上位12大学の紹介が終わったのですが、あと何校か紹介した方が良いだろうと思う重要な大学が残っていますので紹介していきます。大学の一般的な情報はWikipediaなどの繰り返しになりますので、今までこのブログで紹介してきましたデータを中心に書きます。それぞれのデータの根拠はページの最後の方の一覧に載せました過去の記事を参考にしてください。
今回はマンチェスター大学をとりあげます。
マンチェスター大学 (University of Manchester, Manchester)
(撮影者Sergio/Wikipediaより)
グラフで見たManchester大学の主な特徴
※建築はマンチェスター大が共同設立した「Manchester School of Architecture」としての数値。
マンチェスター大学は創立187年でイングランドではオックスフォード大、ケンブリッジ大に次いで古い大学です。元々はマンチェスター工科大学として設立されましたが、その後マンチェスタービクトリア大学、マンチェスタービジネススクールとの合併を経て2004年にマンチェスター大学となりました。英国の研究型上位大学連合であるラッセルグループに属しています。
特徴を箇条書きにしますと次のようになります。
(1) 立地・大学の雰囲気
ロンドンから電車で2時間ほどの距離にあるマンチェスター市に位置しています。立地的には若干不利なロケーションとなっています。大学構内の雰囲気や大学のシステムは都会型でマンチェスター市内に近代・現代的な建物のキャンパスが分散しています。キャンパスはかなり広めです。州立高校卒業生比率が78.5%と比較的に庶民的な学生が集まる大学です。
(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は14.8人でこのランクの大学としては平均的です。学生数は学部・大学院を合わせて約39,000人でイギリス屈指の大規模大学です。在学生の男女比は47:53と女子学生が若干多めになっています(参照元)。
(3) 入学難易度
学部入学難易度は高く、UCASの入学者平均スコアから計算した2013年度入学者の偏差値は62でイギリスで17番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位7.0%の学生が集まっています。理系の人気が高めで、特に材料工学、物理学、歯学はそれぞれの分野で5位以内に入る高い入学難易度です。なお学部入試の平均倍率はおよそ6倍です(参照元)。
(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して92.2%、学部生の成績優等率は平均して70.1%です。学生の学力水準に対し、卒業難易度、成績評価はイギリスの中では標準的です。
(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者総数は25人で英国ではケンブリッジ大、オックスフォード大、UCLに次いで4番目に多いです。米国の大学と比較すると総数、卒業生の受賞者数共にペンシルバニア大学とほぼ互角です。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは6番目となっています。ARWUのデータで見ますと工学の研究力が英国4位、世界37位、自然科学の研究力が英国4位、世界34位と特に高い水準となっています。一方RAEのデータでは歯学の研究力が英国で1番目と評価されています。また薬学、芸術・建築史、英文、電子工学なども研究力が高く、それぞれ英国3位、3位、3位、4位の研究水準を誇っています。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で5番目に多い1億9624万ポンド(約294億円)を獲得しています(参照元)。
(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国28位で難易度に対してあまり良くありません。これは立地の不利さが理由だと推測されます。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は10.5%です(参照元)。一方、時価総額で世界上位500社の経営者の輩出力のランキングでは2011年のランキングでイギリス国内で4位、世界全体で38位と大変良い結果になっています(参照元)。また、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価では英国10位、世界71位となっています(参照元)
(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度では、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと選抜度に関しては上位国立大、上智大、理科大などです。研究力及び研究者育成力で同水準の大学は、ARWU分野別の研究力世界200位のデータから推測しますと理系では東京大学ですが、文系では日本の全大学を上回っています。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと24.4ポイントで東京工業大学がほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で京都大学(日本3位/世界47位)と早稲田大学(日本4位/世界101位)の間という結果(世界71位)が出ています。
