様々なイギリスの大学の紹介を行ってきましたがこの記事をもって大学の紹介に関しては一旦終わりにします。大学の一般的な情報はWikipediaなどの繰り返しになりますので、今までこのブログで紹介してきましたデータを中心に書きます。それぞれのデータの根拠はページの最後の方の一覧に載せました過去の記事を参考にしてください。
この記事ではクイーンズ大学ベルファストをとりあげます。
クイーンズ大学ベルファスト (Queen's University Belfast)
(撮影者Fasach Nua/Wikipediaより)
グラフで見たQueen's大学 Belfastの主な特徴
クイーンズ大学ベルファストは創立163年の北アイルランドの大学です。英国の研究型上位大学連合であるラッセルグループに属しています。
特徴を箇条書きにしますと次のようになります。
(1) 立地・大学の雰囲気
北アイルランド首都のベルファスト市に位置しています。ロンドンからの距離を考えると立地的にはあまり良い方ではありません。大学構内の雰囲気や大学のシステムは緑に囲まれたキャンパスと伝統的な建物で構成されています。州立高校卒業生比率が99.6%と非常に高く、庶民的な家庭の学生で構成される大学です。
(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は15.6人で同難易度帯の大学の中では良好な教育環境です。学部・大学院を合わせて学生数は約23,000人でイギリスの上位大学の中ではやや大規模な大学です。在学生の男女比は59:41と男子学生がやや多めとなっています(参照元)。
(3) 入学難易度
学部入学難易度は、2013年度のUCASの入学者平均スコアから計算した偏差値は54でイギリスで41番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位13.9%の学生が集まっています。法学と医歯薬系の人気が高く難易度が高くなっています。なお学部入試の平均倍率はおよそ6倍です(参照元)。
(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して85.6%、学部生の成績優等率は平均して63.9%です。学生の学力水準に対し、卒業難易度、成績評価はイギリスの中では標準的です。
(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者総数は1人で英国で23番目です。米国の大学と比較すると総数、卒業生の受賞者数共にペンシルバニア州立大学と互角です。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは29番目となっています。RAEで見ました大学の総合研究力は偏差値に換算した数値で59でイギリスでは36番目です。研究水準では歯学、薬学、土木工学に強く、英国でそれぞれ9番目、10番目、11番目の研究力です。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で23番目に多い6307万ポンド(約95億円)を獲得しています(参照元)。
(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国31位以下となっています。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は6.6%です(参照元)。
(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度では、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと下位国公立大及び中堅上位私立大学です。研究力及び研究者育成力で同水準の大学はARWUの分野別で100位以内にランクインしていないため不明です。ただし、研究総量で見た場合ではARWUのランキングで301-400位である事から神戸大や広島大、早稲田大などが近いレベルと見て取れます。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと16.3ポイントで筑波大学がほぼ同水準です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。
(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では、上記同様の推測からアリゾナ州立大学などの全米総合大で選抜度上位130~160位水準です。一方、研究力及び研究者育成力は上と同様に理由で不明です。ただし、研究総量で見た場合だとARWUのランキングで同じく301-400位であるジョージタウン大学などが近いレベルと見て取れます。また教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと16.3ポイントで同じくジョージタウン大学がほぼ同水準です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。
(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内31位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内45位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)
(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで251-275位、QS社のランキングで172位、ARWUのランキングで301-400位となっています。
(11) 著名なOB
著名なOBはアイルランドの前首相のメアリーマッカリース、ノーベル文学賞受賞の作家のシェイマス・ヒーニーなどです。
(12) 人種・国際性
人種別の学生比率は2007~2008年のデータでマイノリティ学生が1.5%となっています(参照元)。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)である事からマイノリティの学生が非常に少ない大学です。2011~2012年のデータでは全体の学生の9%が留学生です。
