週末恒例の「腹黒な恋バナ」
大学生の時、バイト先でT大生を狙った話です。
『腹黒物語』って
命名してくれてる方がいて
爆笑してしまいました!
昨日の続きです。
第17話 知らなかった彼の本音
劇団員Fくんからの電話は
父に握りつぶされていたと分かり、
少し安心したものの、
そのあと私から電話しても
やっぱりFくんは電話に出ず、
連絡が取れないまま
また数日が過ぎていった。
そんなある日
バイトの帰り道で
T大生しまうま君が言った。






しまうま君がケラケラ笑う。
そっか。実家か。良かった…
いや、良くないな

この今の状況で
実家に行って両親に会うとか…
全然良くない

「実家はちょっと…」
「あひるちゃんが読みたがってた『天上の虹』全巻そろってるよ?」
それは
とても読みたい
持統天皇を中心とした、
壮大な歴史物語、天上の虹。
(大化の改新の前後あたり)
高校の図書室で
借りて読んだものの
続きが読めていなかった。
当時はマンガ喫茶なんて
その辺になかったし
続きを読みたいのなら
本を買うか、人に借りるか。
そしてそんなマニアな漫画を
持ってる人なんか滅多にいない。
いや…耐えろ。
実家はやめとこう。
「やめとく…」
「でも親にもう言っちゃった。」
「なんで
?」
「クッキー焼くとか言ってはりきってた。」
しまうま野郎め…!
断りにくい言い方しやがって…!
そう、人を待たせると
申し訳ないと感じてしまう、
悲しき優等生、ベティコ。
「それに俺の実家チェックしなくていいの?」
「は?」
しまうま君は
クスクス笑いながら
「貧乏な彼氏がイヤで俺に乗り換えるのに、俺も貧乏だったらどうするの?」
ムカッ









しまうま君の家は
キレイな一軒家だった。
豪邸とは言わないまでも
広いリビングの壁全面が
天井まで本棚になってて
ものすごい量の本が並んでいた。
図書館みたーい

私、急激にテンションUP!笑
私は小さい頃から
図書館のすぐ横で育ったんです。
家から徒歩1分のところに
5階建ての県立図書館があり
学校帰りほぼ毎日行ってた。
あまりに入り浸ってたので
スタッフさんほぼ全員が
私のことを知っていて
とても可愛がってもらいました。
5階建ての全てのフロア、
書庫や視聴覚室まで
全部楽しい遊び場だった。
そんな私にとって
本が大量に並んでる空間は
とにかく癒し…!
何時間でもいられる!




しまうま君のご両親は
明るく面白い人たちだった。
腹黒ベティコ、
今後を視野にいれて
全力で猫をかぶり続けた。

よし…( ・`ω・´)!
腹黒ミッション成功。
いい子を演じてしまう、
悲しき優等生、ベティコ。
まだ彼女でもないのに
両親の機嫌取ってどうすんだ…
自分にツッコミ入れながらも
漫画を読んで、本を読んで、
しまうま君とのんびりする休日は
思いのほか楽しかった。
最初に本屋で会って
絵本の話をした時と同じ、
居心地の良さを感じた。
なんか落ち着く。
やっぱ合うんだよあ。
しまうまくんといると。
本とか。興味とか。



猫かぶりが限界に達したため
夕方、早々に退散した。
しまうま君が送ってくれて
一緒に歩いてたんだけど
全力で猫をかぶった疲労が
一気にドッと押し寄せる。
良いおうちだったし
本棚すごく充実してたし
お目当ての漫画も読めたけど。
しまうま君の口車に乗せられ
ご両親に会ってしまい
ますます逃げられない雰囲気。
そう考えると
だんだんムカついてきて
文句を言いたくなった。


しまうま君は顔を赤くして
明らかに動揺していた。
今まで見たことない姿だった。


((((;゚Д゚))))うそ…
いつも涼しい顔で笑ってる人が。
常に落ち着いてて余裕な人が。
焦って赤くなってる!??
((((;゚Д゚))))なんで!?
あまりに予想外な姿に
私までうろたえてしまう。
こんなしまうま君見たことない。



信じられない。
賢い人の照れポイント、
全然分からない

俺様トークは平気なのに?
外堀埋めを指摘されて赤面?
全然分からない

でもこれ、どういうことだ?
心臓がバクバクする。
つまり私のことは
単なる興味本意ではなく…?
恐る恐る聞いてみる。




必死((( ;゚Д゚)))?
いつも余裕そうだったのに?
何でもお見通しだったのに?
サラリとやってたのに?
まだ顔が少し赤いしまうま君。
そんな彼を見て思った。
ちょっと賢すぎるだけの
普通の人だ

一気に親近感が湧いた。
しまうま君の本音を知って
素直に嬉しかった。
しまうま君にとって私は、
ゲームみたいなもんだろうと
その時までそう思っていた。
変な女が現れて
面白がってるんだろうと。
Fくんへの対抗心というか
負けず嫌いなんだと思ってて
頑張ってくれてたとは
全然知らなかった。
この人と
付き合ってみよう

ようやく迷いが晴れた。
よし!次に行こう!
なんか吹っ切れた。
私は明るい気持ちで
しまうま君に説明した。

そうだよ。
さっさとそうすれば良かった。
電話だとラチが明かない。
直接話をしに行こう。
振る、振られる、
もうどっちでもいい。
この微妙な状態を終わらせて
楽しい誕生日を迎えるんだ。
しまうま君はいつのまにか
すっかり調子を取り戻し
いつもの笑顔で言いきった。

私は思わず
吹き出してしまった。
さっきの姿を思い出すと
可笑しくてかわいい。笑
強気なんだか弱気なんだか。
本に囲まれ育った私たち。
気が合うし落ち着く。
仲良く付き合える気がした。
やっとトンネルを抜けられる。
そう、思ったんだけど。
神様は意地悪だった。
誕生日まであと10日。
続きます
→第18話
抜き打ちで彼のバイト先に行き
初めて分かったこと。
見に来てね~(*´∇`*)
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