国立市にあるアトリエ ルーチェ クラッシカのデザイナー・光田みどりです。
きっちりとした印象のテーラードジャケット。女性らしい華奢なウエストと腰の丸みをなだらかにを強調するニュールックの代表的な作品「バー」ジャケット。
1947春夏 オートクチュール コレクションでお披露目された、クリスチャン・ディオール名作中の名作です。
ニュールックという言葉は、その当時のアメリカのファッション誌「ハーパーズ・バザー」の編集長が、ディオールの初コレクションの作品を目にした感激を表した時の言葉ですが、そのスタイルは決して新しいものではなくファッション史をたどるとリバイバルのシルエットでした。
ディオールのニュールックは16世紀以降の女性のベーシックなスタイルを削ぎ落とし、洗練されたモードとして復活させたものだったのです。
ディオールのドレスの魅力を言葉に例えると「エレガンス」という言葉が一番しっくりくる気がします。
クラシカルなシルエットが見る人を安心させ、シンプルを極め時代を超えた普遍的な美しさが現代の人々をも魅了し続けています。
↓↓左手前のピンクのアンサンブルは1956年春夏オートクチュールコレクションの作品「ROSE ROSE」。
明るい気分にさせてくれるピンク、そしてお花模様のアンサンブルはまるで満開に咲いたローズガーデンにいるような幸せな気持ちに。
ガーデニングを愛したディオールらしい作品たちは「クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ展」の中の「ミス・ディオールの庭」をテーマにしたスペースに展示されていたもの。
ミス・ディオールはディオールの妹カトリーヌのこと。仲の良かった妹カトリーヌの存在も創作のインスピレーション源となっていたようです。
↓↓ディオールの作品が日本の古い雑誌に掲載された時のもの。
洗練されたドレスたちに多くの女性が熱狂していたかが伝わってきました。
↓↓1920年に撮影されたディオールの家族写真を見て気がついたことがありました。
左奥がクリスチャン・ディオール、隣から妹のジャクリーヌ、弟のベルナール、兄レイモン。
手前左から母のマドレーヌ、真ん中が妹のカトリーヌ。右端は父のモーリス。
↑↑お母様のマドレーヌの装いに注目してください。
タイトで無駄のないVネックのシンプルなデザインの上半身、ウエストを細く絞りスカートをたっぷりのギャザーで広げた足首の出るスカート丈(座っているので隠れています)。
まさにクリスチャン・ディオールが提案したコロール・ライン(お花を逆さまにしたようなシルエット)、ニュールックそのものです。
1920年代は、それまでの窮屈なドレスから解放されたいという女性の願望からか、ウエストラインを強調せずにルーズに見せるファッションが流行しました。
変わりやすい流行に流されずクラシカルな女性らしい曲線美を貫いたお母様マドレーヌのファッションを彷彿とさせるデザイン。
印象に残るVネックとつばの広い帽子もお母様のファッションそのものですね*
ガーデニングを愛したくさんのお花を育てていたお母様マドレーヌがディオールに与えた影響力のその大きさと、お母様への大きな愛を感じる発見でした。
仲の良かった妹カトリーヌ、最愛の母マドレーヌへの深い愛が美しいものを生み出す創造源だったことに気づき、ますますディオールへの関心が高まりました。
知れば知るほどその奥深さに心打たれるクリスチャン・ディオールのクリエイション。
青年期は建築家・作曲家・画家・詩人などに憧れを持ったディオールですが、一番初めに職業にしたのは画廊の経営者。
ピカソやジョルジュ・ブラック、マティスなどの有名作家の作品も扱いましたが、まだ無名だったダリやマン・レイなどの作品も取り上げていたそう。
世界恐慌による廃業や結核などの病気も経験し職探しをするも全滅。
画廊時代に入手していた絵画が、かなりの高額で売れ生活の不安から解放され服飾デザイナーの知人の刺激されてデザインの勉強を始めたディオール。
この時に手にしたお金がディオールにとって「長い夜が明け輝き出した太陽のようだった」と自伝に綴られています。
↓↓「クリスャン・ディオール 夢のクチュリエ展」で入ったすぐの右手に展示されていたディオールが若い頃に経営していた画廊の様子。
画家で彫刻家、写真家のマン・レイが1933年6月撮影したもの。
デビューコレクションで世界中をあっと言わせたクリスチャン・ディオールが、長い長い苦悩の時代があったとは想像ができませんでした。
でも、その暗黒の長い時代があったからこそ華々しいファッションブランドのデビューがあったのだと知ると余計に感慨深い気持ちです。
ディオールのデビュー以前もすでにクリストバル・バレンシアガやマドレーヌ・ヴィオネなど美しいシルエットで洗練されたデザインを手がけた巨匠がいました。
それまでの手仕事が大量生産には合わないと退散するバレンシアガやヴィオネの果てしない美への追求は尊敬という言葉では言い尽くせないくらいの憧れがありますが
量産することへのハードルを乗り越え、服飾デザインをアートと同じポジションに高めたクリスチャン・ディオールの美しさへのチャレンジに、その情熱に思わず手を合わせたくなるような想いに駆られます。
次回は、ディオールと日本のつながりについて分析してみたいと思います。
「クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ展」に感動して以前書いたブログ
◎感動冷めきれずに再び考察
◎新緑の季節2度目のディオール展へ
◎ふるさと青森が日本の美を表す素材に
◎白いドレスの魅力を探る
◎2023年のはじめに観た
ps.昨日、今日は真夏のような強い日差しと気温でした。
明日からは5月らしい気温に戻るようですが、気温の乱高下もまた体には負担がかかります。少しでも体に不調を感じる時は無理をせずに養生してご自愛ください*
ベランダのニンニクはもうそろそろ収穫期が近づいてきています。どんなニンニクができているのか、できていないのか、まだなのか...(笑)初めての収穫にドキドキハラハラです。
今日も長々とブログを読んでくださってありがとうございました。
私たちのアトリエではウェディングドレスの制作の経験を活かし、着物リメイクをスタートしました。眠っている着物をとっておきの一着にしませんか。
人やものとの繋がりを大切にすることで未来と繋がる。
守られているような安心感や生きる力が湧いてくる。
本当に好きなもの、捨てたくないもの、長持ちするもの。
そんなものづくりを目指しています。
想う気持ちを形に・・・着物リメイクを始めるきっかけになったこと
和とフレンチの融合・・・大島紬をドレスワンピースに
目に見えない力を感じた着物リメイク・・・小紋と羽織りが引き寄せた偶然とパワー
ふりかえり・2022・・・駆け抜けた撮影までの道のりと自分の変化
思い出いろいろ・・・浴衣地をメンズシャツに
お守りのような存在・・・長襦袢をアロハシャツに
未来とツナガル・・・着物リメイク料金のご案内について
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私たちのアトリエでは
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心豊かになるようなウェディングフォトを残して、この先の人生をさらに豊かに喜びあふれるものにしてみませんか。
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