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7年も前に書かれた本で、執筆時の著者の予想通りに世界は動いていないけれど、今後、金の価格はどうなるのだろうか? と思いつつ読んでみた。2011年11月初版。

 

【世界恐慌の形】
 今度の世界恐慌が奇妙なのは、デフレ(不況)とインフレ(お金の紙切れ化)が合体した形であることだ。・・・中略・・・・。それは、やっぱり「各国政府が当座に必要(民間銀行群の救済)に迫られて、いいかと思って仕方なくお札(紙幣)と国債を大量に刷り散らかして、実体(実需)もないのに国民経済をジャブジャブにするからだ」というものだ。(p.23)
 恐慌で破綻した民間銀行が救済された場合、その民間銀行は実質的に国有化されることになる。そしてこれは、実質的に統制経済に向かうことになる、と記述されている。
 チャンちゃん的に上乗せするなら、これすなわち「世界支配者=国際金融資本家」たちが目指しているワンワールド監視社会の実現に向かってゆく過程としての最終段階になるはずである。
 なぜなら、下記リンクにあるように、BIS規制によって各銀行は国債を保有しなければならないように方向づけられていたのだから。
   《参照》  『2012年、日本経済は大崩壊する』 朝倉慶 (幻冬舎) 《前編》
            【BIS規制】

 

 

【ソブリン・リスク】
 次の金融恐慌の引き金となるのは、ただ単に金融崩壊( financial havoc 銀行の連鎖的な破綻。決済の不能)ではなくて、国家財政そのものの決済不能(国家自身のデフォルト)であることだ。(p.23-24)
 ソブリン sovereign とは国王(君主、王様)のことであり、国王が発行した借金証書が、すなわち今の国債(ナショナル・ボンド)である。この国債の信用が危ぶまれている、ということだ。(p.34)
 日本のバブル崩壊後も、リーマンショック後も、「巨大銀行を救済しないと波及が大きくなる」という口実で、国費を投入して巨大銀行を救済してきたのだけれど、このような過程で国家は国債を乱発的に発行することになった。
 これは、【徴税請負人としての宮廷ユダヤ人】を嚆矢とする「世界支配者=国際金融資本家」たちが、マネーサプライという「常識」を『盲点』として目指していたことであり、今まさに最終段階に達していて、いつでも恐慌を暴発させることができる状態下であることを示している。
   《参照》  『日本の盲点』 苫米地英人 (ヒカルランド)
            【マネーサプライという「常識」】

 しかし、近年は、下記リンクにあるように、民間銀行がBIS規制にしたがって保有していた国債を、各国の中央銀行や経済圏の中央銀行が買い集めるという状況に変わってきている。
   《参照》  『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』 竹田和平・舩井勝仁・小川雅弘
            【クジラの役割:国債の買い手】

 であれば、全世界で同時・協調的に「徳政令を実施する」こと(GESARAの主要な骨子の一つ)で、崩れてしまっている各国のバランスシートを修復するという手立ても不可能ではない。恐慌の「引き金」を引くことなく、ソブリン・リスクを収束させることができる方法は、唯一これだけだろう。
             【借金チャラの秘策】
   《参照》   『ついに来たその時!神仕組みの号砲が響き渡ります』 田村珠芳 (徳間書店) 《後編》
             【銀河連邦と天皇】

 

 

【NY株式が暴落したら】
 リーマンショック後、アメリカはQE1,2,3という量的緩和(ジャブジャブ供給)策を実施したけれど、
 それは家計(一般国民)の「バランスシート調整」を支援するためであった。このことは多くのエコノミストに指摘されている。どういうことかと言うと、株の値段を吊り上げることで、それを保有する企業だけでなく、自営業者や上層サラリーマン層が資産評価で銀行から借金返済の催促に遭わないようにするためであった。やっぱりNYの株式が暴落を開始したらアメリカはおしまいだ。(p.110)
 日本人とアメリカ人の経済生活(資産活用)のしかたは大きく異なっている。日本人は投資目的の住宅保有などしないけれど、アメリカ人は持ち家の含み資産を担保に、投資目的の住宅を保有し、株価にほぼ連動している不動産価値が上がれば、さらに住宅を買い増すようなことをしている。だから、株価が下がると、一般家庭のバランスシートが一斉に傾き、銀行から貸し剥がしにあうようなことになるのである。
 不動産相場が命運を握っていることは、中国もアメリカも同じである。
   《参照》  『人民元の正体』 田村秀男 (マガジンランド) 《後編》
            【米中経済モデルの類似点と相違点】
 株と不動産については、一国の経済の最も重要な、そして分かりやすい指標(インデックス)である。株価については、だからアメリカ政府が今でもインチキをやって、無理やり値段をPKOで釣り上げたまま、なかなか下落させない。・・・中略・・・。必死に裏から介入して、1万ドルの壁をNYダウで守っている。(p.112)
   《参照》  『嘘だらけ世界経済』 ベンジャミン・フルフォード×板垣英憲 (ヒカルランド) 《中編》
            【アメリカ株の株高原因】

