今日の一曲!大森靖子「アメーバの恋」
今回の「今日の一曲!」は、大森靖子の「アメーバの恋」(2018)です。アルバム『クソカワPARTY』収録曲。
今日、2019年12月2日に本曲をピックアップする背景には「ある理由」が存在するのですが、大森さんとは関係のない話であるどころか音楽ネタですらないので、そちらはレビューの後に本題より長い余談として掲載します。
当ブログ上で大森靖子を単独で扱うのは、「夢幻クライマックス かもめ教室編」(2017)を紹介して以来二度目です。同記事の中で僕は大森さんの音楽ないしパーソナリティに対して、「下手なことを書けないからというある種の委縮」を覚えている旨を書きました。そんなおっかなびっくりで認めた結果の産物であるにも拘らず、意外とコンスタントにアクセスがあって少しだけそわそわしています。妙な決め付けになっていなければいいがと独り言ちますが、二度目ともなると気にしても仕方がないといった気持ちのほうが勝つため、前置きはそこそこにして本題に入るとしましょう。
現状では最新のスタジオアルバムとなる『クソカワPARTY』については、上掲記事にも名前だけは出しています。同盤は幕開けから幕引きまで名曲しか入っていない傑作だと評しており、お気に入りの楽曲も多いです。とりわけ好みのトップスリーを挙げろと言われたら、01.「死神」、04.「GIRL'S GIRL」、06.「アメーバの恋」が候補となるので、嬉々としてレビューが出来ます。そんな06.の魅力を端的に表すならば、「コンパクトな仕上がりなのに意外性に富んでいる」です。この点を意識しながら、通時的にツボを挙げていきます。
第一にイントロの緊迫感のあるストリングス、まずこの進行が個人的には意外だと思いました。とりわけ初聴時には、脳内で予想していた進行の要点はしっかりと抑えつつも、迂回するような展開を見せているなと惹き付けられた次第です。何度も繰り返し聴いているせいで、今は最早このラインこそが自然との理解に至っていることに加えて、楽典的且つ専門的な言及でレビューが難解になってしまうのも避けたいので、敢えて感覚に委ねた表現にとどめておきます。
第二の意外性はサビメロに関してで、厳密にはA/Bメロから続く流れに対する観点です。本曲の旋律は何処を切り取っても歌謡曲的で、ヒリヒリとした質感を携えたAメロによる歌詞世界への強力な牽引と、センチメンタルな趣が全開になるBメロでの華麗な転身は、往年の風格すら感じさせます。この流れを継いだサビのメロディもまた、更に濃くなった激情の色合いが素敵だと評せる王道のラインですが、"刺激的敵敵敵敵敵敵敵敵"のセクションでは意表を突かれました。てっきり"騒がしい魅力じゃないのがまた"の後は、もう何小節か挟んで最終的に前出部をクロージングに据えることになると予想していたため、一点目とは逆に最短距離を強引に突破したかのような裏道歩きの旋律に、一歩遅れて感動が去来したのです。
第三に指摘したいのは2番以降の特徴的な楽想で、わかりやすく【A → B → サビ】と来た1番とは異なり、2番は【B → A】と入れ替わって登場するので、同じメロディでも新鮮に聴こえます。2番はそのままサビに入らないのも好印象で、代わりに切なさを雄弁に語るギターソロがピークを担っている点が非常に格好良いです。「歌謡曲的」や「往年の風格」といった安牌を切るかの如き形容はここで裏切られ、攻めの姿勢が顕となるのは流石大森さんだと絶賛します。これだけはっとさせられるアイデアが鏤められていながら、曲長は約3分半とコンパクトなのが技巧的であることの証左で、プログレッシブな展開が映えるのは当然長尺ナンバーだといった認識の隙間を、本曲は見事に衝いてくれました。
――――
