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 読みたい本がなくって、ポヨヨ~~ンと古書店の書架を眺めていたら、この本が目に入った。チョット久しぶりに韓国関連の書籍。2008年1月初版。

 

 

【韓国経済の三つの特徴】
 韓国企業の経済活動は、主に以下の三つで特色づけられている。
 ■模倣型(知的財産権軽視)
 ■刹那的
 ■日本隠し   (p.18)
 ■模倣型(知的財産権軽視)に関しては、今日、中国の著作権侵害が世界的な問題になっているけれど、韓国など当たり前にやっていたことである。韓国の発展当時は、日本が声高に叫ばなかったから国際的な問題にならなかっただけだろう。
 昨日、フジテレビで日中韓それぞれ6人ずつが出演して語りあう面白い深夜番組が放映されていたけれど、その中で、知的財産権軽視について中国人は、「中国は格差が激しいから、貧しい人々が生きる術として仕方がない」 という意味のことを言っていた。これについて韓国の出演者も頷いていたのであるけれど、これは詭弁である。産業技術や著作権を盗むのは、必ずしも貧しい人々ではなく、明らかに奸智に長けた人々なのである。
 他者を害ってまで私利私欲に基づいて行動し逞しく生きることを良しとしない普通の日本人のモラル感覚からすれば、中韓両国は民度の平均値が低過ぎるのである。
   《参照》   『 「道徳」 という土なくして 「経済」 の花は咲かず』 日下公人 (祥伝社)
   《参照》   『驕れる中国 悪夢の履歴書』 黄文雄 (福昌堂) 《中編》
             【 『厚黒学』 】

 ■刹那的に関しては、メリットとして表現すれば、スピード感覚が優れているということになるけれど・・・。
   《参照》   『韓国企業はなぜ中国から夜逃げするのか』 大原浩 (講談社) 《前編》
              【韓国人のスピード感覚】

 ■日本隠しについては、歴史的な反日政策が根底にあってのことであり、今日まで一貫して継続されていることである。この本にも、戦後間もない頃の浦項製鉄所の事例が書かれている(p.32-33)けれど、以前このブログに書いているので書き出さない。
   《参照》   戦後の、日本から韓国への援助のかずかず
              【韓国の経済発展を創出した日本】

 しかしながら、近年のインターネットの発達により、メディアを支配していた韓国政府主導の “日本隠し” は、もうそれほど通用しなくなっている。韓国のインターネット上で流れている日本のテレビ番組を見ている韓国の若者たちは、韓国のテレビ番組ですら日本の模倣であった(ある)ことをごく普通に理解するようになってきている。

 

 

【IMF管理下で行われたビッグ・ディール】
 中でもこの後の韓国経済に多大な影響を与えたのは、生き残り財閥間の事業交換、いわゆる「ビッグ・ディール」 である。(p.52)
 通貨危機以前は、各財閥が他社を模倣し、相手が進出したところに自分も進出する多角化が進んでいた。まるで、日本の一流企業間で行われていた競争の写しごとみたいなことをやっていたのであるけれど、日本の市場規模の3分の1程度しかない韓国市場で、そんなことをするのは余りにも相応しくなかった。
 最も有名なビッグ・ディールは、サムスン、現代、LGの3財閥間で行われた。それはサムスン自動車を現代財閥に、現代石油化学をLGに、LG半導体をサムスンに、それぞれ3財閥が譲渡するものであった。(p.52)
 グローバル化した今日の経済環境下では、日本企業であってすら相互に同じ品目で競い合う多角化は相応しくなく、それぞれに主力となる分野の棲み分けは進行している。選択と集中は、グローバル化が進行する中では必然的な趨勢だったのであるけれど、通貨危機に見舞われIMF管理下に置かれた韓国では、ビッグ・ディールが強制的に行われたことが幸いし、通貨危機からの急速なV字回復が成し遂げられた。
 しかし今日の韓国は、中級品生産で中国に追い上げられ、高級品生産で日本に引き離されつつある。数年ほど前まで、韓国企業は日本企業から人材や技術を容易に獲得できたけれど、近年は、日本企業も技術漏洩に関して真剣に対策を立ててきたから最早それは出来ないようになっている。
 韓国は日本からの部品供給を受けつつ、安値を唯一のバーゲニング・ポイントとして世界中の市場で先んじて売りまくるしかない。その過程であってすら対日貿易赤字は宿命的に増え続けるだけである。

 

 

