【若紫141-3】古文単語「功づく」☆
古文単語には、
1.とにかく丸暗記して覚える
2.漢字やイメージで覚える
3.文脈判断で決める
などの覚え方があります。
今回は、現代の語義でわかる連語☆
【今回の源氏物語】
聖、動きもえせねど、とかうして護身参らせたまふ。かれたる声の、いといたうすきひがめるも、あはれに功づきて、陀羅尼誦みたり。
――――――――――――
今回出てきた古文単語
――――――――――――
■【聖’ひじり)】…高僧。光源氏が祈祷を頼んだ聖人
■【動き】…動作。身動き
■【も】…強意の係助詞
■【え―ず】…とても~できない
※【え】…不可能を導く陳述の副詞
※【ね】…打消の助動詞「ず」已然形
■【せ】…サ変動詞「す」未然形
■【ど】…逆接の接続助詞
■【とかうし】…サ変動詞「とかうす」連用形
※【とかくす】…何とかする。あれこれする
■【て】…単純接続の接続助詞
■【護身(ごしん)】…密教で、一切の魔障を排し、身や心を守るために行う法
■【参らせ】…サ行下二段動詞「参らす」連用形
※【参(まゐらす)】…「す」の謙譲(作者⇒光源氏)
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒聖)
■【かれ】…ラ行下二段動詞「かる」連用形
※【嗄(か)る】…声がかすれる。しわがれる
■【たる】…完了の助動詞「たり」連体形
■【声(こゑ)】…声色。読経の声
■【の】…主格の格助詞
■【いと】…とても
■【いたう】…ク活用形容詞「いたし」連用形ウ音便
※【いたし】…ひどい
■【すきひがむ】…歯の隙間から息が漏れて聞きにくい
※【透(す)く】…隙間があく
※【ひがむ】…ねじける。ゆがめる
■【る】…完了の助動詞「り」連体形
■【も】…強意の係助詞
■【あはれに】…ナリ活用形容動詞「あはれなり」連用形
※【あはれなり】…しみじみすばらしい
■【功づく】…功徳を積んでいる
※【功(こう)】…年功。功労。功徳
※【つく】…合わさって一つになる。身に備わる
■【て】…単純接続の接続助詞
■【陀羅尼(だらに)】…陀羅尼経
■【誦(よ)む】…読誦する。声に出して唱える
■【たり】…存続の助動詞「たり」終止形
◇ 今回は「つく」にも注意しましょ♪
―――――――――――――――
☆ 本日の古文単語「功づく」☆
―――――――――――――――
聖、動きもえせねど、とかうして護身参らせたまふ。かれたる声の、いといたうすきひがめるも、あはれに功づきて、陀羅尼誦みたり。
問)傍線部の説明として最も適当なものを1つ選べ。
1.若紫に対する愛しさが効果的に増して
2.しみじみ感動的な声音が功を奏して
3.しみじみ悲しく功績を絶たれたようで
4.しみじみすばらしく功徳を積んでいるようで
5.しみじみもの寂しく年功に準じているようで
古文読解のためには
次の3つの知識が必要です。
● 古文単語をきっちり覚える
● 古典文法を押さえる
● 古文常識を理解する
この【重要古語】カテゴリでは
今回出て来た『源氏物語』の一語一語を
詳しく解説しつつ、
特に今回注目したい古語をピックアップして
詳しく解説しています。
今回の古語はこれ☆
「功」とは
聖のお年を考えて
「年功(年の功)」と訳してもいいですが
やはり私は
「功徳(くどく)」と訳したほうが
聖の霊験が伝わってくるような気がします。
「つく」は、
おそらく「付く」でしょうね。
「功」が―「付く」
つまり――
【答え】…4
聖、動きもえせねど、とかうして護身参らせたまふ。かれたる声の、いといたうすきひがめるも、あはれに功づきて、陀羅尼誦みたり。
● 過去記事リンク
■も
■とかく
■たまふ
■いと
■ひがむ
ーーーーーーーーーーー