ここから本題より遥かに長い余談です。一時期Twitterのトレンドにも入っていたようなのでご存知の方も多いかと思いますが、本日の22時をもってPC版のアメーバピグが10年の歴史に幕を下ろしました。当ブログは2016年に全体をリニューアルしており、基本的に音楽ネタ以外の投稿を全て非表示にしているため、ピグへの言及は随分唐突に映るかもしれません。しかし、ブログを始めた頃の2010年春~2011年夏までと、長期の休止を挟んでブログを再開させた2016年夏~2017年夏までの都合2年間は、ピグの世界を大いに満喫していた時期があり、嘗ては関連記事も多くアップしていたのです。ここまで書けばお察しの通り、今回の「今日の一曲!」に「アメーバの恋」を選んだ理由は、僕のアメーバピグに対する思い入れを恋に擬えた結果となります。ダシに使うような選曲の経緯で恐縮ですが、同曲が大好きなのもまた真実ゆえご容赦ください。
タイムリーなネタで語りますと、ゲーム依存症についての報道が記憶に新しい中で「課金20万」というワードが槍玉に挙げられていましたが、その是非というか論点か否かの議論は扨措いて単純に事実を述べるのであれば、僕はピグに対してそれくらいはリアルマネーを支払っています。遡って確認すればより正確な記録を提示出来るものの、総額は20万~30万の範囲に収まるはずです。その主な使い道はマイスペース(ピグの場合はお部屋やお外のこと)の拡張と時短のための消費アイテムの購入で、所謂ガチャ方式で提供されるアイテムにはさして金を吸い取られていないので、支払い額には納得していますし後悔もありません。
初めの1年間は本来の楽しみ方になるのであろう、他者とのコミュニケーションに重きを置いていて、ネット上での良き出逢いも多くありましたし、リアルに交友関係のある人とピグ上でも会うといった、対人の面白さを魅力的に感じていました。一方、出戻ってからの1年間はどちらかと言えばクローズドな楽しみ方をしていて、いかにマイスペースを豪華にするかを至上命題とする、箱庭ゲーム的なやりこみに終始していた次第です。ということで、サービス終了を惜しむ気持ちも込めて、以下にはアメーバピグと後続の5つのゲーム(ライフ・アイランド・カフェ・ワールド・ブレイブ)に於ける僕のやりこみの成果を、マイスペースの全体像をスクリーンショットする形でお届けします。アイランドのみ都合上背景が夜のものがありますが、他は2019年12月1日午前の時点でのSSです。ある意味で「豪華にする」は婉曲表現とも言える、過度な増築の極みをお楽しみいただければと思います。
1. アメーバピグ(お部屋・その①)
テーマは「水棲」です。ピグ内のつりゲームで獲得したアイテムを中心に構築されています。ピグユーザーであればこの1枚を見ただけでも、僕がもようがえでどれだけぶっ飛んだ遊び方をしていたかがおわかりになることでしょう。全景がこの縮尺になってしまう時点で、少なくとも普通ではないのです。ピンと来ない方のために一応解説しますと、デフォルトで与えられる部屋の大きさ(床面積)はもっと狭いもので、上掲画像はマネーの力で最大まで床面積を拡張しています。これを前提として、上へ上へとアイテムを積み重ねていき、本来想定されている天井のライン(トロフィーや盾が置いてある部分)を優に超えて、部屋と呼ぶのもおかしい6階建ての構造物になっているのです。
6Fに僕のピグが居るのが証拠となりますが、きちんと上まで登れることを意識してアイテムを配置しています。2Fより上を結んでいる棒状階段の作成は、もようがえを極めたいユーザーには初歩的なテクニックですが、1Fから2Fに上がるおさかなキューブ階段は、自分でもどう組んだのか再現が難しいほどに複雑を極めた配置になっており、我ながら傑作のひとつであるとの認識です。笑
2. アメーバピグ(お部屋・その②)
