イメージ 1

 2016年の今年度中に、『日本の盲点』が全て白日のもとに晒され、日本が根本から良くなってほしいと思いつつ、買い置き書架に在ったこの本を読んでみた。2011年5月初版。

 

【真の論点】
 本書の目的は、この盲点(スコトーマ)がどんなものなのかを指摘し、読者を支配者からの洗脳状態から脱却させること。情報統制によってつくり出された無知から日本国民を救い出すことです。
 本書では、支配者が与えた「偽りの論点」を指摘するとともに、私たちが本当に論じるべき「真の論点」が何なのかを具体的に明らかにしていきます。(p.6)
 苫米地さんの著作は、いずれであれ、ここに記述されている目的で記述されているだろう。本書は、脳機能ではなく、政治や経済を題材にしているから、このようなダイレクトなタイトルにしたのだろう。
 下記リンク内に、貨幣経済に関する根本的な問題が「スコトーマ(盲点)」という用語と共に語られている。
    《参照》   『夢が勝手にかなう脳』 苫米地英人 (講談社)
              【A次元には、「自分だけが幸せになる」なんて命題はありえない】

 

 

【ジャーナリズムの質の低下、改善法】
 もしも、電通に独禁法を適用できれば、・・・中略・・・各局が自力で広告をとるようになれば、市場原理が働いて広告価格は下落するでしょう。だとしても、電通の中抜きがなくなるだけで、テレビ局の収益は相当改善するはずです。そうすれば、リソースに余裕ができますから、現状では冷や飯を食わされている報道・教育といった「堅い」ジャンルにも予算が回るようになるでしょう。
 先に述べたように、新聞・雑誌の質が低下しているのはテレビの後を追うしかないからです。したがて、テレビの質の向上にもつながるはずです。
 日本のジャーナリスムを復活させるために第一にやるべきことははっきりしています。まずは電通を解体すること。それによってテレビ局を電通の呪縛から解き放つべきなのです。(p.45)
    《参照》   『人類への警告⑥ 真の支配者』 高山長房 《前編》
              【電通の正体】

 苫米地さんは、経営を広告収入に頼らず定期購読費で賄っている「サイゾー」という雑誌を発行している。
 ちなみに、日本の雑誌では「週刊金曜日」がやはり定期購読モデルをとっています。人によって好き嫌いは分かれるでしょうが、いち早くトヨタ車リコール問題に切り込むなど、「週間金曜日」は少なくともジャーナリズムにはなり得ている雑誌です。
 いま、日本でジャーナリスムの名に値する雑誌は、「サイゾー」と「週間金曜日」だけ、ということになるのでしょうか。(p.48)
 近年、大学生のナンバーワン就職希望企業は、「電通」になっているらしいけれど、インターネットが普通になっている現在、「電通」は経時的に衰退というより、遠からず大きく没落してゆく企業である。「世界のあるべき姿」など考えたことなどなく、「世界情勢」も分かっておらず、「カネ(給料の額)」という視点しか頭にない大学生は、それでも電通を選択するのだろう。

 

 

【地デジ化】
 アナログ放送よりデジタル放送のほうが優れているから移行するのではないのです。地上デジタル放送への移行を正当化するために、あえてアナログ放送の画質向上は止められた、というのが真相です。(p.56)
 有事での実用性や、データ変換による遅延の点でも、アナログはデジタルに勝っているという。
 にもかかわらず、地上デジタル移行、アナログ停波を強行するのは、背後に巨大な利権があるからこそです。(p.58)
 本書の初版から2カ月後の、2011年7月24日を期して地デジ化が行われたのだけれど、なにもかもカネ絡みである。
    《参照》   『正義という名の洗脳』 苫米地英人 (大和書房) 《前編》
               【電波利権のための東京スカイツリー】

 

 

【マネーサプライという「常識」】
 現在の経済学者たちの言う「経済」は、すべて中央銀行によるマネーサプライを前提としています。・・・中略・・・。インフレのときには貨幣供給を減らし、デフレのときには増やすという調整を行って景気をコントロールする、というものです。ケインジアンであろうとマネタリストであろうと、さらにはマルクス経済学者だろうとその点は同じ。つまり、立場を問わずマネーサプライという考え方を支持しているわけです。
 私は、マネーサプライを前提とする「経済」は、もうやめるべきだと考えています。・・・中略・・・。あまりにも常識からかけ離れた意見と思われるかもしれません。しかし、その「常識」こそ、盲点(スコトーマ)なのです。(p.67-68)
 リーマンショック後のデラタメとも言えるジャブジャブ金融緩和の事実に触れて、もはや経済学の制限の外に出てしまったとチャンちゃんは感じていた。そして、2013年末に開始された日本版ジャブジャブ金融緩和政策である「アベノミクス」は、国際的な通貨供給量のバランスという点で前向きな期待をいだいていたけれど、
    《参照》   『日本人が知らされていないお金の話』 高橋洋一 (青春出版社) 《前編》
              【円高の本当の理由】 【為替は国力の反映か?】

