大学関連のデータの集計に一区切りがつきましたのでしばらくイギリスの大学の紹介を行っていきます。大学の一般的な情報はWikipediaなどの繰り返しになりますので、今までこのブログで紹介してきましたデータを中心に書きます。それぞれのデータの根拠はページの最後の方の一覧に載せました過去の記事を参考にしてください。
今回はグラスゴー大学をとりあげます。
グラスゴー大学 (University of Glasgow)
(撮影者Pierre Terre/Wikipediaより)
グラフで見たGlasgow大学の主な特徴
グラスゴー大学は創立561年で英語圏で4番目に古い大学です。英国とアイルランドで中世から近世初頭の時代に設立された古代の大学と呼ばれる7つの大学のうちの一校で、英国の研究型上位大学連合であるラッセルグループに属しています。
特徴を箇条書きにしますと次のようになります。
(1) 立地・大学の雰囲気
スコットランドの首都エジンバラから電車で1時間半ほどの距離にあるグラスゴー市に位置しています。ロンドンからの距離は遠いですが、スコットランド最大の都市に位置しています。大学構内の雰囲気や大学のシステムは伝統的な建物と広めのキャンパスで構成されています。州立高校卒業生比率は87.9%と平均的で、庶民的な家庭の学生が多く集まる大学です。
(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は16.8人でイギリスの上位大学の中ではやや多めです。学部・大学院を合わせて学生数は約25,000人でイギリスの上位大学の中では大規模な大学です。在学生の男女比は43:57と女子学生がやや多めとなっています(参照元)。
(3) 入学難易度
学部入学難易度は高く、2013年度のUCASの入学者平均スコアから計算した偏差値は64でイギリスで12番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位7.0%の学生が集まっています。特に法学や医歯薬系統が人気が高く、分野別で上位5位以内に入る難関です。なお学部入試の平均倍率はおよそ7倍です(参照元)。
(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して85.8%、学部生の成績優等率は平均して68.7%です。学生の学力水準に対し、成績評価はイギリスの中で標準的ですが卒業難易度ではイギリスの中で厳しい大学グループに属します。
(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者数は6人でイギリスの大学の中では13位です。アメリカの大学と比較しますとバージニア大学とほぼ互角です。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは31番目です。芸術史と物理学、情報工学、英文学に強く、それぞれ英国で1番目、7番目、8番目、8番目の研究水準を誇ります。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で8番目に多い1億2805万ポンド(約192億円)を獲得しています(参照元)。
(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国18位となっており、健闘しています。立地が理由で入学難易度に対し、就職は不利になっているようです。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は9.5%です(参照元)。
(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度では、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと上位国立大、上智大、理科大などです。研究力及び研究者育成力で同水準の大学は、ARWU分野別の研究力世界200位のデータから推測しますと名古屋大学です。教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと20.7ポイントで大阪大学、東北大学がほぼ同水準です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。
(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では、上記同様の推測からフロリダ大学などの全米総合大で選抜度上位60~70位水準です。一方、研究力及び研究者育成力はノートルダム大学と同水準です。また教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと20.7ポイントでボストン大学などがほぼ同水準です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。
(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内22位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内18位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)
(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで117位、QS社のランキングで51位、ARWUのランキングで151-200位となっています。
(11) 著名なOB
著名なOBは経済学者のアダム・スミス、ノーベル化学賞受賞のウィリアム・ラムゼーなどです。
(12) 人種・国際性
人種別の学生比率は2007~2008年のデータでマイノリティ学生が5.2%となっています(参照元)。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)である事からマイノリティが少ない大学です。2011~2012年のデータでは全体の学生の20%が留学生です。
総合的に見ますとスコットランドで3番目、英国で16~24番目の大学だと思います。
