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 2004年4月初版の書籍。古書店で見つけて、買い置きのままだったこの本を読んでみた。 既掲載の副島さんの著作同様、出版から現在までの予測はドンピシャリである。現在状況の復習みたいな感じて読める。国際関係を学び始めた学生さんが読むには丁度いいかもしれない。

 

 

【ネオコン】
 この 「ネオコン」 という連中とは何者かを、一番分かりやすく本当のことをあからさまに言えば、ロックフェラー財閥のユダヤ大商人たちに育てられて、背後から動かされているアメリカの政治知識人の集団ということである。
 彼らの本質は、アシュケナージュ系のユダヤ人ではなくて、スファラディ系のユダヤ人である。(p.34)
 ロスチャイルド財閥がアシュケーナージュ系、ロックフェラー財閥がスファラディ系である。
   《参照》   『暴走する国家 恐慌化する世界』 副島隆彦・佐藤優 日本文芸社 《中》
            【現代史の中心はヨーロッパ(イギリス)とアメリカの戦い】

 

 

【ジョン・デイビッドソン・ロックフェラー4世】
 このジェイ・ロックフェラーが、 ・・・(中略)・・・ ニューヨークの金融財界の支配者になる時に、日本で小沢政権が実現されるだろう。 ・・・(中略)・・・ その時に、榊原英輔元財務官(旧大蔵省の事務方の副大臣だった。 “ミスター円” という仕組まれた芝居を演じた人物。ラリー・サマーズ財務長官の忠実な日本の手先。現慶応大学教授)が財務大臣になることがすでに公然と決まっているのである。
 実に、憂鬱な話である。日本の近未来は、このようにがんじがらめに決定されているのである。(p.39)
   《参照》   『アメリカに食い尽くされる日本』 森田実・副島隆彦 (日本文芸社)
            【日本の構図】

 良識的日本人たちが、小沢一郎を圏外に出そうという風を起こしても、最期のところで留めてしまう勢力がある。それこそジェイの臭い息がかかったポチ君たちである。

 

 

【地政学】
 政治学の分野でいえば、その裏街道の、悪魔の学は、地政学であろう。 ・・・(中略)・・・ 国際政治学の分野では、この地政学を使わないと、何も解明できない。地政学こそは国際政治学そのものなのである。
 日本の大学では、アメリカの日本支配管理人たちによって地政学を研究することは、意図的に禁止され監視されてきた。地政学と軍事学を、これからの日本人は政治学の中心として本気で研究しなければならないのである。(p.162)
 大前研一さんが、著作の中で 「私は地球儀を抱いて寝ている」 と書いていたのを覚えている。グローバル経済の視点もまた、地政学的視点なくしては考えられない。
 欧米における経済用語は、ロジスティクスとかストラテジーとか、ほぼ軍事用語をそのまま転用している。
 軍事問題≒経済問題≒政治問題を、包括的に捉える中心が地政学である。
   《参照》   『大英帝国衰亡史』 中西輝政 (PHP研究所) 《後編》
            【地政学者マッキンダー】

 

 

【2004年時点でのアメリカ景気予想】
 アメリカの景気の回復、というのは作られた話であって、これからいよいよ、アメリカの景気は本格的に崩れていくのである。(p.180)
 2004年4月に書かれた著作の中にある記述である。副島さんは、コンドラチェフ・サイクルを根拠に、「日米同時景気回復」 という流言を、きっぱり否定していた。
 副島さんは、5つのサイクルを歴史に当て嵌めて読み解いている。
 チキン・サイクル     (3~4年)  在庫循環
 ジュグラー・サイクル   (10年)   設備投資の波
 クズネッツ・サイクル   (20年)   建設循環
 コンドラチェフ・サイクル (50~60) 技術革新の波
 ヘジェモニー・サイクル  (100年)  覇権の波
 ただし、このアメリカ発の大不況を契機にして、ヘジェモニー・サイクルがピークアウトする。このことが、30年代から続いたアメリカ帝国の世界覇権が、次第に衰退に向かうことを示している。この事実が重要である。(p.195)

 

 

