大学関連のデータの集計に一区切りがつきましたのでしばらくイギリスの大学の紹介を行っていきます。大学の一般的な情報はWikipediaなどの繰り返しになりますので、今までこのブログで紹介してきましたデータを中心に書きます。それぞれのデータの根拠はページの最後の方の一覧に載せました過去の記事を参考にしてください。

今回はブリストル大学をとりあげます。


ブリストル大学 (University of Bristol)


イギリスの大学徹底分析-Bristol大学 (撮影者Arpingstone/Wikipediaより)
(撮影者Arpingstone/Wikipediaより)

イギリスの大学徹底分析-Bristol大学の入学難易度/大学の特徴
グラフで見たBristol大学の主な特徴


ブリストル大学のサマリーデータ
大学名University of Bristol
主要な所属大学連合ラッセルグループ
創立1876年
立地Bristol市 (Londonから電車で約1時間半)
学生数(正規のみ)学部20121学年 平均4,307人 /全学年  12,920人
大学院20124,055人
学生の割合(学部)英国人201285.7%
欧州留学生20123.0%
他留学生201211.3%
学生の割合(大学院)英国人201259.2%
欧州留学生20129.8%
他留学生201231.1%
学部学生の出身高校 (2009)(私立高卒) 38.5% : 61.5% (公立高卒)
男女比 (2013)(男) 48% : 52% (女)
人種の多様性 (2008)非白人学生率 10.0%
学部入学難易度 (2013)9位UCAS 485 / 換算偏差値 66
学部入学難易度 (過去8年平均)9位平均偏差値 66
同世代人口比で見た選抜水準(学部)(2013) 上位3.3%  (過去8年の平均) 上位3.1%
卒業難易度標準的学部最終卒業率 96.2% 学部成績優等率 80.1%
教員一人当たり学生数 (2013)18位14.2人
学生一人当たり教育支援支出 (2013)11位£1,566 (約23万円)
学生一人当たり施設支出 (2013)67位£369 (約6万円)
研究力 (2008)12位RAE 2.72 / 換算偏差値 61
研究費予算配分 (2011 / 人件費込)11位£106,700,000 (約160億円)
ノーベル賞9位11人(OB 2人  教員 9人)
就職/進学率 (2012)10位80.8%
卒業生の初任給平均 (2009)14位£22,240 (約334万円)
NYTimes トップ企業の採用評価 (2012)11位世界115位
Spear's 富裕層の輩出人数 (2013)7位世界102位
時価総額世界上位500社のCEO輩出力
(2011)
輩出無し
日本の大学ライバル校総合選抜度地方旧帝大、神戸大、及び早慶水準の下位
平均研究力分野別順位平均: 理系:大阪大学  文系:該当無し
教員当たり平均研究実績: 東京大学
採用評価慶応大学~大阪大学
米国の大学ライバル校総合選抜度全米総合大学選抜度上位32位水準
平均研究力分野別順位平均: Rice University
教員当たり平均研究実績: University of Washington
採用評価全米総合大学採用評価上位33位~34位水準
国内大学ランキングIndependent社(2014) 15位  (過去7年の平均) 12位
Guardian社(2014) 23位  (過去7年の平均) 24位
世界大学ランキングTimes社201479位
QS社201330位
上海交通大201364位
Times名声調査世界ランキング201391-100位


主要専攻の学部入学難易度と研究力2014 (UCAS/RAEスコアの偏差値での換算値)
学問分野全平均法律政治経済経営会計心理哲学歴史古典英文芸術言語教育
難易度(学部)66706568--636665676767------
研究力61584872--57586658616456----
学問分野数学物理化学生物電子機械材料土木情報建築医学歯学薬学
難易度(学部)737267646172--7068--696463
研究力675968606159--6867--606258


研究力及び研究者育成力の世界順位 (上位200位まで/2013年版ARWUより)
学問分野社会科学自然科学工学生命科学医学&薬学
経済学&経営学数学物理学化学情報工学
順位101-150位--51-75位51-75位151-200位51-75位76-100位76-100位101-150位48位


ブリストル大学は創立約130年の大学です。英国の研究型上位大学連合であるラッセルグループに属しています。

特徴を箇条書きにしますと次のようになります。

(1) 立地・大学の雰囲気
ロンドンから電車で1時間半ほどの距離にあるブリストル市に位置しています。ロンドン外に位置する大学の中では立地的には比較的恵まれている大学の一つです。都会の中に位置していますが大学構内の雰囲気や大学のシステムは荘厳で古い大学の方に似ています。州立高校卒業生比率が61.5%と非常に低く、裕福な家庭の学生が数多く集まる大学です。

(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は14.2人でイギリスの上位大学の中ではやや多めです。学生数も学部・大学院を合わせて約18,000人とイギリスの上位大学の中では標準的です。在学生の男女比は48:52と若干女子学生が多めになっています(参照元)。

(3) 入学難易度
学部入学難易度は高く、UCASの入学者平均スコアから計算した2014年度入学者の偏差値は66でイギリスで9番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位3.1%の学生が集まっています。理系が特に人気が高く、数学、物理学、機械工学などが特に難関です。なお学部入試の平均倍率はおよそ14倍です(参照元)。

(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して96.2%、学部生の成績優等率は平均して80.1%です。学生の学力水準に対し、卒業難易度、成績評価はイギリスの中では標準的です。

(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者総数は11人でイギリスの中では9番目です。アメリカの大学と比べますと受賞者総数、卒業生の受賞者数共にテキサス大学オースティン校とほぼ互角です。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは12番目です。化学が強く、英国4番目の研究水準を誇ります。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で11番目に多い1億670万ポンド(約160億円)を獲得しています(参照元)。

(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国14位となっています。立地が理由で入学難易度に対し、就職は若干不利になっているようです。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は7.4%です(参照元)。また、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価では英国11位、世界115位となっています(参照元)

(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度に関しては、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと地方旧帝大、神戸大、慶應大、早稲田大の下位水準です。研究力及び研究者育成力で同水準の大学は、ARWU分野別の研究力世界200位のデータから推測しますと理系は大阪大学ですが、文系では日本の全大学を上回っています。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと28.8ポイントで東京大学がほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で慶応大学(日本5位/世界106位)と大阪大学(日本6位/世界127位)の間という結果(世界115位)が出ています。

(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では上記同様の理由からライス大学などの全米総合大で選抜度上位32位水準です。研究力及び研究者育成力ではライス大学です。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと28.8ポイントでワシントン大学などがほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価でワシントン大学(全米33位/世界114位)とブランダイス大学(全米34位/世界118位)の間という結果(世界115位)が出ています。

(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内12位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内24位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)

(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで79位、QS社のランキングで30位、ARWUのランキングで64位となっています。医薬系や自然科学系が充実している事もあり世界大学ランキングのポジションは英国の中で8番目に高い結果になっています。

(11) 著名なOB
著名なOBはノーベル文学賞受賞小説家のジャン・マリ・クレジオ、ノーベル物理学賞受賞の物理学者のポール・ディラック、ベリーズ国の元首相のマヌエル・エスキベルなどです。

(12) 人種・国際性
人種別の学生比率は2007~2008年のデータでマイノリティ学生が10.0%となっています(参照元)。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)である事からマイノリティの少ない大学である事が伺えます。2011~2012年のデータでは全体の学生の22%が留学生です。

総合的に見ますと英国で9~10番目の大学だと思います。


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