(2018verからの続き)
(仕様検討はこちら)
2018年にリリースした、わし製・89/64用「2→1可変ポイントバンジースリング」。
(2018ver)
これで89のスリングは決まりだ・・・!とは思ったものの、なんとも人気がない!
それは当然で、わしは自衛隊の官品スリングのレプリカを作るから歓迎されているだけで、そうでないものを作っても必要とされないのは当然でしょう。
また、使用した米国製のミルスペックナイロンがなんか柔らかくすぐケバケバになってしまうというのも悩みで、「もっと幅広のが欲しい」というご要望もあり、すぐ2019verに移行したのでした。
2019verは、米国製の30mm幅ミルスペックナイロン(カーキ色)をやめ、国産の黒色38mm幅ナイロンに変更(でも国産のほうが高かった)
それでもやはりまだ人気はなく、売れるよりも試供品で現職さん、即自さんや予備自さんに贈呈するほうが多く、投入した部品代もぜんぜん回収できないまま。
(2019ver)
しかし、そのおかげかどうか、国防経験者の方々から数々のお褒めの言葉を頂戴し、そして改善提案もいただきました。
そうして改良したのが、2020verです!
基本的な造りはこれまで同様。
大きく変わったのが色で、2018verのカーキ(30mm幅)→2019verの黒(38mm幅)→2020verのダークグリーン(38mm幅)とまた変更したのでした。
なぜ変更したかと言うと、たいした理由はないのですが、とある別の企画でナイロンの特注染色が必要になり、それなら…とついでにこっちのナイロンも染めてもらっただけ。
まあ陸自迷彩で使うとしたら、真っ黒よりも緑系のほうが目立たなくていいという程度でしょうか。
というか本当はあまりの人気のなさに内心
「もうオリジナルスリングはやめにすっか」
とも思っていたのですが、前述の通りとある官品モノのレプリカを作ることになり、そのためのナイロン特注をした際に
「んじゃあついでにこのナイロンも染色してもらうか」
と・・・あくまでついでだったのでした(まあ本命の官品レプが何なのか分かる方がいたらスゴい)
そもそも2019年末には改良案が固まっていたので、半年以上さぼっていたというわけです。
他は小変更に過ぎず、これまでやや長すぎて実際には持て余していたゴムを短くした他、
後ろの部分を別の細いナイロンに変更して、左右のスイッチングをやりやすくした、という程度です。
でもここの部分の長さはけっこう重要で、それまでのものでも十分かと思っていたのですが、ここまで長く&細くすることで「これだ!」となったのでした(アドバイスありがとうございます!)
ちなみにとある方のオーダーで、フック部を交換できるようなものも作ったりしましたが、
「なるべく簡素・安価」という当初の目的には反してしまうので、量産版はこの機能はありません(国防経験者の方からは、ここの開放機能がほしいというご意見の他に、「ついうっかり外してしまう」ので不要というご意見もありました)。
ちなみに過去記事とだぶってしまいますが、各部の仕様を・・・(画像は2018verのもの)
*フック金具
グローブをつけた手でもつけ外しがしやすいようなものを選択。
本当は首が振れないものがいいのですが、存在しないので妥協。
*開放金具
スナップシャックルとかいう名前だそうで、ヒモを引っ張るだけでスリングを銃から切り離せます。
地味に高いのが難点。
*バンジーゴム
「バンジースリング」というからには、このゴムがかなり重要。
38mm幅のナイロンは袋状になっていて、ナイロンテープの中にゴムを入れて縫製します。
このゴムがダメになっても交換というわけにはいかないので、あれこれ探して試しまくり、最適のテンションを探り当てました。
よくある安物のバンジースリングのゴムのテンション指数を仮に3とすると、重さ指数3(仮の数字)の89式に使用するととりあえずはそのまま保持できるものの、スリングを身体にかけて走るとボヨンボヨンしてしまい、また89に光学機器をつけて重くしてしまうとそれだけでゴムが常時伸びてしまいます。
それだと明らかにテンション不足。
一方、とある高級スリングのバンジーゴムのテンション指数は11とかなり強く、ミニミにつけてもそう簡単には伸びません。
しかしそれだとちょっと強すぎ、89に最適なテンションは…と検討を繰り返し、結果的に指数9程度のものに落ち着いたというわけです。
ちなみにゴムは1本棒ではなく、細いゴムが何十本も束ねられナイロン被膜でまとめられたもの。
*ナイロン
国産の、チューブ状の38mm幅のもの。
色味は前述のように特注染色。
地味に米国製のミルスペックのものより高いです。
さて・・・
このスリングは、わし製の被筒アタッチメント+ストックアタッチメントと共着すれば最高の使い勝手になります。
が、素のスイベルでも十分に使用できます。
以下は当初から同じですが・・・。
長さは、ワンポイント時に身体にぴったりになるようにしておきましょう(いざワンポイント!という時にキツくてフックがかけ直しできなかったり、ユルユルだったりすると×)
さて、ツーポイント時にスリングを右肩にかけるようにすると、移動やパトロールに適しています。
もちろん普通のスリングではそのまま射撃姿勢に移ることはできません。
グイッと左手を伸ばせば、バンジー部分が伸びて、ツーポイントのまま射撃姿勢を取ることができます。
少々力は要りますが、警戒態勢から即・射撃に移れるのは便利。
というわけで、今回もぜんぜんはけなくて一向に部品代が回収できないのが気が重いのですが、自分がもっとも使いやすいスリングが進化して嬉しいな、というお話でした!!!
しかし色味がこうなると、ますますAOSEさんとこのマルチバンジースリングに似てきてしまうな・・・
(了)
【レプリカ製作記事】
【スリング関連記事】
・最良のスリングを探せ(前編)
・最良のスリングを探せ(後編)
・89/64用可変ポイントバンジースリング(2018ver)
・89/64用可変ポイントバンジースリング(2020ver)