テーマは「オリエンタル」です。一部中華風のアイテムがあるのでざっくり東洋としましたが、基本的には和を感じさせるアイテムで構築されています。ちなみに、お部屋そのものを増やすのにもマネーの力が働いていますし、新部屋は当然デフォルトの床面積からのスタートとなるため、更にマネーを注ぎ込んで拡張している次第です。
3. アメーバピグ(お部屋・その③)
テーマは「ミュージック&ラグジュアリー」です。音楽系アイテムとピグ内のカジノゲームで獲得したアイテムを中心に構築されています。個人的な嗜好に最も合致している、お気に入りの一室。
4. アメーバピグ(お部屋・その④)
テーマは「キャラクター」です。ぬいぐるみ系アイテム、ピグのキャラを含む版権アイテム、きせかえ用に保存したマネキンのうち突飛なコーディネートのものを中心として、全体的にファンシーに仕上げています。2F左にあるピグキャラのフィギュアは確かコンプリート済だと記憶していますが(アヌビスのみ右に配置)、こればかりは「さして」ではなく「だいぶ」ガチャにマネーを吸い取られましたね。吸い取られ具合では『カードキャプターさくら クリアカード編』とのコラボアイテムも同じくらいでしたが、個人的な趣味に合致していたので是非もなしです。この時だけ再度出戻りましたからね。笑
5. アメーバピグ(お外)
テーマは特にありません。というのも、余ったアイテムとお外専用アイテムの置き場と化していたため、統一感も何もないのです。ただ、ピグ内のにゃんきゃっちで獲得したアイテムが多めなので、強いて言えばテーマは「猫」でしょうか。ちなみに、お部屋とお外はそれぞれ20まで数を増やせるらしいですが、そのアナウンスがあったのが2018年のことで、その頃には既に二度目のピグ引退を果たしていたため、お部屋4・お外1でとどまっています。
6. ピグライフ(表庭)
上に増築し過ぎたせいで、最大限画面を引いても全景を収められませんでした。この尋常ではない配置アイテム数だけでもかなり重いのに、工作の小包を利用して動物を小屋外に出す裏技というかバグで常に動物たちがうろちょろしているせいで(地上の中央付近にあるパーティテーブル上の通路を往来する仕掛け)、PCに多大な負荷を強いる凶悪な庭です。交流がキーとなるゲームにあるまじきもようがえの例で、自分も含めて多くの方は低画質にしたうえで画面を拡大して描画範囲を狭め、水やりや食事などのやるべきことだけをやってさっさと去っていくのがルーチンだったでしょうね。笑
遠巻きで何が何やらかもしれませんが、最上階まで登れるのは当然のこととして、入口付近の上部にあるフェアリーテール的な世界観のエリアや、家から横に延びている通路の先にあるラプンツェルの塔など、細かいところにもきちんと進入出来るようになっています。ライフで特に顕著な問題として、畑や木々といったプレイヤーがアクションを起こすマス目は、その上部も含めてアイテムが一切配置不能になる仕様だったので、それによって生じたデッドスペースをいかに上手く回避しながら増築するかに腕が鳴りました。画像から判断すると一見この制約を受けていないように映るかもしれませんが、その実考え抜いてアイテムを積み重ねています。表庭で個人的に気に入っている部分は、画面左にある畑の上部で展開されている、見た目お嬢様キャラ達(詳しい設定は失念)によるキャッキャウフフ空間です。お庭の名前は「The Garden of Everything」に設定していて、その元ネタは坂本真綾 feat. Steve Conteの「THE GARDEN OF EVERYTHING ~電気ロケットに君をつれて~」(2003)となります。
7. ピグライフ(裏庭)
表よりはすっきりとしているものの、常軌を逸した重さであることには変わりない低スぺックに厳しい裏庭です。収穫の対象となる植物をもようがえアイテム的に見せるセンスが問われる点は、表庭では実行しにくい要素だった(畑の枠を潰すのは痛い)のでなかなかに楽しかったと言えます。僕は回廊状に植えることを基本として、隙間を白い板タイルと水色のタイルで埋めて水路を表現し、中央に水辺らしいアイテムを置いてダメ押し、加えて適当な位置にスプリンクラーを配置することで、放置していても瑞々しくあり続ける庭のビジョンを描いていました。
