NOTE/長谷川典夫著「現代都市の空間システム」・・・(4)
日本の都市においても明瞭に認められるのは、ライフサイクルや居住歴による住み分け現象であろう。
なかでも、核家族化が急速に進展するとともに、一戸建ての持ち家が郊外において急増し、都市中心部では一戸建て住宅が事務所ビルや共同住宅に変化していることもあって、都市中心部の人口の老齢化と年少人口の減少が急速に進展している・・・・・
そして、戦後に開発されたかつての郊外の住宅団地においても世代交代の時期に入り、人口の老齢化と人口減少が見られる地域がある。。。。。
(資料写真/千葉県成田ニュータウンにて本ブログ管理者撮影)
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一方、都市中心部の人口の減少地域内には、共同住宅の立地などにより、停滞もしくは地区によっては増加に転じる場合も見られる。
しかし、その年齢構成から判断すると、安定した単世帯の増加というよりは、独身者や子供の居ない世帯が増加していると考えられる・・・・・
(資料写真/群馬県桐生市にて本ブログ管理者撮影)
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広島や仙台では、中高層住宅の都心部ならびに都心周辺地域における立地によって、都心人口の空洞化が抑制されてきている?・・・・・
(資料写真/仙台市若林区にて本ブログ管理者撮影)
【書誌情報】
長谷川典夫「現代都市の空間システム」1992年、大明堂
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本ブログ内関連記事
大都市圏外部→区部への転入
・15~19歳の若年層の進学や就職による転入
・大都市圏内部での自然増加とそれに即応した大都市圏内部の人口移動を引き起こす要因となっている、、、
【大都市圏内部の人口移動/基本的パターン(2)】
区部から周辺近郊地域への遠心的人口移動
・20~29歳の青年層による区部内部での移動
・30~40歳の壮年層による近郊地域への転出
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大学卒業後の就職、結婚、それに続く出産といったライフ・ステージの変化に伴う居住地の住み替え移動に相当するもの
(資料写真/東京都足立区にて本ブログ管理者撮影)
【p.144】
都市とは?
都市=周辺地域の中心
(都市学者達における学説の共通点)
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都市にはさまざまな施設(都市機能)が立地している。
その中には、地域の中心となる機能(中心機能または中心地機能と称される)があり、周辺の地域に種々の影響を及ぼしている。
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都市システムを機能させている相互作用(=都市機能)
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(1)人の移動によるもの
狭域的スケール
(通勤・通学・買物・通院等)=日常的な人の移動
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(2)物の流動によるもの
地域のスケールが大きくなるに伴う
(貨物流動・自動車流動)=物的流動
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(3)情報の伝達によるもの
広域的スケール
(東北地方や関東地方などの地方間連絡)=情報
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一般に、都市の規模が大きくなるにしたがって、より広域的な影響を及ぼす都市機能が立地する傾向がある。
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つまり、中心となる都市の規模に応じて周辺地域のスケールが左右されるのであり、大規模な都市を中心とするシステムほど、システムを構成する周辺地域のスケールが大きくなる。
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また、システムの構造も単純なものとは限らない。
地方の小都市を中心とするシステムでは単極的な構造を呈するが、中心となる都市の規模が大きくなるにつれて複雑になり、重層的な構造を呈していくのが一般的な傾向・・・・・
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大都市圏における重層的結合パターン
富田和暁「わが国大都市圏の構造変容研究の現段階と諸問題」1988年2月人文地理,40巻1号,pp.40-63における図に本ブログ管理者加筆
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大都市圏
都市圏のなかでも、
大都市をとりまく広域的な都市圏を大都市圏(metropolitan area)と呼ぶ。
大都市圏は、大都市の急速な膨張に伴って周辺小都市の都市圏を蚕食(さんしょく)した結果形成されたものであり、そのなかに多くの都市圏を含有するため、他の都市圏に比べてきわめて複雑な重層構造を呈する。
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大都市圏という用語が用いられたのは、1910年におけるアメリカ合衆国のセンサスで定義されたのが始まり・・・・・(現在のSMSA)
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日本では、国勢調査において、中心都市の人口が50万人以上で中心都市への通勤・通学者の比率がその圏域の全人口の1.5%以上であり、かつ中心都市と連続する市町村の範囲を都市圏(事実上の大都市圏)と称している。