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 序盤には日中を分断させようとしているアメリカの策略が記述されている。中盤以降の中国経済を語る副島さんの記述を素直に読めば、中国と言う清らかならざる人間世界の実相に対し、政治がどう向かうべきかについて思いを深くすることだろう。2011年1月初版。

 

 

【尖閣諸島沖事件】
 中国漁船が海上保安庁の船に体当たりする映像が流出し、テレビで何度も放映されたけれど、その真相は?
 この中国漁船船長の逮捕(拿捕)は初めから、アメリカの指図で行われた。日中の国境紛争として、日本を中国にぶつける計画としてアメリカのリチャード・アーミテージが司令官となって行った。 (p.47)
 計画的に2隻の巡視船で両側から挟みこみ、必死で逃げようとするのを動物狩りのように、追い込んで捕まえた。
 その1週間前の9月1日に、伊豆の下田港の沖で、日米の合同海上軍事演習が行われた。この軍事演習で、 ・・・(中略)・・・ 教えられて練習した技術を、そのまま、9月7日に尖閣諸島海域に場所を変えて実行した。(p.48)
 尖閣諸島に関しては、福田赳夫首相のときに日中間で 「領土問題は棚上げにする」 という取り決めを行っていた。それに則してさえいればいいことなのに、アメリカに育てられた前原外務大臣は、アメリカの日中分断戦略に従って、わざわざ拿捕して、日中対立に火をつけようとしたのである。前原誠司がどういう人物かは、下記リンクに記述されている。
            【日本のフリーメーソンたち】
 前原誠司外相は、この事実を知りながら、アメリカのリチャード・アーミテージとマイケル・グリーンのそそのかしと命令に従って、中国船拿捕を強行した。この真実が日本国内には少しも広まらない。アメリカの手先になり下がっている日本のテレビ、新聞(NHKを入れて6社のテレビ局と、5大新聞)がまったくこの事実を報道しないし、日本国民に説明しようとしない。このことが問題なのである。(p.59)
   《参照》   『昭和史からの警告』 船井幸雄・副島隆彦 (ビジネス社)
             【日中戦争を企画するAEI と 日本側受け皿人間の一大結集】
             【資本と軍事の二つの刀を使って繰り返されるアメリカの搾取】

 江沢民政権時代に、中国側は、尖閣諸島に抗議船を出し意図的に中国人を溺死させ、香港で大規模なデモをするという完全なデッチアゲの反日活動を行い、その一部始終が筑紫哲也の「ニュース23」という番組内で完全報道されたことがあった。しかし、現在の中国政府は戦争をしない方針であるため、アメリカは日本や韓国を使って戦争をしかけているのである。
 中国政府は冷静である。
 「中日問題ではない。前原問題だ」 は至言である。 ・・・(中略)・・・ 。アメリカが、日本を咬ませ犬として使って自分たちにけしかけているのだ、と正確に見抜いている。(p.62)
 アメリカ支配下のメディア報道だけ見て日中関係を考えるようになっている愚かな日本人と、現在の中国政府の対応と、どっちがまともか考えておこう。まともな日本人になりたければ、副島さんの本やブログを読まなければならない。

 

 

【韓国の哨戒艦沈没や砲撃事件】
 韓国の哨戒艦沈没や砲撃事件についても全く同様である。
   《参照》   『宇宙のニューバイブレーション』 中丸薫・坂本政道 (ヒカルランド) 《後編》
              【北朝鮮を戦争に巻き込みたい闇権力】

 韓国の哨戒艦沈没に関する最終的な真実は、アメリカの潜水艦が体当たりして韓国戦を沈没させたということらしい。この副島さんの本には証拠写真が掲載されている。

 

 

【民主党代表選】
 菅直人は、仙石由人から
 「代表選は、アメリカが必ず勝つように仕組んでくれているから、安心せよ」 と耳打ちされた。(p.49)
 それから2週間後の昨年9月14日、民主党、代表選が行われた。
 この時、富士ソフトは、アメリカから密かに持ち込まれた 「アリスポス・システム」(Arithpos system)という名の、不正選挙用に開発された恐ろしいコンピューターソフトを動かした。正しい得票結果が行われていれば、当然、小沢一郎が圧勝していた。
 アメリカは日本の政治をここまで汚い手を使って謀略で動かすのである。(p.49)
 その後も、執拗に小沢を排除しようとしている菅政権は、完全にアメリカの傀儡に成り下がっている。アメリカは、日本と中国に手を結ばせないように、親中人脈である小沢一郎を執拗に排除したがっている。アメリカの意志は、「東アジアを決してまとまらせない」ことにある。「分断と統治」 という基本。戦争にまで巻き込めれば、最高なのである。

