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 東日本大震災から丁度1年目なので、この本。2011年8月初版。

 

 

【東電体制】
高橋 : 電力不足が深刻化する前に、早めに補償問題に決着をつけ、電力の自由化に動くべきです。
 答えは簡単なのに、一社独占体制を温存し、皆で節電に協力しようという話になる。なぜかというと、官僚が対策を作るからです。普通の経済学者や知恵のある人が考えれば、私と同様の「解」が、たちどころに出てくるはずです。
 原発事故を契機に電力料金はさげられます。電力料金を下げれば、こういっては何ですが、文字どおり「災い転じて福となす」になります。(p.37)
 経産省の守旧派は、逆に東電の電力料金を上げることによって危機を乗り切ろうとしています。日本の産業にとって、震災以上のマイナスになりかねません。(p.54)
 智恵のある人の代表である大前さんも、東電がこのままの形態で維持されることはありえないと考えていた。
   《参照》   『日本復興計画』 大前研一 (文藝春秋)

             【東電の今後】

 しかし、一年後の現在も震災前の形態が維持されているだけである。しかも官僚の思惑通り電力料金値上げというかたちで!
 電力事業は枢要な官僚のシマである。官僚にとって第一優先事項は、国家や国民のためではなく、自分たちの天下り先を減らさないことなのである。日本の政治は官僚が恣に支配しているから、「雨降って地固まる」とはならない。「雨降って地ぬかるむ」のである。
             【腐敗王国・日本の象徴:東京電力】

 

 

【天下りの現状】
高橋 : 経済産業省と電力会社の関係は古く、50年近く、ずっと天下りを受け入れ続けています。 ・・・(中略)・・・。電力会社によって「格」の違いがあり、東京電力の場合、事務次官級を受け入れています。最初、顧問として入社し、時期を見て副社長に昇格します。(p.67)
 高橋さんは、元大蔵省の官僚だったからこの辺の事情には詳しい。官僚の埋蔵金事情にも詳しいので、復興費の捻出方法も、「震災復興に名を借りた増税という火事場泥棒を許すな」という章(p.110-114)の中に書いている。下記リンクの中に高橋さんのことが書かれている。
   《参照》   『日米「振り込め詐欺」大恐慌』 副島隆彦 (徳間書店) 《前編》

             【アメリカの路線変更】

 

 

【日本近海の海洋資源】
三橋 : 資源小国といわれている日本ですが、日本列島の周りには「資源の宝庫」ともいうべき広大な海が広がっています。日本の排他的経済水域は世界で6番目に広い。そこにはウランやパラジウム、メタンハイドレードなど貴重な資源が眠っています。
 これらを取るために投資して一挙に資源大国を目指してもいい。(p.141)
 日本近海には非常に豊かな海洋資源が存在していることを、英米は人口衛星から得られる情報を解析して知っている。日本復活の資金は、この海洋資源を担保として供給すればいいと言っている人々も少なくない。実在することははっきりしているのだから、これは決して「捕らぬ狸の皮算用」ではないのである。

 

 

【まずは省益】
 東日本大震災では、阪神・淡路大震災の時に比べて、復興基本法や復興予算の成立は、甚だしく遅れているけれど、その理由。
三橋 : 復興が遅れている(というか始まらない)最大の原因が、財務省による増税実現という「省益」なのであるから、笑うに笑えない。(p.188)
 “笑うに笑えない”というより、ヘラヘラと力なく笑ってしまう。凄い国というか、凄い官僚たちである。
   《参照》   『日米「振り込め詐欺」大恐慌』 副島隆彦 (徳間書店) 《前編》
             【国費流出】

 

 

<了>