第22回 「Alone Again(Naturally)」(1972)/ギルバート・オサリバン | 柑橘スローライフ

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Gilbert O'Sullivant(ギルバート・オサリバン)の「Alone Again(アローン・アゲイン)」
彼の代表曲であり、軽音楽史上最高の名曲のひとつです。
ポップス的な曲ですが、オサリバンは基本的にロック畑のアーティスト。
あのポール・マッカートニーをして「ライバル」と言わしめた作曲家です。

軽音楽、特にシンガーソングライティングなどのライトな作曲は、
多くの場合、ホモフォニックな作り方をします。
つまり、ある単旋律(メロディー)に対して、それを支える和声(コード進行)でできています。
一方で、クラシック音楽やジャズなどの比較的大がかりな作曲では、
旋律は複層的に存在し、より複雑な和声進行となるわけで、
それはポリフォニックということになり、ホモフォニックと対置的な関係となります。

そんなホモフォニックな作曲にも、上質なものと劣悪なものがあるわけですが、
(劣悪なものとは、コードを鳴らし、ただルートに近いメロディを乗せているだけのもの等)
このアローン・アゲインは間違いなく、最上質なものと言うことができると思います。
つまり、非常に秀逸な旋律と和声進行であり、ほとんど天才的ドメインと言えると思います。
かなり以前、この曲をコードストロークのみでガッドギターで弾いてみたことがありますが、
和声進行とメロディーが有機的に合致し、時計細工のように緻密で繊細。
ほぼ非の打ちどころのない完成度であったと記憶しています。
また、曲全体を通して、完全にアンプラグドな点も評価できると思います。

あえて、「非」として、個人的に残念だなと感じた点を挙げると、
ひとつは、展開部(ミドルシックス)の終わり(5~6小節目)の曖昧さ、未消化感。
もうひとつは、終始コーラス無し、というもったいなさ、この二点だけ。
勿論、この曲全体の完成度を脅かすものではありません。

この曲をあえて、ホモフォニックなものと言いましたが、
実際には、いくつかの生ギターによる単純なコードストローク以外の繊細な旋律や
管弦楽器による非常に旋律的なオブリガート(助奏)が終始、同時的・複層的に進行するため、
ホモフォニックというより、むしろポリフォニックな作品という見方もできると思います。
ただし、曲の雰囲気から推察すると、作曲上の観点では、
間違いなくホモフォニックな志向で創られているはずです。
ギターや管弦楽器のアレンジ(編曲)があくまで、後付けという感じがするからです。

何れにせよ、この曲は恐らく、国や世代を超えて、あらゆる多くの人達に対し、
必ず何らかの感情への刺激を与えることができる稀有な音楽作品だと思います。



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