携行しやすく構えやすくトランジションしやすい・・・という、万能選手的なアサルトライフル用スリングとして登場した3点式のスリング。
まあ、今となってはちょっと時代遅れ感もありますが…。
でも陸上自衛隊では89式小銃の現行の官品スリングが3点式ですし、実際に3点スリングを持ってる方も多いと思います。
ただ、
「つけかたがよく分からん」
という方も多いようで、ウチにいらしら検索ワードでも3点スリングについてのものが多く、お悩みの方もいらっしゃるということでしょう。
というわけで、いろんな3点スリングについて紹介していきたいと思います。
ただし、あくまでワシの所有する銃視点ですが…
ちなみに「ワン(シングル)ポイン」トは銃の一か所、「ツーポイント」は2か所につけるものなのですが、3点式でも銃につけるのは2か所なので、本来は「3点式」という名称は正しくないと思います。
あくまで1点式と2点式に対しての便宜的な俗称でしかないと思うのですが、ここでもいちおう3点式と呼称します。
本来は「タクティカルスリング」が正しいのかな・・・?
*よく売られている「89用」3点スリング
ワシが初めて買ったスリングがコレ。
「89式用タクティカルスリング」という名前だったので、当時は何も考えずに(^^;
38mm(1.5インチ)幅で、どこかのお店の商品説明で
「スリング部が幅広なので、肩の負担が少ない」
とかいう文言がありましたが、サバゲでいろいろ装備をつけた状態では、幅が広いとあちこちにひっかかるので、それほどいいものでもありません。
スリングの片方はフック金具、もう片方は輪っかになっています。
輪っかをストックの根元に巻き付け、もう一方の金具(HKフックと呼ばれているもの)を銃身にある負い紐環にかけるだけ。
買ったままの状態で銃につけると、スリングが変な所でゴムバンドでまとめられてるので、たしかに
「これどうやって身体に通すの?」
と悩んでしまいそう。
これをどうやって身体にかけるのかというと、意味不明なゴムバンドはずらしてこのように、
↑の画像のように、大きな輪っかになっている部分に身体を通し、肩にたすき掛けするような感じで。
右肩にかけた場合。
左肩にかけるとこう。
ちなみに、どちらの方にかけるほうがいいのか?という疑問もあると思います。
ワシ的には右肩にかける(=銃口が下を向く)ほうがおすすめ。
そのほうがいろいろとスムーズなので。
ちなみに、マルイの89の折曲銃床タイプの場合は、こんな風にすればよいのでは。
射撃の時には、バックルを外します。
これで射撃姿勢に移れます。
ちなみにスリングをユルめにしておけばバックルを外さないでも射撃姿勢は取れますが、そうするとブラブラして歩くときに邪魔になります。
まあ、サバゲだとずっとバックルは外しておいてもいいと思いますが…。
もちろん、バックルを外しておけば左側での射撃も可能です。
でもそれじゃあ、ワンポイントスリングと変わらないのでせっかくの3点がもったいない。
(サバゲを始めて1年ちょっと経った頃の写真。この時はスリングを左肩にかけています)
89式小銃用3点スリング(タクティカルスリング)
2,592円
楽天 |
*ブランド不明・タクティカルスリング
ちょっと古い、何の変哲もない3点スリング。
けっこうヨレヨレで頼りない製品ですが、使えないことはありません。
10年前くらいにこういうのがよく使われていました。
最初のやつと違って25mm幅なのと、銃床側にもフック金具が使われています。
フックだとカチャカチャ音がする欠点がありますが、つけ外しがしやすいのは便利でしょう。
この製品の親切なところは、ストックの根本につけるアダプターがついていること。
なので、こういう風にもできます。
身体にかけるとこうなります。
先に紹介した89用のと同じようなものです。
バックルを外すとワンポイント風になり、左右にスイッチしやすくなります。
ちなみに、左側にスイッチすることがある場合は、ストックのスイベルでなく、ストック根元のアダプターにフックをかけるほうがいいでしょう。
ストックのスイベルにフックをかけてスイッチすると、こうなりやすいからです。
*戦人・タクティカルスリング
戦人にはいくつか3点スリングがあるようですが、そのうちの1つ。
これも前後にフック金具がついています。
フロントのフックには黒いパラコードがついてますが、これはスイベルとフックがカチャカチャ音がするのを防ぐためですね。
ただワシには、このストックホルダーをどういう風に固定するのか分かりません。
またこれは好き嫌いの範疇ですが、幅広なので方への負担は少なくなるものの、なんかちょっと邪魔。
ちなみに、実際にコレを使用している隊員さんの写真を見ることもあります。
使い勝手は、これも最初のやつと同じようなものです。
*EAGLE社・タクティカルスリング
