A Flood of Musicの説明書 (音楽レビューと著作権について)
最終更新日:2021.6.20 記事作成日:2016.9.29
本記事は当ブログのエントリー「A Flood of Musicの説明書」の一部(第2章)を独立させたものです。
内容はタイトルの括弧内にある通り「音楽レビューと著作権について」で、具体的にはブログサービスに於ける「歌詞の掲載」と「動画の埋め込み」の二点に関して、個人的に気になったことを書き留めておくものとなります。
目次
2. 音楽レビューと著作権
2.1 歌詞の掲載について
2.2 ブログに於ける歌詞掲載の問題点
2.2.1 JASRACから歌詞掲載の許諾を得ているサービス
2.2.2 歌詞の掲載とアフィリエイトリンクを併用した場合
2.2.2.1 JASRACのサイトから窺えること
2.2.2.2 当ブログの場合・その1
2.2.2.3 JASRAC職員の発言から窺えること
2.2.2.4 当ブログの場合・その2
2.2.3 立場の表明と疑問の提示
2.3 歌詞の引用と著作権法について
2.3.1 引用とは
2.3.2 引用の条件
2.3.2.1 「公正な慣行に合致すること」
2.3.2.2 「引用の目的上, 正当な範囲内で行われること」
2.4 動画の埋め込みについて
2.4.1 『YouTube』の現状
2.4.1.1 公式とは
2.4.2 当ブログの場合・その3
2.4.3 動画の埋め込みと著作権
2.4.4 当ブログの場合・その4
2. 音楽レビューと著作権
CDを買ってその内容をレビューすることや、ライブに行ってその感想をレポートすることなど、音楽について何かを不特定多数に発信するという行為は、即ち他者が権利を有する著作物を扱うということになります。従って、音楽に限った話ではありませんが、ごく当たり前に行われているこれらの行為は、ともすると著作権を侵害してしまう危険性を常にはらむものです。
そこで、本記事では僕が当ブログに楽曲レビューもしくはライブレポをアップするにあたって、普段から気を付けていることを書き連ねていきます。何かトラブルがあった際に、本記事の内容を免罪符にするつもりはありませんが、健全なブログ運営のための指針として、或いは読者に「こいつのブログは法的に大丈夫なのか?」と思われた時のための、言わば自衛策として公開する次第です。
自分なりにきちんと調べた上で仕上げた内容ではありますが、僕は法律に関する専門的知識を持ち合わせている人間ではないため、間違った理解や恣意的な解釈をしている可能性もあることに留意してください。また、何気なく使った言葉が法的に特別の意味を持つ用語と偶々同じだったということもあるかもしれませんが、厳密な意味で以て使用しているわけではないことも断っておきます。
要するに僕は素人なので、本記事の内容を鵜呑みにはせず、詳しいことは専門家に尋ねてくださいということです。よって、本記事を利用したことで生じたいかなる結果についても、筆者である僕は一切の責任を負いません。このことをご理解した上で、読み進めていただければ幸いです。また、参考としていくつか外部のウェブサイトを紹介していますが、リンクを貼ったことで何かしらのリスクを負うのを回避したいため、URLだけを記載しています。
2.1 歌詞の掲載について
楽曲をレビューする際には、その曲の歌詞を共に載せたほうが、理解を得やすいという場合がままあるかと思います。例えば、「この曲の○○という歌詞が良い」といった直接的な言及や、「○○と歌われている部分のメロディが素晴らしい」といったマーカー的な利用などです。
勿論、歌詞を載せなければレビューが出来ないというわけではありません。歌詞について「n行目の~」や「第nスタンザの~」などの言葉を使って、間接的にふれるやり方もあるからです。実際、当ブログでも2011年まではこのスタイルを取っており、歌詞中の言葉にふれるにしても、「○○(=歌詞中のごく短い単語)のくだりは~」と、歌詞と認識されない引用を心掛けていました。
しかし、2016年からはフレーズやスタンザの単位で、歌詞を長めに引用してレビューを書いています。そうしたほうが、楽曲の魅力や自分の言いたいことを、より正確に伝えられると考えたからです。
2.2 ブログに於ける歌詞掲載の問題点
当然ですが、歌詞は著作物ゆえ権利者以外が濫りに公開していいものではありません。音楽に纏わる著作権を管理している団体・JASRAC(日本音楽著作権協会)が、子供向けに音楽著作権について説明しているサイト『JASRAC PARK』(https://www.jasrac.or.jp/jasracpark/)内の○×クイズにも関連する設問があり、ブログに於ける歌詞掲載については、著作者の許諾を得ていなければ「× No!」との回答です(https://www.jasrac.or.jp/jasracpark/question/blog.html)。
しかし、※印が付された但し書きを読むと、この許諾を得ずともブログ上に歌詞を掲載出来るケースが存在することが示されています。
2.2.1 JASRACから歌詞掲載の許諾を得ているサービス
そのケースとは、ブログの運営会社がJASRACから許諾を得ていれば、そのブログのユーザーが個別に許諾を得る必要は無いというものです。詳しくは、この旨について述べてあるJRSRACの関連ページをご覧ください(https://www.jasrac.or.jp/info/network/pickup/blog.html)。
当ブログは、株式会社サイバーエージェントが運営するアメーバブログのスペースを借りて書かれています。アメーバブログは、JASRACから歌詞掲載の許諾を得ているサービスのひとつです。契約締結リスト(https://www.jasrac.or.jp/info/network/ugc.html)にきちんと公表されていますし、アメーバの運営局による『スタッフブログ』にもお知らせ記事がアップされています(https://ameblo.jp/staff/entry-11662311246.html)。
というわけで、ここアメーバブログに於いては、JASRACの管理下の楽曲であれば、個人がいちいち権利者の許可を得ず(=使用料を払わず)とも、歌詞の掲載が可能となっているわけです。同協会の管理下にある楽曲の数は膨大なので、この契約はレビューをする側、つまりブログユーザーにとっては大きなメリットだと言えるでしょう。
とはいえ、無制限に歌詞の掲載が許されているわけではありません。先に紹介したJASRACの関連ページおよび『スタッフブログ』の記事でも述べられている通り、歌詞閲覧サービスよろしく大量の歌詞を載せるような利用や、広告料収入を得るなどの商用目的を伴った利用は、これを許諾の対象外としています。
2.2.2 歌詞の掲載とアフィリエイトリンクを併用した場合
当ブログでは、前者のようなデータベース化された歌詞の大量引用は行っていないので、これについては特に問題ないと考えています。しかし、後者の商用目的については不安な点があり、それはずばり「アフィリエイトリンクとの併用は許されるのか?」といった疑問です。以降、アフィリエイトリンクのことは「AL」と表記します。
2.2.2.1 JASRACのサイトから窺えること
まずは、JASRACの当該ページ(https://www.jasrac.or.jp/info/network/pickup/blog.html)の文言を素直に解釈してみましょう。これをソースにすると、仮にブログの運営側がJASRACと許諾契約を結んでいたとしても、非商用配信での歌詞掲載利用でなければ許諾されないということになります。つまり、歌詞の掲載自体に何も問題がなくとも、そこに広告料収入を得るシステムたるALが貼ってあったら、それは許諾の対象外になると解せる内容です。
ここで気になったのは「非商用配信」という言葉で、JASRACは何を基準に商用と非商用を区別しているのでしょうか。逆の概念は「商用配信」ですが、どちらの用語もJASRACのサイトに個別の解説ページが存在しています。先に非商用配信のページ(https://www.jasrac.or.jp/info/network/nbusiness/index.html)から見ていきますと、用語の解説と共に○×で具体例が載せられていました。それによると、個人のサイトで国内の楽曲の歌詞を掲載することは非商用配信に該当しますが(同ページ内に「ブログへの歌詞掲載」の項があるのも根拠となります)、アフィリエイト広告などで収入がある場合の音楽配信は非商用にはならないようです。
この場合の音楽配信というのは、JASRACの「使用料早見表」(https://www.jasrac.or.jp/info/network/side/hayami.html)内の用語を借りれば「音楽を主とした利用」のことで、そのまま音源を配信するようなケースを想定した語彙選択だとは思います。とはいえ、ブログに歌詞を載せているのも「音楽配信」の一種には違いないだろうと考えられるので(表中では「可視的な利用」に分類されるとはいえ)、以降は用語上の齟齬が存在しようとも、或いは解釈が非常に恣意的であろうとも、この理解に基いて書き進めていきます。
商用で歌詞検索サービス等を運営しているならともかく、非商用でブログ上に歌詞を掲載することに対して、「配信」という概念はピンときにくいでしょう。しかし、右クリックやショートカットキーで容易にコピーや印刷のためのコマンドを呼び出せれば「ダウンロード形式」の音楽配信に、そうでない場合(右クリックの禁止措置や、Flashを使っての表示がなされているなど)は「ストリーム形式」の音楽配信になると、僕はそう読み解きました。これは、JASRACのサイトからアクセスできる「使用料診断」(https://www.jasrac.or.jp/info/create/calculation/interactive/index.html)の設問に「配信形式」を問うものがあり、そこに記されていた両形式の説明を、歌詞掲載の場合に当て嵌めて解釈した結果です。
つまり、個人的には当ブログ上で「歌詞をダウンロード形式で配信している」との認識は全くありませんが、ウェブ上で歌詞を一部でも掲載していることを状況的に見れば、それが個人のサイトであっても配信の構図になると考えています。第三者がやろうと思えば、投稿内容のコピーも印刷も可能なわけですから。
これを踏まえた上で、今度は商用配信の解説ページ(https://www.jasrac.or.jp/info/network/business/)を見てみます。当然そこには、広告を介した収入があるサイトは全て商用配信にあたる旨が書かれているのですが、「おや?」と思ったのは、その下にある※印が付された但し書きです。そこには「商用配信の特例」の文言があり、非営利団体・個人がダウンロード配信を通じて得ているのが広告収入だけであるならば、これを非商用配信と見做す旨が書かれていました。