 

 以下は、中国経済に関してである。
 中国は、なぜ世界的な不況から即座に立ち直ったのかなどについて、ポイントが書かれている。

 

 

【実収入は給料の3倍】
 北京や上海では、下級の公務員(役人)で月給2000元である。 ・・・(中略)・・・ 。高級官僚が8000元もらっているということである。年収に直せば10万元(140万円)である。
 しかし、実際はその3倍くらいに実収入を彼らは持っている。それは賄賂と言っていいのかわからないようなお金である。特別収入と言ってもいいだろう。これが中国社会に、千年以上続く慣例(社会体制)なのである。10世紀の宋王朝の頃にすでにこの現象が見られた。(p.104)

 この月収の3倍の生活をしているという中国の現象はもっとくわしく調べられるべきである。(p.196)
 日本では住宅ローンは年収の5倍が限度とされているけれど、中国では年収の30倍の物件を買っているという。これも、給料以外の収入があるからこそ、できることである。さて、給料以外の収入の出所は?
 中国人は一族(同族)意識が今もものすごく強い。同族で自分たちを守り合う、同族(一族)が社会保障、社会福祉の機能を持っている。(p.121)
   《参照》   『小室直樹の中国原論』 小室直樹 (徳間書店) 《中編》
                【宗族】

 一族の中に誰か成功者がいれば、血縁ある者たちに分け与え守る意識は非常に強いらしい。しかし、一族に供給する成功者も給料以外の収入があるはずである。下記の情誼に関与しているのである。
   《参照》   『小室直樹の中国原論』 小室直樹 (徳間書店) 《前編》
                【情誼(チンイー)】

 情誼の世界では、お金が人間関係の潤滑油になっているのであろうし、これらは帳簿外で動くお金である。だから、中国で成功しているダイキンの実例(下記リンンク書籍)にあるように、企業利益は日本で経営する場合の3分の1から4分の1になってしまうのである。
   《参照》   『新しい中国で成功する』 高橋基人 (草思社)
               【笑っちゃう収益:リベートの嵐】

 ということは、実際には、国家の企業収益統計にあらわれる数値の3倍から4倍に相当するお金が、市場にあって消費意欲を活性化していることになるのである。これを、中国経済が崩壊しなかった原因として挙げてもいいだろう。

 

 

【生産デフレを上回る消費インフレ】
 中国嫌いの連中は 「沿岸部で対アメリカ輸出が激減したので、過剰生産と過剰設備で工場が余って従業員が大量に解雇されている」 とあれこれ書くが、そうではないのだ。生産デフレーション、すなわち過剰設備や余剰生産物(売れ残り)で中国経済がダメになるのではなくて、それを補うに余りある、ものすごい消費インフレが起きている。(p.116-117)
 どういうことかというと、アメリカ発の景気後退で、欲望の対象であった高額商品がそのままデッドストックや野積み状態になったのではなく、値崩れして、下層の人々でも買える値段になって都市周辺部へと流通していったということらしい。
 つまり、中国においては、サブプライム問題やリーマン・ショックが呼び水となって、下層の人々の消費意欲を逆に刺激し、消費の底辺がより広く確実になったのである。
 「中国が経済崩壊しなかったのは何故か?」 という問いに対する、市場における最適解はこれだろう。
 中国はどう考えても良性循環(ビナイン・サイクル)が起こっていると書かれている。それに対して、日本は悪性循環(ビシャス・サイクル)のきりもみ状態である。

 

 

【ハイパーインフレーション】
「中国ではこの10年で年収が10倍、30年で100倍になったのだ」 という事実を誰かが指摘しなければ、ほんとうの中国研究にならない。だからあの、10年前には大騒ぎされていた中国の国営企業群が抱えていた巨額の赤字が、このハイパーインフレーションの中で帳消し( write off 償却 )にされたのである (p.209)
 これも、中国経済の崩壊因子を解消していた大きなポイントである。
 このインフレ率は、日本の経済成長期もほぼ同じような倍率だったという。インフレ状況なら、借金の存在は自然減となるしローンの運用はむしろ吉となる。デフレ状況にある現在の日本で同じことをしたら、とんでもないことになる。
   《参照》   『世界同時不況がすでに始まっている』 榊原英資 (アスコム)
              【デフレ時代の心得】