8. ピグアイランド
過剰増築具合で言えば、全ゲームの中で最もやり過ぎているのがアイランドです。ゲームの背景すら突き破る様は宛らバベルの塔。僕は新規イベントが追加されなくなってから(事実上のサ終以降に)始めたので、基本的なアイテムの量産以外にすることがなく、その範囲で何か宗教的な構造物を作ってやろうとしたのが設計のコンセプトです。島の名前は「デカルチャーアイランド」で、これは当時『マクロスΔ』を視聴中であったことから来ています。マクロスと言えば巨大宇宙戦艦なので、大きなものを作りたい欲求に駆られていたのかもしれません。笑
背景突き抜けを見せたかったからとはいえ、1枚目の画像は流石に遠景過ぎたので、完全サ終の直前にもう少しアップにした全景をスクショしました。ピグのお部屋・その①のところで、おさかなキューブ階段を「傑作のひとつ」と自画自賛しましたが、それに勝るとも劣らないと手前味噌な高評価を下したいのが、このアイランドの石階段です。階段そのものは棒状と同じ原理ゆえ初歩的なテクニックで作れますが(X状のやつのみ応用的)、大樹の周りに沿うように配置した通路も含めて、最上階までの移動が気持ち好いルートになっている点を気に入っています。一応全ゲームとも最上階までの移動を動画でキャプチャーしてあるものの、編集が面倒臭いんですよね。
9. ピグカフェ
カフェもアイランドと同じく事実上のサ終後から始めたため、基本的なアイテムしか所持していません。アイランドほどアイテム数も多くなかったので、モノクロ回廊と謎の草栽培スペース(意味深)だけ上に作って、僕にしてはコンパクトに纏めています。カフェの名前は「ELECTRIC CAFE」で、由来はKraftwerkのアルバム『Electric Café』(1986) です。
10. ピグワールド
他のゲームと違って唯一上下の概念がないため、ひたすら左右に長くなっています。これも遠景だとごちゃっとした印象ですが、拡大して細部を見れば街としての体裁が感じられるはずです。街の名前は「WORLD CELL」で、平沢進の同名楽曲(1998)から拝借しています。
【追記:2019.12.10】
インが久々過ぎて素で忘れていたのですが、ワールドのマイスペースにははじまりの街の他に、海の街とニュータウンがあったことを今更思い出しました。このうち前者については、住民数を稼ぐためだけに住宅を碁盤目状に配して極細の道路を縦横に敷設しワールドコインの回収効率が良いお店や公共施設のみ設置するという、システマティックな街づくりをしていた覚えがあります。一方の後者に関しては、メインの街と同等にきちんと作り込んでいたはずなので、スクショのし忘れは普通にショックです。そこで過去の画像フォルダを漁ったところ、一枚だけゲーム内カメラでニュータウンの一部を映したものを発見出来たので埋め込みます。
この写真を見て一気に記憶が蘇り、鉄道の通る街を基本にデザインしていたことと、山勝ちだった北には怪しい洋館を軸としたホラーエリアを拵えていたことは、少なくとも間違いではなくなりました。全スペースを開拓して完全な更地にした後に、駅舎と鉄道網で街の大まかな全景を定め、それに沿うように住宅や施設を建設していたのです。
【追記ここまで】
11. ピグブレイブ
上下の概念はあるものの、階段を作ったり上階を拵えたりはおそらく出来なかったはずなので、ごくシンプルな冒険者ギルド風の部屋です。ブレイブに関しては、所持キャラのスクショを撮っている時のほうが思い出深かったと言えます。
以上、都合6ゲームのマイスペースギャラリーでした。一時期とはいえ、ピグ世界での出来事も確かな思い出のひとつです。
