大学関連のデータの集計に一区切りがつきましたのでしばらくイギリスの大学の紹介を行っていきます。大学の一般的な情報はWikipediaなどの繰り返しになりますので、今までこのブログで紹介してきましたデータを中心に書きます。それぞれのデータの根拠はページの最後の方の一覧に載せました過去の記事を参考にしてください。

今回はオックスフォード大学をとりあげます。


オックスフォード大学 (University of Oxford)


イギリスの大学徹底分析-Oxford大学 (撮影者Toby Ord/Wikipediaより)
(撮影者Toby Ord/Wikipediaより)

$イギリスの大学徹底分析-Oxford大学の入学難易度/大学の特徴
グラフで見たOxford大学の主な特徴


オックスフォード大学のサマリーデータ
大学名University of Oxford
主要な所属大学連合ラッセルグループ / 古代の大学
創立1096年
立地Oxford市 (Londonから電車で約1時間)
学生数(正規のみ)学部20121学年 平均3,830人 /全学年  11,490人
大学院20127,270人
学生の割合(学部)英国人201287.3%
欧州留学生20124.7%
他留学生20128.0%
学生の割合(大学院)英国人201244.8%
欧州留学生201216.4%
他留学生201238.8%
学部学生の出身高校 (2009)(私立高卒) 46.6% : 53.4% (公立高卒)
男女比 (2013)(男) 53% : 47% (女)
人種の多様性 (2008)非白人学生率 11.1%
学部入学難易度 (2013)2位UCAS 582 / 換算偏差値 78
学部入学難易度 (過去8年平均)2位平均偏差値 76
同世代人口比で見た選抜水準(学部)(2013) 上位0.8%  (過去8年の平均) 上位0.8%
卒業難易度標準的学部最終卒業率 98.4% 学部成績優等率 90.7%
教員一人当たり学生数 (2013)2位11.1人
学生一人当たり教育支援支出 (2013)2位£2,880 (約43万円)
学生一人当たり施設支出 (2013)70位£366 (約5万円)
研究力 (2008)2位RAE 2.96 / 換算偏差値 67
研究費予算配分 (2011 / 人件費込)1位£376,700,000 (約565億円)
ノーベル賞2位58人(OB 26人  教員 32人)
就職/進学率 (2012)12位79.7%
卒業生の初任給平均 (2009)4位£24,748 (約371万円)
NYTimes トップ企業の採用評価 (2012)2位世界4位
Spear's 富裕層の輩出人数 (2013)1位世界6位
時価総額世界上位500社のCEO輩出力
(2011)
1位世界5位
日本の大学ライバル校総合選抜度京都大学
平均研究力分野別順位平均: 理系:京都大学  文系:該当無し
教員当たり平均研究実績: 該当無し
採用評価該当無し
米国の大学ライバル校総合選抜度全米総合大学選抜度上位9位~14位水準
平均研究力分野別順位平均: Princeton University
教員当たり平均研究実績: University of Chicago
採用評価全米総合大学採用評価上位2位~3位水準
国内大学ランキングIndependent社(2014) 2位  (過去7年の平均) 2位
Guardian社(2014) 2位  (過去7年の平均) 1位
世界大学ランキングTimes社20142位
QS社20136位
上海交通大201310位
Times名声調査世界ランキング20134位


主要専攻の学部入学難易度と研究力2014 (UCAS/RAEスコアの偏差値での換算値)
学問分野全平均法律政治経済経営会計心理哲学歴史古典英文芸術言語教育
難易度(学部)78777981----73797678736776--
研究力6768647767--71676869686349--
学問分野数学物理化学生物電子機械材料土木情報建築医学歯学薬学
難易度(学部)82838078--------77--82----
研究力71597064--------72--69----


研究力及び研究者育成力の世界順位 (上位200位まで/2013年版ARWUより)
学問分野社会科学自然科学工学生命科学医学&薬学
経済学&経営学数学物理学化学情報工学
順位16位22位13位7位30位14位41位17位15位17位


オックスフォード大学は創立900年以上と英語圏で最も古い大学で、ケンブリッジ大学と並び、イギリスの大学の代名詞的な存在で扱われています。英国とアイルランドで中世から近世初頭の時代に設立された古代の大学と呼ばれる7つの大学のうちの一校で、英国の研究型上位大学連合であるラッセルグループに属しています。

