こんばんは。
海遊書道教室の佐志田海遊です。
今回は 太筆の洗い方と乾かし方についてお伝えします。
筆の洗い方は「どうしたらいいの?」と悩まれる方が多いようです。
「筆を洗うのはちょっと面倒…」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
でも、実はそれ以前に「正しい洗い方」を知らないという場合も少なくありません。
この記事をお読みいただくと、洗い方のコツや乾かし方がわかり、
次回のお稽古から気持ちよく筆を使えるようになります✨
筆のお手入れひとつで、「筆の寿命」や「使いやすさ」は大きく変わります。
きれいに整えられた筆を使うことは、
充実したお習字の時間に直結し、上達への近道 にもなります。
ぜひ参考になさってください☺️
太筆の洗い方に入る前に、少しだけ小筆の扱い方についても触れておきます。
小筆は、穂の全体ではなく3分の1ほどをおろし、
使った部分(穂先の3分の1ほど)だけを軽く洗います。
🔼小筆について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
それでは、太筆の洗い方についてお話を進めますね。 その前に、まずは筆の各部の名称を押さえておきましょう。
太筆の場合は、穂の「つけ根」部分の墨をしっかり落とすことが大切です。
※ご指導される先生や筆の種類によっては、「つけ根」を残す(「つけ根」までほぐさない)場合もあります。ご不安な場合は、通っている教室の先生にご確認くださいね。
※海遊書道教室では、太筆は「つけ根までほぐしてOK」です。大人の生徒さまで、例外がある場合は個別にご案内いたします。
※こちらの記事では、「つけ根」から全部おろした太筆の洗い方をご紹介しています。
私の小中学校時代。習字の時間の最後には、
洗い場でみんな並んで筆を洗っていた光景が懐かしくよみがえります。
最近は、授業で使った筆をそのまま筆巻きに巻いて持ち帰る学校がほとんどのようですね。
使い終わった筆は、
書き損じなどをした、なるべく乾いた半紙でそっと優しく包み、
筆巻きに巻いて持ち帰りましょう🏠
ではここから、主婦目線でお伝えする
" 洗い場をなるべく汚さずにすむ" 太筆の洗い方をご紹介します。
① その日のうちに洗う
持ち帰ったら、なるべくその日のうちに洗いましょう。
時間が経つと 穂(ほ) が硬くなり、墨が落ちにくくなります。
② 洗うときは「水」または「ぬるま湯」で
お水の温度には少し注意が必要です。
浴室で洗っている方もいるようですが、
特に冬場はお湯の温度が高くなりがち⚠️
熱いお湯では、穂が傷んでしまいます💦
一方で、真冬のように水が冷たすぎると、
墨が十分に落ちない場合もあります。
ところで、筆をどこで洗うか、意外と悩ましいですよね。
皆さまのおうちでは、もう決まっていますか?
