今回の記事ではノーベル賞受賞者の視点からイギリスの大学を見ていきます。
参考にしたのは下のウィキペディア英語版の大学別ノーベル賞受賞者数のページです。
http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Nobel_laureates_by_university_affiliation
1.イギリスの大学のノーベル賞受賞者数ランキング
このリンクデータを元に表を作成しました。ただし足りない情報もあったので別途補足しています。
イギリスの大学のノーベル賞受賞者数(2011)
例によって気がついた事をいくつか箇条書きしてみます。
①ノーベル賞受賞者を卒業生または教員で輩出した事がある大学は24大学です。これは全体の18%にあたり、約5校に1校はノーベル賞と関係があります。卒業生別、教員別で見るとそれぞれ16%です。
②分野別に見ますとイギリスの得意分野は医学と化学です。卒業生の受賞経験がある大学率では最も多いのが医学の10%、教員の受賞者経験がある大学率では化学の12%です。
③創立年度の古さとノーベル賞受賞者数には相関関係があります。実際に相関図を作成して見ました。
ノーベル賞受賞者数と創立年度の関係
U字型の相関関係で古いほどノーベル賞受賞者輩出に強いのですが、19世紀初頭頃から新しい大学程、受賞者が出やすい傾向に逆転します。これは産業革命の時期に国の政策で工学や経済政策のような実学中心の新しい学問を研究するための大学を作っていった事に起因するのではないかと思います。
④受賞者数は一部の大学の寡占状態になっています。例えば全体の受賞者数に占めるCambirdge大学の占める割合は28%、Oxford大学が18%、University College LondonとManchester大学が8%ずつのようになっています。また別集計になっておりますLondon大学の各カレッジを全て足すと64人となり20%を占めています。つまり、Cambridge大、Oxford大、London大の関係者で全体の2/3となっています。
⑤教員別で見ました場合、ノーベル経済学賞はとりわけ寡占度が高く、5つの大学からしか輩出していません。
2.日米の大学と比較する
参考情報として日本の大学とアメリカの大学も似た集計をしてみました。まずは日本の大学です。
日本の大学のノーベル賞受賞者数(2011)
創立年度の似た時期の大学同士で比べると卒業生、教員を合わせた数では分が悪いですが、卒業生のみに絞ると日本の大学もいくつかの大学は善戦しています。特に物理学はイギリスの最トップ大学グループと互角の勝負をしている大学もあります。ノーベル賞級の研究者の育成環境はイギリスの上位大学と日本の上位大学はかなり近いレベルである事が伺えます。ただし日本全体の大学に占めるノーベル賞輩出経験のある大学率は低く1%程度に留まっています。
次はアメリカの大学です。アメリカは対象大学の数が多いのでいくつかの大学のみをピックアップしています。
アメリカの有名大学のノーベル賞受賞者数
イギリスの大学と比較しますと最トップの大学はほぼCambridge大学、Oxford大学と互角の実績を出しています。ただし卒業生数で比較するとアメリカ最多のHarvard大学の48人もCambridge大の61人には及びません。ノーベル賞受賞者の実績ではCambridge大学は頭一つ抜けています。また文系ではOxford大学、Cambridge大学に加え、London School of Economicsがアメリカのトップレベルの大学とほぼ並んでいます。
全体の総数では国の規模が5倍であることもあり、米国がかなり優勢です。それでもイギリスの上位10大学ぐらいは米国の有名大と拮抗する実績を出していると見てよいかと思います。
この結論は研究力の比較をした際と同様の結果です。だいたいイギリスでは上から10前後の大学が研究力で世界上位の水準のようです。
参考にしたのは下のウィキペディア英語版の大学別ノーベル賞受賞者数のページです。
http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Nobel_laureates_by_university_affiliation
1.イギリスの大学のノーベル賞受賞者数ランキング
このリンクデータを元に表を作成しました。ただし足りない情報もあったので別途補足しています。
イギリスの大学のノーベル賞受賞者数(2011)
例によって気がついた事をいくつか箇条書きしてみます。
①ノーベル賞受賞者を卒業生または教員で輩出した事がある大学は24大学です。これは全体の18%にあたり、約5校に1校はノーベル賞と関係があります。卒業生別、教員別で見るとそれぞれ16%です。
②分野別に見ますとイギリスの得意分野は医学と化学です。卒業生の受賞経験がある大学率では最も多いのが医学の10%、教員の受賞者経験がある大学率では化学の12%です。
③創立年度の古さとノーベル賞受賞者数には相関関係があります。実際に相関図を作成して見ました。
ノーベル賞受賞者数と創立年度の関係
U字型の相関関係で古いほどノーベル賞受賞者輩出に強いのですが、19世紀初頭頃から新しい大学程、受賞者が出やすい傾向に逆転します。これは産業革命の時期に国の政策で工学や経済政策のような実学中心の新しい学問を研究するための大学を作っていった事に起因するのではないかと思います。
④受賞者数は一部の大学の寡占状態になっています。例えば全体の受賞者数に占めるCambirdge大学の占める割合は28%、Oxford大学が18%、University College LondonとManchester大学が8%ずつのようになっています。また別集計になっておりますLondon大学の各カレッジを全て足すと64人となり20%を占めています。つまり、Cambridge大、Oxford大、London大の関係者で全体の2/3となっています。
⑤教員別で見ました場合、ノーベル経済学賞はとりわけ寡占度が高く、5つの大学からしか輩出していません。
2.日米の大学と比較する
参考情報として日本の大学とアメリカの大学も似た集計をしてみました。まずは日本の大学です。
日本の大学のノーベル賞受賞者数(2011)
創立年度の似た時期の大学同士で比べると卒業生、教員を合わせた数では分が悪いですが、卒業生のみに絞ると日本の大学もいくつかの大学は善戦しています。特に物理学はイギリスの最トップ大学グループと互角の勝負をしている大学もあります。ノーベル賞級の研究者の育成環境はイギリスの上位大学と日本の上位大学はかなり近いレベルである事が伺えます。ただし日本全体の大学に占めるノーベル賞輩出経験のある大学率は低く1%程度に留まっています。
次はアメリカの大学です。アメリカは対象大学の数が多いのでいくつかの大学のみをピックアップしています。
アメリカの有名大学のノーベル賞受賞者数
イギリスの大学と比較しますと最トップの大学はほぼCambridge大学、Oxford大学と互角の実績を出しています。ただし卒業生数で比較するとアメリカ最多のHarvard大学の48人もCambridge大の61人には及びません。ノーベル賞受賞者の実績ではCambridge大学は頭一つ抜けています。また文系ではOxford大学、Cambridge大学に加え、London School of Economicsがアメリカのトップレベルの大学とほぼ並んでいます。
全体の総数では国の規模が5倍であることもあり、米国がかなり優勢です。それでもイギリスの上位10大学ぐらいは米国の有名大と拮抗する実績を出していると見てよいかと思います。
この結論は研究力の比較をした際と同様の結果です。だいたいイギリスでは上から10前後の大学が研究力で世界上位の水準のようです。
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