【桐壺110-③】あはれなり | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

【桐壺110-③】あはれなり

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■【命婦】

■【大殿籠もる】

■【~せたまふ】

■【あはれ】

■【見たてまつる】

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何度も取りあげていますが、今回も「あはれ」についてです。

 

【桐壺110-①】イラスト訳

【桐壺110-②】イラスト解釈

 

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【あはれなり】は、基本的には、

 

①しみじみとした情趣深い様子 を指します。

 

じわ~っと、心に迫ってくる感じでしょうか…。

心臓がきゅぅっとつかまれるような、感情が動く時に用います。

 

古語辞典には、すいぶん多くの意味が書いてあるはずですので、英単語のように、全部覚えようとするのは至難の業><

 

ですから、文脈判断により、イメージを見極めて、その場で臨機応変に訳をあてはめる力を身につける必要があるんです。

 

では、具体的に場面場面に応じて、見ていきましょう!

 

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たとえば、

 

犬がムチで打たれるのを見た時☆

  ダウン

あはれなり

  アップ

さあ、どういう感情ですか?

 

心がじわ~っと、つかまれるような感情…。

かわいそう、という訳出が具体的でしょうか。

 

こんな場合の「あはれ」は、ほんとによく使われてきました。

そして、現代の「哀れ」という語につながっていくわけです。

 

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たとえば、

 

古今和歌集を全部丸暗記してる女房☆

  ダウン

あはれなり

  アップ

さあ、どういう感情でしょうか?

 

心がふるえるような感動…。

すばらしい、という訳出が具体的でしょうか。

 

こんな場合の「あはれ」は、近世に入ると「天晴れ(あっぱれ)」という表現に移っていったと言われています。

 

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今回の「あはれ」は、

 

帝がけなげにも命婦の帰りを待っていた姿☆

  ダウン

あはれなり

  アップ

さあ、どういう感情でしょうか?

 

心がきゅんと痛くなるような感情…。

 

すばらしい、というのとは違う!

でも、かわいそう、とか、感心だ、とかいうのは、帝への感想としては不適切です。

 

辞書に載ってる意味として当てはめるならば、

 

①いたわしい(気の毒だ)

②情が深い

③ありがたい

 

あたりが不自然ではないようです。

 

ですが、これ!と決めつけるのではなく、もっともっと深い意味を当てはめたいなぁと感じます;;

 

なので、今回は、もっとも基本的な意味「しみじみとした感じ」を当てはめました。


 

光の君に逢いたい想いが募る帝…。

光の君の参内を承諾してもらうよう、更衣ママの所へ靫負命婦を使者に遣わせます。

 

今か今かと、命婦の帰りを待ち侘びている帝。

命婦は更衣ママとの名残を惜しんで、なかなか帰れなかったのです。

 

ああ…、やっと靫負命婦が戻ってきた!

夜更けにも眠れず、ずっと待っていた帝の姿…。

 

それを知った命婦は、

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しみじみと、その想いをくみ取っていたことでしょう。

 

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実は、入試で「あはれ」の意味が問われるとき、その選択肢が、上に挙げたものがすべて入ってる場合があるんです。

 

あれもありうる…

これもありうる…

 

では、どうやって選べばよいのか…?

 

長くなりますので、いずれまた、アメンバー記事で選択肢問題として説明いたしますね♪

 

あいでしたラブラブ

 

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■【命婦】…五位以上の女官、ここでは靫負命婦

■【大殿籠もる】…おやすみになる(「寝」の尊敬)

■【~せたまふ】…~あそばす(最高敬語)

■【あはれ】…しみじみとした情趣

■【見たてまつる】…拝見する、見申し上げる

     ダウン

【原文】

命婦は、「まだ大殿籠もらせたまはざりける」と、あはれに 見たてまつる

 

 

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最後に、今回の重要古語と原文とを照らし合わせて、自力で訳出できるようにしておきましょう!

今日もお読みくださり、ありがとうございましたラブラブ