(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では、上記同様の推測からフロリダ大学などの全米総合大で選抜度上位60~70位水準です。一方、研究力及び研究者育成力ではボストン大学です。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと24.4ポイントでタフツ大学などがほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価でジョージタウン大学(全米19位/世界68位)と南カリフォルニア大学(全米20位/世界72位)の間という結果(世界70位)が出ています。
(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内30位、Guardian社の2008年~2013年の7年間の平均ランキングで国内32位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)
(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで58位、QS社のランキングで33位、ARWUのランキングで41位となっています。自然科学や医薬系の規模が大きく英国で5番目に多い研究予算を持ち充実している事もあり世界大学ランキングのポジションは英国の中で7番目に高い結果になっています。
(11) 著名なOB
著名なOBはノーベル物理学賞受賞の物理学者のJ.J.トムソン、チャールズ・ウィルソンなどです。
(12) 人種・国際性
人種別の学生比率は2007~2008年のデータでマイノリティ学生が17.1%となっています(参照元)。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)である事から人種構成は平均的です。2011~2012年のデータでは全体の学生の27%が留学生です。
総合的に見ますと英国で15番目の大学と言ってよいと思います。
今回はマンチェスター大学をとりあげます。
マンチェスター大学 (University of Manchester, Manchester)
(撮影者Sergio/Wikipediaより)
グラフで見たManchester大学の主な特徴
大学名 | University of Manchester | ||
主要な所属大学連合 | ラッセルグループ | ||
創立 | 1824年 | ||
立地 | Manchester市 (Londonから電車で約2時間) | ||
学生数(正規のみ) | 学部 | 2012 | 1学年 平均9,050人 /全学年 27,150人 |
大学院 | 2012 | 8,335人 | |
学生の割合(学部) | 英国人 | 2012 | 78.9% |
欧州留学生 | 2012 | 5.4% | |
他留学生 | 2012 | 15.7% | |
学生の割合(大学院) | 英国人 | 2012 | 57.8% |
欧州留学生 | 2012 | 7.1% | |
他留学生 | 2012 | 35.1% | |
学部学生の出身高校 (2009) | (私立高卒) 21.5% : 78.5% (公立高卒) | ||
男女比 (2013) | (男) 47% : 53% (女) | ||
人種の多様性 (2008) | 非白人学生率 17.1% | ||
学部入学難易度 (2013) | 17位 | UCAS 453 / 換算偏差値 62 | |
学部入学難易度 (過去8年平均) | 15位 | 平均偏差値 62 | |
同世代人口比で見た選抜水準(学部) | (2013) 上位6.7% (過去8年の平均) 上位7.0% | ||
卒業難易度 | 標準的 | 学部最終卒業率 92.2% 学部成績優等率 70.1% | |
教員一人当たり学生数 (2013) | 24位 | 14.8人 | |
学生一人当たり教育支援支出 (2013) | 35位 | £1,199 (約18万円) | |
学生一人当たり施設支出 (2013) | 33位 | £468 (約7万円) | |
研究力 (2008) | 6位 | RAE 2.82 / 換算偏差値 64 | |
研究費予算配分 (2011 / 人件費込) | 5位 | £196,242,000 (約294億円) | |
ノーベル賞 | 4位 | 25人(OB 8人 教員 17人) | |
就職/進学率 (2012) | 35位 | 75.0% | |
卒業生の初任給平均 (2009) | 28位 | £20,722 (約311万円) | |
NYTimes トップ企業の採用評価 (2012) | 10位 | 世界71位 | |
Spear's 富裕層の輩出人数 (2013) | 12位 | 世界152位 | |
時価総額世界上位500社のCEO輩出力 (2011) | 4位 | 世界38位 | |
