OHMSS 50th !!

これまでも!これからも!
1969年 監督/ ピーター・ハント
1969年12月公開の007シリーズ第6作。この冬2019年12月で50周年を迎えたこの作品は、ボクが007シリーズのベストに挙げる作品であると同時に、世界でいちばん好きな映画(北野武監督作品『ソナチネ』と並んで)でもあります!!
 
2018年12月にブログを開設した際に、第一回投稿として本作『女王陛下の007』のレビューをアップしておりますので、今回は50周年記念特別編としてお読みいただければ幸いです!
 
"大好き"だけではそろそろ説明がつかないこの作品、"何故こんなにも惹きつけるのか"が不思議に思えて来たので、ボクなりの考察で作品魅力を紐解いてみたいと思います!!
 
50年経っても褪せないその魅力はなに?
観る者を引き摺り込む魔性とは?
『女王陛下の007』は一体ナニモノなのか?
 
 
【魅力考察】
 
◾︎ピーター・ハント監督
もう絶対この人!主犯はこの人です!いつもお洒落で上品で、品行方正な人格者!そんなピーター・ハントが指揮するんですもん、その画面から滲み出る品の良さ、豪華さは美術、衣装、音楽、そしてキャスティング含め、往年の絢爛豪華なハリウッド映画を思わせるほど!
そして、シリーズ編集者として磨き上げたセンスで怒涛のアクションシーンを炸裂させているのだから堪らない!数え上げたらきりがない珠玉のカットを選出し、編集してみました!ピーター・ハント監督が創り出したその魅惑的なカットの数々をまずは是非ご覧ください!!
 
衣装
とにかくオシャレ!ハント監督は"若い美男美女に僕のような格好をさせた"と言ってます!レーゼンビー演じるボンドは歴代最高のオシャレボンド!
 
ハントパープル
高級感醸し出す紫色を基調に画作りがされており、各所でその色を見かける事が出来ます。この色彩感覚もまた本作の特色です!
 
至る所に花が飾られてます!ドラコの一輪挿し、闘牛場、結婚式場、トレーシーの花占い含め画面を華やかに彩っています!
 
◾︎ジョン・バリーのスコア
毎回素晴らしい楽曲を提供しているジョン・バリーですが、今回は一際格調高いスコアが目立ちます!中でも自殺未遂、カジノで無謀な賭けをする傷付いた破天荒者トレーシーの心情を描いたこのスコアが絶品です!
トレーシーを想いながら聴き返すとなんとも切ないです
 
◾︎ジョージ・レーゼンビー
ボンド俳優人気投票ランキングでは必ず最下位のボンド俳優です!しかしボクにとっては常にランキング堂々1位(ティモシー・ダルトンと並んでですが)です!本作でレーゼンビーならではと思えるシーンが3つあります。
 
トレーシーとのデートシークエンス
2人のおしゃれデートだけで構成し、ルイ・アームストロングWe Have All The Time in The Worldが更なる深みを増したミュージックビデオ風シークエンス。
 
ボブスレーに引き摺られるボンド
しがみついて離れない!先代のショーン・コネリーだとボブスレーに引き摺られる姿が想像出来ないんですよね…。

ボンドとトレーシーの結婚式
ボンドは引退してしまうのか?007シリーズは終わってしまうのか?アットホームで幸せオーラ全開!
これらのシーンに説得力をもたらしたレーゼンビーの存在は不可欠であり、且つ完璧な仕事をしたと言っていいはず!
 
◾︎テリー・サバラス
犯罪組織スペクターの首領ブロフェルド役が、なぜテリー・サバラスなのか?本作が俳優デビューとなるレーゼンビーには荷が重すぎると思うんだけど、これはもしかすると計算づく…?テリー・サバラスの威圧感は誰がボンドを演じても絶対に飲みこまれるレベル。しかし演技経験の無いど素人俳優が立ち向かうとなればスリルの増幅効果があるか!ネガティヴ要素を逆手に取ったキャスティング?
この人のタバコの持ち方昔真似しました
 
◾︎要塞潜入
紋章院学者になりすましたボンドが非武装、孤立無援で挑む潜入捜査がなんと45分に渡り描かれます!全体の3割をも占めるのだからサスペンス性はシリーズトップレベル!実はここが作品の要であり、作品のカラーを決定づけているのではないかと思えるほどです!
ハーレム歓待!でもボクはお堅い学者…ガマンガマン
きちんと仕事します
でも夜は抜け出して女の子の部屋に忍び込みます(任務)
 
◾︎囲まれたボンド
アレルギー治療患者ルビーの部屋に潜り込んだボンドが、催眠療法を目の当たりにする。治療が始まるとカメラは部屋の360度を映し出し、ソファ、テーブルなどあらゆる家具が怪しい光に照らされ、まるで息を吹き返した悪魔の様に見える戦慄のシーン!そして深淵に落ちていくルビーを映し出す事で、ボンドは四方を敵に囲まれており、完全に孤立している状況である事を示す!ここにピーター・ハント監督の凄みがある!
潜在意識に刷り込み、心に響くシーンがたくさんある作品です!だから見飽きない!都度飲み込まれてしまう完璧な世界観。原作に忠実なサスペンス性と、そう簡単に運ばない物事にハラハラするこの144分は、主人公ジェームズ・ボンドになったも同然で楽しめる至福の144分でもあります!
 
いやあ深いなあ。深すぎて簡単には掘り下げられませんでした。作品の魅力を伝えられる様にもっと観なくちゃと思うけどもちろん義務感ゼロ。いくらでも観れますよ!これからも末永き付き合いをどうぞよろしくお願いします!!
 
Dear  OHMSS
『女王陛下の007 』50周年おめでとう!!
 
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