第63回③「Penny Lane」(1967)/The Beatles | 柑橘スローライフ

柑橘スローライフ

2018年1月更新終了しましたが、検索ご来訪の方等の
過去記事に対してのコメント・ご質問等は大歓迎です。

(①はこちら)こちらから是非ご覧ください
(②はこちら)こちらも是非ご覧ください



ビートルズの1967年の作品「Penny Lane(ペニー・レイン)」です。

【詩作面】
この「ペニー・レイン」という曲は、表面的な印象とは違い、
音楽的にはかなり「変態的」として、①や②で触れさせて頂きました。

そして一方、リヴァプールの想い出を綴った歌詞のほうには、
本当の意味での「変態的」なものも出てくるようです。

例えば、「finger Pies」や「fire Engine」などですが、、
これらは、リヴァプールの若者で使われていた卑猥な隠語のようです。
こうしたことも含めてこの曲を考えてみると、
やはり表面的な印象と中身とでは随分違うなと云う印象を与えます。

音作りと一緒で、健康的な方向感だけで曲が形成されるのを嫌い、
こうしたどちらかというとコンサバティブな雰囲気を持つ曲の中に、
詩作面で「毒」を盛って、適度なバランスをとっているわけなのでしょう。
ポール・マッカートニーは、自分が健康的で優等生的に見られている、
ということを意外と意識し、気にしていたようにも感じられるので、
わざと「ワル」に見せるようなところがあったのだろうと思います。

【全体】
この記事の中で「変態的」という言葉をよく使わせて頂きましたが、
本当にそう感じざるを得ない部分が目白押しなのがこの楽曲です。
それは「非常に強引で手荒な進行」という意味が大きいのですが、
どちらかというと、そうした作り方の部分はむしろジョン・レノンに近い、
という印象を持ちました。もちろん曲調やテイストではなく、
作曲の一部の手法面です。

反対に「ストロベリー・フィールズ~」は非常に堅牢で構築性が高いため、
むしろポール・マッカート二ーの職人性を思わせます。
そういう意味では、この二曲はそれぞれ二人の典型的な曲のようでいて、
実は中身の作曲手法面では反対のような気も一面ではさせるのです。

ポール・マッカートニーが「ストロベリー~」を聞いて驚いたと云うのは、
恐らくその辺りの「自分が本来やるべきことを見事にやられてしまった」と
云う事なのだと思います。
だから、このペニー・レインでは、ポールらしい健康性が前面に出てはいるものの、
ジョン・レノン的な「手荒な」作曲手法や隠語を使った「ワル」な部分の詩作などが、
お返しとばかりに使われているのだろうと思うのです。

ジョンが意識せずに作ったポール的な「ストロベリー~」に対して、
ポールは意識してジョン的な「ペニ-・レイン」を返歌にした。
ただし、肝心となるヴァ―スとサビの健康的で明るい循環進行そのものは、
決してジョン的ではなく、典型的なポールの雰囲気であるので、
表面的にはそのことに気付かれることは決してない。
暗喩のように、作曲技法(特に連結部)や詩作などのいくつかの要素が、
ジョン・レノン的だと思わせるのです。
しかし、そのことにジョン・レノンが気付いたかどうかはわかりません.....
もちろん、これらの見立ては、あくまで個人的な見解です。




ロック名曲百選/過去記事一覧

★第1章「ロック名曲・アトランダム編」
第1回「Sexy Sadie」(1968)/The Beatles
第2回「Ask Me Why」(1963)/The Beatles
第3回「Epitaph」(1969)/King Crimson
第4回「Speak To Me~Breath」(1973)/Pink Floyd
第5回「You Never Give Me Your Money」(1969)/The Beatles
第6回「Achilles Last Stand」(1976)/Led Zeppelin
第7回「Babylon Sisters」(1980)/Steely Dan
第8回「What A Fool Believes」(1978)/The Doobie Brothers
第9回「New Kid In Town」(1976)/Eagles
第10回「Your Mother Should Know」(1967)/The Beatles
第11回「Take It Away」(1982)/Paul McCartney
第12回「Pretty Maids All In A Row」(1976)/Eagles
第13回「I'm Not In Love」(1975)/10CC
第14回「A Whiter Shade Of Pale」(1967)/Procol Harum
第15回「Give Me Strength」(1974)/Eric Clapton
第16回「We Are The Champions」(1977)/Queen
第17回「Honky Tonk Women」(1969)/The Rolling Stones
第18回「Miss You」(1978)/The Rolling Stones
第19回「My Ever Changing Moods」(1984)/The Style Council
第20回「Hey Bulldog」(1968)/The Beatles
第21回「Here Today」(1982)/Paul McCartney
第22回「Alone Again(Naturally)」(1972)/Gilbert O'Sullivant
第23回「Good Night」(1968)/The Beatles
第24回「The Nightfly」(1982)/Donald Fagen
第25回「It's Too Late」(1971)/Carole King
第26回「Happy Xmas」(1971)/John Lennon
第27回「Better Make It Through Today」(1975)/Eric Clapton
第28回「Tell Her About It」(1983)/Billy Joel
第29回「Don't Look Back」(1978)/Boston
第30回「Don't Stop The Dance」(1985)/Bryan Ferry
第31回「Eggplant」(1975)/Michael Franks
第32回「Words」(1982)/Bobby Caldwell
第33回「Everybody Needs Love」(1978)/Stephen Bishop
第34回「Born To Be Wild」(1968)/Steppenwolf
第35回「I Keep Forgettin'」(1982)/Michael McDonald
第36回「Come On Eileen(1982)/Dexys Midnight Runners
第37回「Alive Again」(1978)/Chicago
第38回「Roxanne」(1978)/The Police
第39回「How Deep Is Your Love」(1977)/Bee Gees
★第2章「ロック名曲・ロックのルーツ編」
第40回「Rock Around The Clock」(1954)/Bill Haley & His Comets
第41回「Johnny B Goode」(1958)/Chuck Berry
第42回「Rock And Roll Music」(1957)/Chuck Berry
第43回「Long Tall Sally」(1956)/Little Richard
第44回「Heartbreak Hotel」(1956)/Elvis Presley
第45回「Blue Suede Shoes」(1956)/Carl Perkins
第46回「Peggy Sue」(1957)/Buddy Holly
第47回「Slow Down」(1958)/Lally Williams
第48回「Only The Lonely」(1960)/Roy Orbison
第49回「Wake Up Little Susie」(1957)/Everly Brothers
★第3章「ロック名曲・ロックの確立期編」
第50回「Please Please Me」(1963)/The Beatles
第51回「This Boy」(1963)/The Beatles
第52回「All My Loving」(1963)/The Beatles
第53回「Tell Me」(1964)/The Rolling Stones
第54回「Blowin' In The Wind」(1963)/Bob Dylan
第55回「Pretty Woman」(1964)/Roy Orbison
第56回「Help」(1965)/The Beatles
第57回「Here,There And Everywhere」(1966)/The Beatles
第58回「Paint It,Black」(1966)/The Rolling Stones
第59回「You Really Got Me」(1964)/The Kinks
第60回「I Get Around」(1964)/The Beach Boys
第61回「Sunshine Of Your Love」(1967)/Cream
第62回①「Strawberry Fields Forever」(1967)/The Beatles
第62回②「Strawberry Fields Forever」(1967)/The Beatles
第63回①「Penny Lane」(1967)/The Beatles
第63回②「Penny Lane」(1967)/The Beatles







にほんブログ村 ライフスタイルブログ 緑の暮らしへ
にほんブログ村