大学関連のデータの集計に一区切りがつきましたのでしばらくイギリスの大学の紹介を行っていきます。大学の一般的な情報はWikipediaなどの繰り返しになりますので、今までこのブログで紹介してきましたデータを中心に書きます。それぞれのデータの根拠はページの最後の方の一覧に載せました過去の記事を参考にしてください。

今回はカーディフ大学をとりあげます。


カーディフ大学 (Cardiff University)


イギリスの大学徹底分析-Cardiff大学 (撮影者Stan Zurek/Wikipediaより)
(撮影者Pierre Terre/Wikipediaより)

イギリスの大学徹底分析-Cardiff大学の入学難易度/大学の特徴
グラフで見たCardiff大学の主な特徴


カーディフ大学のサマリーデータ
大学名Cardiff University
主要な所属大学連合ラッセルグループ
創立1883年
立地Cardiff市 (Londonから電車で約2時間半)
学生数(正規のみ)学部20121学年 平均5,415人 /全学年  16,245人
大学院20123,820人
学生の割合(学部)英国人201287.7%
欧州留学生20122.5%
他留学生20129.8%
学生の割合(大学院)英国人201261.0%
欧州留学生20127.9%
他留学生201231.0%
学部学生の出身高校 (2009)(私立高卒) 14.6% : 85.4% (公立高卒)
男女比 (2012)(男) 41% : 59% (女)
人種の多様性 (2008)非白人学生率 8.8%
学部入学難易度 (2013)25位UCAS 431 / 換算偏差値 60
学部入学難易度 (過去8年平均)22位平均偏差値 60
同世代人口比で見た選抜水準(学部)(2013) 上位11.0%  (過去8年の平均) 上位10.3%
卒業難易度標準的学部最終卒業率 92.2% 学部成績優等率 67.6%
教員一人当たり学生数 (2013)18位14.2人
学生一人当たり教育支援支出 (2013)61位£988 (約15万円)
学生一人当たり施設支出 (2013)80位£331 (約5万円)
研究力 (2008)21位RAE 2.69 / 換算偏差値 60
研究費予算配分 (2011 / 人件費込)18位£84,633,000 (約127億円)
ノーベル賞21位2人(OB 0人  教員 2人)
就職/進学率 (2012)22位74.9%
卒業生の初任給平均 (2009)29位£20,691 (約310万円)
NYTimes トップ企業の採用評価 (2012)(国内15位以降、世界151位以降) N/A
Spear's 富裕層の輩出人数 (2013)36位世界440位
時価総額世界上位500社のCEO輩出力
(2011)
輩出無し
日本の大学ライバル校総合選抜度中堅上位国公立大及び立教大学、同志社大学など
平均研究力分野別順位平均: 理系:北海道大 文系:該当無し
教員当たり平均研究実績: 九州大学
採用評価不明
米国の大学ライバル校総合選抜度全米総合大学選抜度上位65位~100位水準
平均研究力分野別順位平均: University of Notre Dame
教員当たり平均研究実績: Emory University
採用評価不明
国内大学ランキングIndependent社(2014) 35位  (過去7年の平均) 37位
Guardian社(2014) 29位  (過去7年の平均) 36位
世界大学ランキングTimes社2014201-225位
QS社2013136位
上海交通大2013151-200位
Times名声調査世界ランキング2013N/A


主要専攻の学部入学難易度と研究力2014 (UCAS/RAEスコアの偏差値での換算値)
学問分野全平均法律政治経済経営会計心理哲学歴史古典英文芸術言語教育
難易度(学部)605963615859635760--62--5554
研究力6063536868686649535464--6461
学問分野数学物理化学生物電子機械材料土木情報建築医学歯学薬学
難易度(学部)656156615860--605669736762
研究力515261585763--726462566256


研究力及び研究者育成力の世界順位 (上位200位まで/2013年版ARWUより)
学問分野社会科学自然科学工学生命科学医学&薬学
経済学&経営学数学物理学化学情報工学
順位101-150位--------------76-100位101-150位


カーディフ大学は創立129年のウェールズの大学です。英国の研究型上位大学連合であるラッセルグループに属しています。

特徴を箇条書きにしますと次のようになります。

(1) 立地・大学の雰囲気
ロンドンから電車で2時間半ほどの距離にあるウェールズの首都カーディフ市に位置しています。ロンドンからの距離を考えると立地的にはあまり良い方ではありません。大学構内の雰囲気や大学のシステムは緑に囲まれた広いキャンパスと伝統的、現代的な建物で構成されています。州立高校卒業生比率は85.4%で庶民的な家庭の学生が多く集まる大学です。

(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は14.2人でイギリスの上位大学の中では平均的です。学部・大学院を合わせて学生数は約29,000人でイギリスの上位大学の中では大規模な大学です。在学生の男女比は41:59で女子学生が多めです(参照元)。

(3) 入学難易度
学部入学難易度は比較的高く、2013年度のUCASの入学者平均スコアから計算した偏差値は60でイギリスで25番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位10.3%の学生が集まっています。理系の人気が高く、特に建築学と医学部は人気が高く、入学難易度が高くなっています。なお学部入試の平均倍率はおよそ9倍です(参照元)。

(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して92.2%、学部生の成績優等率は平均して67.6%です。学生の学力水準に対し、卒業難易度、成績評価はイギリスの中では標準的です。

(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者総数は2人で英国の中では21番目です。米国の大学と比較すると総数、卒業生の受賞者数共にエモリー大学とほぼ互角です。RAEで見ました大学の総合研究力は偏差値に換算した数値で60でイギリスでは21番目です。研究水準では会計学、言語学、経営学、土木工学に強く、それぞれ英国で1番目、2番目、3番目、4番目です。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で18番目に多い8463万ポンド(約127億円)を獲得しています(参照元)。

(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国29番目となっています。立地が理由で入学難易度に対し、就職は若干不利になっているようです。

(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度では、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと中堅上位国公立大及び立教大学、同志社大学などです。研究力及び研究者育成力で同水準の大学は、ARWU分野別の研究力世界200位のデータから推測しますと理系は北海道大学ですが文系は日本の全ての大学を上回っています。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと18.2ポイントで九州大学がほぼ同水準です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。

(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では、上記同様の推測からマイアミ大(オハイオ州)などの全米総合大で選抜度上位65~100位水準です。一方、研究力及び研究者育成力はノートルダム大学が同水準です。また教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと18.2ポイントでエモリー大学がほぼ同水準です。
企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。

(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内37位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内36位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)

(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで201-225位、QS社のランキングで136位、ARWUのランキングで151-200位となっています。

(11) 著名なOB
著名なOBはヨルダン元首相のファイサル・アル=ファイエズ、元労働党党首のニール・キノックなどです。

(12) 人種・国際性
人種別の学生比率は2007~2008年のデータでマイノリティ学生が8.8%となっています(参照元)。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)である事からマイノリティが少ない大学です。2011~2012年のデータでは全体の学生の19%が留学生です。

総合的に見ますとウェールズでトップ、英国で16~24番目の大学だと思います。


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