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 人気の著者同士による対談で、出版当時、大層売れたはずである。お二人に共通するのは住んでいる所が同じこと。熱海。どうでもいいか。どうでもいいついでに、「白刃の矢」という誤植があって視線が固まってしまった。この本は、2005年3月の初版本だけれど、増刷ではたぶん訂正されていたんだろう。再読。
 

 

【税収の半分】
船井  私は、おおらかな人間ですが、アタマにきていることをひとつだけ言います。日本の税収は年間約42兆円くらいです。
 ところが、国家公務員約97万人、地方公務員約312万人の給与だけで、その半額が使われているのです。しかも、おおむね彼らはサービスが悪いし、威張っているのも多い。(p.78)
 給料で半分使っているだけじゃ済まなくって、まだ天下り原資となる埋蔵金をたらふく貯め込んでいるのである。そして財源不足といって増税をしようとする。
 天下り用の準公的機関に数年間勤務していたことがあるけれど、デカイ机と傲慢な権力を象徴するかのような見事な椅子がズラ~~ッと並んでいるだけで、天下りを見かけたのは年にわずか1回か2回だった。ホントに。何もせず億単位の給料を貪っているのである。それで臆面もなく「増税」と言う。
 地方公務員も一緒である。ろくに人の来ないたいして役にも立っていないような公的施設なんて、そもそも3人も居れば十分なところに10人分の机が並んでいて、順番に欠勤不在が常識。それで全員あたり前に一人前の給料。公務員にはまともな倫理観などまったくない。腐敗しきっているからもう歯止めなんて全然ないのである。
 だから世界的な経済破綻などなくたって、日本は壊死するのである。

 

 

【4人に1人が公務員】
副島 数字でいきますと、・・・(中略)・・・ 合計で正公務員だけで約410万人います。それ以外に、各省庁がつくって傘下に置いている特殊法人や公益法人などがあって、ここに準公務員がまだ約550万人いる。ですからトータルすると1000万人近くなります。
 この人たちが平均して本人も含めて3人家族だとすると、1000万人掛ける3で、その数3000万人です。日本の人口1億2600万人のうち3000万人ですから、実に4人に1人が公務員でご飯を食べているわけです。(p.188)

船井 コンサルタントの立場から言わせてもらうと、公務員は半減どころか、多分3割の人数で、今と全く同じ仕事ができますね。(p.189)
 ろくに働きもしない公務員が全人口の2割5分もいるんだから、財政がもつわけない。
 若者のくせに「国を守ろう」とするどころか、「安定していて仕事が楽だから公務員志望」なんていうのは、もう完全にウンコである。自分さえよければいいんだろう。

 

 

【タンス預金】
副島 誰よりも早く、私が調べたのですが、日本にはいわゆる現金(お札)は70兆円あって、ほかに4兆円が500円玉などの硬貨です。70兆円分のお札のうち普通に流通しているお札が48兆円で残る23兆円がいわゆる “タンス預金” なのです。自慢ではないですが、こういう基本的な事実をほかの経済評論家が怖がって書かないので、私が調べて『預金封鎖』その他にどんどん書いているのです。(p.117)
 すでに銀行口座の名寄せは完了し、新たな口座作成も難しくしなり、いつでも実施できる状態になっているけれど、今のところ預金封鎖は行われていない。国際的な金融破綻が起これば有りうるんだろう。その時は、タンス預金は炙り出されてしまうけれど、現時点までなら、10数年間デフレだったからタンス預金で正解だったと言えるだろう。株式や債券にしていたら、きっと大損していたのである。

 

 

【ネオコン・エージェント】
副島 ネルソンがキッシンジャーを育てたのです。キッシンジャーをロックフェラー家の思想、すなわちグローバリズムを潜り込ませるための人材として育てた。 ・・・(中略)・・・ 。キッシンジャーらが初代のネオコンです。 ・・・(中略)・・・ 。
 このあとキッシンジャー博士が、世界各国の“属国”の次世代の指導者達を育てる仕事をしたのです。 ・・・(中略)・・・。日本だと、まさしく中曽根康弘元総理がそうです。(p.148-149)
 テレビや新聞などのメディアは全部ネオコン傘下なのは分かりきっている。出版社はどうかというと、
副島 出版社では、文藝春秋社と新潮社と中央公論社もアメリカの手先になりさがっていますね。
 そもそも週刊文春なんていうのはCIA日本支部であり、元内務官僚だった人物が野球のコミッショナーをしていましたが、文藝春秋社の幹部たちを親米に育て上げた。
 正力松太郎さんも内務官僚上がりで、戦後にオーナーとして読売グループを作り上げました。・・・(中略)・・・。
 佐野眞一さんが書いている本などを読むと、アメリカは正力さんにまずが「プロレスをやれ」と命令する、その次は「プロ野球」で、その次は「原子力発電所だ」というふうに、アメリカの具体的指示に忠実に従ってやってきたのが読売グループだと、そのようにはっきりと読めますね。(p.162)
 ナベツネさんは共産党から保守への転向組。正力さんの現実路線を継承した。
副島 ところが、最近、中曽根系の人たちも、ナベツネさんも、アメリカからお払い箱にされてしまったようですね。ブッシュ政権を牛耳る第三次ネオコンの連中にしてみれば、キッシンジャーのようなロートルの大物にいつまでも威張られたくない。だから高齢のキッシンジャーも中枢から外されている。いまや竹下派(橋本派)も中曽根派もどちらもアメリカに捨てられている。もう自民党の派閥政治はおしまいです。これが日本の国の現状であり、危機です。(p.163)
 キッシンジャーの忠実なメッセンジャーだった元NHK特派員・日高義樹さんの著作の風向きが変わりだしたのは、こんなネオコン内部の入れ替えがあったからなんだろう。
 ところで、清武さんの読売グループに対する反乱は鎮圧されてしまったのだろうか。だとすれば、読売もお払い箱状態になったついでに新しい時代に合わせて変容すればいいのに、それどころか旧態依然を維持したまま、日本を壊死させる路線を走り続けることになるのだろう。

