週末恒例の「腹黒な恋バナ

今週も土日更新します(*´∇`*)

 

【これまでのお話】

大学三年生の秋、劇団員と付き合っていた私は、彼の人柄が大好きだったものの将来が不安で、有望なエリートに乗り換えたいと思っていた。

 

そんな時、新しいバイト先でたまたまT大生しまうま君と知り合い、運良く付き合えることに。

 

そのため、私は「劇団員Fくんと早急に別れなければならない」という状況になった。

 

しかしどうしても言い出せず、とりあえず音信不通状態にして1ヶ月が経過。

 

その間、劇団員Fくんからほとんど連絡がなかったことにショックを受けつつも、ようやく別れる覚悟ができた。

 

別れを告げるため、最後に会う約束をしようと私は彼に電話をかけた。

 

 

 

ここから14話です↓
 
腹黒ベティコは
大きなため息をついた。
 
これはもしかして…
避けられてる滝汗
 
別れようと思って
劇団員Fくんの携帯に

何度か電話しているのだが

彼は全然出なかった。

 

 

何しろ20数年前の

出始めの携帯電話で

留守電も残せなかった。

着歴は…残りましたっけ??

 

記憶が定かではないですが

とにかく電話しても出ないし、

後で折返しもかかってこない。

 

あ、もちろん折返し先は

私の家の固定電話です。

(当時携帯持ってませんでした)

 

困った滝汗

私はちゃんと別れたかった。

どうしても優等生気質なもので

 

T大生しまうま君にも

ヒツジとその仲間たちにも

Fくんとは別れました。

宿題終わりました。

とハッキリ言いたい。

自分の気持ちも整理したい。

 

この音信不通1ヶ月について

Fくんはどう思ってるんだろう。

なぜ電話に出ないんだろう。

 

私の腹黒がバレたんだろうか?

しまうま君と会ってるのを

目撃されてしまったとか?

 

私に会いたくないなら

せめて電話上でもいいから

別れましょう。

はい。そうしましょう。

というやり取りをしたい。

自然消滅は困る。。。

 

 

クローバークローバークローバークローバー

 

 

モヤモヤしたまま

相変わらず週に何回も

T大生しまうま君と会っていて

それはそれで楽しかった。

 

 

牛しっぽ「あひるちゃん、もうすぐ誕生日だよね?」
りんご「…そうだけど、なんで知ってるの?」
 
 
休日、遊びに行った帰り
駅付近のショッピングエリアを
しまうま君と歩いていて
突然そんな話になった。
 
 
牛しっぽ「前に美術館行った時、学生証出したじゃん。生年月日見えた。」
りんご「怖っ!探偵かよガーン!」
牛しっぽ「はははは爆  笑あひるちゃんの誕生日に指輪プレゼントしたいんだけど、今から見に行かない?」
 
 
…指輪((((;゚Д゚))))?
 
 
りんご「指輪はちょっと…」
牛しっぽ「なんで?」
りんご「なんでって…」
牛しっぽ「劇団員くんに見られたら困る?」
 
 
しまうま君がまっすぐ
私に視線を向ける。
 
週に何回も会っていたけど
しまうま君はFくんの件について
この日まで何も言わなかった。
 
お互いそこには触れず
ただ楽しく会っていたので
突然こんな話になり、私は焦った。
 
でも。
この人に嘘をついても
必ずバレる。
 
りんご「そうじゃないけど、指輪をディズニーランドで失くしたことがあって、スタッフの人にも迷惑かけたし…失くすと嫌だから指輪はいらない。」
 
嘘はついていない。
ほぼ本当のことを言った。
 
この1年前の出来事を
私はずっと引きずっていた。
 
 
クローバークローバークローバークローバー
 
 
1年前の誕生日
劇団員Fくんに指輪をもらった。
 
完全にサプライズで
予想もしてなかったから
すごく嬉しかった。
 
その3日後、Fくんと
ディズニーランドに行った。
誕生日記念デートだった。
 
そこで私は
もらったばかりの指輪を
失くしてしまったのだ。
 
 
スプラッシュマウンテンの
列に並び始めた時
私は確かに指輪をしていた。
 
平日でそんなに混んでなくて
列は45分待ちくらいだった。
 
もうそろそろ乗れそうという時
ふと見たら指輪がなかった。
私は真っ青になった。
 
 
イルカ「ベティコちゃんどうした?」
りんご「どうしよう。指輪がないガーン
 
 
さっきまであったのに!
なんで?落とした?
 
