イギリスには大別して2つのタイプの高校があります。ひとつは自治体が運営していますステートスクールと呼ばれる州立(公立)高校、そしてもうひとつが有名なイートン校、ハーロー校などのパブリックスクール、またはインディペンデントスクールと呼ばれる私立高校です。
州立高校は原則学費が無料の高校で一般庶民が通う学校です。一方でパブリックスクールは日本円にして年間300~600万円の高額な学費を払って通う学校であり、アッパーミドル~上流階級の大変裕福な家庭の子供たちが通う学校です。また留学生は法的にステートスクールへ入学が認められていませんので、海外からの留学生は全てパブリックスクールに在学しています。イギリス全土のパブリックスクールに通う学生の割合は6.5%(イングランドで7%ちょっと)です(参照元)。また留学生数は24,554人でパブリックスクールの全学生のうち約4%を占めています。
大学進学の実績ではこの州立高校とパブリックスクールの間では顕著な差があります。今回の記事ではこの州立高校卒業生の大学在籍率の数値からイギリスの大学を見ていきます。
大学別の州立高校卒業生入学比率のデータは以前の記事で紹介しました大学別初任給のデータを提供しておりましたHigher Education Statistics Agencyが公開しています(参照元)。
このデータを州立高校卒業生比率が少ない順(つまり私立高校卒業生が多い順)に一覧表にしてみました。
イギリスの大学の州立高校出身比率のランキング
この結果を見ると顕著な傾向が見て取れます。
①イギリスの大学全体で見ますと州立高校出身者の比率は88%です。これは州立高校の比率(93%)より若干下がっています。
②この比率はイギリス内の国によってかなり変わってきます。イングランドの大学平均は87.4%、スコットランドの大学平均では86.8%、ウェールズの大学平均は93.4%、北アイルランドの大学平均は99.7%となっています。基本的には豊かな地域ほど、また良い大学が集まっている地域程この比率は低くなっています。
②州立高校卒業生が少ない大学で上位15大学を見てみますと、入学難易度で上位15大学中、9大学がランクインしています。その他の6大学もうち5大学が音楽や美術などの芸術系大学で残る1校がRoyal Agricultural Collegeという名の農業系の単科大学です。
③入学難易度上位15大学の平均州立高校卒業生比率は67%です。これはイギリスの大学の平均値を21%上回り、パブリックスクールの卒業生が集中している事が伺えます。なお、州立高校卒業生比率が少ない38大学で芸術系の大学を除いた大学で、この比率と入学難易度の相関を見てみますと顕著な傾向があります。基本的には入学難易度の高い大学ほどパブリックスクールの出身者の比率が高くなる傾向があります。
州立高校卒業生比率と入学難易度の関係
④パブリックスクールの卒業生が好む大学、またはパブリックスクールの卒業生を好む大学というのには特徴ががあります。総合大学で見てみますとOxford大が最も好まれ、少し離れてCambridge大、St Andrews大、Bristol大、Durham大と続き、この5大学が州立高校出身率が65%を切る大学です。この5大学は大学の古風な雰囲気や大学システムが良く似ており、併願パターンとしてもよく使われます。一般論で言えばパブリックスクールの学生は創立年度が古く、地方にあってカレッジ制度を持つ伝統的な大学を好む傾向があります。ロンドンにありますUCL、Imperial College、LSEもブランド力はあるのでパブリックスクールでも一定の人気はあるものの校風や大学の雰囲気がかなり異なりますので上述の大学程は好まれてはいません。またロンドンの大学のアジア人学生や留学生の多さを敬遠する学生もいます。
⑤上位大学の中ではWarwick大学とBath大学、York大学は州立高校出身者が76%~81%と例外的に州立高校の出身者が多くなっています。実際この3校は庶民的な学生が多い大学として中産階級の教育熱心な家庭の間では人気がある大学です。3校に共通します特徴はどれも1960年代に作られました創立年度が新しい大学で、産業界との密な関係を持った実学志向の大学です。一方でOxford大学を筆頭としました伝統的な大学とは様々な意味で対極的な位置にある大学です。
大学の特徴で分けたグループについては別途に記事を書きました。
イギリスの大学の4つの分類
州立高校は原則学費が無料の高校で一般庶民が通う学校です。一方でパブリックスクールは日本円にして年間300~600万円の高額な学費を払って通う学校であり、アッパーミドル~上流階級の大変裕福な家庭の子供たちが通う学校です。また留学生は法的にステートスクールへ入学が認められていませんので、海外からの留学生は全てパブリックスクールに在学しています。イギリス全土のパブリックスクールに通う学生の割合は6.5%(イングランドで7%ちょっと)です(参照元)。また留学生数は24,554人でパブリックスクールの全学生のうち約4%を占めています。