前掲した非商用配信のページで「×」とされている説明と矛盾するように感じたのですが、そちらには非営利団体や個人といった主体の表示がなく、おそらく企業体や営利団体が運営するサイトに広告収入があって、且つJASRAC管理下の音楽をどういう形であれ利用していた場合は、当然非商用配信にはならないという意味なのだと思います。
この但し書きはかなり重要度の高い情報を持っていると感じたのですが、本記事のようにウェブ上での音楽著作物の扱いについてあれやこれやと述べているサイトやブログを見ても、ここの記述に言及している方が非常に少なく不思議です。引用符を付けて「"商用配信の特例"」でGoogle検索をかけても、適切な検索結果を表示云々で省略されているとはいえ、僅か9件しかヒットしません(2019年5月17日時点)。ゆえに、僕の解釈が全く意味不明かもしれないといった、比較作業も満足に出来ませんでした。
2.2.2.2 当ブログの場合・その1
前目の内容を踏まえた上で、当ブログがどのようなケースとなるのかを考えてみます。前提としては…
① JASRAC管理下にある楽曲の歌詞が掲載されている。
② その楽曲が含まれる商品へのAL*が貼ってある。
* リンクはAmazonおよび楽天のもので、アメーバブログが標準で用意している商品検索機能を使って貼り付けています。これにより獲得出来るものはドットマネーで、これは現金にも交換可能なポイントのことです。
…の二点をおさえておいてください。
まず①については、著作権的に何の問題もありませんし、使用料を支払う必要もありません。なぜなら、当ブログはアメーバブログのスペースを借りて書かれており、同サービスはJASRACから歌詞掲載の許諾を得る契約を締結しているからです。
しかし、この許諾が有効なのは非商用配信での歌詞掲載利用に関してのみで、広告料収入を得るなどの商用目的を伴った利用は対象外と見做されています。JASRAC側の認識としては、ALによる収入がある場合の音楽利用は非商用配信にはならないそうなので、この理屈に従えば①に対する正当性が無効となり、著作権的または使用料的に問題を抱えたままブログを運営していることになるでしょう。
これは困ったぞということで、次に取り出しましたるは「商用配信の特例」です。ALの利用が商用配信にあたるとの見解がネックとなっているわけですが、これには唯一例外的に非商用配信と扱われるケースがあります。それは、非営利団体・個人がダウンロード配信を通じて得ているのが広告収入だけである場合です。当ブログは個人が非営利目的で運営していますし、容易な複製を禁じない形での歌詞の掲載は形式上ダウンロード配信にあたると考えられ、ALを貼ったことによる得られるものはドットマネーによる広告収入のみ(情報料やキックバックを得ているわけではない)となるので、この特例の条件に合致すると言えます。
これにより、再び非商用配信の扱いを受けることが可能となるため、②の要件を満たしていたとしても、①に対する正当性は有効のままとなるはずです。JASRACから歌詞掲載の許諾を得る契約を締結しているサービス下に置いて、歌詞の掲載とALの併用が存在していたとしても、このロジックで問題はクリア出来ると解釈したのですが、いかがでしょうか。
ただし、勘違いしてはいけないのは、非商用配信だからと言って、使用料を払わなくていいというわけではないことです。先の「使用料早見表」にも、しっかりと「非商用配信の場合」の項目がありますし、その中の4.がまさに「商用配信の特例」時の料金表です。その単価の大きさから、やはり特例の場合に於ける「ダウンロード配信」というのは、そのまま音源を配信する状況を想定しているのだと思います。しかし、ウェブ上への歌詞掲載は前述したように「可視的な利用」に分類されるようで、この項目は早見表では「商用配信の場合」の2.にしか出てきません。一方で「非商用配信の場合」は、著作物の形式ではなく主体の違いによって料金が決まるようなので、この算出方式の差が、前目および本目に於ける記述の回りくどさの原因となっています。
要するに、ブログへの歌詞掲載によって本来個人が支払うべき使用料を、言わばアメーバブログが肩代わりしてくれているのは、表のどの部分に対してなのだろうとの疑問が残るというわけです。しかし、この答えはJASRACからのアナウンス(https://www.jasrac.or.jp/news/12/1212.html)に明記されていました、詳細は「許諾の条件」内の「4 使用料」にある記述をご覧ください。仮にこの契約がなかったとしたら、例えば僕が自分で立ち上げたブログに歌詞を掲載していたとしたら、早見表の【商用配信 → 可視的な利用 → ダウンロード又は印刷可 → 国内作品/国外作品 → 情報料なし → 広告料等収入なし/あり】に従い、使用料を払うことになるのだと思います。
2.2.2.3 JASRAC職員の発言から窺えること
前目および前々目の内容は、長々と書いておいて何ですがあまり当てにはしないでください。「音楽を主とした利用」と「可視的な利用」を混同している節がありますし、「商用配信の特例」の解釈が非常に恣意的であるのは自覚済みです。
そこで、本目では僕のような法律素人およびJASRAC素人の言い分ではなく、JASRACの中の人がここで問題としているようなケースについてどう考えているのか、即ちJASRACと利用許諾契約を締結しているサービス下(=非商用配信であればユーザー自身が許諾を得ずとも著作物の一部を利用出来る環境下)に於いて、アフィリエイトが導入されている場合の個別対応について、その見解を知る一助となるインタビュー記事を紹介します。
https://www.itmedia.co.jp/makoto/articles/1309/27/news003.html
これは2013年に『ITmedia ビジネスONLiNE』上に掲載されたコラムですが、JASRACに直接取材を申し込んで得た回答を基に作成されたものなので、JASRAC側の見解を知ることができる貴重な資料です。
内容は動画配信サイト上にアップされている著作物を、ブログ等の外部サイトに埋め込む際の留意点に関してで、この点については本記事でも後程大きく取り扱うトピックですが、今ここで注目して欲しいのは3ページ目の記述なので、関連のあるところだけを掻い摘んで説明します。
『YouTube』『ニコニコ動画』などに於ける文化のひとつに、有名曲をカバーした「歌ってみた」や「踊ってみた」系の動画が存在することは有名でしょう。自ら演奏したものに限られますが、この手の動画の存在が許されているのは、アメーバブログで歌詞の掲載が可能なのと同じく、サービスの提供側がJASRACと利用許諾契約を締結しているからです。2.2.1で紹介したリストを確認すれば、そこにメジャーな動画配信サイトの名前があることがすぐにわかります。
本題はここからで、問題なくアップされている「歌ってみた」系動画を、アフィリエイトが導入されているブログに埋め込んだ場合、ブロガーがJASRACに何らかのアクションを起こす必要があるのかが議題となっていました。これに対するJASRAC側の見解は、たとえ個人ブログであっても商用利用と見做し、新たにそして別個に許諾が必要であるというものです。
自らの演奏によるこの手の動画は、「サービス運営会社がJASRACから許諾を得ているので、わざわざ個人で許諾を得ずとも利用可能な、著作物を含むコンテンツ」だと換言出来るかと思います。これは、アメーバブログに掲載される歌詞についても同じであると、もしくは利用形態の構造が同じであると言えるので、同コラムの話は参考に値するでしょう。
ということは、いくらアメーバブログでJASRAC管理楽曲の歌詞掲載が許可されていることを盾にしても、ALと併用したらやはり商用配信となるようなので、特例を持ち出して非商用配信扱いとする理屈は、原則的には通らないのだと思います。しかし、文字通りこれはあくまでも「原理原則」の話で、「現実に則した見解」はまた違ったものになることが、コラム中で示されているのです。
JARSAC側の認識を簡単にまとめると、個人ブログでのアフィリエイトも一般的となった今、全てを取り締まるのは非現実的であるし、著作物を中心として多方面にメリットが生まれる好循環も理解しているので、目に余るような使い方をしていない限りは、個人を問題にはしないということになります。
どの程度の利用が目に余るのかは、JASRACの匙加減としか言えないでしょう。ですが、コラムでもふれられているように、これに当て嵌まるのは「アフィリエイト収入が主目的」と化しているケースだと思います。例えば、まとめサイト・キュレーションサイト・トレンドブログ(「調べてみました!いかがでしたか?系」)などは、おそらく純粋に個人が管理しているものは少なく、バックに企業体が存在するか或いは個人事業主という形での運営形態だと推察されるので、そこに音楽著作物を利用するとなるとやはり商用配信となり、別個に使用料の支払いが必要となるのでしょう。
2.2.2.4 当ブログの場合・その2
前目の内容から、当ブログのように個人が趣味で管理をしていて、しかもJASRACと許諾契約を締結している無料ブログサービス下で書かれているものについては、たとえ歌詞の掲載とALの併用されていたとしても、お目溢しの対象になると信じています。JASRAC側の動向を忖度しても、ここに手を付けるよりは、上掲のような広告収入が主目的のサイトや、許諾契約を締結していないブログサービス、もしくは自作のブログを監視したほうが、目に余る利用を見つけやすいはずです。
実際、自分が管理するサイトに歌詞を掲載したことでJASRACから利用案内が来た!…といった経験を披露している方の投稿を調べて集めてみると、許諾契約を締結していないサービス下の話か、もしくは自分でドメインを取得したサイトの場合が圧倒的に多く、アメーバブログを含む契約締結リストに記載されているサービスのユーザーが、この手の経験談を披露している投稿は、僕が調べた限りでは発見出来ませんでした(契約締結以前のものは除く)。
利用上何か問題のあったケースでも、サービス運営会社からの削除対応もしくは非表示要請で、JASRACからの案内に従ってくれという類のものではないようです。そもそもアメーバブログの運営局から来るこの手のお知らせは、全て「規約違反が確認されました」といったテンプレートによる警告かと思われます。この場合、JASRACとしては運営会社から使用料は得られているので、個別のユーザーに対して直接アクションを起こすことまではしないのだと思いますが、目に余る利用があった場合に割を食うのは運営会社側であるため、「これは困るよ君」ということで、削除対応・非表示要請になるのではないでしょうか。
歌詞の掲載から案内が来るまでの期間は区々で、早い場合には二週間ほどの例もあるようですし、数年前の調査に基いて特定のサービスのユーザーに一斉に来た例もあったようです。
