装備自作その1・陸上自衛隊89式小銃官品負い紐レプリカ | ちょんまげインプの部屋

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いらっしゃいませ、変態(いろんな意味で)の部屋へ。
これであなたも立派な変態。
今後ともどうぞよろしくっす。

(以前、ちょんまげのついたインプレッサに乗っていたのでこんなタイトルです)

いやあ、お待たせしました「ごく一部」の皆様(笑)。

 

 

前回製作した89式小銃の「負い紐」なんですが、多くの方々からご意見・ご指摘・ご批判を頂戴しました。

 

ここが違う、ここをもっと、ここはキャ口ット製はこうで・・・とか。

そして苦心惨憺の結果、前回はどこをどう探しても入手できなかった素材を入手することができ、さらに実物をご存じの「その筋の方々」からも情報を得ることができてこれを機に金具類も一新、こうして新たに89式小銃負い紐「バージョン2」として完成したのであります!


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さて。

何がなくともこれがなくちゃ話にならない、OD色のビニロン材。

前作では「2ミリ厚」のものしか入手できなかったのですが、ようやく「3ミリ厚」という規格のものを探し出し、入手することができました。

ちなみに、実物負い紐のビニロンは実測2.8ミリ厚前後なのですが、このたび入手したビニロンは3ミリと言いつつ実測2.5ミリ厚前後(このテのものは、けっこう厚みに個体差があったりするようです)。
本当はもうちょい厚みがあると完璧なのですが、これ以上のものは既製品にないため特注にしなければならず、特注にすると4千メートルから(つまり25mで1反として160反)という・・・

一瞬、貸倉庫でも借りて特注いってみようかとも思ったのですが(←あほ)、我に返って思い直して2.5mm厚で妥協。

あんまり厚い素材だと、ミシンも大変ですし…

-ビニロン材織り目比較画像-
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*左が、前作89式負い紐(2mm厚)

*中央が、今回のバージョン2(2.5mm厚)

*右が、市販されてない(笑)やつ(2.8mm厚)

右のは使い古されてるので色味が変わってますが、見た目も織り目も真ん中の"今回作”と同じです。

ちなみに今回作は、厚みだけでなく、織り目も前作と違っています。

ちなみに89用負い紐のビニロン材の織り目は、「亀織り」もしくは「ヘックス(ヘキサゴン)織り」と言われるもの。

織り目の模様が亀の甲羅みたいだからですね。

でもビニロン素材が変わるだけで、全体の雰囲気がだいぶそれっぽくなりました。

 


さて、スリングの「顔」と言っても過言ではない、フック金具。
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これは前作と同じものです。
キャ□ットさんの負い紐は、このフック金具だけがかなりデフォルメされていたのが残念でした。

 

この金具は、実物のほうがゴツいのかと思いきや、意外にも実物のほうがコンパクト。

なので被筒を外す時にちょっとコツがいるようになってしまうのですが…。
実は今回、上記製品をさらに加工して、いくらかでも実物に似せて作ろうと思って業者さんに試作を依頼したのですが、いろいろと困難で断念。
鋳造してしまえばいいのですが、そんなことしたら型代だけで数十万単位が飛んでしまいますので…(--;
ああ資本がほしい。

 


さあ、この負い紐最大の特徴とも言えるのが、この不思議金具。
正式名称は、豊和さんでは「自在スライド」と呼称しているようです。

 

もちろんこんな金具は市販品では存在しないので、前作でも特注で製作しましたが、今回もまた特注で作り直しました。

サイズを見直して、実物とほとんど同じ(ビニロンの厚みが実物より0.3mm程度薄いものを使うため、ごくわずかにサイズを小さくしました)。
実物は鋳造ですが、さすがにそれは無理なので、前作同様プレス加工。
表面仕上げは前作の電着塗装から黒染め(表面に酸化被膜を形成する)に変更し、メタル感を出しました。

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ちなみにその筋の方に実物と比較してもらいました。

 

複雑な形状の鋳造の実物をそのまま再現することは不可能ですが、パッと見と機能上はしっかり再現できています。

真裏から見れば、一瞬「実物か?」と思うことウケアイです。

どちらが実物でしょう(笑)

 


さて、どうってこともないここの金具。

 

