出光美術館で「仁清・乾山と京の工芸―風雅のうつわ―」を観た! | とんとん・にっき

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出光美術館で「仁清・乾山と京の工芸―風雅のうつわ―」(2014年10月25日~12月21日)を観てきました。観に行ったのは11月14日、もう1か月以上も前のことです。ただ単にもたもたして、ブログに載せるのが遅れただけのことです。


出光美術館には、なにはさておき、できるだけ観に行くようにしています。今まで出光美術館で、多くのことを学びました。いわゆる「図録」も購入し、もう20数冊になっています。とはいえ、十分読み込んだかというと、こころもとない。お恥ずかしい限りです。まあ、通い始めからすれば、少しは分かってきたようにも思います。


仁清は、他の美術館でも観ることがあります。たとえば泉屋博古館とか講談社野間記念館とか、仁清の大きめの壺が美術館のお宝としてメインに展示してあったりします。乾山は、兄の光琳とともに琳派の展覧会では必ず出されています。今回のやきものの展覧会、さすがに国宝はありませんが、重要文化財はゴロゴロ出てきました。


仁清にしろ、乾山にしろ、最初は「写し物」から始まった、ということが、僕には驚きでした。当たり前かもしれませんが、どんな大家でも最初は「写し物」を作って、次第に己のものを作り上げていくんですね。初期の京焼は、唐津や高取といった九州茶陶などの模倣「写し物」から始まりました。野々村仁清による御室焼の初期も「信楽写共蓋水指」という「写し物」を、尾形乾山の前半期、鳴滝窯時代にはオランダのデルフト焼を写した「色絵阿蘭陀写花卉文八角向付」でした。


京焼は、仁清や乾山らによって、江戸時代の京都で花開いたやきものです。京焼は、私たちが今日抱く「京」のイメージをやきものの領域に確立しました。それは、王朝貴族の雅さ、和歌の伝統、絢爛たる色彩と、金銀のかがやきなどです。

展覧会の構成は、以下の通りです。


第1章 まなざしは、京の<外>へ

第2章 清浄と簡素の<京>―仁清の白釉と銹絵

第3章 祝祭と権威の<京>―仁清色絵と大名文化

第4章 文芸と遊戯の<京>―乾山焼の和歌・能・漢詩意匠

第5章 融合される<京>のやきもの美―乾山・小清水・道八




第1章 まなざしは、京の<外>へ




第2章 清浄と簡素の<京>―仁清の白釉と銹絵



第3章 祝祭と権威の<京>―仁清色絵と大名文化




第4章 文芸と遊戯の<京>―乾山焼の和歌・能・漢詩意匠



第5章 融合される<京>のやきもの美―乾山・小清水・道八




「仁清・乾山と京の工芸―風雅のうつわ―」

京焼は野々村仁清(生没年不詳)、尾形乾山(1663~1743)といった名工たちによって、江戸時代の京都で花開いたやきものです。九州に興った肥前磁器と市場における覇を競いながら、京焼は、私たちが今日抱く「京」のイメージ―王朝貴族の雅やかさ、和歌の伝統、絢爛たる色彩と金銀のかがやき―をやきものの領域で確立しました。京とは平安時代より文化と伝統の中心地でしたが、江戸時代に入ると政治経済の中心地は遠く関東の江戸に移り、徳川幕府による大名文化のもと、新たな局面を迎えます。野々村仁清が主導した御室焼(おむろやき)は、丸亀藩京極家や加賀藩前田家といった大名家の顧客の心をつかむべく、蒔絵や屏風絵の色彩とデザインを使った「京」らしさ溢れる色絵陶器を作り上げます。一方で、公家たちの支持を受けた仁清の白釉(はくゆう)や銹絵(さびえ)は、平安時代から続く今日のやきもの文化の系譜を直接に映しだしています。また尾形乾山は兄の絵師・尾形光琳との合作を世に問いつつ、和歌や漢詩、能などの文芸を積極的にやきものに取り入れました。それはカルタ遊びに似た、文芸を「当てる」遊びが花開きます。こうした遊戯性は長く蒔絵の中で培われてきた京の伝統に他なりません。本展では仁清・乾山に古清水(こきよみず)や仁阿弥道八(にんあみどうはち)といった京焼の名工・名花をあつめ、「京」という都市で生み出されたやきものの特質をさぐります。華やかでどこか懐かしい、その和の美を、京焼の世界に心ゆくまでご堪能ください。


「出光美術館」ホームページ


ide1 「仁清・乾山と京の工芸―風雅のうつわ―」

図録

平成26年10月24日発行

編集・発行:

公益財団法人出光美術館







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