大学関連のデータの集計に一区切りがつきましたのでしばらくイギリスの大学の紹介を行っていきます。大学の一般的な情報はWikipediaなどの繰り返しになりますので、今までこのブログで紹介してきましたデータを中心に書きます。それぞれのデータの根拠はページの最後の方の一覧に載せました過去の記事を参考にしてください。
今回はバース大学をとりあげます。
バース大学 (University of Bath)
(撮影者Arpingstone/Wikipediaより)
グラフで見たBath大学の主な特徴
バース大学は創立45年でイギリスでは最も新しい大学の一つとなります。
特徴を箇条書きにしますと次のようになります。
(1) 立地・大学の雰囲気
ロンドンから電車で1時間半ほどの距離にあるバース市に位置しています。ロンドン外に位置する大学の中では立地的に比較的恵まれている大学の一つです。大学構内の雰囲気や大学のシステムは現代的で、緑に囲まれた広いキャンパスと現代的な建物で構成されています。州立高校卒業生比率が76.5%と上位大学の中では例外的に高く、庶民的な学生が比較的多く集まる大学です。
(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は16.8人とイギリスの上位大学の中では多めです。学部・大学院を合わせて学生数は約13,000人とイギリスの上位大学の中では少なめです。在学生の男女比は55:45と男子学生が若干多めになっています(参照元)。
(3) 入学難易度
学部入学難易度は高く、UCASの入学者平均スコアから計算した2013年度入学者の偏差値は65でイギリスで11番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位3.4%の学生が集まっています。建築が特に人気が高く、オックスブリッジに準ずる難易度です。なお学部入試の平均倍率はおよそ10倍です(参照元)。
(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して95.4%、学部生の成績優等率は平均して76.0%です。学生の学力水準に対し、卒業難易度、成績評価はイギリスの中では標準的です。
(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者総数はまだ出ていませんが、創立年度を考えると最初のノーベル賞が出るまでまだ暫くはかかると見るべきでしょう。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは18番目です。会計学・ファイナンスや経営学、心理学に強く、それぞれ英国2位、3位、3位の研究水準を誇ります。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で39番目に多い2775万ポンド(約42億円)を獲得しています(参照元)。高額な研究予算が必要な医学部が無いため配分額は少なめになっています。
(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国8位と好調です。就職に相対的に弱い人文系の専攻が殆ど存在しない事や、バース大学は学生へのインターンシップ先の斡旋など就職支援に特に積極的に力を入れている大学である事が影響しているのではないかと思われます。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は9.5%です(参照元)。一方、時価総額で世界上位500社の経営者の輩出力のランキングでは2011年のランキングでイギリス国内で8位、世界全体で92位という結果になっています(参照元)。また、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価では英国12位、世界125位となっています(参照元)
(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度に関しては、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと地方旧帝大、神戸大、慶應大、早稲田大の下位水準です。研究力及び研究者育成力で同水準の大学は2012年のARWUのデータで見ると理系は広島大学ですが、文系はARWUの分野別で200位以内にランクインしていないため不明です。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと18.8ポイントで北海道大学がほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で慶応大学(日本5位/世界106位)と大阪大学(日本6位/世界127位)の間という結果(世界125位)が出ています。
(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では上記同様の理由からカリフォルニア大学サンディエゴ校などの全米総合大で選抜度上位33~34位水準です。一方、研究力及び研究者育成力は2012年のARWUのデータで見るとノースイースタン大学が近いレベルと見て取れます。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと18.8ポイントでノートルダム大学などがほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価でウィスコンシン大学マディソン校(全米40位/世界124位)とカリフォルニア大学サンディエゴ校(全米41位/世界128位)の間という結果(世界125位)が出ています。
(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内9位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内9位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)
(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで251-275位、QS社のランキングで168位、ARWUのランキングで301-400位となっています。世界大学ランキングのポジションはよくありませんが創立の新しさによる知名度の低さや医学専攻が無い事などが影響していると思われます。
(11) 著名なOB
著名なOBは環境哲学者のデービッド・スカービア、セインズベリーの企業経営者のジャスティン・キング、タンザニアの元首相エドワード・ロワサなどです。
(12) 人種・国際性