しかし実は、どうってことアリアリ。

こういう金具は「コキ」と呼びますが、市販品ではこういう平べったいものはほとんど見かけません。

探せばないこともないですが、だとしてもサイズやメッキがぜんぜん違う。

厚みが似たもので探すと形状が全然違ってたり。

なので前作も特注で作りましたが、前作は費用削減のためにけっこうデフォルメしていました。

本物は、真ん中の線がこう、段付きになっているんです。

前作ではこの段付き加工を知らず、再現できませんでした。

しかしこの段付きにするだけで治具が必要になってしまい、そのぶん単価にハネ返ってくるという…。

が、そこは変態の悲しいところ。

今回はここの段付き加工をした他、仕上げも前作のものと変え、かなりリアルにしました。

この金具は、実物の写真を見るとどれも銀ピカなのでてっきり銀色だと思っていたのですが、元々は黒っぽい表面仕上げ。

なのでここはステンレスを黒染めにして、そのうえでエイジング処理(ポリッシャーで表面を荒く磨く)をしてもらってちょっと使用感を出し、さらに使っているうちにあちこちに触れたり傷ついたりして表面が徐々にはげて銀色の地が出てくるようにしました。

何度も試作をしてダメ出しをして、しかも財布的にアレなのですが…。

 

 

 

 

さて、地味なこの末端の金具。
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これ、正式名称は「先止め」というもの。
特にこういう形状のものは、「ボール先止め」と呼ばれています。
(この画像は旧「負い紐」。下の丸いのが、加工前の先止め金具)

 

これは前作89スリングや、自作9mm機関けん銃の負い紐に使っているものと同じもの。

実物と並べてみても、色味質感共に遜色ありません。
ただし圧着の方法が違うようで、実物はちゃんとしたプレス機械で圧着してるようです(実物にはその跡があります)。
ワシは金槌を振っていますが…。

これは単価は安いんですけど、500個単位で売ってたのを買いました。

はい、アホです。

 


とても微妙な問題なのですが、このゴムバンド。
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たかだかゴムなのですが、これがまた、どうしても実物っぽい色のものがない。
実物のものはODではなく、ODに白を混ぜたような草色?それともカーキ?っぽい不思議な薄い色で…。
ただ幸いなことに、当てずっぽうで仕入れたゴムバンドが、素材としては実物と同じものでした。

織り目も固さも厚みもほぼ同じで、コレの色がもう少し選べたら・・・残念。

ちなみに本職さんの世界では、たかだかゴムバンドでも擦り切れたりして失くすと大変なようで、実際にはゴムバンドの役目を果たせないような、フック金具のすぐ隣とか、そんな場所につけている姿もよく見ます。

よく見る、意味のない位置のゴムバンド例。

(とある方面からお借りした実物画像)

 

 

ちなみに肩当て(パッド)。
前作ではとてもそんな余裕なんてなく、実際にも訓練の写真などを見るとつけていないことも多いので、作りませんでした。

 

 

サバゲで使ってみても、ブラブラして邪魔ですし・・・

その筋の方にお聞きすると、どうも演習などで紛失や破損をするのを敬遠して、肩パッドを部隊で一括管理しているそうです。

実は前作の時に

「肩当ても作ってくれ!」

というご要望が多かったので今回チト挑戦しかけたのですが・・・、材料がなかなか見当たらない。

どうにか一部の材料を仕入れ、その他の素材も把握はできたのですが、同じ素材だとしても求める色のものがまず市販されてません。

とりあえず代替素材で試作をしてみたものの、すんごい手間。

さらに、手間がかかる割に出来はイマイチ(そりゃまあ素人ですから)。

こんなもんじゃ人様に見せられん・・・ということで断念しました。

ちなみに、キャ口ット製の肩当てもいい味出してるんですが、縫い方や素材が実物と違うのが残念なところ。

誰か作ってくれー!


 

それでも、今回の「バージョン2」はかなりの自信作。

だってホラ。
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拡大して見ていただいても、もしくは実物を見ていただいても、ぱっと見は本物。

もちろん本物は使用感があるのでその違いについてははっきりしてしまいますが、もし実物の新品と並べたら、マニアでなければ見分けるのに数秒かかりそう。

あんまり実物に似てると、現場ですり替えが起こって大変なことになってしまいますしね(←負け惜しみ)。

 

 

というわけで紹介は以上。

 

最近の雑誌などでチェックをすると、この旧来の負い紐よりも黒い3点か、あるいは部隊調達の市販の3点スリングのほうばかり目につきます。

でも、せっかくの3点スリングなのに、訓練の写真なんかを見ると、野戦では取り回しを変更して2点式のようにして使っている光景もよく見ます。

じっさいサバゲ、でも森系のフィールドでは、3点スリングよりもこの旧来の負い紐のほうが便利。

セーフティから陣地に向かう時は首からかけてもよし、肩に担いでもよし、そしてゲーム開始後は右手に持って走るのも、重いから地面に銃床をつけて置くのもよし、そして銃を右手で持つ匍匐前進をするのもよし。

 

次第に数が少なくなってきている旧来の「負い紐」ですが、89式小銃にはもっとも似合うと思います。

これを機に、どんどん広めていきたいと思っています。

 

 

 

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