今日、2019年12月2日に本曲をピックアップする背景には「ある理由」が存在するのですが、大森さんとは関係のない話であるどころか音楽ネタですらないので、そちらはレビューの後に本題より長い余談として掲載します。
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当ブログ上で大森靖子を単独で扱うのは、「夢幻クライマックス かもめ教室編」(2017)を紹介して以来二度目です。同記事の中で僕は大森さんの音楽ないしパーソナリティに対して、「下手なことを書けないからというある種の委縮」を覚えている旨を書きました。そんなおっかなびっくりで認めた結果の産物であるにも拘らず、意外とコンスタントにアクセスがあって少しだけそわそわしています。妙な決め付けになっていなければいいがと独り言ちますが、二度目ともなると気にしても仕方がないといった気持ちのほうが勝つため、前置きはそこそこにして本題に入るとしましょう。
現状では最新のスタジオアルバムとなる『クソカワPARTY』については、上掲記事にも名前だけは出しています。同盤は幕開けから幕引きまで名曲しか入っていない傑作だと評しており、お気に入りの楽曲も多いです。とりわけ好みのトップスリーを挙げろと言われたら、01.「死神」、04.「GIRL'S GIRL」、06.「アメーバの恋」が候補となるので、嬉々としてレビューが出来ます。そんな06.の魅力を端的に表すならば、「コンパクトな仕上がりなのに意外性に富んでいる」です。この点を意識しながら、通時的にツボを挙げていきます。
第一にイントロの緊迫感のあるストリングス、まずこの進行が個人的には意外だと思いました。とりわけ初聴時には、脳内で予想していた進行の要点はしっかりと抑えつつも、迂回するような展開を見せているなと惹き付けられた次第です。何度も繰り返し聴いているせいで、今は最早このラインこそが自然との理解に至っていることに加えて、楽典的且つ専門的な言及でレビューが難解になってしまうのも避けたいので、敢えて感覚に委ねた表現にとどめておきます。
第二の意外性はサビメロに関してで、厳密にはA/Bメロから続く流れに対する観点です。本曲の旋律は何処を切り取っても歌謡曲的で、ヒリヒリとした質感を携えたAメロによる歌詞世界への強力な牽引と、センチメンタルな趣が全開になるBメロでの華麗な転身は、往年の風格すら感じさせます。この流れを継いだサビのメロディもまた、更に濃くなった激情の色合いが素敵だと評せる王道のラインですが、"刺激的敵敵敵敵敵敵敵敵"のセクションでは意表を突かれました。てっきり"騒がしい魅力じゃないのがまた"の後は、もう何小節か挟んで最終的に前出部をクロージングに据えることになると予想していたため、一点目とは逆に最短距離を強引に突破したかのような裏道歩きの旋律に、一歩遅れて感動が去来したのです。
第三に指摘したいのは2番以降の特徴的な楽想で、わかりやすく【A → B → サビ】と来た1番とは異なり、2番は【B → A】と入れ替わって登場するので、同じメロディでも新鮮に聴こえます。2番はそのままサビに入らないのも好印象で、代わりに切なさを雄弁に語るギターソロがピークを担っている点が非常に格好良いです。「歌謡曲的」や「往年の風格」といった安牌を切るかの如き形容はここで裏切られ、攻めの姿勢が顕となるのは流石大森さんだと絶賛します。これだけはっとさせられるアイデアが鏤められていながら、曲長は約3分半とコンパクトなのが技巧的であることの証左で、プログレッシブな展開が映えるのは当然長尺ナンバーだといった認識の隙間を、本曲は見事に衝いてくれました。
――――