当ブログの場合はどうでしょう。開設自体は2010年と古いですが、歌詞の掲載とALの併用を行い出したのは2016年からです。現在は年号も変わって2021年ですが、これまでにJASRACから直接、もしくはアメーバブログの運営局から間接的に、何らかの案内を受けた経験は一度もありません。記事が勝手に削除、もしくは非表示にされたということもないです。これは自分のまたは第三者への安心材料として提示する情報ではなく、単なるファクトとして紹介します。
2.2.3 立場の表明と疑問の提示
さて、長々と「歌詞の掲載とALを併用した場合」について述べてきましたが、ここで改めて当ブログのポリシーを明言しておくとしましょう。
当ブログの主目的は、僕が鑑賞した音楽の感想を述べたりレビューを加えたりすることで、当該の作品に対して様々な見方を提示し、新たな価値を創造することです。延いてはこの行為が、当該の作品に関わっている全ての人の利となるものであればと願っています。よりわかりやすく言えば、当ブログの文章を通じてレビューの対象作品に興味を抱いてくださった方が、音楽業界に貢献するような消費行動を選択してくれれば幸いということです。従って、なるべく批判的な文章は載せないように心掛けていますし、作品の美点や魅力を如何に効果的に伝えられるかに重きを置いています。
このためには歌詞の掲載がある程度は必要だと考えており、これは書き手または読み手の利便性を向上させるためだけではなく、表現者が音楽に伴い提示したものをそのまま引用することで、表現者およびその創作性に敬意を払う意味合いもあります。また、係る著作権の管理者がブログサービスの運営会社と利用許諾契約を締結し、その契約の影響を受けるユーザーが個別の許諾なしに歌詞を利用出来る点についても、「使わせてもらっている」という意識を常に忘れていません。
ALの貼り付けに関しても同様の理由があり、商品の画像を合法的に表示し視覚的な面で理解の助けとするのは、書き手と読み手の双方に対するメリットとなるからです。加えて、ジャケット写真を含めたプロダクトデザインに纏わる創作性を、無断転載という形でなく表示するシステムとして、ALに於ける商品画像の表示機能は優秀だと認識しています。決して僕自身が広告収入を得たいからと、ALを貼り付けているわけではありません。
当ブログ上にあるALは全て公式アフィリエイト(https://helps.ameba.jp/faq/affiliate/5001/post_47.html)のもので、アメーバブログが標準で用意している商品検索機能(ブログ編集画面右のアフィリエイト検索タブ)を通じて貼り付けています。アメーバブログに於いては、2018年末から商用利用が許可されており(https://ameblo.jp/staff/entry-12427450584.html)、全てのアフィリエイトサービスが利用可能となっていますが、元より公式以外のものには手を出していません。
繰り返しになりますが、アメーバブログに於いてJASRAC管理楽曲の歌詞掲載が可能であるのは、両者の間で利用許諾契約が交わされているからです。その契約の影響を受けるユーザーが、実際にJASRAC管理楽曲の歌詞が掲載された記事をアップし、そこに運営が公式と認めているALを、運営が標準で用意している機能を用いて貼り付けた場合に、その利用法が認められないとあっては、これを簡単に許せている状況に疑問を投げ掛けられずにはいられません。関連機能のヘルプ(http://helps.ameba.jp/faq/affiliate/)を見ても、特に注意書き等は認められませんでした。
例えば、アメーバブログの運営は2019年の4月末頃にブログネタとして「好きな歌詞のフレーズってある?」といったお題を提示してきていますが(この文言でAmeba検索をすれば多くの記事がヒットします)、これに回答して参考までにとALを貼る利用も許諾の対象外となるとしたら、もはや罠ではないでしょうか。また、歌詞が掲載されている当該の記事にではなくとも、全く別の記事にALがひとつでも貼ってあったとしたら、そのブログは原則的には商用と見做されるはずでしょうから、このケースまで含めると、アウトになるブログの数は膨大だと思います。
もっとシンプルな例として、アルバムのALを記事に貼り付けて、「このアルバムがとても良かった。特に3曲目の〇〇という歌詞が心に響いた。」といった感想を載せるのもダメなのであれば、もはや何のための商品紹介機能、何のための歌詞掲載許諾契約なのかという話で、何処にもメリットがありません。まさかそんなことはないだろうということで、敢えて極端な例示をしてはいますが、原則的に判断されたらこの程度の利用でもリスクになることには変わりないのが恐ろしいです。
2.3 歌詞の引用と著作権法について
結局のところアウトなのかセーフなのか煮え切らない内容になってしまって恐縮ですが、ここからは別の観点に基いてブログ上の歌詞掲載に於ける正当性を主張したいと思います。世の中の全ての楽曲がJASRACの管理下にあるわけではありませんし、そのような楽曲の歌詞を利用する場合への対処も含めて、以降に展開するのは著作権法に関する話です。
2.3.1 引用とは
2.2にも載せた『JASRAC PARK』内の○×クイズ(https://www.jasrac.or.jp/jasracpark/question/blog.html)に再び戻っていただきたいのですが、当該ページの但し書きには「引用」についての記述があり、参考サイトとして文化庁のページ(http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu_jiyu.html)にリンクが貼られています。以降の文章の詳細を知りたい方は、このページを直接ご覧いただくのが最適です。
さて、歌詞に限らず著作物は著作権法で護られているので、原則としては無許可で好き勝手に利用出来るものではありません。しかし、中には自由に著作物を利用出来る場合もあり、そのうちのひとつに「引用(著作権法第32条)」が存在します。専門的なサイトではありませんが、『ニコニコ大百科(仮)』の同法に関するページ(https://dic.nicovideo.jp/a/%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9%E6%B3%95%E7%AC%AC32%E6%9D%A1)がわかりやすくまとまっているので、参考までに併せてご覧ください。
2.3.2 引用の条件
法律上の「引用」の詳しい意味は知らずとも、引用であれば他人の著作物を自由に利用出来るということは、多くの人の知るところではないでしょうか。これが許されていなければ、学術的に価値のある論文や専門書などの執筆はほぼ不可能となります。これらほどおかたいものではありませんが、音楽レビューもつまりは批評・評論だと言えるため、論文や専門書の作成に於いて他者の文献を引用する場合と同じようなことに気をつけなくてはならないと、即ち「引用のための条件を満たす必要がある」との認識です。
そこで、本項では前項に掲載した文化庁のページ「著作物が自由に使える場合」の中から、「引用(第32条)」と「(注5)引用における注意事項」の部分にある記述をまさに引用しながら、正しい引用のための条件と、それを満たすために当ブログ上で行われている配慮について記していきます。なお、以降の本項内に登場する【 】(墨付括弧)は、視認性の向上のために表示しているだけなので、特別の意味を持たないものであることを断っておきます。
2.3.2.1 「公正な慣行に合致すること」
正しい引用のためには、まず「公正な慣行に合致する」必要があります。これには「(注5)」内の「(2)」と「(4)」の記述が深くかかわってきまして、要するに引用箇所を明確にすることと、引用元の明記が必要だということです。
Ⅰ 引用元の明記
当ブログでは、ある作品についてレビューを行う場合、そのディスクもしくは楽曲の基本的な情報を、以下のフォーマットで表示しています。
ⅰ アーティスト名『作品名』(リリース年)
アーティスト名「曲名」(リリース年)
作品名は二重鍵括弧『 』で、曲名は鍵括弧「 」で、リリース年は半角の括弧( )で囲みます。ただし、これは文章中に於けるルールで、記事タイトルではこの限りではありません。【作品名または曲名 / アーティスト名】という表記もありますし、リリース年の表示は通常文章中でのみ行います。
記事内に一度アーティスト名を表示していて、以降に同一アーティストの異なる作品もしくは楽曲について言及する場合には、アーティスト名を省略した表記【『作品名』もしくは「曲名」(リリース年)】にするか、英語の序数を用いた表記【n[st, nd, rd, th]アルバムまたはシングル『作品名』(リリース年)】にすることもありますが、基本はⅰです。また、記事内に一度作品名とリリース年を表示していて、その作品中の各曲に言及する場合には、リリース年も省略した表記【「曲名」】となります。
ⅱ トラック番号. 曲名
ある作品の収録曲を全てレビューする場合(当ブログの用語を使えば、「新譜レビュー」もしくは「旧譜レビュー」の場合)は、各曲毎にⅱのような見出しを作り、「 」は付さずに曲名を表示します。
どちらも文章で説明するとややこしく感じられますが、当ブログ上にある2016年以降のレビュー記事をどれかひとつでもご覧いただければ、直感的に理解が可能かと思います。この決まり事は歌詞の引用以前の話で、要するに歌詞を引用する場合でも、どの作品に収録されているどの曲の歌詞なのかが、きちんとわかるように表示しているということです。
Ⅱ 引用箇所の区別
続いて明らかにするのは、自分の文章と区別をして引用箇所を明確にするためのルールです。まず歌詞については、これを二重引用符" "で囲んで引用であると明示しています。日本語に於ける引用には「 」を使うのが一般的かと思いますが、「 」は曲名を示す記号として使用しているので、異なる記号として" "を採用している次第です。
しかし、雑誌のインタビューや音楽番組での発言など、歌詞ではない引用に関しては、一般的な場合と同じく「 」を使用しています。この手の引用は当ブログにそう多くは登場しないので、曲名を囲う「 」と混同する可能性が低いということと、歌詞の引用は特別に区別したいという表れによるものです。
また、引用文中にスラッシュ/が挿入されている時、これは引用元の文章に於ける改行位置を意味します。歌詞で例示すれば、"一行目/二行目"といった感じです。当ブログに於ける引用は、自分の文章の中に組み込む形での利用が多いので、このスタイルでも改行を正しく表せるようにした配慮となります。
2.3.2.2 「引用の目的上, 正当な範囲内で行われること」
正しい引用のためには、「引用の目的上, 正当な範囲内で行われる」必要もあります。これには「(注5)」内の「(1)」と「(3)」の記述が深くかかわってきまして、引用するだけの十分な理由を有していることに加えて、自分の文章が主・引用される側の文章が従という関係を維持しなければなりません。要するに引用は必要最小限にとどめて、あくまでも自分の文章をメインにするべきだということです。
Ⅲ 引用の目的・その必要性