日本の大学ライバル校 | 総合選抜度 | 上位国立大学及び上智大学、東京理科大学など | |
平均研究力 | 分野別順位平均: 理系:東京大学 文系:該当無し 教員当たり平均研究実績: 東工大学 | ||
採用評価 | 京都大学~早稲田大学 | ||
米国の大学ライバル校 | 総合選抜度 | 全米総合大学選抜度上位60位~70位水準 | |
平均研究力 | 分野別順位平均: Boston University 教員当たり平均研究実績: Tufts University | ||
採用評価 | 全米総合大学採用評価上位19位~20位水準 | ||
国内大学ランキング | Independent社 | (2014) 25位 (過去7年の平均) 30位 | |
Guardian社 | (2014) 31位 (過去7年の平均) 32位 | ||
世界大学ランキング | Times社 | 2014 | 58位 |
QS社 | 2013 | 33位 | |
上海交通大 | 2013 | 41位 | |
Times名声調査世界ランキング | 2013 | 47位 |
学問分野 | 全平均 | 法律 | 政治 | 経済 | 経営 | 会計 | 心理 | 哲学 | 歴史 | 古典 | 英文 | 芸術 | 言語 | 教育 |
難易度(学部) | 62 | 63 | 64 | 62 | 59 | 62 | 61 | 65 | 63 | 58 | 64 | -- | 58 | -- |
研究力 | 64 | 56 | 56 | 70 | 64 | 64 | 54 | 56 | 63 | 61 | 70 | -- | 57 | -- |
学問分野 | 数学 | 物理 | 化学 | 生物 | 電子 | 機械 | 材料 | 土木 | 情報 | 建築 | 医学 | 歯学 | 薬学 | |
難易度(学部) | 70 | 76 | 63 | 64 | 52 | 61 | 60 | 61 | 58 | 64 | 72 | 70 | 62 | |
研究力 | 62 | 58 | 64 | 64 | 67 | 66 | 67 | 66 | 72 | 53 | 63 | 70 | 67 |
学問分野 | 社会科学 | 自然科学 | 工学 | 生命科学 | 医学&薬学 | |||||
経済学&経営学 | 数学 | 物理学 | 化学 | 情報工学 | ||||||
順位 | 76-100位 | 101-150位 | 34位 | 101-150位 | 13位 | 101-150位 | 37位 | 51-75位 | 101-150位 | 51-75位 |
マンチェスター大学は創立187年でイングランドではオックスフォード大、ケンブリッジ大に次いで古い大学です。元々はマンチェスター工科大学として設立されましたが、その後マンチェスタービクトリア大学、マンチェスタービジネススクールとの合併を経て2004年にマンチェスター大学となりました。英国の研究型上位大学連合であるラッセルグループに属しています。
特徴を箇条書きにしますと次のようになります。
(1) 立地・大学の雰囲気
ロンドンから電車で2時間ほどの距離にあるマンチェスター市に位置しています。立地的には若干不利なロケーションとなっています。大学構内の雰囲気や大学のシステムは都会型でマンチェスター市内に近代・現代的な建物のキャンパスが分散しています。キャンパスはかなり広めです。州立高校卒業生比率が78.5%と比較的に庶民的な学生が集まる大学です。
(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は14.8人でこのランクの大学としては平均的です。学生数は学部・大学院を合わせて約39,000人でイギリス屈指の大規模大学です。在学生の男女比は47:53と女子学生が若干多めになっています(参照元)。
(3) 入学難易度
学部入学難易度は高く、UCASの入学者平均スコアから計算した2013年度入学者の偏差値は62でイギリスで17番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位7.0%の学生が集まっています。理系の人気が高めで、特に材料工学、物理学、歯学はそれぞれの分野で5位以内に入る高い入学難易度です。なお学部入試の平均倍率はおよそ6倍です(参照元)。
(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して92.2%、学部生の成績優等率は平均して70.1%です。学生の学力水準に対し、卒業難易度、成績評価はイギリスの中では標準的です。
(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者総数は25人で英国ではケンブリッジ大、オックスフォード大、UCLに次いで4番目に多いです。米国の大学と比較すると総数、卒業生の受賞者数共にペンシルバニア大学とほぼ互角です。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは6番目となっています。ARWUのデータで見ますと工学の研究力が英国4位、世界37位、自然科学の研究力が英国4位、世界34位と特に高い水準となっています。一方RAEのデータでは歯学の研究力が英国で1番目と評価されています。また薬学、芸術・建築史、英文、電子工学なども研究力が高く、それぞれ英国3位、3位、3位、4位の研究水準を誇っています。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で5番目に多い1億9624万ポンド(約294億円)を獲得しています(参照元)。
