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 アメリカが計画しているシナリオやその仕掛けなど、書かれている基本的な内容は、『すでに世界は恐慌に突入した』 と同じであるけれど、副島さんのこの著作の方が、1か月先に出版されていた。2009年11月5日初版。
 証券や債券に投資して運用しているお金持ちの皆さんが、この書籍や 『すでに世界は恐慌に突入した』 を読んだら、間違いなく青ざめる。

 

 

【カウントダウン】
 金融法人のすべてが今も抱え込んでいる 「投資用有価証券の含み損」 を、どうにかして解消させようと必死だ。この努力は今も続いている。しかし、どうせ無理だ。来年から明るみに出て爆発を始める。(p.46)
 上記にある 「来年」 とは、今年のことであるけれど、今年度末に1次爆発。最終爆発、つまり基軸通貨ドルの終焉は2012年と、著者は書き切っている。
 その後、3年をかけて世界覇権はアメリカ合衆国から中国へ移ってゆく。2015年には中国が新たな世界覇権国になる。(p.4)
 一次爆発の引き金は、
 私は前著の 『あと5年で中国が世界を制覇する』 で、来年の末ぐらいから中国政府が米国債を売り始めるとはっきり書いた。(p.61)

 

 

【償還期限】
 (ハイ・イールド債の)「償還期限・期間」 として 「2012年2月23日」 となっている。(p.50)
 ハイ・イールド債とは、複雑な金融商品の中の一つであるけれど、「価格が購入時の60%に下がった場合は、元本確定条件から外れる」 という債権なのだという。つまり、償還期限までに、意図的に60%割れは起こされるのである。副島さんが 「ドン底」 の時を2012年と言っている根拠の一つなのだろう。
 このような仕掛けになっているのである。野村証券も三菱UFJ証券も恐ろしい商品を今も売って回っている。(p.50)
 日本の殆どの資金運用団体は、様々な金融商品を買って、日米振り込め詐欺構造の中に、完全に組み込まれてしまっているらしい。この書籍の後半には、すでに解体の運命にある農林中金にまつわる事実や、公的年金の運用などが記述されている。
 終わりの時を待つ金融商品を手にしているのは日本だけではない。西欧の銀行群も軒並みジャブジャブである。

 

 

【ドル亡き後の予測】
 ヨーロッパ諸国の民間の銀行群はバタバタと潰れる自体が想定される。それらを阻止して、緊急の統制経済の手法である預金封鎖(銀行預金の引き出し制限)と、ユーロ紙幣の新札への切り替えとかを断行するだろう。これは明らかに金融ファシズムへの道である。あるいはネオ・コーポラティズム(各分野の産業統制体制)であるが、この道にヨーロッパも突入してゆくだろう。(p.78)
 アジアは、EUのようなまとまりがないから、どうなることやら。

 

 

【中国と日本のアメリカに対する対応の違い】
 周小川は3月に 「米ドルが基軸通貨であり続けることは無理である。それよりはSDR(特別引き出し権)という、IMF内で通用している各国政府間の決済機能を新しい通貨に成長させたらどうか」 と論文を書いて発表した。世界の専門家たちは今、このSDRという機能を議論することを中心に動いているのである。
  ・・・(中略)・・・ 。ところが、日本は、 ・・・(中略)・・・ アメリカに秘密の念書を差し出して、「売りません」「売らないものとします」 と言うことになっている。
 これは日本の財務省と、とりわけその中にある国際局(かつての国金局)の売国奴官僚たちが長年やってきたことである。日本は今も情けないぐらいにアメリカの属国である。(p.65)
 情けない日本ちゃん。
 周小川(中国人民銀行)総裁は胡錦濤主席の出身母体である共青団系に近い北京大学系である。だから現在の中国の太子党(=上海閥)を中心とする反主流派の勢力(=親米派)ではない。この胡錦濤・温家宝・李克強派(故・鄧小平が育てた善良なる改革派)からの主張に対して、アメリカが以前のような超大国としての力を保持していれば、中国からのこのような提案を一蹴したはずだ。だがガイトナー財務長官は、周小川論文に対して 「考慮に値する」 と表明せざるを得なかった。ここに世界覇権国アメリカの落日が恕実に現れている。(p.106)
 中国君は根性あるよね。

 

 

【グリーンスパン】
 “グリーノミクス“ は ”グリードミクス” という痛烈な批判があるけれど・・・

   《参照》   『2009年断末魔の資本主義』 ラビ・バトラ (あ・うん)
            【グリーノミクス】
 グリーンスパン前議長はリバータリアン思想 Libertarianism の信奉者である。リバータリアニズムという保守思想の隠された本心は、実は 「ロックフェラー財閥に対する真の批判者であること」 である。グリーンスパンは、アイン・ランド女史というリバータリアン思想の創始者の一人から思想的な影響を強く受けている。
・・・(中略)・・・ 今になって振り返って、ようやく分かった。謎が解けた。グリーンスパンは、結果としてはまさしく、米ロックフェラー帝国に対する “墓掘人” の役割を担ったのである。 ・・・(中略)・・・ グリーンスパンは偉大な確信犯である。(p.115)
 なるほど、分かる気がする。陽へ転ずるためにこそ、陰を極める役割をおびていた・・・。

 

 

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