大学進学の実績ではこの州立高校とパブリックスクールの間では顕著な差があります。今回の記事ではこの州立高校卒業生の大学在籍率の数値からイギリスの大学を見ていきます。
大学別の州立高校卒業生入学比率のデータは以前の記事で紹介しました大学別初任給のデータを提供しておりましたHigher Education Statistics Agencyが公開しています(参照元)。
このデータを州立高校卒業生比率が少ない順(つまり私立高校卒業生が多い順)に一覧表にしてみました。
イギリスの大学の州立高校出身比率のランキング
この結果を見ると顕著な傾向が見て取れます。
①イギリスの大学全体で見ますと州立高校出身者の比率は88%です。これは州立高校の比率(93%)より若干下がっています。
②この比率はイギリス内の国によってかなり変わってきます。イングランドの大学平均は87.4%、スコットランドの大学平均では86.8%、ウェールズの大学平均は93.4%、北アイルランドの大学平均は99.7%となっています。基本的には豊かな地域ほど、また良い大学が集まっている地域程この比率は低くなっています。
②州立高校卒業生が少ない大学で上位15大学を見てみますと、入学難易度で上位15大学中、9大学がランクインしています。その他の6大学もうち5大学が音楽や美術などの芸術系大学で残る1校がRoyal Agricultural Collegeという名の農業系の単科大学です。
③入学難易度上位15大学の平均州立高校卒業生比率は67%です。これはイギリスの大学の平均値を21%上回り、パブリックスクールの卒業生が集中している事が伺えます。なお、州立高校卒業生比率が少ない38大学で芸術系の大学を除いた大学で、この比率と入学難易度の相関を見てみますと顕著な傾向があります。基本的には入学難易度の高い大学ほどパブリックスクールの出身者の比率が高くなる傾向があります。
州立高校卒業生比率と入学難易度の関係
④パブリックスクールの卒業生が好む大学、またはパブリックスクールの卒業生を好む大学というのには特徴ががあります。総合大学で見てみますとOxford大が最も好まれ、少し離れてCambridge大、St Andrews大、Bristol大、Durham大と続き、この5大学が州立高校出身率が65%を切る大学です。この5大学は大学の古風な雰囲気や大学システムが良く似ており、併願パターンとしてもよく使われます。一般論で言えばパブリックスクールの学生は創立年度が古く、地方にあってカレッジ制度を持つ伝統的な大学を好む傾向があります。ロンドンにありますUCL、Imperial College、LSEもブランド力はあるのでパブリックスクールでも一定の人気はあるものの校風や大学の雰囲気がかなり異なりますので上述の大学程は好まれてはいません。またロンドンの大学のアジア人学生や留学生の多さを敬遠する学生もいます。
⑤上位大学の中ではWarwick大学とBath大学、York大学は州立高校出身者が76%~81%と例外的に州立高校の出身者が多くなっています。実際この3校は庶民的な学生が多い大学として中産階級の教育熱心な家庭の間では人気がある大学です。3校に共通します特徴はどれも1960年代に作られました創立年度が新しい大学で、産業界との密な関係を持った実学志向の大学です。一方でOxford大学を筆頭としました伝統的な大学とは様々な意味で対極的な位置にある大学です。
大学の特徴で分けたグループについては別途に記事を書きました。
イギリスの大学の4つの分類
イギリスの大学の分類 | ・ イギリスの大学の4つの分類 |
入学難易度(偏差値)と研究力 | ・ イギリスの大学入学難易度と研究力のランキング ・ イギリスの大学の専攻別の入学難易度と研究力 ・ 近年のイギリスの大学の学部入学難易度の変遷 ・ 2013年度の大学入学難易度 ・ 2014年度の大学入学難易度 |
選抜度の国際比較 | ・ 英米大学の選抜度比較一覧表 ・ 選抜度で見たイギリスの大学とその国際比較 ・ ラッセルグループなど主要大学グループの難易度と選抜水準 |
研究力の国際比較 | ・ 英米大学の研究力比較一覧表 ・ イギリスの大学の研究力の国際比較 ・ イギリスの大学の研究力の国際比較 (2013年版) |
ノーベル賞受賞者数 | ・ ノーベル賞受賞者数で見るイギリスの大学 |
卒業生の初任給 | ・ イギリスの大学の初任給ランキング |
富裕層の出身大学 | ・ 富裕層を輩出する英国大学はどこか |
公立高校出身比率 | ・ 公立高校卒業生比率で見るイギリスの大学 |
成績評価と卒業難易度 | ・ イギリスの大学の成績評価と卒業難易度の傾向 |
世界大学ランキング | ・ 世界大学ランキングの問題点と信頼性 |