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 2008年12月30日初版。国際関係の裏側に興味のある人々にとって、この書籍はまさに1級品なのであろう。個々の情報は大いに興味深い。まえがきで、対談相手の佐藤さんは、預言者・副島と言っているけれど、そこまでは言えないと思う。
 <長い読書記録を書いてしまったから、文字制限の関係上、上・中・下 の3つに分けざるを得ない>

 

 

【副島さんの情報源】
 私なりの情報のネットワークであるワシントンDCの研究員たちとアメリカのジャーナリストたちという情報源があります。それは秘密結社とか秘密のネットワークなどというものではない。真に優れた人間たちにはわかっていることだ。いわゆる大組織の中の脱落者、研究所とか大きなメディアに勤めていた人々で、「もう自分は悪いことに加担したくない、もうこれ以上、汚いことはしたくない」 と決めた人々です。彼らが私の親友です。国家体制の汚いところに関わったり、金融資本家たちが犯す制度犯罪に狩り出されて手を染めるのを拒否している人々です。(p.24)
 以前からの副島さんの読者は、この部分を読んで、「やはり、そうだよね・・」 と思えるはず。
 私には、バラク・オバマが民主党大統領候補に選ばれて当選することが、4年前からわかっていました。デヴィッド・ロックフェラー(93歳)がそう決めて、かれを抜擢したからです。彼らニューヨークの金融財界人の意向が大きく働いて、「こいつでいくぞ」 と4年前に決めました。アメリカ大統領といっても、金融財界の親分衆が決めるのです。 (p.25)
 副島さんは、さらに、「オバマは経済政策に失敗して、2年後ヒラリーに変わる」 とも書ききっている。そのシナリオは大いに有りうるであろう。第三次世界大戦を渇望する軍需産業(スカル&ボーンズ)も、デビッド様(デビッド・ロックフェラー)の支配下なのだから。

 

 

【アメリカ処分案】
 アメリカの金融業界が大きな大チョンボを犯した以上、必ず責任を取らされます。だから実は、今、密かに 「アメリカ(ドル)をどうにかしようという世界同盟」 ができつつあります。「アメリカ処分案」 というのが世界各国指導者たちの間でヒソヒソと話し合われているのです。アメリカは、まだ自分が被告席(倒産会社の社長の立場)に座らされていることに気づいていないようです。
 そのいちばんの先頭は反米分子のベネズエラのチャベス大統領です。北朝鮮を含め、イランのアフマディネジャード大統領たちです。この背後に控えている真打ちがBRICsです。ブラジル、ロシア、インド、中国の4国です。この4大国が密かに同盟を結んでいます。南北アメリカ大陸では、「あんな貧乏な人口大国」 と日本人が思っているブラジルが相当に手ごわい。アルゼンチンとチリと手を組んで南米の名手となっています。 (p.47-48)
  《参照》  『リアル経済学』 ベンジャミン・フルフォード (日経BP社)
           【金融資本を追放したロシア】
「9・15リーマン・ショック」の直接の原因はロシアです。ロシアはたぶん、米国債等を全部、売り払いました。だからそれに対する報復でロシアの株は大暴落させられたのです。ピークの1割くらいまで落ちて、今やポーランドやハンガリーなどと連れ立った、取引停止を繰り返しています。
 しかし、こんなものではロシア人は堪えないと思います。・・・中略・・・。だからロシアを中心にして「アメリカ処分案」 のコンスピラシーが生まれつつあり、そのための、世界協調になりつつある。 (p.89)

 

 

【AIGを救済して、リーマン・ブラザースを救済しなかった訳】
「救済したって、幹部の賞与のためなら意味ないじゃん」 と誰だって思ているだろうけれど、そこはモラルどん底のアメリカである。
 なぜリーマン・ブラザースは支えられないで、AIGは救済されたのか。ここでCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)という契約の危険さが表面化しました。AIGはこのデリバティブの保険商品を扱う最大の保険会社だったのです。
 CDSとは、企業への貸付金の返済リスクを保証する金融商品で、CDSを購入すれば、ある企業が破たんしたら蒙る損失を全額保証されることになっていました。AIGはリーマン・ブラザーズ向けに巨額のCDSを発行していた。リーマンが抱えていた(売っていた)CDSの残高は、何と40兆円でした。 (p.62)
 つまり、AIGが抱えているCDSは、リーマンが抱えていた額の比ではないということが、救済の理由なのだろう。日本にとっても対岸の火事ではない。
 最近、私が聞いた話では、日本の自衛隊や教員組合の団体生命保険や年金運用やその再保険を、全部このAIGに任せていたようです。関係者や金融庁は真っ青だと思います。金融庁が9月15日に慌ててやったことは、戦時の敵国資産の差し押さえと同じことを必死でやったことです。資産凍結 (asset freeze) といって、日本の支社にある資金を、AIGの在日幹部たちがアメリカの本社に送金してしまうことを阻止することでした。(p.63)
 ・・・中略・・・。
 日本は報道管制を引いて、テレビ・新聞にひと言もしゃべらせない、書かせないようにしています。週刊誌にさえ記事は出ません。年金運用団体はどこも相当の打撃を受けているようです。 (p.64)
 報道管制はパニック抑止のためであろうけれど、アメリカと組み続けるとロクでもないことが起こり続ける。
自民党の中には、弱味を握られてアメリカの言いなりになる議員が3人、民主党には小沢一郎ともう1人、公明党にも1人いるという。韓国には数10人のオーダーである。(小沢一郎に関しては、p.238 に核心となつる事実が書かれている)
 いずれにせよ、アメリカに貢いだ金はもう決して戻ってこないのである。

 

 

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