかし、ストレス喰いを、決して楽しい行為だとは思っていません

まるで競技をしているような状態です。

マラソン中に苦しくなると、脳からエンドルフィンがでて、そのうち気持ち良くなる経験をすることがあります。ランナーズハイの状態です。

ストレス喰いも似ています。大喰いすると、いい気持ちになります。

イーターズハイ(eater’s high)とでも呼びましょうか。

 

 

ストレス解消法は人それぞれですから、好きにやってもらえばいいと思いますが、食べることによる解消は肥満になりますし、新たなストレスを生むことになるからやめましょう。

 

ストレス解消法としては、瞑想、ヨガ、マッサージ、運動もよいと言われています。

ちなみにテレビやパソコンを見てるだけではストレスは解消されません。

 

とはいえ、ストレスがあると食べたくなるのも人の性(ひとのさが)です。

 

大事なのはそんな時でも、

「食べるもの、食べる量を決める」ことです。

ダメージは最小限に留めましょう。

 

 

 

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もう今は販売中止になったポポロン

私の一番好きだったチョコレート菓子で、販売中止になるまで、何百個食べたか分かりません・・・

そう、当時はラベルなど一切見ずに、パクパク......

 

これだけポポロンの販売に貢献したのですから、その商品のラベルを使わせてもらって、

ラベルの見方注意点をまとめておきましょう。

*四角の枠に書いてあるコメントをご覧ください。

 

 

自分の口に入るものです。

商品を手にとったら、必ずラベルを見る癖をつけましょう。

そして、

体に悪いものと判断できたなら、買うのをやめましょう。

糖質制限という言葉はよく聞きますが、どうやって糖質を制限すればよいのか?と、迷っている方も多いのではないでしょうか。

 

糖質制限するには、

 

1.菓子類、ジュース類絶対やめる。これを続けるようなら、ダイエットはノーチャンスと心得るべし。

 

2.主食を少なくする、もしくは食べない

  • ごはん系、麺類(ラーメン、パスタ、そば、うどんなど)、パン類を控える
  • 糖質ゼロ麺、こんにゃく米、ブロッコリーライスなど代用品があるのでうまく利用する

3.食品のパッケージの裏に記載されている食品成分表示を見る癖をつける。

入ってる成分の量の順番に記載されています。番目までに砂糖、ブドウ糖ぶどう糖果糖液糖など)という文字が入っていたら、購入をためらってください。できるだけ買わない方がベターです。

 

4.最初は,

糖質量ハンドブックや、

 

 

ネットでチェックしてみてください

https://locabo.net/dictionary/

 

自分の生活スタイルに合わせてOK食材NG食材をざっくりと理解して、日々、良いものを積極的に摂り、悪いものには消極的になっていきましょう。

続けられることが大事です。

 

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を摂ると、中脳からドーパミン”が出て、(側坐核)の報酬系を活性化し、私達に快感を与えてくれます。

 

コカインやモルヒネなどの麻薬ニコチンアルコールも同じように作用しています。

 

当初は少量で満足していたものが、徐々に効かなくなり、もっと欲しがるようになり、やがて依存に陥り、中毒になります。どうりで我々は糖を摂ることに惹かれるわけです。

 

また甘味は、脳内麻薬と呼ばれる“エンドルフィン”を出させます。

エンドルフィンは鎮痛・抗不安作用があり、幸せで、ゆったりとした気持ちにさせてくれます。そういう意味では、甘いものは疲れを癒してくれます。

 

しかし、その効果はせいぜい30分です。

その後は疲労感が増し、さらに甘いものを欲しがることになるでしょう。

糖質は本質的に癒してはくれないわけです。

 

中毒から離脱するには、やはり糖を控えるのが(糖質制限)一番です。

 

Pixabay

 

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有名な糖質制限としては、

江部康二先生や山田悟先生の提唱する方法がありますが、

  • どの程度体重を落とす必要があるのか
  • 糖尿病の程度

によって、その制限の強度を変えてもOKです。

 

手順については、シンプルにいえば、

  1. 主食を摂るなら少な目にしてみる
  2. 次に、主食を抜くと決める(まずは夕食から)
  3. そして、1日の糖質量を落とすように、意識して食べるようにしていく

ということになります。

 

 

肥満な人の多くは、糖依存症になっていますから、急激な中断は禁断症状を起こしかねません(頭痛、意欲の低下、満足感・集中力の欠如、甘いものへの渇望、幸福感の低下)。

 

まずは、プチ糖質制限ロカボから始めてみるといいですね。

 

*ロカボ:low carbohydrate低炭水化物の略

注意:糖尿病治療中の方は、お薬を使用している場合、血糖値が下がり過ぎてしまうリスクがありますので、主治医と相談の上、糖質制限は行ってください。

 

① ダイエットにも、糖尿病にも効果が出ます!

 

② シンプルで、分かりやすい!

  • ダイエット法として、カロリー制限をやろうとしても、1日どの程度カロリーを摂ったのかを計算するのは困難ですし、同じカロリーだからといって、何を食べてもいいわけでもありません。体の中での反応は、全然違うことを認識すべきです。太りやすいカロリーは糖質です(その23)。
  • 糖質制限なら、糖質だけ計算すればよいのでシンプル。なんなら、計算をしなくても、今より糖質を控えてみることから始めてもOKです。ダイエットは引き算です。今日から始められます。

 

③ 続けやすい!