 アメリカと中国と日本の株価が、同じ比率で大きく下がったとした場合、アメリカと中国のダメージは、日本に比べてかなり大きい。
 このような点や、金融工学というレバレッジで膨らました金融バクチ商品をバラ撒いてきた点を踏まえた場合、アメリカがその他の国と一緒に、「全世界同時全部チャラという徳政令」の恩恵に浴するのは、誰が考えたって不当である。どのような着地点で折り合いをつけるかは、各国代表担当者による話し合いによるのだろう。
 戦争と金融恐慌をペアで画策していた連中は、勿論、問答無用で監獄行きである。

 

 

【金価格の高騰予想】
 金は今の1グラム4000円ちょうどあたりから、5000円、6000円を目指し、やがて8000円になると予測する。そして1万円を突破する。そして1万2500円にまで高騰する、と見ている。
 つまり、現在の2倍、3倍になっていくということである。(p.65)
 2018年2月現在、本書が書かれた2011年と比べて、金の価格は2割程あがっているけれど、副島予想ほど急速に上がってはいない。
 副島さんの、金暴騰の根拠は、紙幣の過剰(ジャブジャブ)供給によって、ユーロもドルも紙屑化してゆくので、いずれ『「金・ドル体制」=「ブレトン・ウッズ体制」=「ドル基軸通貨体制」の終わり』が来て、金の価格が高騰する、というもの。
 ではなぜ、「金・ドル体制」が明確に終わっていないのか? 
 「世界支配者=国際金融資本家」たちは、9・11を機に、アメリカ(ロックフェラー)からヨーロッパ(ロスチャイルド)に世界覇権を移してから、HSBC経由で中国によるアジア支配を目指そうとしたらしい。
   《参照》  『聖書の暗号は知っていた』 伊達巌 (徳間書店) 《中編》
            【911の真の目的】

 しかし、「世界支配者=国際金融資本家」たちが最も復活を畏れている日本に、巨大な金の鉱脈が見つかってしまったから、最後の引き金(=「金・ドル体制」の終わり)を引くに引けなくなってしまったのだろ。
 3・11という潰しを計画され、徹底的に封印され続けている日本だけれど、潜在的な実物資産をワンサカ保有している日本は、そうそう簡単に潰れない。
   《参照》  『嘘だらけ世界経済』 ベンジャミン・フルフォード×板垣英憲 (ヒカルランド) 《中編》
            【黄金の国・ジパング】

 

 

【誰がこれからの「金の世界値段」を決めるのか】
 それはおそらくBRICsが決めていく。すなわち新興大国であるブラジルとロシアとインドと中国。それにプラス、南アフリカである。(p.213)
 新興大国BRICs5ヵ国は、すべて金が出る国だ。かつ、いまだに貧乏大国である。・・・中略・・・。
 しかし、それでもインドとブラジルと中国の激しい経済成長と富裕化はもはや止めることはできない。この動きは人類史(世界史)的なものである。・・・中略・・・。これらの新興大国が協力し合って、次の世界を平和的に指導してゆく。そして世界の金の値段も彼らが管理して行く。(p.214-215)
 近未来の世界経済のけん引役というか中心は、BRICsというよりカナダになるのでは・・・・。
 戦争をしながらボロ儲けした国が、世界の基軸通貨国になるという過去の歴史を、近未来の地球は繰り返さない。
 カナダは、なにより「多くの森林に恵まれた、自然が最も豊かな国」であるし、「地球の縮図としての多文化主義の有り方」を最も上手に社会制度に作り込んできた国である。故に、ガイアの意志によって世界経済の中心になってゆくだろう。
   《参照》  『異国のヴィジョン』 北川智子 (新潮社)
            【マルチカルチュアリズム】
            【ヴィジョン】【プリズム】

 そんなことを想いながら、メープルリーフ金貨で有名なカナダの金の保有量をネットで見てみたら、なんと、世界のトップ100にすら入っていない!?!?!
 だから、近未来の世界は、戦争も金融恐慌も経ることなく、「無血革命&無ゴールド革命」を達成するのかも、などと思ってしまった。
 貨幣経済社会や暗号通貨経済社会は、人と社会を幸せにしない。それはハッキリしている。
 いずれ、経済社会の枠組み自体が大きく変貌を遂げるかもしれない。その時は、経済の基軸を担保してきたゴールドの役割も変わって行くだろう。不戦が全世界で合意され、ゴールドがいかなる通貨ともリンクされなくなったら、ゴールド自体の性質そのままに、世界は、極めて安定した状態になるだろう。
 平昌オリンピックの閉会式を見終わって書いたら、こんなに平和基調のコメントになってしまった。

 

 

 

 
<了>