人種別の学生比率は2007~2008年のデータでマイノリティ学生が15.0%となっています(参照元)。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)である事から人種構成は平均的です。2011~2012年のデータでは全体の学生の29%が留学生です。
総合的に見ますと英国で11番目の大学だと思います。
今回はバース大学をとりあげます。
バース大学 (University of Bath)
(撮影者Arpingstone/Wikipediaより)
グラフで見たBath大学の主な特徴
大学名 | University of Bath | ||
主要な所属大学連合 | |||
創立 | 1966年 | ||
立地 | Bath市 (Londonから電車で約1時間半) | ||
学生数(正規のみ) | 学部 | 2012 | 1学年 平均3,332人 /全学年 9,995人 |
大学院 | 2012 | 1,955人 | |
学生の割合(学部) | 英国人 | 2012 | 78.8% |
欧州留学生 | 2012 | 8.3% | |
他留学生 | 2012 | 12.9% | |
学生の割合(大学院) | 英国人 | 2012 | 52.6% |
欧州留学生 | 2012 | 12.2% | |
他留学生 | 2012 | 35.2% | |
学部学生の出身高校 (2009) | (私立高卒) 23.5% : 76.5% (公立高卒) | ||
男女比 (2013) | (男) 55% : 45% (女) | ||
人種の多様性 (2008) | 非白人学生率 15.0% | ||
学部入学難易度 (2013) | 11位 | UCAS 478 / 換算偏差値 65 | |
学部入学難易度 (過去8年平均) | 11位 | 平均偏差値 65 | |
同世代人口比で見た選抜水準(学部) | (2013) 上位3.7% (過去8年の平均) 上位3.4% | ||
卒業難易度 | 標準的 | 学部最終卒業率 95.4% 学部成績優等率 76.0% | |
教員一人当たり学生数 (2013) | 42位 | 16.8人 | |
学生一人当たり教育支援支出 (2013) | 28位 | £1,226 (約18万円) | |
学生一人当たり施設支出 (2013) | 47位 | £417 (約6万円) | |
研究力 (2008) | 18位 | RAE 2.71 / 換算偏差値 61 | |
研究費予算配分 (2011 / 人件費込) | 39位 | £27,747,000 (約42億円) | |
ノーベル賞 | 0人 | ||
就職/進学率 (2012) | 9位 | 81.8% | |
卒業生の初任給平均 (2009) | 8位 | £23,562 (約353万円) | |
NYTimes トップ企業の採用評価 (2012) | 12位 | 世界125位 | |
Spear's 富裕層の輩出人数 (2013) | 26位 | 世界308位 | |
時価総額世界上位500社のCEO輩出力 (2011) | 8位 | 世界92位 | |
日本の大学ライバル校 | 総合選抜度 | 地方旧帝大、神戸大、及び早慶水準の下位 | |
平均研究力 | 分野別順位平均: 理系:広島大学 文系:不明 教員当たり平均研究実績: 北海道大学 | ||
採用評価 | 慶応大学~大阪大学 | ||
米国の大学ライバル校 | 総合選抜度 | 全米総合大学選抜度上位33位~34位水準 | |
平均研究力 | 分野別順位平均: Northeastern University 教員当たり平均研究実績: Uni of Notre Dame | ||
採用評価 | 全米総合大学採用評価上位40位~41位水準 | ||
国内大学ランキング | Independent社 | (2014) 9位 (過去7年の平均) 9位 | |
Guardian社 | (2014) 7位 (過去7年の平均) 9位 | ||
世界大学ランキング | Times社 | 2014 | 276-300位 |
QS社 | 2013 | 187位 | |
上海交通大 | 2013 | 301-400位 | |
Times名声調査世界ランキング | 2013 | N/A |
学問分野 | 全平均 | 法律 | 政治 | 経済 | 経営 | 会計 | 心理 | 哲学 | 歴史 | 古典 | 英文 | 芸術 | 言語 | 教育 |
難易度(学部) | 65 | -- | 65 | 69 | 66 | 66 | 72 | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- |
研究力 | 61 | -- | 53 | 67 | 67 | 67 | 71 | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- |
学問分野 | 数学 | 物理 | 化学 | 生物 | 電子 | 機械 | 材料 | 土木 | 情報 | 建築 | 医学 | 歯学 | 薬学 | |
難易度(学部) | 73 | 66 | 62 | 63 | 57 | 69 | -- | 66 | 64 | 76 | -- | -- | 62 | |
研究力 | 64 | 64 | 59 | 56 | 62 | 67 | -- | 66 | 67 | 66 | -- | -- | 61 |
学問分野 | 社会科学 | 自然科学 | 工学 | 生命科学 | 医学&薬学 | |||||
経済学&経営学 | 数学 | 物理学 | 化学 | 情報工学 | ||||||
順位 | -- | -- | -- | -- | -- | 51-75位 | -- | -- | -- | -- |
バース大学は創立45年でイギリスでは最も新しい大学の一つとなります。
特徴を箇条書きにしますと次のようになります。
(1) 立地・大学の雰囲気
ロンドンから電車で1時間半ほどの距離にあるバース市に位置しています。ロンドン外に位置する大学の中では立地的に比較的恵まれている大学の一つです。大学構内の雰囲気や大学のシステムは現代的で、緑に囲まれた広いキャンパスと現代的な建物で構成されています。州立高校卒業生比率が76.5%と上位大学の中では例外的に高く、庶民的な学生が比較的多く集まる大学です。
(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は16.8人とイギリスの上位大学の中では多めです。学部・大学院を合わせて学生数は約13,000人とイギリスの上位大学の中では少なめです。在学生の男女比は55:45と男子学生が若干多めになっています(参照元)。
(3) 入学難易度