 結論としては「効果なし」である。日本も世界も格差社会が増長しただけである。
 だからこそ、苫米地さんの言う、「マネーサプライ=常識」というスコトーマの指摘は、多くの人々がはっきり意識に上げて考えるべきだろう。
 リビアのカダフィが屠られたことで、世界で唯一残っていた国有銀行はなくなった。つまり現在、諸国に在る中央銀行の中に、国有銀行などひとつとしてないのである。通貨発行権限を持つ中央銀行は、すべて国際金融資本家たちの私有機関である。このことと「マネーサプライという常識」は深く繋がっている。
    《参照》   『ロスチャイルド200年の栄光と挫折』 副島隆彦 (日本文芸社) 《前編》
              【徴税請負人としての宮廷ユダヤ人】

 

 

【世界経済を回復させるために】
 資本主義を健全化するためには、中央銀行によるマネーサプライをやめることの他に、もう一つやるべきことがあります。それは信用創造の禁止です。(p.73)
 信用創造というのは、「手持ちの額の10倍までお金を貸すことができる」という銀行に与えられた特権。
 何より、信用創造制度は、実体のない通貨を増やしてしまうのが問題です。(p.74)
 先物取引と言うマネーゲーム市場では、30万円の証拠金で1000万円の取引ができるというルールもある。いずれであるにせよ、経済を立て直すという名目の「金融緩和」というジャブジャブ供給によるマネーは、このような金融市場に吸い込まれるだけで、日常生活者のところへは殆ど流れてこないのである。だから、はてもなく格差は広がってゆく。
 このように、国際金融資本家たちが定めているルールは、はっきり言って、通貨発行権持つも者達(国際金融資本家)が“私腹を肥やすための大いなる謀略”を完遂させるためにあるデタラメである。経済学者というお偉いさんたちは、国際金融資本家たちに飼いならされた連中ばかりなので、デタラメを「常識」として真顔で語っている正真正銘のペテン師なわけである。
 国際金融を支配している連中の、感心するほどの“悪だくみぶり”は、下記リンクを通読するだけでも分かるでしょう。
    《参照》   『2012年、日本経済は大崩壊する』 朝倉慶 (幻冬舎) 《前編》
 苫米地さんが語っている経済再建の主な点は、「GDP連動制」と「円建て本位制」である。
 国際収支を全部円建てでやってしまえば、他の国がいくら通貨を発行しようが関係ありません。「ご自由にどうぞ」ということです。(p.77)
 現在は、GRICsを始めとする多くの国家が、ドル崩壊の影響を免れるために「自国通貨建て決済」を行っている。世界で一番愚かなことを、一番最後までやっていたのが、日本だったということだろう。

 

 

【アメリカのGDPは粉飾である】
 たしかに経済は危機を迎えてはいますが、それでも、日本の経済は世界でも一番健全であるということです。
 世界一を誇るアメリカのGDP(国内総生産)は、「張り子の虎」に過ぎません。個人がリボルビング払いでクレジットカードを使いまくり、毎月利子だけを払って永遠に借金を続けることで、無理やり個人消費を伸ばしているのです。だからGDPが巨大になるわけです。クレジットカード消費を除けば、アメリカの一人当たりのGDPは日本並みかそれ以下になることは間違いありません。(p.80)
 ここに書かれているアメリカの実態は、今も全く変わりない。
 日本のメディアが、中国の粉飾ばかり言っているのは、日本のメディアがいまだにアメリカに支配されているという何よりの証拠である。

 

 

【審議されない特別会計の闇】
 特別会計の総額は、約176兆円にものぼります。一方、国会で審議・可決される予算は92兆円ほど。つまり、国会で審議されない、国民に内容を開示しない不透明なお金が予算の約2倍あるということになります。
 特別会計制度が問題なのは、役人がいくら使ってしまっても調べようがないということです。(p.91)
 政治経済の本を読んでいる人にとって、官僚たちの埋蔵金である「特別会計の闇」は、盲点などではないけれど、上っ面しか語らない池上彰のテレビ経済番組しか見ていない人にとっては、いまだに盲点なのだろうから、また書き出しておいた。
    《参照》   『日本中枢の崩壊』 古賀茂明 (講談社) 《中編》
              【母屋と離れ】