  • 糖質さえ控えれば、たんぱく質や脂質は満腹感が得られるまで食べてもOKです糖質が多いと一時的には満足しますが、満腹感は得られず、すぐに空腹感が襲ってきます。その点、たんぱく質、脂質はインクレチンを出してくれますから、適切に満腹感を与えてくれます(その17)。
  • 『続けられる』ということがダイエットを成功させるには大事だと言われています。
 
illustAC

 

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注:1型糖尿病の話しではありません。2型糖尿病のお話しです。

 

糖尿病は、インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖という糖(血糖)が増えてしまう病気です。糖を細胞内にうまく取り込めず、エネルギー源として使えない状態ともいえます。

 

血糖値が慢性的に高いと、糖化・酸化・炎症を起こしますから、万病の元になります。

  • 老化(シワ、クスミ、シミ)
  • 腎不全➔ 透析
  • 網膜症➔ 失明
  • 心筋梗塞、脳卒中
  • がん(大腸がん、膵臓がん、肝臓がん、腎臓がん、胃がんなど)
  • 認知症(アルツハイマー)

誰でもそのような事態になるのは嫌だと思っているはずです。

しかし糖尿病の質(たち)が悪いのは、今すぐに何か支障がでるわけではなく、

思いもよらぬタイミングで症状や病気が発症し、その時後悔しても時すでに遅し、ということです。

 

血糖値が高くインスリン抵抗性があると肥満になりやすくなりますから、

肥満と2型糖尿病は深い関係にあります。

 

世界では肥満2型糖尿病が増えていますし、日本でも世界のトレンドを追うように増えています。

私は、自分ではどうにもならなくて困っている肥満2型糖尿病の患者さんを、手術で治してあげたいと思っていますが、手術の効果が十分に発揮できないほど病気が進んだ患者さんにも遭遇します。

 

2型糖尿病の治療薬はめざましい進歩があり、その恩恵を受けている患者さんも多いと思いますが、

そもそも論で言えば、その治療のためには、

 

「摂り過ぎている糖を控えるのが一番」です。

 

その上で、内科の先生に薬を上手く使ってもらうというのがスマートなやり方ではないでしょうか。

 

後悔先に立たず

糖尿病は、悪くなる前に、なんとかしなければいけない病気です。

 

Pixabay

 

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人工甘味料を添加した炭酸飲料ダイエットソーダといいます。

ダイエットコーラもその一つです。

 

 

トランプ元大統領は1日に12本(約500ml)もダイエットコーラを飲むと、ニュースで取り上げられたことがありました(それでもゼロカロリーです!?)。

 

人工甘味料安価大量生産ができますから、食品メーカーにとっては大変魅力的で、今では多くの商品に入っています。

また人工甘味料は砂糖の何百倍も甘く、中には13,000倍甘いと言われるネオテームも開発されています(そもそも、そんなに甘くしてどこに行く、と思ってしまいます。きっと商品を売るためなんでしょうけど・・・)。

 

人工甘味料が体にとって、善いものなのか、悪いものなのか、まだ決定的な答えは出ていませんが、個人的には、『ダイエットしたいなら、摂るべきものではない』と考えています。

 

私の肥満症治療外来にもダイエットソーダを愛飲する方が何人もいますが、肥満・糖尿病外科手術(減量・代謝改善手術)後であるにも関わらず、ほぼ皆さん、体重コントロールに苦労しています。それでダイエットに成功したという話は聞いたことがありません

 

その他、人工甘味料を支持しない根拠としては、

  • 糖類を人工甘味料に替えても、減量や血糖コントロールに有用とする科学的根拠は十分ではないです➔ ダイエットに役立つわけではない
  • たしかに、血糖値は上げませんが、肥満ホルモンのインスリンを上げる可能性があります。
  • 甘味を感じるのは舌だけではなく、胃や腸、膵臓も感じとっています。たとえば胃にある甘味レセプターが甘味を感知すると、空腹ホルモンのグレリンが出ます。
  • カロリーのない人工甘味料では、脳は十分な報酬にならないと考え、より食欲が増す可能性がある。
  • 人工甘味料の強い甘味に慣れると、甘味に対する感覚が鈍り、より甘い糖質を摂取するようになる
  • 甘いものは、糖質であれ、人工甘味料であれ、脳内報酬系のドーパミン脳内麻薬のエンドルフィンを出し、我々を気持ちよくしてくれます。まるで麻薬と似ていますね。しかし徐々に効かなくなりますから、もっと欲しがることになります(習慣化➔乱用➔依存➔中毒)。また、甘いものを減らせば、禁断症状が出ますからイライラしたり、頭痛などの身体症状がでます。
  • うつや認知症との関連を疑う報告もあります。
 
ラベルを見る癖をつけましょう。商品を選ぶのは我々です
 
ダイエットしたいなら、日中の飲み物の基本は、
お茶になさい、と肥満外来ではお伝えしています。
 

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