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 今年の2月に発売された書籍。これ以降、日本では安倍首相から福田首相に変わり、アメリカでは不動産ローンの焦げ付き問題などが起こって変化が激しいけれど、将来の日本を巡る国際関係を理解する上ではやや有益な本である。
 しかし、日高さんの論調は、この書籍に限らず、アメリカ国内からの視点が強すぎて、全てを丸呑みにすることはできない。

 

 

【アメリカの実態】
 2006年の中間選挙は、ブッシュ大統領の財政や減税政策、教育法案や健康保険法案に反対する人々が大統領に反対する批判票を投じた。・・(中略)・・、共和党が敗北し民主党が勝ったが、その理由はイラク戦争そのものではなかった。
 今度の中間選挙でイラク戦争に賛成する民主党議員の多くが当選したことは事実であり、いかに 『ニューヨーク・タイムズ』 が戦争嫌いでも、この事実を否定することはできない。 (p.67-68)
 日本の報道は、『ニューヨーク・タイムズ』 や 『ワシントン・ポスト』 といったリベラル派の情報が元になっているので、アメリカの実態が正確に伝わっていない。
 それにしても、アメリカ国民は、本当にイラク戦争継続を支持し続けるのだろうか?
 アメリカ国民だって、「9・11」 がアメリカ政府による大芝居であったことを、既に知っているだろうに・・・・。
 ところで、アメリカの住宅ローンの焦げ付き問題の根本は、世界的な石油価格の高騰によるオイルマネーや、アメリカとの貿易で稼いだチャイナマネーがアメリカに流入し、不動産価格を押し上げ、ウォール街周辺など都市周辺部の価格が上がってしまったことと、所得格差により住宅ローンが支払えなくなってしまった人々の増大である。

 

 

【北朝鮮を利用する中国】
 アメリカ国防総省はもっとはっきりと言っている。ロドマン国防次官補は私にこう述べた。
 「中国は北朝鮮のミサイルや核兵器の製造に責任がある。中国政府が北朝鮮に送っているのは石油や食料だけではない。兵器や技術も密かに送っている」  (p.116)
 アメリカの国防総省の言質がなくとも、それくらい日本人は誰でも知っている。なぜ中国がそうするかというと、
 キム・ジョンイルが軍事力を強化して強硬姿勢をとりつづけるかぎり、アメリカは在韓米軍や、在日米軍を台湾に向けて動かすことができない。 (p.118)
 台湾を中国の一部として、北京オリンピックの聖火リレーを台湾国内で走らせる決意の中国政府である。
 福田首相は、中国がバックアップするミャンマー軍事政権について、日本人ジャーナリストが殺害されたにもかかわらず、一昨日のAPEC会議で全く触れなかった。日本のマスコミもこの点に関してほぼ沈黙している・・・・・。台湾は福田政権下の日本に何も期待できないことを知らされたようなものだ。
 アメリカの動きを封じて中国がまずやるのは台湾の併合である。・・(中略)・・。中国はまた北朝鮮と韓国を併合させて、朝鮮半島全体を属国にしようとするだろう。 (p.162)
 「海上自衛隊の艦艇が日本海の中央部を自由に航行することが難しくなってきた。中国海軍が露骨な嫌がらせをやりはじめた」 海上自衛隊の幹部が私にこういったことがあるが、・・(中略)・・、中国側の意図ははっきりしている。日本海を日本に独占させまいとしているのだ。こうした行動は、明らかに国際法に対する挑戦である。
 日本の政治家に、いかなる具体策があるのであろうか? 全て神様任せ^^の様である。

 

 

【中国の軍事技術は欠陥だらけ?】
 新しく提督となった友人がこう言った。 「クリントンが中国に売った大陸間弾道弾の姿勢制御装置は欠陥技術だという噂があるのを知っているかい」 (p.163)
 「昔ソビエトの原子力潜水艦は放射能漏れがひどく乗組員が死亡するので、ウイドゥ・メーカーと呼ばれたが、中国の原子力潜水艦も同様である」 アメリカの海軍雑誌がこう書いているが、・・ (p.167)

 アメリカの専門家がこう言っている。 「中国人は一人ひとりは優秀かもしれないが、協力しあうのが苦手のようだ。つまりグループで行動することができない。軍事技術を開発するにはグループで努力しなければならない」  (p.168)
 共産主義という専制国家として、中国は意のままに軍事予算につぎ込むであろうが、そんなことを続けているのであれば、アメリカに引きずり込まれるかたちで経済成長が止まった時、国内格差に対する民衆の不満が爆発し、中国は自壊するだけだろう。
 21世紀は覇権主義の時代ではない。

 

 

【対テロ戦争???】
 ブッシュ政権が 「対テロ戦争」 を標榜して厳しい対応策をとったため、世界中でテロ活動が減った。「9・11」のあと、マドリードやロンドンで大がかりなテロ攻撃があったが、その後は目立つような攻撃は見られなくなった。 (p.190)
 「9・11」はアメリカが仕組んだ大芝居であることを主張する人々は数年前から何人もいて、私もこの読書記録の中で数回記述してきたけれど、
   『アメリカの謀略戦争』 ミシェル・チョスドスキー (本の友社)
   『日本大復活!』 増田俊男 (PHP研究所)

