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 この著作が意図するところは、「科学の成果と脳の仕組みを知ることで、世界認識を変えて、地球の行き詰まりを打破しよう」ということだろう。
 著者の論旨に従えば、脳は神を創っただけでなく、金融資本主義や貨幣制度も脳が創ったスコトーマ(盲点)だということになるだろう。 著者の趣旨に沿って読んでみる価値のある著作である。2010年2月初版。

 

 

【原始キリスト教には輪廻転生の概念があった】
 原始キリスト教においては輪廻転生の概念がありましたが、これも現在のキリスト教では排除されています。これは、553年にバチカンがコンスタンティノ公会議において、投票によって聖典から輪廻転生をはずすことを決めたことが知られています。(p.64)
 下記リンク書籍の中に、ニケーア公会議と書いておいたけれど、チャンちゃんの記憶違いだったかも。
   《参照》   『知能と創造のサイエンス』 七田眞 日本実業出版社
             【輪廻転生がスタート地点】

 

 

【ピューリタンが新大陸を目指した理由】
 ピューリタンは、宗教の堕落から逃れ、宗教の自由を求めて、アメリカ大陸に渡っていきました。彼らが求めた宗教の自由とは、宗教の原理主義のことです。彼らは、より厳格に教義が適用される社会を求めて、祖国を捨て、はるばる海を渡りました。
 私たち日本人は、「宗教に自由を求めて」と聞くと、あたかも宗教的な束縛から逃れようとしたかのような誤ったニュアンスを抱きがちです。ところが、彼らが求めた自由とは、世俗を離れることであり、厳格な教義にもとづいた社会秩序の維持です。(p.83-84)
 ピューリタンが求めた「宗教の自由」とは、「宗教の原理主義」だった! だからアメリカには今日でも、アーミッシュのような現代文明から隔絶したキリスト教原理にもとづいた村が存在していたり、妊娠中絶に関する根強い議論や苛烈な行動があるわけである。
   《参照》   『日本人とアメリカ人』 山本七平 祥伝社
             【アーミッシュ村】

 このことが最初から分かっていたら、「何でアメリカはヨーロッパよりも強固な宗教意識を持つ国家なんだろうか?」なんて悩まなくてよかったのである。今更ながら「なあ~~んだ」という感じ。
   《参照》   『ニューイングランド物語』 加藤恭子 (NHK)
             【宗教国家アメリカ】

 

 

【政治による宗教利用】
 国連総会議長の要職にあった、ニカラグアのデスコトさんが、任期満了を控え、日本であいさつをおこなったさいに、「日本人に謝りたい」として、言ったこと。
 「エノラゲイには12人乗っていたと言われますが、もう一人のっていました。13人目、それはカトリックの神父でした」 (p.87)
 アメリカ兵においても ・・・(中略)・・・ そんなことをすれば、天罰が下り地獄に落ちると、極度の恐怖心を抱かないはずがありません。だからこそ、神父が同乗したのです。 ・・・(中略)・・・ 。
 エノラゲイに13人目の乗員がおり、それが神父だった。このことが導く結論は、政治による宗教利用という厳然たる事実でしょう。政治が、宗教の力で、投下ボタンを押させたということです。(p.88-89)
 カトリックにあきたらずプロテスタントとなった人々の一部が清教徒(ピューリタン)となってアメリカを建国したのだけれど、異教徒のジェノサイトに関わって自分たちの手は汚したくなかったからカトリックの神父を同乗させたのである。そして、広島の次に原爆が投下された長崎は、日本国内で唯一プロテスタントが古くから入植していた地域であったことも、ピューリタンによって建国された国家の意志が貫徹された証拠として理解できる。
 いずれにせよ、キリスト教原理主義にもとづく宗教国家アメリカにおいては、政治による宗教利用が容易である。彼らは、狂信的に、地球最後の日を待ち望んでいたりもするのである。
   《参照》   『姿なき占領』 本山美彦 (ビジネス社)
             【米国民を扇動するテレビ伝道師たち】

 

 

