ベティコです(*´∇`*)

週末はあひる物語を更新中です。

 

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クローバークローバークローバークローバー

 
狙っていたT大生しまうま君と
付き合えることになりましたが
 
しまうま君に
「今の彼氏と別れてきてね」
と言われてしまいました。
↑そりゃそうだw
 
******** 宿題 ********
T大生と付き合うために
劇団員と別れましょう。
*************************
 
劇団員Fくんとは
いつかは別れようと思ってたけど
あまりに突然すぎて
私は内心とても気が重かった。
 
だけど、
奇跡的につかまえたT大生を
絶対に逃がしたくないので←
 
劇団員Fくんに別れ話をしに
彼のバイト先へ向かいました。
 
クローバークローバークローバークローバー
 
見慣れたカフェの窓際席で
コーヒーを片手に
バイト中のFくんを眺めながら
私は心の中で繰り返す。
 
本日のミッションは
バイト終わりのFくんに別れ話をすること。
 
 
Fくんはカフェで働いてて
そこは私の元バイト先でもあった。
 
私とFくんはこの店で
バイト仲間として出会いました。
 
私が大学2年生で
Fくんは20歳フリーターだった。
 
彼の第一印象は
クローバーすごくカッコイイ
クローバーすごく背が高い
クローバーすごく声が大きい
クローバーすごく笑顔
 
とにかくいつも笑っていて
太陽みたいな人だった。
 
Fくんが役者を目指してるのは
バイト仲間はもちろん、
社員も常連さんもご近所も知ってて
みんなで応援してました。
 
Fくんは既に20歳でしたが
主に学園ドラマの生徒役で
たまにテレビに出たりしていて
 
主要キャストではなく
エキストラ的な役だったものの
 
みんなでドラマをチェックしては
「昨日、一瞬映ったよね爆  笑
と盛り上がる、楽しいバイト先でした。
 
そんなFくんは
なぜだか私に告白してきて
付き合うことになりました。
 
私の腹黒がまた露呈しますが
彼の外見に惹かれて←
 
ちょうど彼氏がいなかったし
大変貴重な人材だから
逃してはならないと思った爆  笑
 
だってめったにいないから!
私を好きになる男、超貴重!笑
 
クローバークローバークローバークローバー
 
実際に付き合ってみると
劇団員のFくんは
小さい子からお年寄りまで
誰に対しても等しく優しかった。
 
他のバイトが面倒がるような
トイレ掃除やビラ配りなども
「俺がやるよ~」と笑顔で引き受ける。
 
いつも前向きで
愚痴や悪口を一切言わず
毎日キラキラと笑ってる人でした。
 
ただし貧乏で基本的に一日一食。
(※バイトのまかないでした)
「腹へった~!」が口癖でしたが
いつも元気に笑ってた。
 
風邪をひいて熱があっても
「俺さ~お金払えてなくてさ~」
「保険証ないから病院いけねえw」
とやっぱり笑顔。
 
「また電気止まったんだよ~!」とか
「税金の督促につかまった!」とか
(家の前で役所の人が待ってたらしい)
 
わりと大変そうなのに
いつも楽しそうに笑っていて
一緒にいると元気になれた。
 
腹黒ベティコにないものを
Fくんは持っていました。
 

最初は外見に惹かれましたが

気付けば中身が大好きでした。
 
クローバークローバークローバークローバー
 
付き合ってしばらくした頃
Fくんの誕生日が来ました。
 
毎日バイト尽くしで
とても忙しいFくんなので
夜、彼が住んでたボロアパートで
2人で誕生日パーティーをした。
 
私は家でスポンジケーキを焼いて
ホイップクリームと果物を買って
彼の家に持って行きました。
 
お世辞にも上手とはいえない、
手作りの誕生日ケーキ。

 

ロウソクをさして火を灯し、
私がハッピーバースデーを歌って…
 
 
りんご「はい、ロウソクどうぞ!」
イルカ「え?これ吹くの?」
 
りんご「吹いてよ爆  笑
イルカ「すげ~!俺はじめて!」
 
りんご「…はじめて?」
イルカ「うん。こんなふうに誕生日祝ってもらったことないニコニコ
 
りんご「一回も?親は?」
イルカ「ウチの両親、俺に興味ないじゃん?笑」
 
りんご「そっか。」
イルカ「自分のための丸いケーキなんて人生初だよ!ベティコちゃんありがとう!」
 
りんご「うん!Fくんおめでと~!」
 
私は笑顔で拍手しながら
内心、激しく動揺しました。
 
誕生日のロウソクを
1回も経験しないまま
大人になる人もいるんだ
 
同情…とは違って
衝撃、が近いでしょうか。
 
誕生日を祝ってもらう。
皆に見守られてロウソクを吹き消す。
 
当たり前と思っていたことは
そうじゃなかったのかもしれない。
初めてそう思いました。
 
クローバークローバークローバークローバー
 
Fくんは笑顔いっぱいで
私のしょぼい手作りケーキを
美味しい美味しいと食べてくれて
 
イルカ「こんなに嬉しいものなんだね~」
イルカ「誕生日ケーキのロウソクって、ドラマの中とか一部の人だけだと思ってたよ~」
 
その屈託のない笑顔を見て
私は心底思ったんです。
 
これまで1回も
親に誕生日を祝ってもらえず
放置状態で育ったのに、
 
卑屈にならず、不満を言わず、
誰に対しても親切で
疲れている時もいつも笑顔。
 
人柄が素晴らしすぎる( ;∀;)
 
私は毎年ずっと
誕生日会をしてもらったのに
人柄としては非常に残念で、
 
すぐ愚痴るし…
不平不満でいっぱいだし…
雨が降るとご機嫌ななめ…
 
クローバークローバークローバークローバー
 
Fくんはケーキを前に
まだテンション高く喜んでて
その笑顔がすごく可愛くて
 
「来年も…」と言いそうになって
でも、やめた。
私は冷静だった。

 

恋愛と結婚は違う。
これは期間限定の恋。
 
どんなに人柄が良くても
電気代すら困るような暮らし、
私には無理。耐えられない。
 
ある程度の時期になったら
結婚を視野に入れて、
将来有望な高学歴男子を探さなきゃ。

 

クローバークローバークローバークローバー
 
思ったより早く
その時が来ちゃったな…
 
そんなことを思いながら
飲みかけのコーヒーをすする。
 
私も以前はここでバイトしてて
でも運ぶ料理が重くて辞めた←

 

その後は週に何回か
大学帰りにこのカフェに立ち寄り
Fくんのバイト終わりを待って
一緒に帰るのが日常でした。
 
ふと気が付くと
カフェは満席になっていて
 
Fくんは店の奥の方で
料理を運んだり片付けたり
テキパキと働いている。
 
Fくん忙しそうだな…
でも今日も笑ってる…
めっちゃ笑顔やん…
あ、また笑った…
 
離れた席から
Fくんを眺めていた私は
ふいに泣きそうになった。
 
 
 
 
 
 
 
 
あの笑顔の人に
私は今から別れ話をする。
 
 
続きます