(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国28位で難易度に対してあまり良くありません。これは立地の不利さが理由だと推測されます。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は10.5%です(参照元)。一方、時価総額で世界上位500社の経営者の輩出力のランキングでは2011年のランキングでイギリス国内で4位、世界全体で38位と大変良い結果になっています(参照元)。また、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価では英国10位、世界71位となっています(参照元)
(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度では、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと選抜度に関しては上位国立大、上智大、理科大などです。研究力及び研究者育成力で同水準の大学は、ARWU分野別の研究力世界200位のデータから推測しますと理系では東京大学ですが、文系では日本の全大学を上回っています。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと24.4ポイントで東京工業大学がほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で京都大学(日本3位/世界47位)と早稲田大学(日本4位/世界101位)の間という結果(世界71位)が出ています。
(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では、上記同様の推測からフロリダ大学などの全米総合大で選抜度上位60~70位水準です。一方、研究力及び研究者育成力ではボストン大学です。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと24.4ポイントでタフツ大学などがほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価でジョージタウン大学(全米19位/世界68位)と南カリフォルニア大学(全米20位/世界72位)の間という結果(世界70位)が出ています。
(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内30位、Guardian社の2008年~2013年の7年間の平均ランキングで国内32位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)
(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで58位、QS社のランキングで33位、ARWUのランキングで41位となっています。自然科学や医薬系の規模が大きく英国で5番目に多い研究予算を持ち充実している事もあり世界大学ランキングのポジションは英国の中で7番目に高い結果になっています。
(11) 著名なOB
著名なOBはノーベル物理学賞受賞の物理学者のJ.J.トムソン、チャールズ・ウィルソンなどです。
(12) 人種・国際性
人種別の学生比率は2007~2008年のデータでマイノリティ学生が17.1%となっています(参照元)。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)である事から人種構成は平均的です。2011~2012年のデータでは全体の学生の27%が留学生です。
総合的に見ますと英国で15番目の大学と言ってよいと思います。
イギリスの大学の分類 | ・ イギリスの大学の4つの分類 |
入学難易度(偏差値)と研究力 | ・ イギリスの大学入学難易度と研究力のランキング ・ イギリスの大学の専攻別の入学難易度と研究力 ・ 近年のイギリスの大学の学部入学難易度の変遷 ・ 2013年度の大学入学難易度 ・ 2014年度の大学入学難易度 |
選抜度の国際比較 | ・ 英米大学の選抜度比較一覧表 ・ 選抜度で見たイギリスの大学とその国際比較 ・ ラッセルグループなど主要大学グループの難易度と選抜水準 |
研究力の国際比較 | ・ 英米大学の研究力比較一覧表 ・ イギリスの大学の研究力の国際比較 ・ イギリスの大学の研究力の国際比較 (2013年版) |
ノーベル賞受賞者数 | ・ ノーベル賞受賞者数で見るイギリスの大学 |
卒業生の初任給 | ・ イギリスの大学の初任給ランキング |
富裕層の出身大学 | ・ 富裕層を輩出する英国大学はどこか |
公立高校出身比率 | ・ 公立高校卒業生比率で見るイギリスの大学 |
成績評価と卒業難易度 | ・ イギリスの大学の成績評価と卒業難易度の傾向 |
世界大学ランキング | ・ 世界大学ランキングの問題点と信頼性 |