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 副島さんのパワーにつられて、明るく元気に最後まで読みとおせるけれど、書かれている内容は明るく元気にと言えるものではなない。最近、メディアに再びデビル・ガイトナーが登場してきたから、また副島さんの著作を手にとってしまった。2011年6月初版

 

 

【デフレの後】
 今年、来年、再来年までは、お札(1万円札)に力がある。当たり前のことだが、お札は大事である。このままデフレのままである。しかし、その後は激しいインフレが襲いかかってきて預金封鎖が起きるだろう。・・・(中略)・・・。なんでもいいから、とは言わないけれども、とにかく実物資産に換えなさい。モノに換えることが大事だ。お札はどんどん紙キレになる。だから価値のある実物資産にどんどん換える。(p.24-25)
 なぜ激しいインフレが起きるかというと、リーマンショック以降、世界中が節操もなく紙幣を刷って市場に流し続けているから。この本の中にも栃木県あたりの山の中で、円がジャンジャン刷られてトラックに積まれた状態で待機しているというようなことが書かれている。この話を疑う人でも、とうに行き詰まっているアメリカ財政がQE1、QE2のあと未だにデフォールトしてない事実を説明するのに、ドルの実質的なジャブジャブ供給(ダイルージョン)が行われていること以外に、つじつまを合わせる内容を語れるだろうか。
 中丸薫さんの本には、日本にも中国にもドル印刷の原版が用意されていて、必要なだけ刷られているという、国際金融の実態(呆れない。そんなもんである)が書かれていた。
 預金封鎖は、戦後間もなくの1946年2月に行われた史実がある。日本も世界も既に借金漬けである。国際的な連鎖倒産が起きようが起きまいが、いつかはチャラにする以外、正常化の方法はないのだろう。
   《参照》   『やがてアメリカ発の大恐慌が襲いくる』 副島隆彦 (ビジネス社)
             【赤字財政の原因と解消方法】

 

 

【もう景気回復はない】
 ついでに、景気浮揚策として大前研一さんが以前から言っている相続税の廃止という策があるけれど、日本では逆に、今年、相続税を上げることになっているのだという。国家は、土地を含む実物資産に持ち金を移動退避させようとする資産家たちの資産を防衛させない、何が何でもむしり取ろうという目的なのだろう。だから、もう、景気回復はない。日本国家は、さらに消費税を増税して自国の市況を行きずまらせた上で、最終目的たる預金封鎖という徳政令を実施して、資産家たちからガッポリむしり取るという算段なのだろう。
 資産も貯金もほとんどない大方の国民よりさらに貧困なチャンちゃんは、お気楽にこれを書いているけれど、資産家の皆さんは、自分の資産をどのように守るのか、必死になって副島さんの本を買って読んでいるのである。

 

 

【投げ銭】
 そんな資産家の皆さんにエールを送っている「あとがき」を読んでいて、最後の最後に爆笑してしまった。
 私のこの金融本シリーズを買ってくださって、代金の1割の160円の印税収入を私に“投げ銭”で与えてくださる読者のみなさんにだけは頭を下げる。私が自力で自立して、弟子たちを引き連れて活動できるのは、ひとえに私の金融・経済本を飽きもせず毎回買って読んでくださる、自分のお金のことしか考えない皆さまがいてくれるからである。(p.248)
 “自分のお金のことしか考えない皆さま”にとって、最も“価値ある”情報が下記だろう。

 

 

【EU国税庁】
 EU国税庁ができたものだから、金持ちのドイツ人やフランス人たちは、それまでは隣の小国であるルクセンブルグやスイスやサンマリノ共和国、モナコ公国などとかの銀行に預金と共に隠していた。それがEU国税庁のせいでどんどん隠せなくなってしまった。EU(ヨーロッパ同盟)という優れた国家連合(連邦国家)の唯一の弱点と欠点は、税務署までが統一されてしまったことだ。このことが恐ろしいことだ。
 だから、ドイツ人、フランス人の金持ちたちがシンガポールとかマレーシアとかに個人資産を預けに来ている。(p.95)
 この事実は、EU国税庁の存在はアジアに資金を移動させるという底流を生んでいることになる。シンガポールに資金が集まるなら、「ユニオンジャックの矢」を世界戦略としている英国を延命させていることになりはしないか? なんて思えてくるけれど、いいように振り回され落とされたアジア通貨危機を経験したシンガポールの首脳たちがそこまで愚かであるわけがない。
 “哲人政治家” リー・クアンユーの息子の、今の首相リー・シェンロンが、「いったん外国から来たお客のお金はしっかりと守ってあげる」と言っている。(p.96)
 ところで、EU国税庁に相当する、日本の金融庁さんは露骨なアメリカの手先だけれど、やはり警察権力と合体して締め付けを強化する方向で動いているんだろう。
   《参照》   『恐慌前夜』 副島隆彦 (祥伝社)
             【金融庁】

 日本の資産家の皆さんは、どこに資金を退避させるのだろうか。やはりアジア?

