イメージ 1

 

 9・11ニューヨークのビル崩落テロについて、アメリカの自作自演であると言っていた人に中丸薫さんがある(書名の記憶は確かではないが『闇の世界権力をくつがえす日本人の力』だったかな)。中丸さんは、特定企業の従業員に犠牲者がなかったことを状況証拠として記述していたが、この本の著者である増田さんは事前に予知していたようだ。
 著者はアメリカに20年以上住んでいるので、アメリカの国家戦略から容易に推測できたとのこと。ならば、アメリカは今後東アジアに関してどのような戦略構想を持ってのぞむのか、日本はそれを知って対応しなければならない、ということである。タイトルだけから安易な楽観的予測で読むことは出来ない。
 

 

【国際情勢】

 「分断と統治」。それが昔から言われているアメリカの基本戦略。この基本に全くブレはない。通貨ユーロの決済圏拡大を怖れつつ、基軸通過ドルを死守するために、軍事と資本、二つの剣を振り回し、ためらうことなく情報を捏造し大規模なテロを自作自演してまで他国に挑みかかるアメリカ。
 一方「21世紀は中国の時代」という幻想に合わせて軍事的覇権意欲をストレートに実現しつつある中国と、それに追従する隷属国家・韓国。
 その米中の狭間にある日本は、ムチャクチャな財政赤字と圧倒的な貿易黒字を持ち、アメリカの赤字国債を買い支えるという捩れた日米関係にあり、軍事的にも主権国家とはとうてい言えない現在の状況。
 こんなややこしくも際どいダブルバインド状況におかれている日本ではあるが、この本には、アメリカの国家戦略のさらに上を行く、気高き日本の精神文化に負うところの何物かが感じられる。
 著者は言う。
 「日本には、これからアメリカを救い、そのうえで中国を救い、そのうえで朝鮮半島の統一を助けるという使命がある。なぜなら日本は、アメリカや中国や南北朝鮮よりはるかに文化的に進んだ国だからである」(p.251) 

 と。

 『賛成、賛成、大賛成』。日本チャチャチャの応援団長はさらに語る。

 『マガダ国とコーラサ国と言う二つの大国に挟まれて殲滅された釈迦族の話が仏典にはあるけれど、日本は仏教思想だけで支えられ発展してきた国などではない。もっともっと深い滾々と湧き出る泉のような文化が仏教伝来以前からあった“大和 = まほろばの国”である。釈迦(仏陀)になしえなかったことをなす使命が日本にはある。米中に挟撃されてたやすく “お釈迦になる” 訳にはいかないのである。
 世界で最も優れた日本人技術者達と、惻隠の情をもつ勇敢な日本人経営者達と、日本文化の根幹を支え人知れず背後で守りをなす清明な人々が、日本だけではなく世界をも救うことになるであろう』
 こんなん書くと、ちょっとカッコ良過ぎるかなぁ。でもそうなる。

 昨日から、英国ヒースロー空港を閉鎖して、アルカイダのテロを未然に防いだというニュースが流れているが、この本を読み終わった直後であるだけに「またも自作自演か?」 と思ってしまう。 米英の諜報機関はまるで双子の関係。落合信彦の初期の頃の作品を読み耽ったことのある皆さんならよくよく周知のこと。米英が協力して、「また何処かでドンパチを始めるための伏線なのか?」
 資本主義者であれ、共産主義者であれ、国益主義者であれ、原理主義者であれ、覇権主義者であれ、これらの懲りない面々は、地球環境の異常事態などまるで念頭になく、どこまでも地球をぶち壊したいらし。
    『いつまでそんなことやってるつもりなんだい』 って思うよね。

 

<了>

 

 冒頭に書いた 中丸薫・著の読書記録。 (参考までに)