ここから本題より遥かに長い余談です。一時期Twitterのトレンドにも入っていたようなのでご存知の方も多いかと思いますが、本日の22時をもってPC版のアメーバピグが10年の歴史に幕を下ろしました。当ブログは2016年に全体をリニューアルしており、基本的に音楽ネタ以外の投稿を全て非表示にしているため、ピグへの言及は随分唐突に映るかもしれません。しかし、ブログを始めた頃の2010年春~2011年夏までと、長期の休止を挟んでブログを再開させた2016年夏~2017年夏までの都合2年間は、ピグの世界を大いに満喫していた時期があり、嘗ては関連記事も多くアップしていたのです。ここまで書けばお察しの通り、今回の「今日の一曲!」に「アメーバの恋」を選んだ理由は、僕のアメーバピグに対する思い入れを恋に擬えた結果となります。ダシに使うような選曲の経緯で恐縮ですが、同曲が大好きなのもまた真実ゆえご容赦ください。
タイムリーなネタで語りますと、ゲーム依存症についての報道が記憶に新しい中で「課金20万」というワードが槍玉に挙げられていましたが、その是非というか論点か否かの議論は扨措いて単純に事実を述べるのであれば、僕はピグに対してそれくらいはリアルマネーを支払っています。遡って確認すればより正確な記録を提示出来るものの、総額は20万~30万の範囲に収まるはずです。その主な使い道はマイスペース(ピグの場合はお部屋やお外のこと)の拡張と時短のための消費アイテムの購入で、所謂ガチャ方式で提供されるアイテムにはさして金を吸い取られていないので、支払い額には納得していますし後悔もありません。
初めの1年間は本来の楽しみ方になるのであろう、他者とのコミュニケーションに重きを置いていて、ネット上での良き出逢いも多くありましたし、リアルに交友関係のある人とピグ上でも会うといった、対人の面白さを魅力的に感じていました。一方、出戻ってからの1年間はどちらかと言えばクローズドな楽しみ方をしていて、いかにマイスペースを豪華にするかを至上命題とする、箱庭ゲーム的なやりこみに終始していた次第です。ということで、サービス終了を惜しむ気持ちも込めて、以下にはアメーバピグと後続の5つのゲーム(ライフ・アイランド・カフェ・ワールド・ブレイブ)に於ける僕のやりこみの成果を、マイスペースの全体像をスクリーンショットする形でお届けします。アイランドのみ都合上背景が夜のものがありますが、他は2019年12月1日午前の時点でのSSです。ある意味で「豪華にする」は婉曲表現とも言える、過度な増築の極みをお楽しみいただければと思います。
1. アメーバピグ(お部屋・その①)
テーマは「水棲」です。ピグ内のつりゲームで獲得したアイテムを中心に構築されています。ピグユーザーであればこの1枚を見ただけでも、僕がもようがえでどれだけぶっ飛んだ遊び方をしていたかがおわかりになることでしょう。全景がこの縮尺になってしまう時点で、少なくとも普通ではないのです。ピンと来ない方のために一応解説しますと、デフォルトで与えられる部屋の大きさ(床面積)はもっと狭いもので、上掲画像はマネーの力で最大まで床面積を拡張しています。これを前提として、上へ上へとアイテムを積み重ねていき、本来想定されている天井のライン(トロフィーや盾が置いてある部分)を優に超えて、部屋と呼ぶのもおかしい6階建ての構造物になっているのです。
6Fに僕のピグが居るのが証拠となりますが、きちんと上まで登れることを意識してアイテムを配置しています。2Fより上を結んでいる棒状階段の作成は、もようがえを極めたいユーザーには初歩的なテクニックですが、1Fから2Fに上がるおさかなキューブ階段は、自分でもどう組んだのか再現が難しいほどに複雑を極めた配置になっており、我ながら傑作のひとつであるとの認識です。笑
2. アメーバピグ(お部屋・その②)
テーマは「オリエンタル」です。一部中華風のアイテムがあるのでざっくり東洋としましたが、基本的には和を感じさせるアイテムで構築されています。ちなみに、お部屋そのものを増やすのにもマネーの力が働いていますし、新部屋は当然デフォルトの床面積からのスタートとなるため、更にマネーを注ぎ込んで拡張している次第です。
