オーダーメイドウェディングドレスのルーチェクラッシカ

デザイナーの光田みどりです。

 

 

20代前半に経験したイヴ・サンローランのオートクチュールの仕事。

 

 

そこには、それまでの専門学校での知識や経験とは全く違う

パリのアトリエと同じシステムを実現している

オートクチュールならではの、こだわりが散りばめられていました。

 

 

ひとつひとつの仕事が、効率・合理性を全く無視

すべて丁寧に一番美しい仕上がりのために時間を注ぎます。

 

 

例えばミシンをかけるという一見シンプルな作業も

一番熟練の30年以上のベテラン職人が

 

ジャケットの背中心の一本のミシンに

徹夜で一晩かけた、というエピソードがあったり

 

 

普通では考えられない時間の割り振りになっています。

 

 

いきなり本番の縫製をするのではなく

美しいミシン目をかけるために

 

ポケットチーフのような単純なもので

ミシン目や流れ、四つ角の処理の美しさなどを試すために

納得いくまで、何日でも練習を重ねる。

 

 

それが許される、ある意味最高に贅沢な経験。

 

 

時間はたっぷりかけていいので、とにかく最高の美しさを極めるために

手間と時間を惜しまない、そんな世界でした。

 

 

 

生地に手作業で縫い糸で印をつける

糸じるしというやり方があるのですが

 

その糸の位置が糸一本(0.5ミリ)分くらいの差で

パターンの外側を縫ったため、先輩職人からOKが出ずに

 

すべていとをほどいて、4日分くらいの作業を

やり直したときは、がっかりする気持ちと反発する気持ちが起きましたが

 

 

・どこまでも、正確さを追い求めるという点

・言い訳や妥協は通用しない世界だということが

 

 

身にしみてわかったので

自分にとってはかけがえのない体験だったと思います。

 

そのときの経験が今のドレス作りの基盤となっています。

 

 

◎パターンを作るのも一般的な方法ではなく

ボディ上で、体に沿った美しいシルエットを求める

 

◎布を広げるときも、正確に布の流れを整え

型紙を置くときも、1ミリ単位でズレがないかチェックを重ねる

 

◎裁断するときは、はさみの先と奥を使い分け

細やかなカーブ、直線ともに誤差が少なくする

 

◎印つけも布の流れを大切に一点ずつ

丁寧に見やすくつける

 

裁断の下ごしらえだけでも、このくらいの意識を持って作業を行います。

 

 

このくらいこだわっても人の手によるものは

機械のようには行かず必ず誤差が出ます。

 

たとえ誤差が出ても

はじめからいい加減にする作業と

細やかな心を配りながらする作業の違い。

 

 

シンプルなものもど噓をつけません。

丁寧な仕事をしたのか、仕上がりの美しさに

あきらかに差が出てしまいます。

 

 

 

アートは終えることを目的としてしまったらアートではない

いま、ここにすべてを込めるということ、言葉を聞いたことがあります。

 

 

 

まさにウェディングドレス作りも全く同じだと思いました。

 

仕上げることが目的ではなく

今できる作業のひとつひとつに最善を尽くす

 

 

そのひとつひとつの重なりが

ありきたりに魔法をかけられる

たったひとつの方法だと思っています。

 

 

 

[一瞬は永遠をまとう]

 

「この一瞬が、永遠に続いていきますように」

 

という願いをこめて

花嫁の願い、想いを形にするお手伝いをしています。

 

 

 

 

 

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