T大生と貧乏劇団員の間をフラフラした「腹黒の恋バナ」です。週末に更新してます。
昨日の続きです。
ここから27話です↓
しまうま君と電話しながら
腹黒ベティコと普通ベティコが
脳内でせめぎあっていた。
まだ引っ張れ!
もうやめようよ!
勝ったのは
普通ベティコだった。

たぶん引っ張っても
私はFくんと離れられない。
もめ事を大きくするだけ、
傷を深くするだけだ。
フラフラするのは
もう終わりにしよう。





私もそう思ったよ( ;∀;)
しまうま君と絵本の話をして
その居心地の良さに驚いた。
劇団員Fくんは
全く本を読まない人だから
そういう意味で
話が合うかと言われたら
合うわけがない。
だけど。

出会う時期が違ったら
きっと違う展開があった。
しまうま君と
本屋や美術館を回るのは
すごく楽しかった。
普通に考えたら
絶対しまうま君だと思う。
じゃあなんで?
って自分でも思うけど
仕方ないじゃんか

私がそうしたいんだから。








電話を切られてしまった。
まずい…

どうぶつ学習塾の
司令塔エースが
突然いなくなってしまった。



次の日は月曜日で
本来なら、私もしまうま君も
シフトに入っている日だった。
しまうま君は
本当に来なかった。
「あれ?今日エースは?」
「あひるちゃん一人?」
「喧嘩した~?笑」
喧嘩くらいで
済めば良かったんだけど。
本当に申し訳ない。




別れ話のもつれか…
という無言の空気が漂う。
そして
全員の顔に書いてあった。
『あひるちゃんが辞めればいいのに』





針のむしろだった。
パンダ先生(社員)に呼ばれ
私はひたすら謝った。




パンダ先生がイラつく姿を
この時初めて見た。
生徒にも、バイトにも、
「パンダ先生だよっ♡」と
ご機嫌で笑顔の人だったから
この人もこんなふうに怒るんだ…
と思って余計怖かった。
針のむしろ状態でのバイトは
ヘタレな私にはきつくて
本当はすぐ辞めたかったけど
これ以上迷惑をかけるのも悪くて
新バイトが数人採用されるまで
バイトを続けることにした。



しまうま君がやってた仕事は
とりあえず社員二人がやっていた。
届くFAXを仕分けして子供に電話する順番を組む。
これだけ見ると
全然大したことじゃないし
実際しまうま君は
いつもサラッとやっていた。
社員二人がかりでやれば
さすがに何とかなるだろう。
最初は皆そう思っていた。
頑張って丸付けをし、
頑張って電話をかけた。
私たちは普段より頑張った。
だけど
毎日少しずつ終わらなくて
電話できなかった答案が
日々ジワジワと蓄積していき、
さらに私たちは
気付かずにミスをしていて
その一つ一つは
小さいミスだったんだけど
10日ほど過ぎた頃
保護者たちのクレームが爆発し
どうぶつ塾は戦場と化した。