3. アメーバピグ(お部屋・その③)
テーマは「ミュージック&ラグジュアリー」です。音楽系アイテムとピグ内のカジノゲームで獲得したアイテムを中心に構築されています。個人的な嗜好に最も合致している、お気に入りの一室。
4. アメーバピグ(お部屋・その④)
テーマは「キャラクター」です。ぬいぐるみ系アイテム、ピグのキャラを含む版権アイテム、きせかえ用に保存したマネキンのうち突飛なコーディネートのものを中心として、全体的にファンシーに仕上げています。2F左にあるピグキャラのフィギュアは確かコンプリート済だと記憶していますが(アヌビスのみ右に配置)、こればかりは「さして」ではなく「だいぶ」ガチャにマネーを吸い取られましたね。吸い取られ具合では『カードキャプターさくら クリアカード編』とのコラボアイテムも同じくらいでしたが、個人的な趣味に合致していたので是非もなしです。この時だけ再度出戻りましたからね。笑
5. アメーバピグ(お外)
テーマは特にありません。というのも、余ったアイテムとお外専用アイテムの置き場と化していたため、統一感も何もないのです。ただ、ピグ内のにゃんきゃっちで獲得したアイテムが多めなので、強いて言えばテーマは「猫」でしょうか。ちなみに、お部屋とお外はそれぞれ20まで数を増やせるらしいですが、そのアナウンスがあったのが2018年のことで、その頃には既に二度目のピグ引退を果たしていたため、お部屋4・お外1でとどまっています。
6. ピグライフ(表庭)
上に増築し過ぎたせいで、最大限画面を引いても全景を収められませんでした。この尋常ではない配置アイテム数だけでもかなり重いのに、工作の小包を利用して動物を小屋外に出す裏技というかバグで常に動物たちがうろちょろしているせいで(地上の中央付近にあるパーティテーブル上の通路を往来する仕掛け)、PCに多大な負荷を強いる凶悪な庭です。交流がキーとなるゲームにあるまじきもようがえの例で、自分も含めて多くの方は低画質にしたうえで画面を拡大して描画範囲を狭め、水やりや食事などのやるべきことだけをやってさっさと去っていくのがルーチンだったでしょうね。笑
遠巻きで何が何やらかもしれませんが、最上階まで登れるのは当然のこととして、入口付近の上部にあるフェアリーテール的な世界観のエリアや、家から横に延びている通路の先にあるラプンツェルの塔など、細かいところにもきちんと進入出来るようになっています。ライフで特に顕著な問題として、畑や木々といったプレイヤーがアクションを起こすマス目は、その上部も含めてアイテムが一切配置不能になる仕様だったので、それによって生じたデッドスペースをいかに上手く回避しながら増築するかに腕が鳴りました。画像から判断すると一見この制約を受けていないように映るかもしれませんが、その実考え抜いてアイテムを積み重ねています。表庭で個人的に気に入っている部分は、画面左にある畑の上部で展開されている、見た目お嬢様キャラ達(詳しい設定は失念)によるキャッキャウフフ空間です。お庭の名前は「The Garden of Everything」に設定していて、その元ネタは坂本真綾 feat. Steve Conteの「THE GARDEN OF EVERYTHING ~電気ロケットに君をつれて~」(2003)となります。
7. ピグライフ(裏庭)
表よりはすっきりとしているものの、常軌を逸した重さであることには変わりない低スぺックに厳しい裏庭です。収穫の対象となる植物をもようがえアイテム的に見せるセンスが問われる点は、表庭では実行しにくい要素だった(畑の枠を潰すのは痛い)のでなかなかに楽しかったと言えます。僕は回廊状に植えることを基本として、隙間を白い板タイルと水色のタイルで埋めて水路を表現し、中央に水辺らしいアイテムを置いてダメ押し、加えて適当な位置にスプリンクラーを配置することで、放置していても瑞々しくあり続ける庭のビジョンを描いていました。