我が家は、試行錯誤の末にキッチンのシンクに落ち着きました。
ステンレス製なので、墨が付いても落としやすいんです。
同じくキッチン派の方も多いと思いますが、
「食べ物を扱う場所で筆を洗うのは抵抗がある…🌀」
というお声もよく耳にします。
一方、洗面所は陶器製が多く、
墨が付くと落ちにくいというお悩みも😩
(ちなみに、洗面所など「絶対汚したくない!」という場所向けの洗い方案は、こちらの記事にまとめています👇)
私も、一度は「外の水場で洗おうかな?」と思ったことがあります。
でも冬は寒いし、暗くなると墨の落ち具合が見えづらいし、
何より外に出るのが面倒で…😅
意外と悩ましい"どこで筆を洗うか問題"(勝手に命名しました🤭)。
そんなこんなで、今のところ我が家はキッチンに落ち着いています。
では、話を戻して次のステップに進みますね。
③ 大きめの瓶で"振り洗い"する
娘の通っていた小学校では、
3年生からお習字の授業が始まるのですが、当初、太筆の洗い方についてこのような指導がありました。
============
瓶に水を入れてその中で筆をゆすぐ
→そうすると「洗い場があまり汚れないですよ」
============
ふむふむ。なるほど〜🧐と思い、その方法を取り入れました。
小さな瓶だとすぐに水が真っ黒になり、気が遠くなってしまうので、大きめの瓶がおすすめです。
半切(条幅)を書くような大筆になると、何回繰り返してもすぐに水が黒くなり、なかなか終わりが見えません…。
それに、残念ながら、これだけでは墨が十分に落とし切れません。
瓶の中で筆を洗い終える目安は、水が薄いグレーになってきた時です。
次に行っていただきたいステップはこちらです👇
④ 「つけ根」部分の墨をしっかり落とす
4つ目のステップ(ここが大事!)✨
ぐっぐっと、墨を押し出すように、つけ根部分に親指の腹を当てて、筆の軸を一回転します。
墨が出なくなるまで洗いましょう。
👆
この墨を押し出して洗うプロセスがとても大切です❣️
このとき、穂(毛のある部分)には
直接水を当てないように注意してください⚠️
穂が傷んで割れてしまう原因になります。
水は筆の軸(筆管)に当て、穂に伝わせてください。
(写真では分かりづらいのですが、穂を下にして、高低差をつけ水を伝わせています。)
繰り返しになりますが🙏
つけ根からしっかり洗うことが本当に大切です!
もし、このステップを省いてしまうと…💦
・乾かしている途中に、落としきれなかった墨がぽたぽた垂れてくる
・墨が穂先に残ってカチカチに固まり、次に筆を使うときに力づくでほぐす羽目になる(←筆が傷みます😣)
・結果、何度も洗い直すことになり、余計に手間がかかる
…と、とにかく良いことはありません😅
ですので、
穂のつけ根 360度 の押し洗い、
これをしっかり行ってくださいね✨
さぁここまできたら、いよいよ最後のステップです👇
⑤ 穂を整えて、吊るして乾かす
まず、水を細~く出して 筆の軸の真上から流します。
🔼こうすることで、毛並みが自然に整います。
毛並みが整ったら、筆の位置はそのままにして
水を止めましょう。
次に、つけ根から穂先に向かって、
そーっと水を切りながら、指でなでて整えていきます。
ここまできたら、あとは吊るして乾かすだけ!
筆のお尻には、吊るせるように
「掛けひも」が付いています。
❌ 濡れたまま筆巻きに戻す(乾きが不十分になり、カビの原因に)
❌ 瓶に逆さに立てる(つけ根に墨が戻ってしまう原因に)
❌ 購入時のキャップに入れる(キャップは処分しましょう)
👉 直射日光が当たらない場所に
吊るして乾かしてくださいね🙏
我が家では、キッチンの一角に吊るしています。
ただ、筆の本数が増えてきたので、最近はこちらも使用しています👇
ひと工夫でより使いやすくなりました👇
他にも「筆吊り」「筆掛け」で検索すると
いろいろなグッズがヒットします。
(ネックレスの収納にも使えそうです(笑))
筆は、愛情を込めてお手入れするほど長持ちします。
丁寧に扱えば、書いている最中に筆が割れるなどのトラブルも減ります☺️
🌿ということで、以上が「太筆の洗い方と乾かし方」でした!
ぜひ、取り入れてみてくださいね✨
✨補足メモ
① 筆は消耗品です。
どんなにお手入れをしていても、次のような状態が見られたら買い替え時です👇
・書きにくくなった
・穂が割れる
・毛が擦り切れてきた(摩耗・傷み)
・使い始めて1年以上が経過
② 海遊書道教室の定例会員のお子さまには、先月、開業5周年記念のプレゼントとして『筆チェッカー』をお渡ししました。
対象の筆をお使いの際は、筆がきちんと洗えたかどうかのチェックにぜひご活用くださいね。