今回はグラスゴー大学をとりあげます。
グラスゴー大学 (University of Glasgow)
(撮影者Pierre Terre/Wikipediaより)
グラフで見たGlasgow大学の主な特徴
大学名 | University of Glasgow | |||
主要な所属大学連合 | ラッセルグループ / 古代の大学 | |||
創立 | 1451年 | |||
立地 | Glasgow市 (Edinburgh市から電車で約2時間半) | |||
学生数(正規のみ) | 学部 | 2012 | 1学年 平均4,048人 /全学年 16,190人 | |
大学院 | 2012 | 4,555人 | ||
学生の割合(学部) | 英国人 | 2012 | 87.8% | |
欧州留学生 | 2012 | 8.0% | ||
他留学生 | 2012 | 4.2% | ||
学生の割合(大学院) | 英国人 | 2012 | 56.1% | |
欧州留学生 | 2012 | 8.5% | ||
他留学生 | 2012 | 35.4% | ||
学部学生の出身高校 (2009) | (私立高卒) 12.1% : 87.9% (公立高卒) | |||
男女比 (2013) | (男) 43% : 57% (女) | |||
人種の多様性 (2008) | 非白人学生率 5.2% | |||
学部入学難易度 (2013) | 12位 | UCAS 469 / 換算偏差値 64 | ||
学部入学難易度 (過去8年平均) | 15位 | 平均偏差値 62 | ||
同世代人口比で見た選抜水準(学部) | (2013) 上位5.0% (過去8年の平均) 上位7.0% | |||
卒業難易度 | やや厳しい | 学部最終卒業率 85.8% 学部成績優等率 68.7% | ||
教員一人当たり学生数 (2013) | 37位 | 16.4人 | ||
学生一人当たり教育支援支出 (2013) | 17位 | £1,415 (約21万円) | ||
学生一人当たり施設支出 (2013) | 13位 | £619 (約9万円) | ||
研究力 (2008) | 31位 | RAE 2.59 / 換算偏差値 58 | ||
研究費予算配分 (2011 / 人件費込) | 8位 | £128,047,000 (約192億円) | ||
ノーベル賞 | 13位 | 6人(OB 3人 教員 3人) | ||
就職/進学率 (2012) | 11位 | 79.8% | ||
卒業生の初任給平均 (2009) | 18位 | £21,590 (約324万円) | ||
NYTimes トップ企業の採用評価 (2012) | (国内15位以降、世界151位以降) N/A | |||
Spear's 富裕層の輩出人数 (2013) | 21位 | 世界267位 | ||
時価総額世界上位500社のCEO輩出力 (2011) | 4位 | 世界38位 | ||
日本の大学ライバル校 | 総合選抜度 | 上位国立大学及び上智大学、東京理科大学など | ||
平均研究力 | 分野別順位平均: 理系:名古屋大学 文系:不明 教員当たり平均研究実績: 大阪大学、東北大学 | |||
採用評価 | 不明 | |||
米国の大学ライバル校 | 総合選抜度 | 全米総合大学選抜度上位60位~70位水準 | ||
平均研究力 | 分野別順位平均: University of Notre Dame 教員当たり平均研究実績: Boston University | |||
採用評価 | 不明 | |||
国内大学ランキング | Independent社 | (2014) 23位 (過去7年の平均) 22位 | ||
Guardian社 | (2014) 21位 (過去7年の平均) 18位 | |||
世界大学ランキング | Times社 | 2014 | 117位 | |
QS社 | 2013 | 51位 | ||
上海交通大 | 2013 | 151-200位 | ||
Times名声調査世界ランキング | 2013 | N/A |
学問分野 | 全平均 | 法律 | 政治 | 経済 | 経営 | 会計 | 心理 | 哲学 | 歴史 | 古典 | 英文 | 芸術 | 言語 | 教育 |
難易度(学部) | 64 | 71 | 62 | 66 | 62 | 66 | 63 | 64 | 63 | 65 | 63 | 63 | -- | 55 |
研究力 | 58 | 58 | 51 | 68 | 56 | 52 | 63 | 58 | 62 | 46 | 67 | N/A | -- | 43 |
学問分野 | 数学 | 物理 | 化学 | 生物 | 電子 | 機械 | 材料 | 土木 | 情報 | 建築 | 医学 | 歯学 | 薬学 | |
難易度(学部) | 66 | 66 | 65 | 62 | 59 | 62 | -- | 61 | 65 | -- | 69 | 73 | 63 | |
研究力 | 57 | 62 | 62 | 58 | 63 | 53 | -- | 53 | 71 | -- | 59 | 59 | -- |
学問分野 | 社会科学 | 自然科学 | 工学 | 生命科学 | 医学&薬学 | |||||
経済学&経営学 | 数学 | 物理学 | 化学 | 情報工学 | ||||||
順位 | -- | -- | 151-200位 | 101-150位 | 151-200位 | -- | -- | -- | 76-100位 | 51-75位 |
グラスゴー大学は創立561年で英語圏で4番目に古い大学です。英国とアイルランドで中世から近世初頭の時代に設立された古代の大学と呼ばれる7つの大学のうちの一校で、英国の研究型上位大学連合であるラッセルグループに属しています。
特徴を箇条書きにしますと次のようになります。
(1) 立地・大学の雰囲気
スコットランドの首都エジンバラから電車で1時間半ほどの距離にあるグラスゴー市に位置しています。ロンドンからの距離は遠いですが、スコットランド最大の都市に位置しています。大学構内の雰囲気や大学のシステムは伝統的な建物と広めのキャンパスで構成されています。州立高校卒業生比率は87.9%と平均的で、庶民的な家庭の学生が多く集まる大学です。