89用でもなんでもないのですが、実は89ユーザーに秘かに支持されているっぽい、イーグル社のタクティカルスリング。
金具のオプションによって形式が違うようですが、ワシは両端がHKフックのものをチョイス。
なんで89ユーザーの秘かな支持を受けている“らしい”かと言うと、射撃姿勢に移行する際に外すバックルが、89の官品3点スリングに使われている特殊な形状のものとよく似ているから。
それと、全体的な雰囲気も89用の官品っぽいので…。
このスリングは、前後のスイベルにフックをひっかける方式。
で、こういう風に…
この輪っかの中に身体を入れます。
バックルにはゴムバンドが巻かれていて、バックルが銃と干渉してカチャカチャ鳴るのを防いでいます。
これはインドア戦などでなるべく隠密裏に行動したい時にはいいかもしれません(でも実際にはそんなに気にならないと思います)
もともと軍用スペックなので使い勝手も良く、なかなかいいんじゃないでしょうか。
(他にもいろいろ種類があるようです)
もちろん、すでに紹介したものと同様、ストックのスイベルにフック金具をひっかける方式だと左にスイッチした際に首がグエっとなるので・・・まあM4とかでストック根元にスイベルがある銃ならぴったりでしょう。
*89式小銃・官品風3点スリング
本命はコレ。
ウチで自作した、89用“官品3点スリング”のレプリカ。
前後のフック金具をかけて装着します。
やはり右肩にかけるほうがスムーズです。
さて、この3点スリングは部隊ごとの統制で取り回しが異なることもあるようですが、ワシのお奨めは(とある本職の方のアドバイス)、ここの金具を外す(完全に外すと失くしてしまって大問題になってしまうので、どこかにつけておく)取り回し。
↑の金具を、外します。
ここを外して長さを調整(瞬時にできる)すると、3点スリングだけでなく、2点スリングとしても使うことができるようになります。
実際にも、テープをビニテで留めて完全に2点式として訓練で使っている写真もよく見ます。
この官品3点にはもう一つ特徴があって、それが伸長用とは別の、切り離し用のバックル。
普段は外すことはありませんが、緊急の時(狭い場所でナイフで格闘するとか?)にここを外すことによって、銃が身体から切り離せます。
バックルを外して銃を身体から切り離す。
(↑は取り回しだけを再現した試作品)
このシステムも市販の3点スリングにはあまりないですね。
そしてついうっかり伸長用のバックルと間違えて切り離し用のバックルを外してしまうことがないように、伸長用のバックルはセンターリリース、切り離し用のバックルはサイドリリースと形状と開け方からして異なる方式になっています。
まあ、コレも後ろのフックは銃床のスイベルに引掛ける方式のため、左のスイッチの際には首が苦しいですが・・・
※官品3点スリングレプリカは(こちら )で紹介しています。
※28.10.13追記
89式小銃のスリング運用を各段に向上させるアタッチメントを作りました。
既製品にも負けない最高のストックアタッチメントはこちら で紹介しています。
*番外編・HKスリング
この名称が正確かどうか分かりませんが、HK社のMP5とかG3とか用に開発されたスリングをこう呼称してるようで…
なんの変哲もなさそうなシンプルな造りですが、意外に素敵なアイデアが詰まってます。
「日」みたいな形状の金具がありますが、これを「HKフック」の根元に引掛けることができます。
これで3点式になります。
※ただしこの製品はバッタモンで引掛けられないので、↓画像では手で保持してます。
で、HKフックにひっかけた部分を外すと、ワンポイント風になります。
ちょっと古臭いのですが、シンプルだし、ちゃんと金具が機能する製品があればオススメです。
まあサバゲでは、野戦の場合は2点式のほが便利かもしれません。
なぜなら野戦では匍匐をする場面もたまにありますし、耐久ゲーム等ではずっと身体にかけておくより、たまに地面に立てかけたりしたほうが疲労度も少なくなります。
一方インドアや市街戦っぽい場合は、スイッチングを多用したりハンドガンを抜くことも多いので、1点式が便利。
ですが89の官品3点スリングなら、割とどんなシチュエーションにも対応できるので、結構好き。
まあ本職さんからは「こんなややこしいの要らん」という声もよく聞きますが・・・
(官品3点式が支給されだした頃は、ベテランの隊員さんで「使い方が分からない方」が続出したとかなんとか)
と、いうわけで3点スリングのつけ方・使い方でした。
あくまで個人視点ですんで、実際はそうじゃないよ!とか、もっと他にも3点スリングがあるよ!などのご指摘があったらアドバイスをお願いいたします(^^;
【レプリカ製作記事】
【スリング関連記事】
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