 

 

【日本の政治家はヒラリーの言いなり】
 次のアメリカの大統領はやはりヒラリー・クリントンだろう。オバマは、とても米大統領を次の4年(2期目)を続けられる感じではない。(p.107)
 私は次はヒラリーが大統領になる、と2年前から(オバマが当選した直後から)言ってきた。(p.108)
 しょっ引かれていたはずのデビル・ガイトナーが娑婆に戻ってきたらしく、一昨日あたりから、日本のメディアでも顔が映しだされるようになった。「闇の権力」が盛り返しているのだろう。
   《参照》   『勃発!サイバーハルマゲドン』 ベンジャミン・フルフォード(KKベストセラーズ)《4/4》
             【変革の波】

 日本でも時を合わせるようにして、昨夜の『朝まで生テレビ』で “戦争の犬たち” を結集させて憲法九条に関わる議論をやっていた。
 このままであれば、副島さんの予測は実現してしまう。
 であれば、世界は、暗黒側のシナリオに突入する可能性が極めて高くなってしまう。

 

 

【ストロスカーン追い落としの謀略】
 フランス人のドミニク・ストロスカーンIMF専務理事は、・・・(中略)・・・ヨーロッパの金融安定化や利権誘導のために積極的に動いた。これがアメリカに目を付けられ、狙い撃ちされた。(p.138)
 ストロスカーン氏は世論調査で高い支持を受けており、来年の大統領選に出馬すればサルコジ現大統領を大差で破ると見られている。(p.139)
 ところが、スキャンダル捏造によって失墜させられてしまった。
 日本国内では、アメリカの意向に沿わない言論を語っていた植草さんがやられている。
   《参照》   『売国者たちの末路』 副島隆彦・植草一秀 (祥伝社)
             【「植草追い落とし」】
 こうして世界政治も、日本国内政治とまったく変わらない、あからさまな政治謀略が公然と仕掛けられる場所だと分かる。アメリカにとっての邪魔者は、スキャンダルを引き起こしてでも、公職から追放し抹殺されてしまう。
 ストロスカーン氏の後釜でIMF専務理事になったのは、フランス人のおばちゃん。
 クリスティーヌ・ラガルド仏財務省(5月25日)。アメリカが若い頃から“手先”となるべく特別に育てた人材だ。(p.135)
 だから、ユーロはその後、そしてこれから先も、不安定に仕掛けられるだろう。
   《参照》   『2012年、日本経済は大崩壊する』 朝倉慶 (幻冬舎) 《後編》
             【ヨーロッパに巣食うゴールドマン・サックス人脈】

 

 

【復興債の出処と中国の構図】
 今度の日本の復興債は、中国政府(の上海閥)が50兆円分ぐらい引き受けてくれるようである。(p.155)
 アメリカにとって属国日本は、活かさず殺さずの状態というのがちょうどいい。
 中国の場合、アメリカの意向を拒否できないのは上海閥であり、アメリカの属国にならないように賢明に中国を守っているのは北京閥である。
   《参照》   『アメリカに食い尽くされる日本』 森田実・副島隆彦 (日本文芸社)
             【中国の構図】
   《参照》   『あと5年で中国が世界を制覇する』 副島隆彦 (ビジネス社) 《前編》
             【中国国内の権力闘争】
 中国人はばかではない。金融をよく勉強しており、中国市場を大暴落させようとしたアメリカの攻撃を食い止めた。逆に入ってきたお金をそのまま外国への投資に差し向けて投げ返すという奇策をいま一生懸命実行している。だから私は、中国は株と住宅のバブル崩壊を食い止められると思う。今の中国人は馬鹿ではない。アメリカに洗脳されつくしている日本人とは違う。(p.180)
 尖閣諸島の領有問題も、ロックフェラーの子分である石原慎太郎都知事が親分から指示された通りトラブルメイカーになって色々やっている。中国政府(北京閥)は、日本側みたいに露骨な馬鹿じゃない。
   《参照》   『闇の世界権力の「日本沈没計画」を阻止せよ』 中丸薫/レオ・ザガミ (ヒカルランド) 《前編》
             【戦争は “やらせ” によって引き起こされる】

 

 

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