週末恒例の「腹黒な恋バナ

大学生の時、バイト先でT大生を狙った話です。

昨日の続きになります。

 

 

 

第15話 タイムリミット 

 

 
T大生しまうま君の声で
ハッと我に返った。
 
 
牛しっぽ「どうしても指輪はイヤなの?」
 
 
そうだった。
しまうま君と歩きながら
話をしている最中だった。
私の誕生日プレゼントの話。
 
話してる途中で
劇団員Fくんの指輪のことを
色々と思い出してしまい、
 
ついボーッとしてしまった。
慌てて言い返す。
 
 
りんご「指輪とかピアスとか小さいものは失くすからヤダ。しまうま君がくれたもの失くしたら悲しいし。」
 
 
ちょっと機嫌を取ってみた。
腹黒ベティコだって
多少は演技出来るんだぞ。
バレてるかもしれんけど…
 
 
牛しっぽ「じゃあネックレス?まあいいや、とりあえず見に行こう?」
りんご「誕生日まだ先だよ?」
牛しっぽ「まあいいじゃん。」
 
 
私としまうま君はその足で
ジュエリーショップに行った。
 
 
ちょうちょ「いらっしゃいませ~」
牛しっぽ「彼女の誕生日なんですけど…」
 
 
か、彼女…((((;゚Д゚))
 
 
ちょうちょ「おめでとうございます~」
りんご「いえ、まだ先なので…」
ちょうちょ「彼女さんはどんな感じご希望ですか?」
 
 
彼女さん…((((;゚Д゚))
 
 
私ってもう
しまうま君の彼女なのか?
 
ショップのお姉さんに
「彼女さん」と連呼されるたび
微妙な気分になる。
 
 
牛しっぽ「指輪がイヤだって言うので~」

ちょうちょ「彼女さん、指輪キライなんですか?」

りんご「…失くしそうで。」

 

 

しまうま君は

その分野にも詳しいのか

 

ピンクゴールドがどうとか

誕生石がどうとか

 

ショップのお姉さんと

楽しげに話し始めた。

 

私はそんな二人の様子を

ぼんやり眺めながら

 

これを受け取ったら

本当に「しまうま君の彼女」になっちゃうな…

 

と他人事のように思った。

嬉しいような、寂しいような、

不思議な感じだった。

 

「T大生の彼女になりたい」

私が自分でそう望んで

待ち伏せしたところから始まった。

 

腹黒ベティコの思惑どおり、

ついに願いが叶う…けど。

嬉しいはず…なんだけど。

 

 

牛しっぽ「毎日つけるんだから、あひるちゃんも好きなデザインがいいよ。」

りんご「うん。(毎日つけるのか…)」

 

 

並んでいるネックレスを眺める。

キラキラしてて綺麗。

少しテンションが上がる。

 

 

二人で相談して選んだのは

シンプルなネックレスだった。

 

上品で華奢なデザインが

率直に「可愛い♡」と思った。

 

ちょうちょ「彼女さん、色白だからとってもお似合いですよ~」

 

ショップのお姉さんにも

お世辞を言われているうち

 

なんだか嬉しくなってきて←単純

「つけてもいいかも…」

と思い始めている自分がいた。

 