学部入学難易度は高く、UCASの入学者平均スコアから計算した2013年度入学者の偏差値は65でイギリスで11番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位3.4%の学生が集まっています。建築が特に人気が高く、オックスブリッジに準ずる難易度です。なお学部入試の平均倍率はおよそ10倍です(参照元)。
(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して95.4%、学部生の成績優等率は平均して76.0%です。学生の学力水準に対し、卒業難易度、成績評価はイギリスの中では標準的です。
(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者総数はまだ出ていませんが、創立年度を考えると最初のノーベル賞が出るまでまだ暫くはかかると見るべきでしょう。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは18番目です。会計学・ファイナンスや経営学、心理学に強く、それぞれ英国2位、3位、3位の研究水準を誇ります。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で39番目に多い2775万ポンド(約42億円)を獲得しています(参照元)。高額な研究予算が必要な医学部が無いため配分額は少なめになっています。
(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国8位と好調です。就職に相対的に弱い人文系の専攻が殆ど存在しない事や、バース大学は学生へのインターンシップ先の斡旋など就職支援に特に積極的に力を入れている大学である事が影響しているのではないかと思われます。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は9.5%です(参照元)。一方、時価総額で世界上位500社の経営者の輩出力のランキングでは2011年のランキングでイギリス国内で8位、世界全体で92位という結果になっています(参照元)。また、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価では英国12位、世界125位となっています(参照元)
(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度に関しては、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと地方旧帝大、神戸大、慶應大、早稲田大の下位水準です。研究力及び研究者育成力で同水準の大学は2012年のARWUのデータで見ると理系は広島大学ですが、文系はARWUの分野別で200位以内にランクインしていないため不明です。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと18.8ポイントで北海道大学がほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で慶応大学(日本5位/世界106位)と大阪大学(日本6位/世界127位)の間という結果(世界125位)が出ています。
(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では上記同様の理由からカリフォルニア大学サンディエゴ校などの全米総合大で選抜度上位33~34位水準です。一方、研究力及び研究者育成力は2012年のARWUのデータで見るとノースイースタン大学が近いレベルと見て取れます。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと18.8ポイントでノートルダム大学などがほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価でウィスコンシン大学マディソン校(全米40位/世界124位)とカリフォルニア大学サンディエゴ校(全米41位/世界128位)の間という結果(世界125位)が出ています。
(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内9位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内9位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)
(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで251-275位、QS社のランキングで168位、ARWUのランキングで301-400位となっています。世界大学ランキングのポジションはよくありませんが創立の新しさによる知名度の低さや医学専攻が無い事などが影響していると思われます。
(11) 著名なOB
著名なOBは環境哲学者のデービッド・スカービア、セインズベリーの企業経営者のジャスティン・キング、タンザニアの元首相エドワード・ロワサなどです。
(12) 人種・国際性
人種別の学生比率は2007~2008年のデータでマイノリティ学生が15.0%となっています(参照元)。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)である事から人種構成は平均的です。2011~2012年のデータでは全体の学生の29%が留学生です。
総合的に見ますと英国で11番目の大学だと思います。
イギリスの大学の分類 | ・ イギリスの大学の4つの分類 |
入学難易度(偏差値)と研究力 | ・ イギリスの大学入学難易度と研究力のランキング ・ イギリスの大学の専攻別の入学難易度と研究力 ・ 近年のイギリスの大学の学部入学難易度の変遷 ・ 2013年度の大学入学難易度 ・ 2014年度の大学入学難易度 |
選抜度の国際比較 | ・ 英米大学の選抜度比較一覧表 ・ 選抜度で見たイギリスの大学とその国際比較 ・ ラッセルグループなど主要大学グループの難易度と選抜水準 |
研究力の国際比較 | ・ 英米大学の研究力比較一覧表 ・ イギリスの大学の研究力の国際比較 ・ イギリスの大学の研究力の国際比較 (2013年版) |
ノーベル賞受賞者数 | ・ ノーベル賞受賞者数で見るイギリスの大学 |
卒業生の初任給 | ・ イギリスの大学の初任給ランキング |
富裕層の出身大学 | ・ 富裕層を輩出する英国大学はどこか |
公立高校出身比率 | ・ 公立高校卒業生比率で見るイギリスの大学 |
成績評価と卒業難易度 | ・ イギリスの大学の成績評価と卒業難易度の傾向 |
世界大学ランキング | ・ 世界大学ランキングの問題点と信頼性 |