【 英:米 = 米:日 】
 1929年前後の、ダウ平均とロンドン株式市場の比較を示した折れ線グラフの下に、書かれていること。
 1929年10月にアメリカの株式暴落があって、アメリカ国内は大不況に苦しんだのに、イギリスはさっさと景気回復した。当時の新興債権国アメリカが今の日本であり、没落する大英帝国が今のアメリカに相当する。(p.185)

 

 

【中東と極東】
 この中東と極東=東アジアの二国をしっかりと押さえておけば、アメリカは世界を管理できるのである。石油代金を持つサウジとハイテク・電子デバイスと自動車の輸出代金を持つ日本の、この2国以外に、アメリカに資金を貢ぎ続ける国は世界中に他にはない。(p.199)
 同時に、「世界の火薬庫」 は、実は同じく中東と極東の2か所なのである。中東と極東で順番に、次から次に紛争や、地域戦争を起こさせるしか他に、アメリカは世界経済を活性化する手段がないのである。だからサウジと日本が、アメリカにとっての最重要な 「同盟国」 なのである。(p.200)
 サウジのオイル・マネーとジャパン・マネーが、世界にドルを還流させるポンプ役として機能し、資本主義経済では避けて通れないサープラス(過剰在庫)を一掃するために、定期的に戦争を起こしてそれらを蕩尽させてきたということである。
   《参照》   『ブッシュのあとの世界』 日高義樹 (PHP)
            【オイルマネーと日本の貯蓄力】

 

 

【赤字財政の原因と解消方法】
 現在の日本の国家財政は大赤字なのは良く知られている。そんなに借金があるならアメリカに貸している莫大な資金を返せ、と言えば済むことだけれど、そう言った政治家は、アメリカによって即座に殺されてしまう。
   《参照》   『連鎖する大暴落』 副島隆彦 (徳間書店)
            【アメリカに逆らうと、どうなるか】
             ~【アメリカの家なき人々】
 つまり、近年の日本の長~い不況はアメリカに恐喝されて作られている不況なわけである。でもって、そんな状況で、国税庁は、アメリカに言えないから、日本人の資産家からお金を巻き上げようと画策している。かつては偽名で銀行口座や郵便貯金口座つくることなど容易だったけれど、現在それはできなくなっている。複数の同じ名前の口座は名寄せして、総額を計算し、ある一定額以上は課税対象にしてボッタクリしようというのである。この計画が “預金封鎖” といわれるものである。
   《参照》   『ライオンは眠れない』 サミュエル・ライダー (実業之日本社)
 しかし、預金封鎖という大掛かり仕掛けが動き出す以前に、既に、かつて仮名で作っておいた郵便貯金が、現在引き出せなくなっているのだという!
 この老夫婦は、その場に泣き崩れてしまったそうである。結局、この1億5千万円は、返してもらえなかったのである。
 このような事態が日本全国で現に、実に起きているのだ。(p.211)
 アメリカに貢いだ分の穴埋めは、資産家の資金で行われるというのだから、富裕層がなんとかして日本を脱出しようと、その資金防衛に躍起になっているわけである。
 日本に税金を払おうとしない富裕層を国賊呼ばわりすることはできない。国賊は日本の資産をアメリカに流し続けている政治家および官僚たちである。
 富裕層のみならず、NTT関連グループや東京電力と言った企業も、下がることの分かっているアメリカ株を無理やり買わされて大損させられているのだという。アメリカの意向に逆らえば、三井住友銀行のように、報復的な売り浴びせで株価は暴落させられるのである。(p.215-216)

 アメリカは、肥えた日本豚の肉を削ぎ、肉を削がれた日本豚は、肥えた富裕層豚の肉を削いで赤字財政を補填するのである。削ぎ落されるような肉が全くない格差社会の下辺側にある私は、この状況をお気楽に書いているけれど、日本はあまりにも無様である。
 日本の資産家たちは、声を大にして官僚(税務署員)たちに言うべきである。「国民の資産を狙ってばかりいないで、アメリカに預けている資金を、まず返してもらって、それで財政赤字を解決するのが筋ではないか」 と。おかしな話なのだ。こういう根本的なことを、はっきりと書いて分かりやすくみんなに知らせることを誰もしない。
 だから私はこの本を書いた。 ・・・(中略)・・・ 。
 国民に本当のことを伝えよ。そうすれば国民が指導者たちを守るのである。私は本書の結論としてこのことを言いたかった。(p.254-255)

 

 

<了>