(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は16.8人でイギリスの上位大学の中ではやや多めです。学部・大学院を合わせて学生数は約25,000人でイギリスの上位大学の中では大規模な大学です。在学生の男女比は43:57と女子学生がやや多めとなっています(参照元)。
(3) 入学難易度
学部入学難易度は高く、2013年度のUCASの入学者平均スコアから計算した偏差値は64でイギリスで12番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位7.0%の学生が集まっています。特に法学や医歯薬系統が人気が高く、分野別で上位5位以内に入る難関です。なお学部入試の平均倍率はおよそ7倍です(参照元)。
(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して85.8%、学部生の成績優等率は平均して68.7%です。学生の学力水準に対し、成績評価はイギリスの中で標準的ですが卒業難易度ではイギリスの中で厳しい大学グループに属します。
(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者数は6人でイギリスの大学の中では13位です。アメリカの大学と比較しますとバージニア大学とほぼ互角です。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは31番目です。芸術史と物理学、情報工学、英文学に強く、それぞれ英国で1番目、7番目、8番目、8番目の研究水準を誇ります。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で8番目に多い1億2805万ポンド(約192億円)を獲得しています(参照元)。
(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国18位となっており、健闘しています。立地が理由で入学難易度に対し、就職は不利になっているようです。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は9.5%です(参照元)。
(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度では、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと上位国立大、上智大、理科大などです。研究力及び研究者育成力で同水準の大学は、ARWU分野別の研究力世界200位のデータから推測しますと名古屋大学です。教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと20.7ポイントで大阪大学、東北大学がほぼ同水準です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。
(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では、上記同様の推測からフロリダ大学などの全米総合大で選抜度上位60~70位水準です。一方、研究力及び研究者育成力はノートルダム大学と同水準です。また教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと20.7ポイントでボストン大学などがほぼ同水準です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。
(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内22位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内18位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)
(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで117位、QS社のランキングで51位、ARWUのランキングで151-200位となっています。
(11) 著名なOB
著名なOBは経済学者のアダム・スミス、ノーベル化学賞受賞のウィリアム・ラムゼーなどです。
(12) 人種・国際性
人種別の学生比率は2007~2008年のデータでマイノリティ学生が5.2%となっています(参照元)。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)である事からマイノリティが少ない大学です。2011~2012年のデータでは全体の学生の20%が留学生です。
総合的に見ますとスコットランドで3番目、英国で16~24番目の大学だと思います。
イギリスの大学の分類 | ・ イギリスの大学の4つの分類 |
入学難易度(偏差値)と研究力 | ・ イギリスの大学入学難易度と研究力のランキング ・ イギリスの大学の専攻別の入学難易度と研究力 ・ 近年のイギリスの大学の学部入学難易度の変遷 ・ 2013年度の大学入学難易度 ・ 2014年度の大学入学難易度 |
選抜度の国際比較 | ・ 英米大学の選抜度比較一覧表 ・ 選抜度で見たイギリスの大学とその国際比較 ・ ラッセルグループなど主要大学グループの難易度と選抜水準 |
研究力の国際比較 | ・ 英米大学の研究力比較一覧表 ・ イギリスの大学の研究力の国際比較 ・ イギリスの大学の研究力の国際比較 (2013年版) |
ノーベル賞受賞者数 | ・ ノーベル賞受賞者数で見るイギリスの大学 |
卒業生の初任給 | ・ イギリスの大学の初任給ランキング |
富裕層の出身大学 | ・ 富裕層を輩出する英国大学はどこか |
公立高校出身比率 | ・ 公立高校卒業生比率で見るイギリスの大学 |
成績評価と卒業難易度 | ・ イギリスの大学の成績評価と卒業難易度の傾向 |
世界大学ランキング | ・ 世界大学ランキングの問題点と信頼性 |