【現代自動車の衰退】
 現代自動車は、近年スロバキアに進出したという。韓国の国民所得はスロバキアのそれの2倍でしかないけれど、現代自動車の韓国内工場で働く人の給料はスロバキア工場の給料の10倍(!)なのだという。それだけ、労働組合の力が異常に強いということである。韓国の労働組合の力が強すぎることは、以前から韓国経済の弱点として語られていることである。
 アメリカのサブプライム層は、現代自動車の購買層と完全に一致していた。 ・・・(中略)・・・ 中国市場においても中古価格の下落が著しく、「現代自動車は値段が一番早く落ちる自動車ブランド」 というありがたくない呼称を頂戴してしまった。(p.111)
 技術的な革新も、口先だけで、実際には殆ど行われていないらしい。かつて現代自動車は、北米市場での売上台数において日本企業の上を行っていたこともあったけれど、もはや現代(ヒョンデ)は日本のライバル企業などではない。
 現在のイ・ミョンバク大統領は、かつてヒョンデ・グループのCEOだった。仮に大統領の特別権限によってテコ入れしてもらうことを夢想したとしても、現代自動車が復活する可能性は殆どないだろう。韓国の国民性に相応しい世界的な定位置に収まるのである。
   《参照》   『ネーミング自由自在』 横井恵子 (プレジデント社)
               【国による違い】
   《参照》   『ハワイ王国独立と日米総合戦争』 増田俊男 (飛天出版)
               【NAFTA】
   《参照》   『韓国財閥解体』 佐桑徹 (日刊工業新聞社)

 

 

【韓国の造船業が嵌っている罠】
 現在の造船ビジネスの好況は、確かに歴史的なものだ。だが、造船産業の活況が、韓国の輸出産業全体には負の影響を与えている状況で、闇雲に受注に邁進するのはどうなのだろうか?
 韓国の造船産業は、経済の神さまが仕掛けた甘美な罠に嵌っているように思えて仕方がない。(p.119)
 どういうことかというと、造船という非常に単価の高い契約の場合、契約から建造代金が支払われるまでにかなりの時間差があるので、この間に為替リスクが生じる可能性が高い。そこで韓国の造船企業は為替リスクを免れるために、韓国の銀行に手数料を払って先にウォンを受け取る。しかし、銀行もまた為替リスクを免れるために金利を払って短期のドルを海外から借り入れることになる。
 韓国経済は、恒常的に対日貿易赤字を抱える構造になっているので、これを埋めるために資本収支は常に大きな黒字になっている。造船企業の契約受注は、この資本収支の黒字化をさらに加速することになってしまっているというのである。資本収支の黒字化は自国通貨(ウォン)高を招くので、輸出企業にとっては全く望ましくない状態になってしまう。国内市場規模が大きくないが故に輸出立国を目指さなければならない韓国は、かなり前からウォン高という好ましくない状況下での操業が続いているのである。
 日本にとっても自国通貨高(円高)は望ましくないので、日本の造船企業は、過剰な造船契約を先取りすることはない。
 造船竣工実績では日本と韓国は殆ど同じなのに、韓国の受注数は日本の3倍ほどもあるのである。刹那的な韓国人の性というべきか。韓国人にはあまり経営能力があるように思えない。

 

 

【日本に追いあげられる韓国企業】
 IMF管理以後、選択と集中によって大いに世界に躍進した韓国企業が多いけれど、その間、日本企業は黙って手を拱いていた訳ではない。
 液晶技術においては、亀山ブランドを確立したシャープが第10世代の液晶パネル工場を新たに堺市に竣工したし、パナソニックはプラズマ技術において、他の追随を許さないほど技術を蓄積し特許で固めている。半導体分野では、東芝がサムソンを追撃し、既に大きく躍進しつつある。
 また、第2世代の携帯電話市場において、日本企業は大きく世界に出遅れたけれど、世界が第3世代へと移行してゆく過程で、自ずと日本企業のプレゼンスは増すことになるのである。
 著者は、これらのことを “日本企業の韓国「包囲網」” という章の中に書いている。

 

 

【韓国人の日本に対するイメージ】
 日本は毎年毎年、栄光ある 「最も嫌いな国」 の一位に輝いているわけだが、恐るべきことに 「最も模範とすべき国」 において一位となるのが恒例化している。日本人からしてみれば、嫌いな国を模範とすべき、という感覚自体がもはや理解不能である。
                 1位   2位   3位
最も好きな国        米国   豪州   スイス
最も嫌いな国        日本   米国   中国
最も模範とすべき国    日本   米国   スイス
経済的に協力すべき国  米国   中国   日本     (p.93)
 参考までに、歴史的に韓国と同様な状態にあった台湾はどうかというと、
   《参照》   『私の中のよき日本』 盧千恵 (草思社)
             【台湾人が尊敬する国:日本】