【一神教という凶器】
 実は、宗教戦争は、日本人にはなかなか理解することが難しいテーマです。なぜなら、万物に神が宿るという思想を持つ日本人は、ひとつの神に純化しようとする求心力がいかに強いうかという点に、いまひとつ理解が及ばないからです。(p.90)
   《参照》   『闇の世界権力の「日本沈没計画」を阻止せよ』 中丸薫/レオ・ザガミ (ヒカルランド) 《前編》
             【世界の終末】

 広島に原子爆弾を投下したB29爆撃機の機名であるエノラゲイに関して、昔読んだ宇野正美さんの本には、イディッシュ語で「天皇をやっつけろ」という意味になると書かれていた。
 「和」を尊ぶ寛容な神道思想の基底には原始キリスト教が横たわっているのだけれど、極めて狭量で排他的なキリスト教原理主義の石頭は、文字通り石頭でどうしようもないらしい。
 神道の表は多神教で裏は一神教であると看做す日本人もいるけれど、裏と表は表裏一体で、「一即多、多即一」的に自在に展開するから、日本の神々はそんなにヤワじゃないのである。原理主義的キリスト教徒がどんなに真剣に世界の終末を描いても、その実現は、本家の命脈を保っている日本には決して及ばない。
   《参照》   『失われたメシアの神殿「ピラミッド」の謎』 飛鳥昭雄・三神たける (学研) 《後編》
             【神道のルーツ】

 

 

【世界の終末を企画している連中】
 人々に人殺しの一線を越えさせる論理は、狭義の宗教だけではありません。
 たとえば、自由と正義という価値観を振りかざし、イラクやアフガニスタンで戦争を遂行するアメリカはアメリカ教といえますし、唯一の経済原理である資本主義に従わない国を滅ぼしてしまえと考える人たちは資本主義教であるということになるでしょう。(p.107)
 最も性質が悪いのは、宗教の原理主義ばかりではなく経済の資本主義でもあると言っている。
 この二つ悪しきイデオロギーを自在に操っているのが下記の連中である。そして、俗に「闇の権力」と言われている連中の中核こそが「ビルダーバーグ会議」ある。
 前任の大統領、かのジョージ・ブッシュはイギリス王室の遠縁に当たる、それこそ正統派のWASPでした。彼は大多数のアメリカ人の目から見ても、おかしな戦争に突き進み、失態をくり返し、結局は金融危機を招きました。にもかかわらず、 ・・・(中略)・・・ 史上最悪の後始末をオバマに託し、大統領経験者として悠々自適の人生のつづきを楽しんでいます。(p.96)
   《参照》   『アメリカが隠し続ける金融危機の真実』 ベンジャミン・フルフォード (青春出版社)
             【ビルダーバーグ会議】

 

 

【神は存在しない?】
 宗教において、神は全知全能とされています。全知全能とは、前に述べたように、「万物を創造した完全な系がある」ということです。
 ところがチャイティンは、この世に完全な系はない、ということを証明しました、
 つまり、チャイティンの証明によれば、神は存在しないのです。(p.138)
 欧米人の理性優先発想のもとでは、「神は完全な系」と考えられるんだろうけれど、日本人には「神は完全だ」なんていう発想はそもそもないだろう。故に、チャイティンの証明がどうであろうと、日本人にとって神は存在するのである。
 そもそも、数式や実験で証明された無矛盾や不確定なんてどこまでも理性的な扱いに徹した結果でしかないのだし、そんなのは、相対世界と絶対世界は永遠に重ならないものであると、分かり切ったことを言ってるのと同じようなものにしか思えない。
 さらにそもそも、人間が住む相対世界における実相を“理性”で捉えようとするのは不毛なんじゃないだろうか。当たり前のことだけけれど、相対世界は唯一の尺度が機能しない。相対世界を普遍的に一挙に捉えようとする理性的な目論見は最初から無意味ということなのである。故に相対世界において機能しうるのはセンサーは “理性”ではなく“感性”のみなのである。そこに神は実在する。
 もちろん、神と呼ぶ対象が存在すると主張するのはかまいません。ただし、そのときは、「神はちゃんといますけど、完全ではないですよ」といわなくてはなりません。 (p.139)
 そのとおりである。