例えば研究論文の執筆を迫られた時、余程の大天才でもない限りは、先人が残した知恵たる文献に頼ることになるかと思います。先行研究を用いて自身の研究の補強をしていくのが定石のひとつですが、そのためにはどうしても先行研究の内容を自分の論文中に取り入れる、つまりは引用する必要がありますよね。所謂「研究目的の引用」にあたるケースですが、これは引用を行うことに説得性があり、必要な引用であるということが認められやすい事例でしょう。
さて、レビューとは即ち批評・評論のことです。ある対象を様々な角度から評価することで、新たな価値を模索する研究手法こそがレビューであると考えます。その対象が音楽である場合に音楽レビューという言葉が的確となり、当ブログのように内容の殆どが音楽への言及で占められているコンテンツがこれに該当するとの認識です。勿論、僕のような素人が書いている音楽レビューには、何の権威も学術的価値も存在しえませんが、それでも独自研究の名目は冠することが出来るのではないでしょうか。
大仰な書き方をしていますが、個人がブログやSNSなどに投稿した音楽作品に関する文章の中に、たとえ歌詞の引用が含まれていたとしても、それはその作品をレビューしたり感想を述べたりするのに必要な作業であって、引用の目的としては研究論文等のケースと同じく正当なものであると言えるはずです。
Ⅳ 引用の量と力関係
ただし、いくら引用の大義名分となる目的があったとしても、その引用が「正当な範囲内」であるかには気を遣わなければなりません。例えば、ある曲の歌詞の一節についてのみ言及するのに、わざわざ歌詞の全文を載せる必要はなく、この手の引用は明らかに正当の範囲外です。
当ブログで歌詞を引用する場合は、その内容について言及したい箇所のみ、或いはメロディやアレンジの説明に効果的な箇所だけというように、必要最小限にとどめています。しかし、中途半端な歌詞の引用は却って表現者に失礼だとの考え方もあるので、ある程度は纏まりを持たせて引用しています。恣意的に歌詞の一部を切り取って、全く逆の文意に誤認させる文章を書こうと思えば出来てしまいますが、いくら引用を盾に自由に著作物を利用可能だとはいっても、「著作者人格権は制限されない」ということには留意すべきです。
続いて、自分の手に成る文章(レビュー文)と引用元の文章(主に歌詞)の主従関係について述べますと、これは当ブログの記事を実際にご覧いただいた上で、両者の力関係を判断してくださいとしか言えません。量的には、僕の書いた文章が主であることはすぐにわかるかと思います。質的なことは客観視しにくいので、願望を書くしかありませんが、自分の言葉で自分なりに楽曲をレビューすることを常に意識しているので、質的にも歌詞が主にはなっていないと信じたいです。
2.4 動画の埋め込みについて
本記事の大半を占める「歌詞の掲載について」の言及は以上で、ここからのメイントピックは「動画の埋め込みについて」となります。なお、本節で僕が想定している「動画」というのは、全て『YouTube』上にアップロードされているもののことです。当ブログ上には、その他の動画配信サービスを介した利用はありません。
また、本節で問題とする「動画の埋め込み」とは、『YouTube』上にアップされている動画に対して、その動画の投稿者が禁止する設定にしていない限り、第三者に外部サイトへの埋め込みという形で共有を許す機能のことです。非常に便利な仕組みで、対象の楽曲を流す手段があるレビューほど、効果的なものはないと思います。
2.4.1 『YouTube』の現状
ただし、『YouTube』には誰でも動画の投稿が出来てしまうため、権利を持たない者によりアップロードされた動画も多数存在します。悪意からではないと信じたいですが、元の音源をそのまま丸々アップしているものもあれば、削除対策でピッチやテンポを変更しているものもあるほどです。ファンメイドとして、リミックスやマッシュアップ、MAD動画や自作のMVなども存在し、ひとつのカルチャーとして成立しているとは思いますが、楽曲の権利者の許可が下りているかと言ったら、殆どはノーではないでしょうか。
このような現状を鑑みてなのか、最近では権利者(主にレコード会社)が自らのチャンネルを使って、自社アーティストの楽曲やMVをアップするという流れが、とても一般的になっていると感じます。この手の公式にアップロードされている動画は、俗に「公式動画」や「オフィシャル動画」と呼ばれます。
2.4.1.1 公式とは
埋め込みの対象とする動画が公式にアップロードされているかどうかは、何を以て判断するのでしょうか。
手段はいくつかあり、最も確実なのは「このアカウントを利用しているのが権利者本人である」ことを示すマークの有無でしょう。SNSなどにも同様のシステムは存在しますが、『YouTube』に於けるこれは「チャンネルの認証バッジ」(https://support.google.com/youtube/answer/3046484?hl=ja)で、このチェックマークは「公式チャンネルの証」です。しかし、全ての公式チャンネルにこのマークがついているわけではなく、参加資格を満たしていなかったり、そもそもバッジを取得する気がなかったりしたら、公式であっても公式の表示はなされません。
そこで、次なる手立てとしては「公式サイトからそのチャンネルへのリンクの有無を確認する」というものがあります。アーティストやレコード会社の公式サイトを訪れ、「MOVIE・動画」などと題されたメニューの中や、もしくは「NEWS・INFORMATION・最新情報」の中に、当該チャンネルへのリンクや埋め込みがあれば、それは公認としていいはずです。反対に、チャンネルの概要欄或いは動画の説明欄に公式サイトへのリンクがある場合は、必ずしも権利者が貼り付けたとは言えないため、参考程度にしています。
2.4.2 当ブログの場合・その3
当ブログに埋め込まれている『YouTube』上の動画は、全て公式にアップロードされたものです。公式動画の最大の強みは長らく削除されないことで、作品の権利者が合法的に掲載しているものに関しては、『YouTube』側の判断もしくは権利者からの要請で動画の削除に至ることは、当たり前ですが通例あり得ません。一定期間の経過で公開動画を入れ替えるようにしていたり、表現者もしくは出演者が不祥事を起こした結果で全て非公開にされたりとの例外はあるでしょうが、何れも稀です。
僕が楽曲レビューに『YouTube』上の動画を埋め込んだ場合は、その動画も含めてレビューをご覧いただきたいということを意味するので、なるべく長期間の表示に繋がる動画を埋め込むことが、レビュー本来の姿を保持することにもなると考えています。
2.4.3 動画の埋め込みと著作権
ここでそもそもの話となりますが、公式の動画か否かを問わず、動画配信サイトにアップロードされている動画を、ブログなどの外部サイトに埋め込むこと・共有すること自体に、何か違法性はないのでしょうか。
この問題に関しては、『よぅつべえのYouTube講座』(https://youtube-lect.jp/share-illegal)というサイトの記事がわかりやすかったので紹介します。詳細は直にサイトをご覧いただければと思うので、ここには結論だけを載せますと、動画の埋め込みコードやURL自体は著作物ではないので、それを外部サイトに埋め込んでも或いはリンクを貼っても、著作権の侵害にはあたらないそうです。ただし、違法にアップロードされた動画と知っていながら共有をし続けると、その者の著作権侵害行為を幇助したと見做される危険性があるようです。
また、歌詞の掲載とALの併用問題と同じく、動画の埋め込みとALが同時に存在していた場合に、これが商用配信と見做されて、JASRACから個別に許諾を得る必要が生じるかについても、ブログを管理する上では懸念材料となります。
係る行為について説明しているJASRACのページ(https://www.jasrac.or.jp/info/network/pickup/movie.html)で、2つめのフローチャートを参照する限り、公式にアップロードされているものを、非商用で運営されている個人のサイトに埋め込むことは、特に許諾を得ずに行えるものとされていますが、サイトを通じた何らかの収入がある場合は、やはりJASRACに許諾を得ないといけないようです。
ここで再び、2.2.2.3にも載せたJASRACの中の人の見解が窺える『ITmedia ビジネスONLiNE』上のコラム(https://www.itmedia.co.jp/makoto/articles/1309/27/news003.html)の、特に2ページ目を見てみましょう。まず前提として、たとえ公式にアップロードされている動画であっても、それを外部サイトで共有することには、原則的に権利者の許諾が要るようです。しかし、そもそも外部に貼り付けられるようになっているのであれば、規約上も共有を想定しているであろうということで(禁止しようと思えば権利者側でその措置を取れるからだと思います)、貼り付けるのであればオフィシャル動画でと推奨されています。従って、単に動画をブログに埋め込んで表示するという形での利用は、違法にアップされているものを共有していない限り、通常は問題にならないと言えるでしょう。
次に動画の埋め込みとALとの併用があった場合ですが、先のフローチャートと同様、コラム内でもその利用は原則として商用になる旨が示されています。しかし、このケースにも歌詞の掲載とALとの併用問題のところでふれた「現実に則した見解」が当て嵌められると考えられ、個人が目に余るような使い方をしていない限りは、問題視されないと理解したいです。
ただし、この点についてもJASRACから利用案内を受けたという方の体験談をいくつか読んでみますと、2.2.1で紹介した契約締結リストに名前がないサービスもしくは自作のサイトに於いては、たとえ係る行為の主体が純粋に個人で且つ埋め込んだのが公式の動画であっても、ALとの併用が確認されれば(即ち商用利用と見做されれば)使用料の請求が来るみたいです。個人が広告収入を得ているだけならば「商用配信の特例になるのでは?」と思わなくもないけれど、非商用配信の扱いだからとて使用料の支払いを免れるわけではないことは2.2.2.2で説明した通りなので、そこを突かれたのではないでしょうか。
2.4.4 当ブログの場合・その4
リストに照らすと歌詞掲載に対してはアメーバブログが、動画投稿に対してはアメーバアプリが、それぞれJASRACと契約締結済みのサービス名として連ねられています。この書き方だと「両者がクロスした場合は不可になるのか?」との疑問は残りますが、大きくアメーバという括りの中で総合的な判断になっているからこそ、そのサービス下のユーザーが使用料の請求対象になることはないと読み解くしかありません。
リストの説明文中にも「JASRAC管理楽曲を利用したUGC(動画・歌詞)」との包括的な表記があり、ブログサービスに於いてはつまり「歌詞や埋め込み動画が含まれる記事」がこれに該当するため、そのアップロードに個別の利用許諾手続きが要らないとの契約内容であれば、個人に使用料の請求が来ることは当然ないだろうとのロジックです。
