3年前から89専用の
「超絶使いやすく安価な」
オリジナルスリングを開発中なのですが、素材や取り回しを決めかねて頓挫中…。
で、それはそれとして、使いやすい89用スリングの実現のためには、前後のアタッチメントの開発が不可欠。
なぜかというと、89のスリングスイベル(負い紐環)は、銃身部と銃床についていて、旧来の負い紐の「肩にかける」程度の使い方ならまだしも、現代の戦闘にはまったく不向きで時代遅れだから。
それを解決するには、別パーツでストック根元と被筒にスイベルを持って来ればいい話。
M4系列でレイルばりばりの銃なら、フロントにスイベルを増設し、ストック根本にもアタッチメントをつけるのが、もはや常識でもあります。
しかし残念ながら、89はレイルシステムになっていませんし、ストック根元に固形部品をつけることも困難。
なので、どうしてもテープ素材のアタッチメントが必要になるわけですが、市販の汎用品のアタッチメントは、どれもしっかり装着できません。
89専用品は、ちょっとお高め。
こういう、テープのテンションだけで保持するタイプ(↓)だと、どうしてもユルユルしてしまいます。
片やベルクロ+滑り止め素材を使ったやつ(↓)も、しっかり付きそうでありながら、そのうち銃の重みでスイベル部がズレたり回ったりしてきます。
いい位置でしっかりスリングを保持できてズレず回らず、それでいてお安いアタッチメントはないものか・・・というわけでワシは、
*ズレにくい
*回りにくい
*で、安い
をコンセプトに開発しました。
もちろんいろんな素材を投入し、手間をかければ性能としては満足のいくものになるでしょうけれども、それで高くなってしまっては意味がない。
なので極力部品を減らすことを主眼とし、長年(まあ数か月ですが)の研究により、素材の力でずれにくくするのでなく、89の形状や、使用時の負荷のかかる方向などを利用して物理学的(?)にずれにくくすることしました。
(1)ストックアタッチメント
というわけで、まず喫緊の課題だったストック根元のアタッチメントは、こんなものになりました。
*89折曲銃床用
*89固定銃床用
固定銃床用と折曲銃床用、それぞれ専用設計です。
*64太目レプリカ銃床用
基本的にはチョ~簡素な造り。
でも素材とサイズは吟味に吟味に吟味と少々妥協を重ね、今後この簡素さでこれ以上の性能のものは出ない!と断言できるようなものになりました。
まずは特徴的な取り回しの、折曲銃床用から紹介します。
*89折曲銃床専用(ただしマルイが製品化した初期タイプ銃床用)
現場ではもう見ることのない(海自はまだ見るかな)、チークパッドに切り欠きのあるタイプの銃床。
その折曲銃床用の専用品です。
なんの特徴もない、ヘロヘロなパーツですが・・・
装着するとこんな感じ。
89の固定銃床はストック根元が最も細いので、テキトーにアタッチメントをつけていてもまあどうにかなるのですが、折曲銃床はストック根元の太さは同じなので、どんなにキツくアタッチメントを締めても銃の重みでスルスル動いてしまいます。
そこでワシは、チークパッドの穴に着目し、テープを穴に通すことでズレを防ぎ、最後はベルクロで留めることで回転を防ぐことにしました。
この複雑な取回しにより、ワンポイントスリングを使用して銃をブラブラさせても、回転することも前後にずれることもありません。
薄手のナイロンを用いたのは、チークパッドの穴にテープを通す必要があるためと、射撃時の頬づけの邪魔にならないようにするためです。
薄くても強度のあるナイロンなので耐久性は十分。
ちなみに使用したプラパーツは、高価なミルスペック品は使ってません。
黒にしたのは、銃床に装着した際に目立たなくするため。
*89固定銃床用
取回しは、こんな感じです。
この写真だけだとなんの変哲もないと思われるかもですが、ミソは銃床右側にくるプラカンの位置とサイズ。
この存在により、下部のDカンにスリングをつけて右構えで銃をブラブラさせても、このプラカンがストック下部にひっかかり、それでアタッチメントが回らないのです。
このプラカンも、これ以上サイズを小さくすると、テンションがかかると力に負けて回ってしまいます(もう少し大きくても大丈夫)。
ただ、ウィークハンド側でスリングを吊るすと、若干はズレます。
前後へのズレは、まあ最大5mm程度はあるかと思います。
一般的な市販品で、ベルクロを使わずテープのテンションだけで留めるものは、すぐ緩んでしまい回転はするわ前後にズレるわで、使い物になりません。
かといってベルクロ留めのものも、やはりどうしてもズレてしまうのです。
このアタッチメントは、それらを一気に解決!