 

 

【金融破綻歓迎説】
船井 いまの日米の力関係が続く限り、日本は働けど働けどわが暮らし楽にならざりで、じっと手を見るのみということになる確率も高いと思います。そうなると、いっそ副島さんが予測しているアメリカ帝国の崩壊が早く起きて、その後にできるだろう世界の新秩序に期待をつなぐのも悪くないという気にさえなりますね。(p.51)
 日本がアメリカの属国状態になり果てている実情を知悉している人々は、みなこれが本音だろう。
 しかし、そうなると多くの人々が本当に辛い状況になってしまう。自殺者が増えてしまうだろうし、新時代に必要な技術を開発しつつある企業も資金的にリスタートが困難になってしまう。
 たとえ、格差社会は続いても、世界の金融破綻が起こらず、新しい技術ができて、「闇の支配者」たちがそれを封じ込めなくなれば、世界はよくなれるのである。
 日本は素晴らしい技術を既にたくさんもっている。

 

 

【日本の技術力】
副島 やはりそうでしたか。すでに水面下で巨大新技術が次々に日本で生まれているんですね。日本発の新技術がこれからの世界を動かしていくでしょう。人類と地球の危機を救うのは日本人でしょう。このことはほぼ確実なことだと私も思います。この点でも私は船井先生の先の先を見ている慧眼に感服します。
 ヘンリー・キッシンジャーが言っています。
 「日本人は何をやり出すかわかったものではない。いまは(私たちの計画通りに)アメリカに完全に抑え込まれて、おとなしくしている。しかし日本人は、私たちが気づかないうちに驚くべきことをやってしまうだろう。警戒しないといけない」
 こういう趣旨のことを彼は何度か発言しています。さすがに世界を管理するための人材として特別に育てられた人だけあって、キッシンジャーは鋭いですね。この日本による大逆転というのは、やはり技術ですね。人類の生活を一気に変えてしまう巨大新技術を近いうちに生み出すのは、日本人しかいないのです。(p.209-210)
 日本には、いくつもの素晴らしい技術や、不思議な技術があることを、船井さんは過去の著作の中でいくつも紹介している。

 

 

【エネルギーの解放】
 燃料電池の研究ではトヨタとホンダの2社が、世界一進んでいることはよく知られています。それでもいまのところは、石油や天然ガスを使って、それを分解して水素を取り出している程度です。しかし、やがては船井先生が応援している本物技術と全く同じで、水そのものを水素と酸素に分解して、取り出した水素を爆発エネルギーにするらしいのです。この技術が完成すれば人類の“エネルギーの解放”が実現します。もう石油やガスや原発で空気と水を汚す必要がなくなります。人類にとっての1つの大きな夢が実現します。“エネルギーの解放”は日本人がやります。(p.213-214)
   《参照》   『闇の支配者に握り潰された世界を救う技術』 ベンジャミン・フルフォード (講談社) 《後編》
              【30年前に出来ていた】

 いまだに、代替エネルギーがないから原発容認、なんて言っている人びとは、一般人であっても許しがたい罪です。戦争を前提に言っているならもっと許しがたい罪です。情報不足ゆえに前世紀の延長でしか語れなかったのなら、上記の記述をしっかり受け止めることで、誤った見解を維持するのは止めましょう。
 東電の値上げは天下りたちの思惑通りであって、官僚達は日本国民のことなど何も考えていません。全国一斉に値上げ分不払運動を起こしつつ、別の電力供給会社を育て、国民の力で東電を潰すしかないでしょう。
   《参照》   『大震災で日本は金持ちになるか、貧乏になるか』 高橋洋一・三橋貴明 (幻冬舎)
             【東電体制】【天下りの現状】
   《参照》   『日本中枢の崩壊』 古賀茂明 (講談社) 《前編》
             【腐敗王国・日本の象徴:東京電力】

 また原発再開のストレステストを承認する 原子力委員会委員に名を連ねる学者達 の名前と顔を銘記しておくべきです。時流が分からず金のためならどのようなことでもするウンコ学者ですから。

 

<了>

 

副島隆彦・著の読書記録

 

船井幸雄・著の読書記録