8. ピグアイランド
過剰増築具合で言えば、全ゲームの中で最もやり過ぎているのがアイランドです。ゲームの背景すら突き破る様は宛らバベルの塔。僕は新規イベントが追加されなくなってから(事実上のサ終以降に)始めたので、基本的なアイテムの量産以外にすることがなく、その範囲で何か宗教的な構造物を作ってやろうとしたのが設計のコンセプトです。島の名前は「デカルチャーアイランド」で、これは当時『マクロスΔ』を視聴中であったことから来ています。マクロスと言えば巨大宇宙戦艦なので、大きなものを作りたい欲求に駆られていたのかもしれません。笑
背景突き抜けを見せたかったからとはいえ、1枚目の画像は流石に遠景過ぎたので、完全サ終の直前にもう少しアップにした全景をスクショしました。ピグのお部屋・その①のところで、おさかなキューブ階段を「傑作のひとつ」と自画自賛しましたが、それに勝るとも劣らないと手前味噌な高評価を下したいのが、このアイランドの石階段です。階段そのものは棒状と同じ原理ゆえ初歩的なテクニックで作れますが(X状のやつのみ応用的)、大樹の周りに沿うように配置した通路も含めて、最上階までの移動が気持ち好いルートになっている点を気に入っています。一応全ゲームとも最上階までの移動を動画でキャプチャーしてあるものの、編集が面倒臭いんですよね。
9. ピグカフェ
カフェもアイランドと同じく事実上のサ終後から始めたため、基本的なアイテムしか所持していません。アイランドほどアイテム数も多くなかったので、モノクロ回廊と謎の草栽培スペース(意味深)だけ上に作って、僕にしてはコンパクトに纏めています。カフェの名前は「ELECTRIC CAFE」で、由来はKraftwerkのアルバム『Electric Café』(1986) です。
10. ピグワールド
他のゲームと違って唯一上下の概念がないため、ひたすら左右に長くなっています。これも遠景だとごちゃっとした印象ですが、拡大して細部を見れば街としての体裁が感じられるはずです。街の名前は「WORLD CELL」で、平沢進の同名楽曲(1998)から拝借しています。
【追記:2019.12.10】
インが久々過ぎて素で忘れていたのですが、ワールドのマイスペースにははじまりの街の他に、海の街とニュータウンがあったことを今更思い出しました。このうち前者については、住民数を稼ぐためだけに住宅を碁盤目状に配して極細の道路を縦横に敷設しワールドコインの回収効率が良いお店や公共施設のみ設置するという、システマティックな街づくりをしていた覚えがあります。一方の後者に関しては、メインの街と同等にきちんと作り込んでいたはずなので、スクショのし忘れは普通にショックです。そこで過去の画像フォルダを漁ったところ、一枚だけゲーム内カメラでニュータウンの一部を映したものを発見出来たので埋め込みます。
この写真を見て一気に記憶が蘇り、鉄道の通る街を基本にデザインしていたことと、山勝ちだった北には怪しい洋館を軸としたホラーエリアを拵えていたことは、少なくとも間違いではなくなりました。全スペースを開拓して完全な更地にした後に、駅舎と鉄道網で街の大まかな全景を定め、それに沿うように住宅や施設を建設していたのです。
【追記ここまで】
11. ピグブレイブ
上下の概念はあるものの、階段を作ったり上階を拵えたりはおそらく出来なかったはずなので、ごくシンプルな冒険者ギルド風の部屋です。ブレイブに関しては、所持キャラのスクショを撮っている時のほうが思い出深かったと言えます。
以上、都合6ゲームのマイスペースギャラリーでした。一時期とはいえ、ピグ世界での出来事も確かな思い出のひとつです。