総合的に見ますと北アイルランドでトップ、英国で34~40番の大学だと思います。
この記事ではクイーンズ大学ベルファストをとりあげます。
クイーンズ大学ベルファスト (Queen's University Belfast)
(撮影者Fasach Nua/Wikipediaより)
グラフで見たQueen's大学 Belfastの主な特徴
大学名 | Queen's University Belfast | |||
主要な所属大学連合 | ラッセルグループ | |||
創立 | 1849年 | |||
立地 | Belfast市 (Londonから飛行機で約1時間半) | |||
学生数(正規のみ) | 学部 | 2012 | 1学年 平均4,588人 /全学年 13,765人 | |
大学院 | 2012 | 2,835人 | ||
学生の割合(学部) | 英国人 | 2012 | 95.0% | |
欧州留学生 | 2012 | 2.0% | ||
他留学生 | 2012 | 3.1% | ||
学生の割合(大学院) | 英国人 | 2012 | 77.4% | |
欧州留学生 | 2012 | 12.6% | ||
他留学生 | 2012 | 10.1% | ||
学部学生の出身高校 (2009) | (私立高卒) 0.6% : 99.4% (公立高卒) | |||
男女比 (2013) | (男) 59% : 41% (女) | |||
人種の多様性 (2008) | 非白人学生率 1.5% | |||
学部入学難易度 (2013) | 41位 | UCAS 384 / 換算偏差値 54 | ||
学部入学難易度 (過去8年平均) | 34位 | 平均偏差値 56 | ||
同世代人口比で見た選抜水準(学部) | (2013) 上位16.4% (過去8年の平均) 上位13.9% | |||
卒業難易度 | 標準的 | 学部最終卒業率 85.6% 学部成績優等率 63.9% | ||
教員一人当たり学生数 (2013) | 31位 | 15.6人 | ||
学生一人当たり教育支援支出 (2013) | 39位 | £1,159 (約17万円) | ||
学生一人当たり施設支出 (2013) | 11位 | £660 (約10万円) | ||
研究力 (2008) | 36位 | RAE 2.56 / 換算偏差値 57 | ||
研究費予算配分 (2011 / 人件費込) | 23位 | £63,069,000 (約95億円) | ||
ノーベル賞 | 23位 | 1人(OB 1人 教員 0人) | ||
就職/進学率 (2012) | 32位 | 72.7% | ||
卒業生の初任給平均 (2009) | (31位以降) N/A | |||
NYTimes トップ企業の採用評価 (2012) | (国内15位以降、世界151位以降) N/A | |||
Spear's 富裕層の輩出人数 (2013) | (国内43位以降、世界501位以降) N/A | |||
時価総額世界上位500社のCEO輩出力 (2011) | 16位 | 世界229位 | ||
日本の大学ライバル校 | 総合選抜度 | 下位国公立大及び中堅上位私立大 | ||
平均研究力 | 分野別順位平均: 理系:不明 文系:不明 教員当たり平均研究実績: 筑波大学 | |||
採用評価 | 不明 | |||
米国の大学ライバル校 | 総合選抜度 | 全米総合大学選抜度上位130位~160位水準 | ||
平均研究力 | 分野別順位平均: 不明 教員当たり平均研究実績: Georgetown University | |||
採用評価 | 不明 | |||
国内大学ランキング | Independent社 | (2014) 29位 (過去7年の平均) 31位 | ||
Guardian社 | (2014) 49位 (過去7年の平均) 45位 | |||
世界大学ランキング | Times社 | 2014 | 251-275位 | |
QS社 | 2013 | 172位 | ||
上海交通大 | 2013 | 301-400位 | ||
Times名声調査世界ランキング | 2013 | N/A |
学問分野 | 全平均 | 法律 | 政治 | 経済 | 経営 | 会計 | 心理 | 哲学 | 歴史 | 古典 | 英文 | 芸術 | 言語 | 教育 |
難易度(学部) | 54 | 61 | 55 | 54 | 50 | 58 | 54 | 53 | 53 | -- | 55 | -- | -- | -- |
研究力 | 57 | 63 | 53 | -- | 59 | -- | 47 | 58 | 61 | -- | 66 | -- | -- | -- |
学問分野 | 数学 | 物理 | 化学 | 生物 | 電子 | 機械 | 材料 | 土木 | 情報 | 建築 | 医学 | 歯学 | 薬学 | |
難易度(学部) | 57 | 57 | 51 | 55 | 53 | 56 | -- | 51 | 51 | 56 | 70 | 65 | 60 | |
研究力 | 54 | 56 | 54 | 47 | 61 | 62 | -- | 67 | 59 | -- | 55 | 59 | 59 |
学問分野 | 社会科学 | 自然科学 | 工学 | 生命科学 | 医学&薬学 | |||||
経済学&経営学 | 数学 | 物理学 | 化学 | 情報工学 | ||||||
順位 | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- |
クイーンズ大学ベルファストは創立163年の北アイルランドの大学です。英国の研究型上位大学連合であるラッセルグループに属しています。
特徴を箇条書きにしますと次のようになります。
(1) 立地・大学の雰囲気
北アイルランド首都のベルファスト市に位置しています。ロンドンからの距離を考えると立地的にはあまり良い方ではありません。大学構内の雰囲気や大学のシステムは緑に囲まれたキャンパスと伝統的な建物で構成されています。州立高校卒業生比率が99.6%と非常に高く、庶民的な家庭の学生で構成される大学です。