本記事は当ブログのエントリー「A Flood of Musicの説明書」の一部(第2章)を独立させたものです。
内容はタイトルの括弧内にある通り「音楽レビューと著作権について」で、具体的にはブログサービスに於ける「歌詞の掲載」と「動画の埋め込み」の二点に関して、個人的に気になったことを書き留めておくものとなります。
目次
2. 音楽レビューと著作権
2.1 歌詞の掲載について
2.2 ブログに於ける歌詞掲載の問題点
2.2.1 JASRACから歌詞掲載の許諾を得ているサービス
2.2.2 歌詞の掲載とアフィリエイトリンクを併用した場合
2.2.2.1 JASRACのサイトから窺えること
2.2.2.2 当ブログの場合・その1
2.2.2.3 JASRAC職員の発言から窺えること
2.2.2.4 当ブログの場合・その2
2.2.3 立場の表明と疑問の提示
2.3 歌詞の引用と著作権法について
2.3.1 引用とは
2.3.2 引用の条件
2.3.2.1 「公正な慣行に合致すること」
2.3.2.2 「引用の目的上, 正当な範囲内で行われること」
2.4 動画の埋め込みについて
2.4.1 『YouTube』の現状
2.4.1.1 公式とは
2.4.2 当ブログの場合・その3
2.4.3 動画の埋め込みと著作権
2.4.4 当ブログの場合・その4
2. 音楽レビューと著作権
CDを買ってその内容をレビューすることや、ライブに行ってその感想をレポートすることなど、音楽について何かを不特定多数に発信するという行為は、即ち他者が権利を有する著作物を扱うということになります。従って、音楽に限った話ではありませんが、ごく当たり前に行われているこれらの行為は、ともすると著作権を侵害してしまう危険性を常にはらむものです。
そこで、本記事では僕が当ブログに楽曲レビューもしくはライブレポをアップするにあたって、普段から気を付けていることを書き連ねていきます。何かトラブルがあった際に、本記事の内容を免罪符にするつもりはありませんが、健全なブログ運営のための指針として、或いは読者に「こいつのブログは法的に大丈夫なのか?」と思われた時のための、言わば自衛策として公開する次第です。
自分なりにきちんと調べた上で仕上げた内容ではありますが、僕は法律に関する専門的知識を持ち合わせている人間ではないため、間違った理解や恣意的な解釈をしている可能性もあることに留意してください。また、何気なく使った言葉が法的に特別の意味を持つ用語と偶々同じだったということもあるかもしれませんが、厳密な意味で以て使用しているわけではないことも断っておきます。
要するに僕は素人なので、本記事の内容を鵜呑みにはせず、詳しいことは専門家に尋ねてくださいということです。よって、本記事を利用したことで生じたいかなる結果についても、筆者である僕は一切の責任を負いません。このことをご理解した上で、読み進めていただければ幸いです。また、参考としていくつか外部のウェブサイトを紹介していますが、リンクを貼ったことで何かしらのリスクを負うのを回避したいため、URLだけを記載しています。
2.1 歌詞の掲載について
楽曲をレビューする際には、その曲の歌詞を共に載せたほうが、理解を得やすいという場合がままあるかと思います。例えば、「この曲の○○という歌詞が良い」といった直接的な言及や、「○○と歌われている部分のメロディが素晴らしい」といったマーカー的な利用などです。
勿論、歌詞を載せなければレビューが出来ないというわけではありません。歌詞について「n行目の~」や「第nスタンザの~」などの言葉を使って、間接的にふれるやり方もあるからです。実際、当ブログでも2011年まではこのスタイルを取っており、歌詞中の言葉にふれるにしても、「○○(=歌詞中のごく短い単語)のくだりは~」と、歌詞と認識されない引用を心掛けていました。
しかし、2016年からはフレーズやスタンザの単位で、歌詞を長めに引用してレビューを書いています。そうしたほうが、楽曲の魅力や自分の言いたいことを、より正確に伝えられると考えたからです。
2.2 ブログに於ける歌詞掲載の問題点
当然ですが、歌詞は著作物ゆえ権利者以外が濫りに公開していいものではありません。音楽に纏わる著作権を管理している団体・JASRAC(日本音楽著作権協会)が、子供向けに音楽著作権について説明しているサイト『JASRAC PARK』(https://www.jasrac.or.jp/jasracpark/)内の○×クイズにも関連する設問があり、ブログに於ける歌詞掲載については、著作者の許諾を得ていなければ「× No!」との回答です(https://www.jasrac.or.jp/jasracpark/question/blog.html)。
しかし、※印が付された但し書きを読むと、この許諾を得ずともブログ上に歌詞を掲載出来るケースが存在することが示されています。
2.2.1 JASRACから歌詞掲載の許諾を得ているサービス
そのケースとは、ブログの運営会社がJASRACから許諾を得ていれば、そのブログのユーザーが個別に許諾を得る必要は無いというものです。詳しくは、この旨について述べてあるJRSRACの関連ページをご覧ください(https://www.jasrac.or.jp/info/network/pickup/blog.html)。
当ブログは、株式会社サイバーエージェントが運営するアメーバブログのスペースを借りて書かれています。アメーバブログは、JASRACから歌詞掲載の許諾を得ているサービスのひとつです。契約締結リスト(https://www.jasrac.or.jp/info/network/ugc.html)にきちんと公表されていますし、アメーバの運営局による『スタッフブログ』にもお知らせ記事がアップされています(https://ameblo.jp/staff/entry-11662311246.html)。
というわけで、ここアメーバブログに於いては、JASRACの管理下の楽曲であれば、個人がいちいち権利者の許可を得ず(=使用料を払わず)とも、歌詞の掲載が可能となっているわけです。同協会の管理下にある楽曲の数は膨大なので、この契約はレビューをする側、つまりブログユーザーにとっては大きなメリットだと言えるでしょう。
とはいえ、無制限に歌詞の掲載が許されているわけではありません。先に紹介したJASRACの関連ページおよび『スタッフブログ』の記事でも述べられている通り、歌詞閲覧サービスよろしく大量の歌詞を載せるような利用や、広告料収入を得るなどの商用目的を伴った利用は、これを許諾の対象外としています。
2.2.2 歌詞の掲載とアフィリエイトリンクを併用した場合
当ブログでは、前者のようなデータベース化された歌詞の大量引用は行っていないので、これについては特に問題ないと考えています。しかし、後者の商用目的については不安な点があり、それはずばり「アフィリエイトリンクとの併用は許されるのか?」といった疑問です。以降、アフィリエイトリンクのことは「AL」と表記します。
2.2.2.1 JASRACのサイトから窺えること
まずは、JASRACの当該ページ(https://www.jasrac.or.jp/info/network/pickup/blog.html)の文言を素直に解釈してみましょう。これをソースにすると、仮にブログの運営側がJASRACと許諾契約を結んでいたとしても、非商用配信での歌詞掲載利用でなければ許諾されないということになります。つまり、歌詞の掲載自体に何も問題がなくとも、そこに広告料収入を得るシステムたるALが貼ってあったら、それは許諾の対象外になると解せる内容です。
ここで気になったのは「非商用配信」という言葉で、JASRACは何を基準に商用と非商用を区別しているのでしょうか。逆の概念は「商用配信」ですが、どちらの用語もJASRACのサイトに個別の解説ページが存在しています。先に非商用配信のページ(https://www.jasrac.or.jp/info/network/nbusiness/index.html)から見ていきますと、用語の解説と共に○×で具体例が載せられていました。それによると、個人のサイトで国内の楽曲の歌詞を掲載することは非商用配信に該当しますが(同ページ内に「ブログへの歌詞掲載」の項があるのも根拠となります)、アフィリエイト広告などで収入がある場合の音楽配信は非商用にはならないようです。
この場合の音楽配信というのは、JASRACの「使用料早見表」(https://www.jasrac.or.jp/info/network/side/hayami.html)内の用語を借りれば「音楽を主とした利用」のことで、そのまま音源を配信するようなケースを想定した語彙選択だとは思います。とはいえ、ブログに歌詞を載せているのも「音楽配信」の一種には違いないだろうと考えられるので(表中では「可視的な利用」に分類されるとはいえ)、以降は用語上の齟齬が存在しようとも、或いは解釈が非常に恣意的であろうとも、この理解に基いて書き進めていきます。
商用で歌詞検索サービス等を運営しているならともかく、非商用でブログ上に歌詞を掲載することに対して、「配信」という概念はピンときにくいでしょう。しかし、右クリックやショートカットキーで容易にコピーや印刷のためのコマンドを呼び出せれば「ダウンロード形式」の音楽配信に、そうでない場合(右クリックの禁止措置や、Flashを使っての表示がなされているなど)は「ストリーム形式」の音楽配信になると、僕はそう読み解きました。これは、JASRACのサイトからアクセスできる「使用料診断」(https://www.jasrac.or.jp/info/create/calculation/interactive/index.html)の設問に「配信形式」を問うものがあり、そこに記されていた両形式の説明を、歌詞掲載の場合に当て嵌めて解釈した結果です。
つまり、個人的には当ブログ上で「歌詞をダウンロード形式で配信している」との認識は全くありませんが、ウェブ上で歌詞を一部でも掲載していることを状況的に見れば、それが個人のサイトであっても配信の構図になると考えています。第三者がやろうと思えば、投稿内容のコピーも印刷も可能なわけですから。
これを踏まえた上で、今度は商用配信の解説ページ(https://www.jasrac.or.jp/info/network/business/)を見てみます。当然そこには、広告を介した収入があるサイトは全て商用配信にあたる旨が書かれているのですが、「おや?」と思ったのは、その下にある※印が付された但し書きです。そこには「商用配信の特例」の文言があり、非営利団体・個人がダウンロード配信を通じて得ているのが広告収入だけであるならば、これを非商用配信と見做す旨が書かれていました。