日本国内でこの事実が堂々とテレビ放映された。 『世界まる見え、テレビ特捜部』 という番組である。2週間ほど前だったであろうか。

 

   《そのテレビ番組》 ⇒  『戦争を企画する者たち』

 

 ビルの設計者から、「あの事故でビルが倒壊することはありえない」という証言があり、「9・11」の数週間前、「全館閉鎖になり、全ての人が屋外に出された数時間があった」という証言があった。
 飛行機が直接突っ込んだのではないやや離れたビルですら、かなりの時間間隔をあけて完全に倒壊していたのである。まとめて倒壊した全てのビルのオーナーは同族である。見事なビルの発破作業である。
 さらに面白い事実がある。
 最後に倒壊したビルの発破が遅れたためにそのビルがテレビの背景映像に映っていた時に、イギリスの放送局は、そのビルですら「倒壊した」とアナウンスしていたのである。イギリスの放送局はそのビルまで計画的に倒壊されることを、事前に知っていた!ということである。
 マドリード・ロンドン・ニューヨーク=スペイン・イギリス・アメリカ、いずれも数世紀に渡って世界の覇権を継承してきた国家である。そこに繋がる王族達とその背後にある金庫番、即ち、赤い盾(ロスチャイルドの家紋)の一族による、とてつもなく大がかりな芝居であったことは明々白々である。
 “「対テロ」という大芝居” を信じて、この書籍内容を書いている日高さんは、完全に面目失墜である。
 西欧に端を発する覇権国家はアメリカに限らず歴史的にこの様な謀略国家である。中国という共産党国家も西欧の謀略指導者によって支配されているデマゴーグと宣伝の専門国家に成り下がっている。
 《参考》 『日本人が知らない「人類支配者」の正体』 太田龍・船井幸雄 (ビジネス社)
      『素顔の一瞬』 高円宮憲仁親王 (中央公論新社)

 

 

【ロシア官僚体制の復活】
 2005年。ロシア最大の石油企業となったユーコスの創始者、ミハイル・ボドルコフスキーとプーチン大統領との戦いは壮絶だった。ボドルコフスキーはシベリアの牢獄に送られた。ユーコスは破産し、油田は国営企業であるロズネフチに乗っ取られた。
 もう一つの民間の巨大石油企業シブネフトが、プーチン大統領とその側近が経営するガスプロムに乗っ取られた。ガスプロムはロシアの天然ガスを独占している巨大な政府企業である。 (p.213)
 この他にも、プーチン大統領による様々な支配力強化の実態が記述されている。
 「プーチン大統領は石油資源を使って、国家主義的な体制を作り上げようと全力を挙げている。彼が狙っているのは、資本主義体制で弱くなったロシアを再び官僚体制に戻し、大国として世界に君臨しようとしている」 (p.215)
 ロシアにとって現在の日本は軍事力のないひ弱な国である。アメリカの影響力が後退しようとしているのを見て、日本を痛めつけようとしているのである。 (p.217)
 現在まで、ロシアの日本に対する計画的暴挙は未然の内に防がれていることを知っている人々は、あまりにも少ない。

 

 

【オイルマネーと日本の貯蓄力】
 アメリカ政府の高官が私にこう言った。
 「中国は怖くない。中国人は貯金をするわけではなく、資本を自らの力でつくることはできない」 (p.218)
 「アメリカのドルを支えている資金は、オイルマネーと日本の貯蓄力だ」 (p.219)
 数日前、アラブ-日本・会議が開かれた。
 アメリカとイギリスがタッグを組んだ 「9・11」 の大芝居を映像で知ったアラブ指導者達は、モラルの高い日本との平和で安定的な将来関係に期待を寄せるようになるであろう。
 20世紀、中東に貯まる一方のオイルダラーを還流させるために、欧米が一体となって中東を戦場にしてきたのである。中東産油国諸国に、欧米の軍需産業が供給する武器を買わせ消費させ、インフラや建物を破壊しては再建と称してアメリカのベクテルなどの建設会社が莫大な収益を得てきたのである。
 日下公人さんが書いているように、最終的には、『 「道徳」 という土なくして 「経済」 の花は咲かず』 である。
 数年後、米・ドルが基軸通貨の役割を終える時、アラブ-日本の連携が、世界経済を揺るがす激震から諸国を守る最大の防波堤となって、世界を救う緩衝機能を担うことになるであろう。
   《関連》   『これから5年 日本人が気付くべきこと』 小山政彦 (PHP研究所)
 「道徳」によって「経済」の花を咲かせ、繊細なる「文化」の花を咲かせてきた日本という国家が、一切の軍事力を直接行使することなく世界の中心に立つ時が、「世界維新」の実現を見る時である。
 
<了>