(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は15.6人で同難易度帯の大学の中では良好な教育環境です。学部・大学院を合わせて学生数は約23,000人でイギリスの上位大学の中ではやや大規模な大学です。在学生の男女比は59:41と男子学生がやや多めとなっています(参照元)。
(3) 入学難易度
学部入学難易度は、2013年度のUCASの入学者平均スコアから計算した偏差値は54でイギリスで41番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位13.9%の学生が集まっています。法学と医歯薬系の人気が高く難易度が高くなっています。なお学部入試の平均倍率はおよそ6倍です(参照元)。
(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して85.6%、学部生の成績優等率は平均して63.9%です。学生の学力水準に対し、卒業難易度、成績評価はイギリスの中では標準的です。
(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者総数は1人で英国で23番目です。米国の大学と比較すると総数、卒業生の受賞者数共にペンシルバニア州立大学と互角です。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは29番目となっています。RAEで見ました大学の総合研究力は偏差値に換算した数値で59でイギリスでは36番目です。研究水準では歯学、薬学、土木工学に強く、英国でそれぞれ9番目、10番目、11番目の研究力です。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で23番目に多い6307万ポンド(約95億円)を獲得しています(参照元)。
(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国31位以下となっています。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は6.6%です(参照元)。
(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度では、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと下位国公立大及び中堅上位私立大学です。研究力及び研究者育成力で同水準の大学はARWUの分野別で100位以内にランクインしていないため不明です。ただし、研究総量で見た場合ではARWUのランキングで301-400位である事から神戸大や広島大、早稲田大などが近いレベルと見て取れます。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと16.3ポイントで筑波大学がほぼ同水準です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。
(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では、上記同様の推測からアリゾナ州立大学などの全米総合大で選抜度上位130~160位水準です。一方、研究力及び研究者育成力は上と同様に理由で不明です。ただし、研究総量で見た場合だとARWUのランキングで同じく301-400位であるジョージタウン大学などが近いレベルと見て取れます。また教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと16.3ポイントで同じくジョージタウン大学がほぼ同水準です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。
(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内31位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内45位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)
(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで251-275位、QS社のランキングで172位、ARWUのランキングで301-400位となっています。
(11) 著名なOB
著名なOBはアイルランドの前首相のメアリーマッカリース、ノーベル文学賞受賞の作家のシェイマス・ヒーニーなどです。
(12) 人種・国際性
人種別の学生比率は2007~2008年のデータでマイノリティ学生が1.5%となっています(参照元)。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)である事からマイノリティの学生が非常に少ない大学です。2011~2012年のデータでは全体の学生の9%が留学生です。
総合的に見ますと北アイルランドでトップ、英国で34~40番の大学だと思います。
イギリスの大学の分類 | ・ イギリスの大学の4つの分類 |
入学難易度(偏差値)と研究力 | ・ イギリスの大学入学難易度と研究力のランキング ・ イギリスの大学の専攻別の入学難易度と研究力 ・ 近年のイギリスの大学の学部入学難易度の変遷 ・ 2013年度の大学入学難易度 ・ 2014年度の大学入学難易度 |
選抜度の国際比較 | ・ 英米大学の選抜度比較一覧表 ・ 選抜度で見たイギリスの大学とその国際比較 ・ ラッセルグループなど主要大学グループの難易度と選抜水準 |
研究力の国際比較 | ・ 英米大学の研究力比較一覧表 ・ イギリスの大学の研究力の国際比較 ・ イギリスの大学の研究力の国際比較 (2013年版) |
ノーベル賞受賞者数 | ・ ノーベル賞受賞者数で見るイギリスの大学 |
卒業生の初任給 | ・ イギリスの大学の初任給ランキング |
富裕層の出身大学 | ・ 富裕層を輩出する英国大学はどこか |
公立高校出身比率 | ・ 公立高校卒業生比率で見るイギリスの大学 |
成績評価と卒業難易度 | ・ イギリスの大学の成績評価と卒業難易度の傾向 |
世界大学ランキング | ・ 世界大学ランキングの問題点と信頼性 |