前掲した非商用配信のページで「×」とされている説明と矛盾するように感じたのですが、そちらには非営利団体や個人といった主体の表示がなく、おそらく企業体や営利団体が運営するサイトに広告収入があって、且つJASRAC管理下の音楽をどういう形であれ利用していた場合は、当然非商用配信にはならないという意味なのだと思います。
この但し書きはかなり重要度の高い情報を持っていると感じたのですが、本記事のようにウェブ上での音楽著作物の扱いについてあれやこれやと述べているサイトやブログを見ても、ここの記述に言及している方が非常に少なく不思議です。引用符を付けて「"商用配信の特例"」でGoogle検索をかけても、適切な検索結果を表示云々で省略されているとはいえ、僅か9件しかヒットしません(2019年5月17日時点)。ゆえに、僕の解釈が全く意味不明かもしれないといった、比較作業も満足に出来ませんでした。
2.2.2.2 当ブログの場合・その1
前目の内容を踏まえた上で、当ブログがどのようなケースとなるのかを考えてみます。前提としては…
① JASRAC管理下にある楽曲の歌詞が掲載されている。
② その楽曲が含まれる商品へのAL*が貼ってある。
* リンクはAmazonおよび楽天のもので、アメーバブログが標準で用意している商品検索機能を使って貼り付けています。これにより獲得出来るものはドットマネーで、これは現金にも交換可能なポイントのことです。
…の二点をおさえておいてください。
まず①については、著作権的に何の問題もありませんし、使用料を支払う必要もありません。なぜなら、当ブログはアメーバブログのスペースを借りて書かれており、同サービスはJASRACから歌詞掲載の許諾を得る契約を締結しているからです。
しかし、この許諾が有効なのは非商用配信での歌詞掲載利用に関してのみで、広告料収入を得るなどの商用目的を伴った利用は対象外と見做されています。JASRAC側の認識としては、ALによる収入がある場合の音楽利用は非商用配信にはならないそうなので、この理屈に従えば①に対する正当性が無効となり、著作権的または使用料的に問題を抱えたままブログを運営していることになるでしょう。
これは困ったぞということで、次に取り出しましたるは「商用配信の特例」です。ALの利用が商用配信にあたるとの見解がネックとなっているわけですが、これには唯一例外的に非商用配信と扱われるケースがあります。それは、非営利団体・個人がダウンロード配信を通じて得ているのが広告収入だけである場合です。当ブログは個人が非営利目的で運営していますし、容易な複製を禁じない形での歌詞の掲載は形式上ダウンロード配信にあたると考えられ、ALを貼ったことによる得られるものはドットマネーによる広告収入のみ(情報料やキックバックを得ているわけではない)となるので、この特例の条件に合致すると言えます。
これにより、再び非商用配信の扱いを受けることが可能となるため、②の要件を満たしていたとしても、①に対する正当性は有効のままとなるはずです。JASRACから歌詞掲載の許諾を得る契約を締結しているサービス下に置いて、歌詞の掲載とALの併用が存在していたとしても、このロジックで問題はクリア出来ると解釈したのですが、いかがでしょうか。
ただし、勘違いしてはいけないのは、非商用配信だからと言って、使用料を払わなくていいというわけではないことです。先の「使用料早見表」にも、しっかりと「非商用配信の場合」の項目がありますし、その中の4.がまさに「商用配信の特例」時の料金表です。その単価の大きさから、やはり特例の場合に於ける「ダウンロード配信」というのは、そのまま音源を配信する状況を想定しているのだと思います。しかし、ウェブ上への歌詞掲載は前述したように「可視的な利用」に分類されるようで、この項目は早見表では「商用配信の場合」の2.にしか出てきません。一方で「非商用配信の場合」は、著作物の形式ではなく主体の違いによって料金が決まるようなので、この算出方式の差が、前目および本目に於ける記述の回りくどさの原因となっています。
要するに、ブログへの歌詞掲載によって本来個人が支払うべき使用料を、言わばアメーバブログが肩代わりしてくれているのは、表のどの部分に対してなのだろうとの疑問が残るというわけです。しかし、この答えはJASRACからのアナウンス(https://www.jasrac.or.jp/news/12/1212.html)に明記されていました、詳細は「許諾の条件」内の「4 使用料」にある記述をご覧ください。仮にこの契約がなかったとしたら、例えば僕が自分で立ち上げたブログに歌詞を掲載していたとしたら、早見表の【商用配信 → 可視的な利用 → ダウンロード又は印刷可 → 国内作品/国外作品 → 情報料なし → 広告料等収入なし/あり】に従い、使用料を払うことになるのだと思います。
2.2.2.3 JASRAC職員の発言から窺えること
前目および前々目の内容は、長々と書いておいて何ですがあまり当てにはしないでください。「音楽を主とした利用」と「可視的な利用」を混同している節がありますし、「商用配信の特例」の解釈が非常に恣意的であるのは自覚済みです。
そこで、本目では僕のような法律素人およびJASRAC素人の言い分ではなく、JASRACの中の人がここで問題としているようなケースについてどう考えているのか、即ちJASRACと利用許諾契約を締結しているサービス下(=非商用配信であればユーザー自身が許諾を得ずとも著作物の一部を利用出来る環境下)に於いて、アフィリエイトが導入されている場合の個別対応について、その見解を知る一助となるインタビュー記事を紹介します。
https://www.itmedia.co.jp/makoto/articles/1309/27/news003.html
これは2013年に『ITmedia ビジネスONLiNE』上に掲載されたコラムですが、JASRACに直接取材を申し込んで得た回答を基に作成されたものなので、JASRAC側の見解を知ることができる貴重な資料です。
内容は動画配信サイト上にアップされている著作物を、ブログ等の外部サイトに埋め込む際の留意点に関してで、この点については本記事でも後程大きく取り扱うトピックですが、今ここで注目して欲しいのは3ページ目の記述なので、関連のあるところだけを掻い摘んで説明します。
『YouTube』『ニコニコ動画』などに於ける文化のひとつに、有名曲をカバーした「歌ってみた」や「踊ってみた」系の動画が存在することは有名でしょう。自ら演奏したものに限られますが、この手の動画の存在が許されているのは、アメーバブログで歌詞の掲載が可能なのと同じく、サービスの提供側がJASRACと利用許諾契約を締結しているからです。2.2.1で紹介したリストを確認すれば、そこにメジャーな動画配信サイトの名前があることがすぐにわかります。
本題はここからで、問題なくアップされている「歌ってみた」系動画を、アフィリエイトが導入されているブログに埋め込んだ場合、ブロガーがJASRACに何らかのアクションを起こす必要があるのかが議題となっていました。これに対するJASRAC側の見解は、たとえ個人ブログであっても商用利用と見做し、新たにそして別個に許諾が必要であるというものです。
自らの演奏によるこの手の動画は、「サービス運営会社がJASRACから許諾を得ているので、わざわざ個人で許諾を得ずとも利用可能な、著作物を含むコンテンツ」だと換言出来るかと思います。これは、アメーバブログに掲載される歌詞についても同じであると、もしくは利用形態の構造が同じであると言えるので、同コラムの話は参考に値するでしょう。
ということは、いくらアメーバブログでJASRAC管理楽曲の歌詞掲載が許可されていることを盾にしても、ALと併用したらやはり商用配信となるようなので、特例を持ち出して非商用配信扱いとする理屈は、原則的には通らないのだと思います。しかし、文字通りこれはあくまでも「原理原則」の話で、「現実に則した見解」はまた違ったものになることが、コラム中で示されているのです。
JARSAC側の認識を簡単にまとめると、個人ブログでのアフィリエイトも一般的となった今、全てを取り締まるのは非現実的であるし、著作物を中心として多方面にメリットが生まれる好循環も理解しているので、目に余るような使い方をしていない限りは、個人を問題にはしないということになります。
どの程度の利用が目に余るのかは、JASRACの匙加減としか言えないでしょう。ですが、コラムでもふれられているように、これに当て嵌まるのは「アフィリエイト収入が主目的」と化しているケースだと思います。例えば、まとめサイト・キュレーションサイト・トレンドブログ(「調べてみました!いかがでしたか?系」)などは、おそらく純粋に個人が管理しているものは少なく、バックに企業体が存在するか或いは個人事業主という形での運営形態だと推察されるので、そこに音楽著作物を利用するとなるとやはり商用配信となり、別個に使用料の支払いが必要となるのでしょう。
2.2.2.4 当ブログの場合・その2
前目の内容から、当ブログのように個人が趣味で管理をしていて、しかもJASRACと許諾契約を締結している無料ブログサービス下で書かれているものについては、たとえ歌詞の掲載とALの併用されていたとしても、お目溢しの対象になると信じています。JASRAC側の動向を忖度しても、ここに手を付けるよりは、上掲のような広告収入が主目的のサイトや、許諾契約を締結していないブログサービス、もしくは自作のブログを監視したほうが、目に余る利用を見つけやすいはずです。
実際、自分が管理するサイトに歌詞を掲載したことでJASRACから利用案内が来た!…といった経験を披露している方の投稿を調べて集めてみると、許諾契約を締結していないサービス下の話か、もしくは自分でドメインを取得したサイトの場合が圧倒的に多く、アメーバブログを含む契約締結リストに記載されているサービスのユーザーが、この手の経験談を披露している投稿は、僕が調べた限りでは発見出来ませんでした(契約締結以前のものは除く)。
利用上何か問題のあったケースでも、サービス運営会社からの削除対応もしくは非表示要請で、JASRACからの案内に従ってくれという類のものではないようです。そもそもアメーバブログの運営局から来るこの手のお知らせは、全て「規約違反が確認されました」といったテンプレートによる警告かと思われます。この場合、JASRACとしては運営会社から使用料は得られているので、個別のユーザーに対して直接アクションを起こすことまではしないのだと思いますが、目に余る利用があった場合に割を食うのは運営会社側であるため、「これは困るよ君」ということで、削除対応・非表示要請になるのではないでしょうか。
歌詞の掲載から案内が来るまでの期間は区々で、早い場合には二週間ほどの例もあるようですし、数年前の調査に基いて特定のサービスのユーザーに一斉に来た例もあったようです。
当ブログの場合はどうでしょう。開設自体は2010年と古いですが、歌詞の掲載とALの併用を行い出したのは2016年からです。現在は年号も変わって2021年ですが、これまでにJASRACから直接、もしくはアメーバブログの運営局から間接的に、何らかの案内を受けた経験は一度もありません。記事が勝手に削除、もしくは非表示にされたということもないです。これは自分のまたは第三者への安心材料として提示する情報ではなく、単なるファクトとして紹介します。