 
牛しっぽ「これ誕生日当日に渡すね。」
りんご「うん。」
 
牛しっぽ「誕生日行きたいとこある?」
りんご「ん~お台場とか?」
 
 
20数年前のお台場は
出来たばかりの
憧れデートスポットだった。
 
ミーハーな私は
ちょっと行ってみたかった。
 
そして改めて思った。
劇団員Fくんには
こういうことを普通に言えない。
 
どこに行きたいとか
何を食べたいとか
 
お金がかかることなので
内心とても気をつかっていた。
 
貧乏劇団員の彼には
一度も言ったことがない。
本当に食べたいもの。
本当に行きたい場所。
お金のことで
彼に無理をさせたくなかった。
 
私が奢るのも
彼を傷つけてしまいそうで
全部割り勘にしてたけど、
 
仮にお台場に行くとすれば
往復交通費だけでも
一人2000円程度かかるし、
何か食べたり遊んだりすれば
もっとお金を使わせてしまう。
 
しかも
時給で働くFくんにとって
1日デートするってことは
1日バイトを休むってこと。
その日の分のお金が入ってこない。
 
ほぼ休みなくバイトしても
生活が苦しい劇団員Fくん。
しっかり食べないと身体壊すし
これ以上税金を滞納してほしくない。
 
彼から誘ってくれれば
「今月は余裕あるのかな?」
と思ってお出かけできたけど
ごくわずか、ほんの数回だった。
 
その辺のマックでも
すごく楽しかったんだけど
 
本当は
Fくんと行きたい場所が
たくさんあった。
 
 
クローバークローバークローバークローバー
 
 
ジュエリーショップを出て
しまうま君と駅に向かいながら
「それにしても…」
と私は心の中でつぶやく。
 
たぶん外堀を
埋められている滝汗
 
T大生のしまうま君、
賢い人はさすがだった。
 
誕生日プレゼントを選ばされ
楽しい気分にさせられて
当日行く場所も何となく決まり
 
いつのまにか
約束したかのような雰囲気。
 
誕生日はしまうま君と過ごす
 
「それが当然」という流れに
スマートに持って行かれる。
 
「しまうま君の彼女」として
周囲からも扱われ
彼女だと自覚させられる。
 
すごいな…と思った。
優しげなふんわり笑顔で
サラリとやってるけど
これ全部計算してるのかな。
 
でも、たぶん
これくらいされないと
私は次に行けないんだ。
 
助けてあげるよ
一人じゃ抜け出せないと思うよ
 
しまうま君はそう言った。
私よりも私のことを
分かっていたのかもしれない。
 
この期に及んで
私はまだFくんを迷ってる。
自分から音信不通にしたのに。
 
すごく別れたいけど
すごく別れたくない。
 
 
クローバークローバークローバークローバー
 
 
その時だった。
 
突然しまうま君が
ズバリと切り込んできた。
 
 
牛しっぽ「誕生日までに宿題終わらせてきてね。」
 
 
心臓止まるかと思った。
この1ヶ月何も言われず、
ただ楽しく会ってきて
 
すっかり忘れていた。
いや、忘れてなかったけど
忘れていたかった。
 
「彼氏と別れてきて」と
宿題を出されてから
もう1ヶ月以上経っている。
 
そうだよ。そりゃそうだよ。
自分、いい加減にしろよ。
 
あひるの分際で、
どんだけ引っ張るんだよ。
 
次の恋に行こう。
次の恋に行くんだ。
 
もうきっと
あの指輪は見つからない。
 
運命じゃなかった。
そういうことだ。
 
 
りんご「分かった!!宿題ちゃんと終わらせてくるから!」
牛しっぽ「大丈夫かな~笑」
 
りんご「今度こそ大丈夫!もう1ヶ月会ってないし、全く電話もしてない。」
牛しっぽ「1ヶ月!?劇団員くん何も言ってこないの?」
 
りんご「……うん。たぶん私がフラれるんだと思う。」
 
 

怖いけど白黒つけよう。

タイムリミットは約2週間後。

私の誕生日。

 
 

 

続きます
このシリーズは土日更新です。
次回は来週2/22お昼12時です。
 

第16話「濡れ衣」

見に来てね~(*´∇`*)

 

 

 

\フォローして待っててね/

 

 

 

 

 

《SNSや執筆記事もぜひ》

Instagram Instagram

基本タイプ Twitter

 

yahoo!エキスパートとして

記事執筆しています→こちら

 

\PR依頼などお仕事のご依頼/

 

 

 

オンラインサークル運営中