 
イルカ「大丈夫だよ。並び始めた時に指輪してたなら、ここまでの列のどこかに落ちてるはずだよ。」
りんご「そ、そうだよね。」
 
 
Fくんと私が
列を抜けて探し始めると
通りかかったスタッフさんが
声をかけてくれた。
 
 
うさぎ「どうかされましたか?」
りんご「指輪を落として…」
うさぎ「お手伝いします。どんな指輪ですか?」
 
 
スタッフさんはとても親切で
さすがディズニーランドだと思った。
 
連絡してくださったのか、
気付けば何人も
スタッフさんが集まってくれて
皆さんで一緒に探してくれた。
 
落としてから
最大でも40分程度しか
経っていないはず。
 
並び始めた位置から
アトラクション乗り場付近の
列の途中どこかで落としたはず。
 

スタッフさんはもちろん

周りのお客さんも探してくれた。
私もFくんも
何度も同じ道を通り確認した。
 
何人もの人で
1時間以上探した。
 
でも
指輪は見つからなかった。
 
 
クローバークローバークローバークローバー
 
 
ディズニーランド内の
落とし物センター的なところで
私は泣きじゃくっていた。
 
Fくんが代わりに
遺失物届を書いていて
その横でずっと泣いていた。
 
プレゼントされたばかりの指輪を失くしてしまった。
 
ひたすら申し訳なかった。
貧乏劇団員のFくんが
電気代を滞納しながら
プレゼントしてくれた指輪。
 
まだ3日しかつけてなかったのに。
 
Fくんからもらった、
初めてのプレゼントだった。
 
最高に楽しい1日になるはずだったのに、台無しにしてしまった。
 
Fくんとお出かけなんて
ほぼしたことがなかった。
 
彼は本当にお金がなくて
デートと言えば
その辺を散歩するか、
マックで何か食べるか。
 
それだけでも
いつも充分楽しかったけど、
 
イルカ「誕生日記念にディズニーランドに行こう」
 
とFくんに言われた時は
すごく嬉しかった。
本当に楽しみにしていたのに。
 
私のせいで最悪な一日になってしまった。
 
せっかくディズニーに来たのに
Fくんに嫌な思いをさせて
買ったばかりの指輪を失くし
無駄なお金を使わせてしまった。
 
悲しくて、申し訳なくて
涙が止まらない。
 
人の目を気にする余裕もなく
私はただ泣きじゃくっていた。
 
 
 
イルカ「楽しみができたね!」
りんご「へ?」
 
 
Fくんの言葉に
思わず涙が引っ込む。
 
楽しみって…何が?
 
全く意味が分からずに
Fくんを見上げると
太陽みたいな笑顔があった。
 
 
イルカ「大丈夫、指輪は必ず見つかる。明日か、2週間後か、3か月後か分かんないけど、必ず見つかってディズニーランドから電話がかかってくるよ。だからその日を楽しみにして一緒に待とう。指輪が見つかる楽しみができたねってこと!」
 
 
…(´இдஇ`。)!
 
 
私はさらに泣いた。
泣けて泣けて仕方なかった。
 
泣きながら思った。
もしあの指輪が見つかったら。
もし私の手に戻ってきたら。
 
これは
期間限定の恋じゃなく
運命の恋だ。
 
神様が言ってるんだ。
この人と一緒にいなさいと。
離れてはいけないと。
 
もしあの指輪が見つかったら
もう何も迷わなくていい。
だって神様が決めた運命だから。
 
貧乏でもフリーターでも
とことん好きでいていいんだ。
 
こんな状況でも
「楽しみができた」と
笑って励ましてくれる人。
 
ずっとFくんと一緒にいよう。
もういらないと言われるまで。
私からは絶対離れない。
もしあの指輪が戻ってきたら。
 
 
神様。
どうか指輪が
見つかりますように。
 
 
ようやく私は泣き止んだ。
困っていたスタッフさん達も
ホッとした様子で
笑顔で励ましてくれた。
 
 
猫あたま「アトラクション付近は凹凸が多いので、何かの拍子に入りこんで見えないってこともあるんですけど、風とか雨とか振動とかで移動して、昨日まで確実になかった場所でなぜか翌日見つかるってこと、なくはないですから!」
 
熊あたま「あと、あれですね、別のお客様の荷物に紛れてしまって、その方がご帰宅されてから気が付かれて、ディズニーランドにお電話くださるってこともあります!」
 
イルカ「そういうこともあるんですね。なんか俺、絶対見つかる気がしてきましたてへぺろ
 
猫あたま「見つかったら必ずお電話さしあげますので!」
 
りんご「すみません…よろしくお願いします」
 
 
クローバークローバークローバークローバー
 
 
あの日から
ほぼ1年経ってしまった。
 
もうすぐ私の誕生日が来るから
そういうことになる。
 
ディズニーランドから
電話はかかってこなかった。
 
最初の一週間は
ものすごく期待して待った。
すぐ見つかると思っていた。
 
一ヶ月経ったころも
まだ全然諦めてなかった。
指輪が見つかる夢を何度も見た。
 
二カ月経ち、三カ月経ち…
「鳥が巣に持ち帰ったとか?」
なんてFくんと推理しあって
二人で楽しみながら待ったけど
 
半年経つころには
ほとんど話題にしなくなった。
 
もう見つからないかな…
と薄々思ったけど
 
だけど、もしかしたら
明日何かの拍子に
見つかるかもしれないじゃん?
 
その可能性は
ゼロではないじゃん?
 
Fくんと別れたあとに
指輪が見つかったら困るじゃん?
運命のがしちゃうじゃん?
 
 
クローバークローバークローバークローバー
 
 
本当は分かってた。
きっともう見つからない。 
 
でも心の片隅に
少しだけ希望があって
あの指輪をずっと待ってたから
他の指輪は…ちょっと。
 
 
神様。
この恋は運命じゃないんですか?
いつまで待てばいいですか?
 
もし今、あの指輪が
一年越しに戻ってきたら。
もう絶対迷わないのに。
 
 
 
続きます