2.2.3 立場の表明と疑問の提示
さて、長々と「歌詞の掲載とALを併用した場合」について述べてきましたが、ここで改めて当ブログのポリシーを明言しておくとしましょう。
当ブログの主目的は、僕が鑑賞した音楽の感想を述べたりレビューを加えたりすることで、当該の作品に対して様々な見方を提示し、新たな価値を創造することです。延いてはこの行為が、当該の作品に関わっている全ての人の利となるものであればと願っています。よりわかりやすく言えば、当ブログの文章を通じてレビューの対象作品に興味を抱いてくださった方が、音楽業界に貢献するような消費行動を選択してくれれば幸いということです。従って、なるべく批判的な文章は載せないように心掛けていますし、作品の美点や魅力を如何に効果的に伝えられるかに重きを置いています。
このためには歌詞の掲載がある程度は必要だと考えており、これは書き手または読み手の利便性を向上させるためだけではなく、表現者が音楽に伴い提示したものをそのまま引用することで、表現者およびその創作性に敬意を払う意味合いもあります。また、係る著作権の管理者がブログサービスの運営会社と利用許諾契約を締結し、その契約の影響を受けるユーザーが個別の許諾なしに歌詞を利用出来る点についても、「使わせてもらっている」という意識を常に忘れていません。
ALの貼り付けに関しても同様の理由があり、商品の画像を合法的に表示し視覚的な面で理解の助けとするのは、書き手と読み手の双方に対するメリットとなるからです。加えて、ジャケット写真を含めたプロダクトデザインに纏わる創作性を、無断転載という形でなく表示するシステムとして、ALに於ける商品画像の表示機能は優秀だと認識しています。決して僕自身が広告収入を得たいからと、ALを貼り付けているわけではありません。
当ブログ上にあるALは全て公式アフィリエイト(https://helps.ameba.jp/faq/affiliate/5001/post_47.html)のもので、アメーバブログが標準で用意している商品検索機能(ブログ編集画面右のアフィリエイト検索タブ)を通じて貼り付けています。アメーバブログに於いては、2018年末から商用利用が許可されており(https://ameblo.jp/staff/entry-12427450584.html)、全てのアフィリエイトサービスが利用可能となっていますが、元より公式以外のものには手を出していません。
繰り返しになりますが、アメーバブログに於いてJASRAC管理楽曲の歌詞掲載が可能であるのは、両者の間で利用許諾契約が交わされているからです。その契約の影響を受けるユーザーが、実際にJASRAC管理楽曲の歌詞が掲載された記事をアップし、そこに運営が公式と認めているALを、運営が標準で用意している機能を用いて貼り付けた場合に、その利用法が認められないとあっては、これを簡単に許せている状況に疑問を投げ掛けられずにはいられません。関連機能のヘルプ(http://helps.ameba.jp/faq/affiliate/)を見ても、特に注意書き等は認められませんでした。
例えば、アメーバブログの運営は2019年の4月末頃にブログネタとして「好きな歌詞のフレーズってある?」といったお題を提示してきていますが(この文言でAmeba検索をすれば多くの記事がヒットします)、これに回答して参考までにとALを貼る利用も許諾の対象外となるとしたら、もはや罠ではないでしょうか。また、歌詞が掲載されている当該の記事にではなくとも、全く別の記事にALがひとつでも貼ってあったとしたら、そのブログは原則的には商用と見做されるはずでしょうから、このケースまで含めると、アウトになるブログの数は膨大だと思います。
もっとシンプルな例として、アルバムのALを記事に貼り付けて、「このアルバムがとても良かった。特に3曲目の〇〇という歌詞が心に響いた。」といった感想を載せるのもダメなのであれば、もはや何のための商品紹介機能、何のための歌詞掲載許諾契約なのかという話で、何処にもメリットがありません。まさかそんなことはないだろうということで、敢えて極端な例示をしてはいますが、原則的に判断されたらこの程度の利用でもリスクになることには変わりないのが恐ろしいです。
2.3 歌詞の引用と著作権法について
結局のところアウトなのかセーフなのか煮え切らない内容になってしまって恐縮ですが、ここからは別の観点に基いてブログ上の歌詞掲載に於ける正当性を主張したいと思います。世の中の全ての楽曲がJASRACの管理下にあるわけではありませんし、そのような楽曲の歌詞を利用する場合への対処も含めて、以降に展開するのは著作権法に関する話です。
2.3.1 引用とは
2.2にも載せた『JASRAC PARK』内の○×クイズ(https://www.jasrac.or.jp/jasracpark/question/blog.html)に再び戻っていただきたいのですが、当該ページの但し書きには「引用」についての記述があり、参考サイトとして文化庁のページ(http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu_jiyu.html)にリンクが貼られています。以降の文章の詳細を知りたい方は、このページを直接ご覧いただくのが最適です。
さて、歌詞に限らず著作物は著作権法で護られているので、原則としては無許可で好き勝手に利用出来るものではありません。しかし、中には自由に著作物を利用出来る場合もあり、そのうちのひとつに「引用(著作権法第32条)」が存在します。専門的なサイトではありませんが、『ニコニコ大百科(仮)』の同法に関するページ(https://dic.nicovideo.jp/a/%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9%E6%B3%95%E7%AC%AC32%E6%9D%A1)がわかりやすくまとまっているので、参考までに併せてご覧ください。
2.3.2 引用の条件
法律上の「引用」の詳しい意味は知らずとも、引用であれば他人の著作物を自由に利用出来るということは、多くの人の知るところではないでしょうか。これが許されていなければ、学術的に価値のある論文や専門書などの執筆はほぼ不可能となります。これらほどおかたいものではありませんが、音楽レビューもつまりは批評・評論だと言えるため、論文や専門書の作成に於いて他者の文献を引用する場合と同じようなことに気をつけなくてはならないと、即ち「引用のための条件を満たす必要がある」との認識です。
そこで、本項では前項に掲載した文化庁のページ「著作物が自由に使える場合」の中から、「引用(第32条)」と「(注5)引用における注意事項」の部分にある記述をまさに引用しながら、正しい引用のための条件と、それを満たすために当ブログ上で行われている配慮について記していきます。なお、以降の本項内に登場する【 】(墨付括弧)は、視認性の向上のために表示しているだけなので、特別の意味を持たないものであることを断っておきます。
2.3.2.1 「公正な慣行に合致すること」
正しい引用のためには、まず「公正な慣行に合致する」必要があります。これには「(注5)」内の「(2)」と「(4)」の記述が深くかかわってきまして、要するに引用箇所を明確にすることと、引用元の明記が必要だということです。
Ⅰ 引用元の明記
当ブログでは、ある作品についてレビューを行う場合、そのディスクもしくは楽曲の基本的な情報を、以下のフォーマットで表示しています。
ⅰ アーティスト名『作品名』(リリース年)
アーティスト名「曲名」(リリース年)
作品名は二重鍵括弧『 』で、曲名は鍵括弧「 」で、リリース年は半角の括弧( )で囲みます。ただし、これは文章中に於けるルールで、記事タイトルではこの限りではありません。【作品名または曲名 / アーティスト名】という表記もありますし、リリース年の表示は通常文章中でのみ行います。
記事内に一度アーティスト名を表示していて、以降に同一アーティストの異なる作品もしくは楽曲について言及する場合には、アーティスト名を省略した表記【『作品名』もしくは「曲名」(リリース年)】にするか、英語の序数を用いた表記【n[st, nd, rd, th]アルバムまたはシングル『作品名』(リリース年)】にすることもありますが、基本はⅰです。また、記事内に一度作品名とリリース年を表示していて、その作品中の各曲に言及する場合には、リリース年も省略した表記【「曲名」】となります。
ⅱ トラック番号. 曲名
ある作品の収録曲を全てレビューする場合(当ブログの用語を使えば、「新譜レビュー」もしくは「旧譜レビュー」の場合)は、各曲毎にⅱのような見出しを作り、「 」は付さずに曲名を表示します。
どちらも文章で説明するとややこしく感じられますが、当ブログ上にある2016年以降のレビュー記事をどれかひとつでもご覧いただければ、直感的に理解が可能かと思います。この決まり事は歌詞の引用以前の話で、要するに歌詞を引用する場合でも、どの作品に収録されているどの曲の歌詞なのかが、きちんとわかるように表示しているということです。
Ⅱ 引用箇所の区別
続いて明らかにするのは、自分の文章と区別をして引用箇所を明確にするためのルールです。まず歌詞については、これを二重引用符" "で囲んで引用であると明示しています。日本語に於ける引用には「 」を使うのが一般的かと思いますが、「 」は曲名を示す記号として使用しているので、異なる記号として" "を採用している次第です。
しかし、雑誌のインタビューや音楽番組での発言など、歌詞ではない引用に関しては、一般的な場合と同じく「 」を使用しています。この手の引用は当ブログにそう多くは登場しないので、曲名を囲う「 」と混同する可能性が低いということと、歌詞の引用は特別に区別したいという表れによるものです。
また、引用文中にスラッシュ/が挿入されている時、これは引用元の文章に於ける改行位置を意味します。歌詞で例示すれば、"一行目/二行目"といった感じです。当ブログに於ける引用は、自分の文章の中に組み込む形での利用が多いので、このスタイルでも改行を正しく表せるようにした配慮となります。
2.3.2.2 「引用の目的上, 正当な範囲内で行われること」
正しい引用のためには、「引用の目的上, 正当な範囲内で行われる」必要もあります。これには「(注5)」内の「(1)」と「(3)」の記述が深くかかわってきまして、引用するだけの十分な理由を有していることに加えて、自分の文章が主・引用される側の文章が従という関係を維持しなければなりません。要するに引用は必要最小限にとどめて、あくまでも自分の文章をメインにするべきだということです。
Ⅲ 引用の目的・その必要性
