大学関連のデータの集計に一区切りがつきましたのでしばらくイギリスの大学の紹介を行っていきます。大学の一般的な情報はWikipediaなどの繰り返しになりますので、今までこのブログで紹介してきましたデータを中心に書きます。それぞれのデータの根拠はページの最後の方の一覧に載せました過去の記事を参考にしてください。

今回はグラスゴー大学をとりあげます。


グラスゴー大学 (University of Glasgow)


イギリスの大学徹底分析-Glasgow大学 (撮影者Diliff/Wikipediaより)
(撮影者Pierre Terre/Wikipediaより)

イギリスの大学徹底分析-Glasgow大学の入学難易度/大学の特徴
グラフで見たGlasgow大学の主な特徴


グラスゴー大学のサマリーデータ
大学名University of Glasgow
主要な所属大学連合ラッセルグループ / 古代の大学
創立1451年
立地Glasgow市 (Edinburgh市から電車で約2時間半)
学生数(正規のみ)学部20121学年 平均4,048人 /全学年  16,190人
大学院20124,555人
学生の割合(学部)英国人201287.8%
欧州留学生20128.0%
他留学生20124.2%
学生の割合(大学院)英国人201256.1%
欧州留学生20128.5%
他留学生201235.4%
学部学生の出身高校 (2009)(私立高卒) 12.1% : 87.9% (公立高卒)
男女比 (2013)(男) 43% : 57% (女)
人種の多様性 (2008)非白人学生率 5.2%
学部入学難易度 (2013)12位UCAS 469 / 換算偏差値 64
学部入学難易度 (過去8年平均)15位平均偏差値 62
同世代人口比で見た選抜水準(学部)(2013) 上位5.0%  (過去8年の平均) 上位7.0%
卒業難易度やや厳しい学部最終卒業率 85.8% 学部成績優等率 68.7%
教員一人当たり学生数 (2013)37位16.4人
学生一人当たり教育支援支出 (2013)17位£1,415 (約21万円)
学生一人当たり施設支出 (2013)13位£619 (約9万円)
研究力 (2008)31位RAE 2.59 / 換算偏差値 58
研究費予算配分 (2011 / 人件費込)8位£128,047,000 (約192億円)
ノーベル賞13位6人(OB 3人  教員 3人)
就職/進学率 (2012)11位79.8%
卒業生の初任給平均 (2009)18位£21,590 (約324万円)
NYTimes トップ企業の採用評価 (2012)(国内15位以降、世界151位以降) N/A
Spear's 富裕層の輩出人数 (2013)21位世界267位
時価総額世界上位500社のCEO輩出力
(2011)
4位世界38位
日本の大学ライバル校総合選抜度上位国立大学及び上智大学、東京理科大学など
平均研究力分野別順位平均: 理系:名古屋大学  文系:不明
教員当たり平均研究実績: 大阪大学、東北大学
採用評価不明
米国の大学ライバル校総合選抜度全米総合大学選抜度上位60位~70位水準
平均研究力分野別順位平均: University of Notre Dame
教員当たり平均研究実績: Boston University
採用評価不明
国内大学ランキングIndependent社(2014) 23位  (過去7年の平均) 22位
Guardian社(2014) 21位  (過去7年の平均) 18位
世界大学ランキングTimes社2014117位
QS社201351位
上海交通大2013151-200位
Times名声調査世界ランキング2013N/A


主要専攻の学部入学難易度と研究力2014 (UCAS/RAEスコアの偏差値での換算値)
学問分野全平均法律政治経済経営会計心理哲学歴史古典英文芸術言語教育
難易度(学部)647162666266636463656363--55
研究力5858516856526358624667N/A--43
学問分野数学物理化学生物電子機械材料土木情報建築医学歯学薬学
難易度(学部)666665625962--6165--697363
研究力576262586353--5371--5959--


研究力及び研究者育成力の世界順位 (上位200位まで/2013年版ARWUより)
学問分野社会科学自然科学工学生命科学医学&薬学
経済学&経営学数学物理学化学情報工学
順位----151-200位101-150位151-200位------76-100位51-75位


グラスゴー大学は創立561年で英語圏で4番目に古い大学です。英国とアイルランドで中世から近世初頭の時代に設立された古代の大学と呼ばれる7つの大学のうちの一校で、英国の研究型上位大学連合であるラッセルグループに属しています。

特徴を箇条書きにしますと次のようになります。

(1) 立地・大学の雰囲気
スコットランドの首都エジンバラから電車で1時間半ほどの距離にあるグラスゴー市に位置しています。ロンドンからの距離は遠いですが、スコットランド最大の都市に位置しています。大学構内の雰囲気や大学のシステムは伝統的な建物と広めのキャンパスで構成されています。州立高校卒業生比率は87.9%と平均的で、庶民的な家庭の学生が多く集まる大学です。

(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は16.8人でイギリスの上位大学の中ではやや多めです。学部・大学院を合わせて学生数は約25,000人でイギリスの上位大学の中では大規模な大学です。在学生の男女比は43:57と女子学生がやや多めとなっています(参照元)。

(3) 入学難易度
学部入学難易度は高く、2013年度のUCASの入学者平均スコアから計算した偏差値は64でイギリスで12番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位7.0%の学生が集まっています。特に法学や医歯薬系統が人気が高く、分野別で上位5位以内に入る難関です。なお学部入試の平均倍率はおよそ7倍です(参照元)。

(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して85.8%、学部生の成績優等率は平均して68.7%です。学生の学力水準に対し、成績評価はイギリスの中で標準的ですが卒業難易度ではイギリスの中で厳しい大学グループに属します。

(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者数は6人でイギリスの大学の中では13位です。アメリカの大学と比較しますとバージニア大学とほぼ互角です。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは31番目です。芸術史と物理学、情報工学、英文学に強く、それぞれ英国で1番目、7番目、8番目、8番目の研究水準を誇ります。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で8番目に多い1億2805万ポンド(約192億円)を獲得しています(参照元)。

(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国18位となっており、健闘しています。立地が理由で入学難易度に対し、就職は不利になっているようです。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は9.5%です(参照元)。

(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度では、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと上位国立大、上智大、理科大などです。研究力及び研究者育成力で同水準の大学は、ARWU分野別の研究力世界200位のデータから推測しますと名古屋大学です。教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと20.7ポイントで大阪大学、東北大学がほぼ同水準です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。

(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では、上記同様の推測からフロリダ大学などの全米総合大で選抜度上位60~70位水準です。一方、研究力及び研究者育成力はノートルダム大学と同水準です。また教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと20.7ポイントでボストン大学などがほぼ同水準です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。

(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内22位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内18位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)

(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで117位、QS社のランキングで51位、ARWUのランキングで151-200位となっています。

(11) 著名なOB
著名なOBは経済学者のアダム・スミス、ノーベル化学賞受賞のウィリアム・ラムゼーなどです。

(12) 人種・国際性
人種別の学生比率は2007~2008年のデータでマイノリティ学生が5.2%となっています(参照元)。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)である事からマイノリティが少ない大学です。2011~2012年のデータでは全体の学生の20%が留学生です。

総合的に見ますとスコットランドで3番目、英国で16~24番目の大学だと思います。


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