特徴を箇条書きにしますと次のようになります。

(1) 立地・大学の雰囲気
ロンドンから電車で一時間ほどの距離にあるオックスフォード市に位置しています。ロンドンの外に位置する大学の中では最も立地的に恵まれているうちの一つです。大学構内の雰囲気や大学のシステムはイギリスの古い大学の伝統を引き継いでいて、伝統的な建築と広い緑地が特徴です。州立高校卒業生比率が53.4%と総合大学では最も低く、裕福な家庭の学生が英国の中で最も集まる大学の一つです。

(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は11.1人でイギリストップクラスです。学生数は学部・大学院を合わせて約19,000人とイギリスの上位大学の中では平均的です。在学生の男女比は53:47で男子学生が若干多めになっています(参照元)。

(3) 入学難易度
学部入学難易度は非常に高く、UCASの入学者平均スコアから計算した2013年度入学者の偏差値は78でイギリスで2番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位0.8%の学生が集まっています。政治学が特に強く、また宗教学、哲学といった人文系の専攻も強いのが特徴です。これらの専攻の中ではイギリストップの入学難易度です。なお学部入試の平均倍率はおよそ5倍です(参照元)。

(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して98.4%、学部生の成績優等率は平均して90.7%です。学生の学力水準に対し、卒業難易度、成績評価はイギリスの中では標準的です。

(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者総数はイギリスではケンブリッジ大に次ぎ、米国の大学と比べますと受賞者総数でスタンフォード大学、卒業生受賞者数でマサチューセッツ工科大学と互角です。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスで2番です。数学、歴史学、地理・環境学が強く、それらは英国1番の研究力です。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国の大学最大の3億7670万ポンド(約565億円)を獲得しています(参照元)。

(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国4位です。立地が理由で入学難易度に対して就職は若干不利になっているようです。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は7.4%です(参照元)。一方、時価総額で世界上位500社の経営者の輩出力のランキングでは2011年のランキングでイギリス国内で1位、世界全体で5位と大変良い結果になっています(参照元)。また、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価では英国2位、世界3位となっています(参照元)

(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度に関しては、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと京都大学です。研究力及び研究者育成力では、ARWU分野別の研究力世界200位のデータから推測しますと理系は京都大学とほぼ同じ、文系は日本の全大学を上回っています。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと日本の全ての大学を上回っています。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で日本の全ての大学を上回るという結果(世界4位)が出ています。

(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では上記同様の理由からダートマス大学などの全米総合大で選抜度上位9~14位水準です。研究力及び研究者育成力ではARWUの分野別研究力ランキングの平均順位の傾向で見ますとプリンストン大学がほぼ同水準です。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと41.2ポイントでシカゴ大学がほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価でイェール大学(全米2位/世界2位)とスタンフォード大学(全米3位/世界5位)の間という結果(世界4位)が出ています。

(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内2位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内1位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)

(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで2位、QS社のランキングで6位、ARWUのランキングで10位となっています。世界大学ランキングのポジションは英国の中で2番目に高い結果になっています。

(11) 著名なOB
著名なOBは英国現首相のデーヴィッド・キャメロン、英国元首相のマーガレット・サッチャー、経済学者のアダム・スミスなどです。政治家や人文・社会科学関係の研究者のOBが目立つのが特徴です。イギリス首相の輩出数は英国一です。また日本の皇室の関係者が過去多数留学されています。

(12) 人種・国際性
学部学生の2010年の入試では人種構成は白人が87.8%で、その他インド系が3.0%、中国系が1%、黒人が0.8%など有色人種が12.2%となっています(参照元)。人種別の入試合格率では白人と黒人のハーフが一番高く25%、最大多数派の白人は24.1%である一方、中国系は12%、インド系は16.3%、アフリカ系黒人が6.7%などと非常に顕著な差があります。平均学力が高い中国系、インド系の学生の合格率が低い事からマイノリティの入学には消極的である事が伺えます。大学全体では19%が非白人系の学生です。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)なので大学の人種構成は平均よりやや多彩になっています。


総合的に見ますと英国で2番目の大学と言ってよいと思います。


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