例えば研究論文の執筆を迫られた時、余程の大天才でもない限りは、先人が残した知恵たる文献に頼ることになるかと思います。先行研究を用いて自身の研究の補強をしていくのが定石のひとつですが、そのためにはどうしても先行研究の内容を自分の論文中に取り入れる、つまりは引用する必要がありますよね。所謂「研究目的の引用」にあたるケースですが、これは引用を行うことに説得性があり、必要な引用であるということが認められやすい事例でしょう。
さて、レビューとは即ち批評・評論のことです。ある対象を様々な角度から評価することで、新たな価値を模索する研究手法こそがレビューであると考えます。その対象が音楽である場合に音楽レビューという言葉が的確となり、当ブログのように内容の殆どが音楽への言及で占められているコンテンツがこれに該当するとの認識です。勿論、僕のような素人が書いている音楽レビューには、何の権威も学術的価値も存在しえませんが、それでも独自研究の名目は冠することが出来るのではないでしょうか。
大仰な書き方をしていますが、個人がブログやSNSなどに投稿した音楽作品に関する文章の中に、たとえ歌詞の引用が含まれていたとしても、それはその作品をレビューしたり感想を述べたりするのに必要な作業であって、引用の目的としては研究論文等のケースと同じく正当なものであると言えるはずです。
Ⅳ 引用の量と力関係
ただし、いくら引用の大義名分となる目的があったとしても、その引用が「正当な範囲内」であるかには気を遣わなければなりません。例えば、ある曲の歌詞の一節についてのみ言及するのに、わざわざ歌詞の全文を載せる必要はなく、この手の引用は明らかに正当の範囲外です。
当ブログで歌詞を引用する場合は、その内容について言及したい箇所のみ、或いはメロディやアレンジの説明に効果的な箇所だけというように、必要最小限にとどめています。しかし、中途半端な歌詞の引用は却って表現者に失礼だとの考え方もあるので、ある程度は纏まりを持たせて引用しています。恣意的に歌詞の一部を切り取って、全く逆の文意に誤認させる文章を書こうと思えば出来てしまいますが、いくら引用を盾に自由に著作物を利用可能だとはいっても、「著作者人格権は制限されない」ということには留意すべきです。
続いて、自分の手に成る文章(レビュー文)と引用元の文章(主に歌詞)の主従関係について述べますと、これは当ブログの記事を実際にご覧いただいた上で、両者の力関係を判断してくださいとしか言えません。量的には、僕の書いた文章が主であることはすぐにわかるかと思います。質的なことは客観視しにくいので、願望を書くしかありませんが、自分の言葉で自分なりに楽曲をレビューすることを常に意識しているので、質的にも歌詞が主にはなっていないと信じたいです。
2.4 動画の埋め込みについて
本記事の大半を占める「歌詞の掲載について」の言及は以上で、ここからのメイントピックは「動画の埋め込みについて」となります。なお、本節で僕が想定している「動画」というのは、全て『YouTube』上にアップロードされているもののことです。当ブログ上には、その他の動画配信サービスを介した利用はありません。
また、本節で問題とする「動画の埋め込み」とは、『YouTube』上にアップされている動画に対して、その動画の投稿者が禁止する設定にしていない限り、第三者に外部サイトへの埋め込みという形で共有を許す機能のことです。非常に便利な仕組みで、対象の楽曲を流す手段があるレビューほど、効果的なものはないと思います。
2.4.1 『YouTube』の現状
ただし、『YouTube』には誰でも動画の投稿が出来てしまうため、権利を持たない者によりアップロードされた動画も多数存在します。悪意からではないと信じたいですが、元の音源をそのまま丸々アップしているものもあれば、削除対策でピッチやテンポを変更しているものもあるほどです。ファンメイドとして、リミックスやマッシュアップ、MAD動画や自作のMVなども存在し、ひとつのカルチャーとして成立しているとは思いますが、楽曲の権利者の許可が下りているかと言ったら、殆どはノーではないでしょうか。
このような現状を鑑みてなのか、最近では権利者(主にレコード会社)が自らのチャンネルを使って、自社アーティストの楽曲やMVをアップするという流れが、とても一般的になっていると感じます。この手の公式にアップロードされている動画は、俗に「公式動画」や「オフィシャル動画」と呼ばれます。
2.4.1.1 公式とは
埋め込みの対象とする動画が公式にアップロードされているかどうかは、何を以て判断するのでしょうか。
手段はいくつかあり、最も確実なのは「このアカウントを利用しているのが権利者本人である」ことを示すマークの有無でしょう。SNSなどにも同様のシステムは存在しますが、『YouTube』に於けるこれは「チャンネルの認証バッジ」(https://support.google.com/youtube/answer/3046484?hl=ja)で、このチェックマークは「公式チャンネルの証」です。しかし、全ての公式チャンネルにこのマークがついているわけではなく、参加資格を満たしていなかったり、そもそもバッジを取得する気がなかったりしたら、公式であっても公式の表示はなされません。
そこで、次なる手立てとしては「公式サイトからそのチャンネルへのリンクの有無を確認する」というものがあります。アーティストやレコード会社の公式サイトを訪れ、「MOVIE・動画」などと題されたメニューの中や、もしくは「NEWS・INFORMATION・最新情報」の中に、当該チャンネルへのリンクや埋め込みがあれば、それは公認としていいはずです。反対に、チャンネルの概要欄或いは動画の説明欄に公式サイトへのリンクがある場合は、必ずしも権利者が貼り付けたとは言えないため、参考程度にしています。
2.4.2 当ブログの場合・その3
当ブログに埋め込まれている『YouTube』上の動画は、全て公式にアップロードされたものです。公式動画の最大の強みは長らく削除されないことで、作品の権利者が合法的に掲載しているものに関しては、『YouTube』側の判断もしくは権利者からの要請で動画の削除に至ることは、当たり前ですが通例あり得ません。一定期間の経過で公開動画を入れ替えるようにしていたり、表現者もしくは出演者が不祥事を起こした結果で全て非公開にされたりとの例外はあるでしょうが、何れも稀です。
僕が楽曲レビューに『YouTube』上の動画を埋め込んだ場合は、その動画も含めてレビューをご覧いただきたいということを意味するので、なるべく長期間の表示に繋がる動画を埋め込むことが、レビュー本来の姿を保持することにもなると考えています。
2.4.3 動画の埋め込みと著作権
ここでそもそもの話となりますが、公式の動画か否かを問わず、動画配信サイトにアップロードされている動画を、ブログなどの外部サイトに埋め込むこと・共有すること自体に、何か違法性はないのでしょうか。
この問題に関しては、『よぅつべえのYouTube講座』(https://youtube-lect.jp/share-illegal)というサイトの記事がわかりやすかったので紹介します。詳細は直にサイトをご覧いただければと思うので、ここには結論だけを載せますと、動画の埋め込みコードやURL自体は著作物ではないので、それを外部サイトに埋め込んでも或いはリンクを貼っても、著作権の侵害にはあたらないそうです。ただし、違法にアップロードされた動画と知っていながら共有をし続けると、その者の著作権侵害行為を幇助したと見做される危険性があるようです。
また、歌詞の掲載とALの併用問題と同じく、動画の埋め込みとALが同時に存在していた場合に、これが商用配信と見做されて、JASRACから個別に許諾を得る必要が生じるかについても、ブログを管理する上では懸念材料となります。
係る行為について説明しているJASRACのページ(https://www.jasrac.or.jp/info/network/pickup/movie.html)で、2つめのフローチャートを参照する限り、公式にアップロードされているものを、非商用で運営されている個人のサイトに埋め込むことは、特に許諾を得ずに行えるものとされていますが、サイトを通じた何らかの収入がある場合は、やはりJASRACに許諾を得ないといけないようです。
ここで再び、2.2.2.3にも載せたJASRACの中の人の見解が窺える『ITmedia ビジネスONLiNE』上のコラム(https://www.itmedia.co.jp/makoto/articles/1309/27/news003.html)の、特に2ページ目を見てみましょう。まず前提として、たとえ公式にアップロードされている動画であっても、それを外部サイトで共有することには、原則的に権利者の許諾が要るようです。しかし、そもそも外部に貼り付けられるようになっているのであれば、規約上も共有を想定しているであろうということで(禁止しようと思えば権利者側でその措置を取れるからだと思います)、貼り付けるのであればオフィシャル動画でと推奨されています。従って、単に動画をブログに埋め込んで表示するという形での利用は、違法にアップされているものを共有していない限り、通常は問題にならないと言えるでしょう。
次に動画の埋め込みとALとの併用があった場合ですが、先のフローチャートと同様、コラム内でもその利用は原則として商用になる旨が示されています。しかし、このケースにも歌詞の掲載とALとの併用問題のところでふれた「現実に則した見解」が当て嵌められると考えられ、個人が目に余るような使い方をしていない限りは、問題視されないと理解したいです。
ただし、この点についてもJASRACから利用案内を受けたという方の体験談をいくつか読んでみますと、2.2.1で紹介した契約締結リストに名前がないサービスもしくは自作のサイトに於いては、たとえ係る行為の主体が純粋に個人で且つ埋め込んだのが公式の動画であっても、ALとの併用が確認されれば(即ち商用利用と見做されれば)使用料の請求が来るみたいです。個人が広告収入を得ているだけならば「商用配信の特例になるのでは?」と思わなくもないけれど、非商用配信の扱いだからとて使用料の支払いを免れるわけではないことは2.2.2.2で説明した通りなので、そこを突かれたのではないでしょうか。
2.4.4 当ブログの場合・その4
リストに照らすと歌詞掲載に対してはアメーバブログが、動画投稿に対してはアメーバアプリが、それぞれJASRACと契約締結済みのサービス名として連ねられています。この書き方だと「両者がクロスした場合は不可になるのか?」との疑問は残りますが、大きくアメーバという括りの中で総合的な判断になっているからこそ、そのサービス下のユーザーが使用料の請求対象になることはないと読み解くしかありません。
リストの説明文中にも「JASRAC管理楽曲を利用したUGC(動画・歌詞)」との包括的な表記があり、ブログサービスに於いてはつまり「歌詞や埋め込み動画が含まれる記事」がこれに該当するため、そのアップロードに個別の利用許諾手続きが要らないとの契約内容であれば、個人に使用料の請求が来ることは当然ないだろうとのロジックです。