 この「特別会計問題」が解決しない限り、日本の復活は、決してあり得ません。
    《参照》   『宇宙人の伝言』 田村珠芳 (TO文庫) 《前編》
              【純粋な日本人の隘路】

 

 

【参議院は不要】
 私は「すでに参議院は不要」であると考えています。・・・中略・・・。
 参議院は貴族院の名残に過ぎません。いまの日本には貴族はいないのですから、その流れを継ぐ議院が残っているというのはおかしな話です。貴族制を復活させるつもりがないなら、参議院は廃止すべきなのです。(p.114)
 国民全員にアンケートをとれば、少なくとも8割以上が「廃止。あったりまえじゃん」と言うだろう。

 

 

【検閲が行われている日本】
 このテレビ局に限らず、現在のテレビ局は事実上、検閲の権限を手にしてしまっています。テレビ局の幹部は、政権政党とも話しあって都合の悪い発言を放送できないようにしているのです。実際、東日本大震災の原発事故の際に、ある民放キー局では、番組のプロデューサーが全員集められ、「原発の悪口を言うコメンテイターはすべて下ろせ」との指令が伝えられました。これは、明らかな検閲であり、憲法違反です。(p.120-121)
 テレビ局の報道の実態は、電通と切り離したとしても真っ黒けである。
 最近では、テレビ朝日のキャスター降板を決意した古館伊知郎が、「本当のことを言えない」と、理由を語っているから、既に多くの国民も検閲の実態を知っているだろうけれど、念のために書き出しておいた。
   《参照》   『小沢革命政権で日本を救え』 副島隆彦・佐藤優 (日本文芸社)
             【ネオコン派に与する 「三宝会」 】
   《参照》   『欧米日やらせの景気回復』 副島隆彦 (徳間書店) 《前編》
             【日本の影の最高意思決定機関である「三宝会」】

 ついでに、福島原発の実状を調査したドイツの放送局の報道番組の動画をリンクしておきます。
    《参照》   みんなが知らない、福島原発の真実(ドイツ番組で衝撃取材)

 

 

【東京地検特捜部】
 戦後の占領期に旧日本軍が隠した物資(退蔵物質)を摘発するために設けられた「隠匿退蔵物資事件捜査部」が東京地検特捜部の前身でした。旧軍部の退蔵物資を放っておけば、それを使ってGHQ=アメリカに楯突く勢力が出てくるかもしれないし、大規模な対米サボタージュもあり得る。アメリカに楯突く奴を早めにやっつけておこう ―― という目的で設置されたのです。
 ですから、簡単に言えば地検特捜部はCIAの下部組織なのです。それは現在まで続いていて、ロッキード事件の田中角栄にせよ、最近付け狙われている小沢一郎氏にせよ、特捜部にやられる人はすべて「反米」側であると言っても過言ではありません。(p.128-129)
 これも政治経済関係の本を読む人にとっては分かり切ったことで、盲点ではないけれど、書き出しておいた。
     《参照》   『日米「振り込め詐欺」大恐慌』 副島隆彦 (徳間書店) 《前編》
               【検察が仕掛ける謀略】

 

 

【憲法9条を改正しても、サンフランシスコ講和条約がある】
 憲法9条を改正し、「我が国は戦争ができる国になった」と日本が勝手に言い張っても意味はありません。本当に戦争を始めたとたんにサンフランシスコ講和条約違反ということになります。連合国との約束を破ったことになるのです。
 連合国は、現在で言えば国連のことです。第2次世界大戦に勝った連合国を母体にして作られたのが国連だからです。(p.156)
 九条改正論者は、戦争を画策してそのたびに莫大な利益を上げてきた国際金融資本家の一味であるネオコンの意向に則して日本を戦争のできる国にしたいわけだけれど、苫米地さんは、「九条が改正できたとしても、戦争はできない」といっている。
 だったら、平和を希求する多くの日本国民は、大いに安心するだろう。
 「サンフランシスコ講和条約があって良かった!」 と。
 しかし、サンフランシスコ講和条約は、「日本を“独立国”として認めていない」ことも知っておく必要がある。
    《参照》   『脳と心の洗い方』 苫米地英人 (フォレスト出版) 《後編》
              【サンフランシスコ講和条約の最後の一文】
              【二つの語彙】

 

<了>