*64用(ただしTOPやS&T初期ロット等の銃床根元が太い製品用)
もともと89固定銃床用のものに使用していた金具を転用してつくりました。
古めかしい64のストックには、プラよりもこの金具のほうが似合います。
ただ、(ほぼ)1社の製品しかなく実物ともおそらく同一サイズの89式と違い、64式は製品によっていろんなサイズがあって対象を絞れません。
本当は実物と同じサイズのレプリカだけなら助かるのですが・・・
なので仕方なく、おそらく現在としては最も多く出回っているであろう&自分も持っている、TOPやS&Tの初期ロットの銃床のサイズに合わせて作ったのでした。
*89折曲銃床用(現行タイプ銃床用)
マルイがガスブロで出した89式の折曲銃床は、丸い凹みのある現行型。
これにも合うアタッチメントを…と試行錯誤しましたが、旧型とは異なり固定できる部分がなく、かといって固定銃床と異なりクビレがなく・・・
というわけで、とりあえずは銃床右側のスイベルの力を借りてこのように処置する方法で製作しました。
これでとりあえずはズレず回らずとなりましたが、見た感じちょっと無理やり感がぬぐえません。
もっといい方法がないか試行錯誤中ですが、今のところコレに勝る方法がありません・・・
このように銃床後端のスリングスイベルの位置を変え、ストック根元でスリングを使うと、特に3点スリングや1点スリングでは、スイッチングがとてもしやすくなり、使いやすいったらありません。
見た目はなんとなく頼りなさそうに見えるかもしれませんが、使い勝手は自分で言うのもナンですが最高。
(2)被筒アタッチメント
そもそもは、前部のスイベルがあるんだかないんだかで使えないマルイのSIG552が発端でした。
なのでSIG552用に、ストックアタッチメント用の素材を使って被筒アタッチメントを作ってみると・・・
(ストックアタッチメントは89固定用を流用)
サバゲでとても便利になりました。
で、フと
「これって89にも使えるんじゃね?」
と思い立ち。そんなわけで89につけてみると・・・
ぴったりです。
そして使ってみると「ほおお!」と、使い勝手の良さにびっくり。
ベルクロ調節なのでサイズはある程度変えられることから、位置によって直径の変わる89の被筒でも、どの位置でも取り付け可能です。
そして我ながら秀逸だと思うのが、他の商品のように、銃自体に固定したり、あるいはすべり止めパッドなどを縫い付けずとも、スリング使用時のテンションによって自然とズレなくなる仕組み。
本当はこの被筒の穴を利用して、前方にすっぽ抜けない仕組みも考えたのですが、もともとコレは本職さんからの要望で作ったもので、となると実銃にも使用される可能性もあることからすると、おそらくかなりの熱を持つであろうガスピストンに触れるようなことは避けなければなりません。
さらには、サバゲで多く使われるであろうマルイの電動ガンの、無改造の被筒には穴があいていないため、それにも合わせる必要があります。
それに造りが複雑にもなってしまうため、放熱穴を利用した固定方法は断念しました。
(3)スリングの運用
というわけで、前後のアタッチメントを89に装着し、そこに2→1ポイントの可変ポイントスリングをつけると、こうなります。
被筒のアタッチメントは、各人のやりやすい位置に持って来ましょう(ワシは被筒の穴の真ん中あたりが好み)。
これでスリングの長さを短めに調整すれば、ちょうどいい塩梅に銃を身体の前に携行できます。
携行状態から射撃姿勢に移る場合は、
被筒アタッチメントのフックを外してスリング後方にかけるとワンポイントになります。
あるいは、伸長機能のついているスリングなら、ツーポイントのままスリングを伸ばせば、そのまま射撃姿勢に移れます。
まあ、サバゲで左右のスイッチをしない人には必要ありませんし、右射ちだけなら銃についてる前後のスイベルでも十分かもしれません。
が、一度コレを使ってしまうともう素には戻れません(手前味噌)
おそらく世界で最も「スリング」視点で89式小銃を考えているワシだからこそ生み出せた、このアタッチメント。
今までいくつも既製品を試してきましたが、こんなことなら最初から自分が作っておけばよかったと後悔しています。
【装備自作量産記事】
※思えばレプ作りすぎでは・・・?
【スリング関連記事】
・最良のスリングを探せ(前編)
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・89/64用可変ポイントバンジースリング(2018ver)
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